MISSION IMPOSSIBLE(File.111 ロス×シュラ疑惑を究明せよ!)

 

 ある日、俺は教皇に呼び出された。おかしい、最近はちゃんと兄貴の監視と報告もしている。いったいなんだろうか!?また海底の乱れた日常を聞きたいのか?
教皇は俺に命令した。

『山羊の日常を監視し、報告せよ。特に、アイオロスと山羊の関係には注意するように!』

兄貴の次は、シュラか・・・・。それにしても、いったい何故シュラなんだろうか??いや、それよりも、アイオロスとシュラの関係ってなんだ?シュラの奴、今度はアイオロスにでも目をつけたのだろうか?まさか、アイオロスがシュラを!?
俺は、しばらく兄貴の監視から外れることができるなら、シュラの監視でも大歓迎だった!
しかし、シュラの監視はどうすればいいのか・・・?兄弟なら四六時中一緒にいても不自然じゃないが、シュラと四六時中というのは・・・・。

1月21日(月) 晴れ 気温:寒い

 俺は家に帰ると、兄貴と訓練をはじめた。普段は夕方くらいに行うが、今日は特別だ。俺はいつもよりも手を抜いてワザとボコボコにされた。その後、俺は兄貴に『教皇の命令でしばらくシュラの所でやっかいになるから。』とだけ言い、荷物をまとめて家をでた。

俺はその足で、磨羯宮へと駆け込んだ。シュラはボロボロの俺の姿を見て、目が点になっていた。いや、あいつの目は常に点か・・・。
俺は『兄貴と喧嘩した。しばらくシュラのところに置いて欲しい。』とちょっとすがるような目をしてシュラにいった。シュラはすぐに騙された。ちょろい!

しかし、ちょろいのは俺だった。シュラは俺を嬉しそうに自分の寝室へ案内した。シュラの所にはベッドが一つしかない。シュラは嬉しそうに語った。しまった、シュラは絶倫山羊だった・・・・。シュラと同じベッドで寝るのはあまりにも危険だ。いや、同じ部屋で寝ること自体が危険だ。俺は、シュラに『1階の床にでも寝るから、俺のことは気にするな!』と言った。シュラは残念そうだった。
あいつ、今のターゲットはアイオロスじゃなかったのか?
←山羊に襲われてみるのも又一興

シュラの部屋は、ヒンヤリとして居心地が悪い。テーブル、椅子、本棚やベッドまですべて大理石だ。俺にはこのセンスがよく分からなかった。
あいつ、あんな固いベッドの上で・・・・・・・・。流石、絶倫山羊だ。

この日、俺とシュラはデスマスクとミロを誘って、街に飲みに行った。シュラも酔って寝てしまえば、俺を襲ってはこないだろう。

しかし、俺は念のため、1階のアテナ像の真下で毛布に包まって寝ることにした。いくらシュラでもアテナ像を目の前にすれば不埒な行動に出るわけには行かなかった。

報告:やはり女神には弱い。

 

1月22日(火) 晴れ 気温:寒い

 2階からシュラに声をかけられて、俺は目を覚ました。
シュラが用意してくれた朝食は、コーヒーとパンと果物だった。シュラはコーヒーを飲みながらスペイン語の新聞を読んでいた。
シュラは、素肌に真っ赤なシルクのガウンを羽織っていた。ガウンの胸元からは、鍛え上げられた胸と髪の毛と同じ色の胸毛が覗いていた。シュラは真冬でも裸で寝ているのだろうか?
←きちんと調査するように

俺はシュラの顔をよく見た。寝起きのせいか、その顔は生えたての短い髭で覆われていた。おれはその濃さに少々ビックリした。
シュラは、『俺の髭は東洋人受けしないんだ。だから、毎日キレイにツルツルに剃っている。しかし、キスをしたときに頬にあたる、このチョリチョリ感がたまらない!という奴もいて困ったもんだ。』と、顎と頬をさすりながら自慢気に語ってくれた。
俺は、シュラが毎朝、己のエクスカリバーで髭を剃る姿を想像してしまい、笑いを堪えた。

シュラはこの日は、一日リビングで過ごしていた。オペラのCDを聞きながら、コーヒーを片手にスペイン語の本を読んでいた。リビングにあるラックの中には、クラシック、ロック、サントラ、オペラなど幅広いジャンルのCDと、スペイン語、英語、ギリシャ語などの本と雑誌が並べられていた。俺はシュラのなかなかのインテリぶりに驚いた。
シュラは、俺が大理石に敷かれたペルシャ絨毯の上で暇を持て余してるのを見て、『俺の寝室にも、いろいろな本や雑誌があるから、その中にはお前が好きそうなものもあるかもしれないなぁ。』と言った。

俺は早速、寝室の本棚を漁った。
寝室の本棚は本来のシュラの本棚のあるべき姿を捉えていた。本棚からは後から後からエロ本が出てくる。しかも、その幅広さといったら・・・・・・・。スペイン語、ギリシャ語、英語の雑誌はともかくとして、日本語や中国語、イタリア語、ロシア語・・・・・、熟女、少女、少年、マッチョ、アニメ、動物・・・・・。あいつのは筋金入りだ、恐れ入った。←動物とは獣姦か?
本棚の上段には、本が並べられていた。俺はギリシャ語で書かれた本を手に取った。やはり、官能小説だった。
シュラが先ほどから、真剣に読んでいる本も、恐らく官能小説だろう。

数冊の金髪美女のグラビア雑誌を持ってリビングに戻った俺に、シュラはタバコを吸いながら、『どうだ、すごいだろう!!』とでも言わんばかりに踏ん反り返り、鼻からタバコの煙を出しながらニヤついた。俺は呆れてモノが言えなかった。
その姿からは、アイオロスに言い寄られるシュラの姿など想像できなかった。

報告:奴のは筋金入り。

 

1月23日(水) 晴れ 気温:なかなか寒い

 今日は、夕方からシュラの『馴染みの店』というものに連れていってもらった。

俺は、シュラが俺達と遊びに行く以外にも、別行動でこういう店によく通っていたのを知っていたが、足を踏み入れるのは初めてだった。

店内の雰囲気は、俺達がよく行く店とほとんど変わらなかった。重厚な絨毯に暗い照明、店内は甘い香りに満ちていて、各席毎に壁で区切られている。唯一違っていたのは、そこにいる全ての人間が男だということた。
シュラが店に入ると、支配人らしき男がシュラを丁寧に迎え入れた。シュラはその男に俺を紹介し、『こいつは、こういうところは初めてだから適当なモノを見繕ってやってくれ。』と言った。俺達は、一番奥の個室へと案内された。

シュラが言うには、この店は東洋人の少年だけを集めた店だということだった。

しばらくして、東洋人の少年4人が部屋に入ってきた。うち二人の少年は、シュラと抱き合いながら再開を喜んでいた。恐らくこの2人がシュラのお気に入りなのだろう。その中国人か日本人か分からない少年2人は、腰まである黒い髪を持っており、その身体は無駄な贅肉がなく引き締まっていた。顔はきりりとりりしい眉毛を持ちなながらも、、全体的に表情は暗い。俺は、冥界での闘いで出会ったブロンズの一人を思い出した。←おそらくドラゴンであろう

俺に付いた少年二人はというと、茶色の巻き毛を肩甲骨まで伸ばした顔の整った双子だった。一人は穏やかな顔で俺を微笑みながら見つめている。もう一人はヤンチャな雰囲気の少年で、目を輝かせながら俺を見つめていた。俺は両脇から、その双子に腕を絡まれて身動きが出来なかった。この双子は仲が良さそうだった。
その姿を見たシュラは、堪えきれずに笑い出した。不思議そうに見ていた少年達にシュラは俺にも双子の兄がいることを説明してやった。すると、双子の少年は俺に親近感でも覚えたのか、益々その身体を俺にくっつけてきた。

シュラはお気に入りの少年二人と楽しそうに乳繰り合っていた。俺は、その歳でこんな仕事をしている不幸な双子の身の上話を聞いてやった。しかし、俺の身の上のほうが不幸だった。勝った!

双子の少年は、俺の顔を見ては異国の言葉で何かを話しながらクスクスと笑った。俺は、双子の少年を無視し、酒を飲みながらシュラを観察しつづけた。
しばらくして、俺は自分の股間に違和感を覚えて我に返った。見ると、少年の一人が俺の股間に顔を近づけていた。俺の驚いた顔をみて、もう一人が意地悪そうな顔で微笑んだ。
俺にはもう限界だった。俺は、シュラに『先に帰る!』と言って席を立った。
そんな俺を見て、シュラは爆笑しながら『こいつらはお持ち帰りしなくていいのかぁ?』と双子を指差した。
俺はシュラの笑い声に見送られ、一人で店を出た。

報告:貴方の知らない世界へようこそ!
↑店の住所と名前を記載し、詳細な報告にて再提出するように。

 

1月24日(木) 晴れ 気温:寒い

 この3日間のシュラは俺のよく知っているシュラだった。アイオロスに言い寄られている気配すら感じない。やはり、ただの教皇の妄想なのでは??

しかしこの日、俺は決定的な瞬間を目にすることになった。

この日の午後、俺とシュラはタバコを吸いながらリビングでエロ談義に花を咲かせていた。すると、いきなりシュラはタバコの日を消し、全身にファブリーズ(微香性)をまいて、1階へと走っていった。
俺は慌ててシュラの後を追ったが、俺は1階には降りずに、2階のテラスからシュラの様子を目で追った。

アイオロスだ!とうとうアイオロスが磨羯宮に姿を表した!!

次の瞬間、俺は自分の目を疑った。

シュラはアイオロスに抱きつき、その両頬に親しみを込めて軽くキスをした。欧州人なららではの、この挨拶の音は2階にいる俺の耳にまで聞こえた。聖闘士には欧州人は多いが、聖域内でこの挨拶をするものは少ない。たまに、ミロとカミュがしているのを見かけるくらいだ。
シュラは、そのままアイオロスの手を引っ張り2階のリビングへと招き入れた。そのシュラの表情はかつてないほど輝いていて、その小さい瞳は少女のように潤んでいた。シュラはすっかり俺の存在を忘れていた。
アイオロスとシュラはそのままリビングで話しに夢中になっていた。アイオロスが語る、愛と正義論にシュラはアイオロスの目をじーーーーーっと見つめて熱心に聞いていた。そんなシュラの態度に気持ちを良くしたアイオロスはますます話しに力を入れる。

俺はシリビングの入り口にたち、シュラに話し掛けた。

『おい、シュラ!お前、昨晩の少年との態度と・・・・・・・・・』

俺は言葉を全部言う前にシュラに高速で手を引っ張られ、1階のアテナ像の裏へ連れてかれた。
シュラは、俺の胸ぐらを掴み、右手のエクスカリバーを俺の喉元に付きつけて、こう言った。
『てめぇ、アイオロスの前で余計なこと喋ってみろ!俺のエクスカリバーでお前の大事なモノをぶった切って、一生使えないようにしてやるからな!分かったな!?』
シュラの目は本気だった。恥ずかしいが、俺はシュラの態度に恐怖を感じ、黙って頷くことしかできなかった。
シュラは、胸ぐらを掴んだ手を乱暴に放すと、再び高速でリビングへと戻っていった。
俺は、もうシュラの邪魔をする気にはなれなかった。というか、こんなことで大事なモノを失いたくなかった。

俺は仕方なく、アテナ像の前で神経を集中し監視を続けた。
リビングからはアイオロスとシュラの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
しばらくして、いきなり笑い声が途絶えた。とうとう始まったか??俺は、更に神経を集中させた。
しかし、聞こえてきたのは1階に近づいてくる笑い声だった。

シュラはアイオロスに肩を組まれて、幸せそうに階段を降りてきた。
どうやら、これから夕飯を兼ねて飲みにいくらしい。俺の事に気がついたアイオロスが、俺も一緒にどうかと誘ったが、その瞬間にシュラの小宇宙が微かに弾け、俺を睨んだ。
俺は、アイオロスに『兄貴との大切な約束があるから・・・。』と言って誘いを断った。

俺は、もちろんこそっりと尾行した。気分はバド!
やはりシュラの様子はおかしかった。アイオロスと飲み屋に入ったシュラは、アイオロスの目を見つめながらモジモジとしていた。今にもクルクルと回りそうなくらいモジモジしていた。酒には一滴も手をつけてない。それどころか、食事も喉を通らないらしい。
しかし、どんなに可愛く振舞っても、俺にはシュラは男臭ただようスペイン人にしか見えなかった。

俺はその後も二人の行動を見張った。食事の後は、てっきりホテル街へと向かうのかと思ったが、二人はそのまま帰宅した。

シュラの奴、可哀相に。こうなったら得意の実力行使で襲い受けしかないぞ!!(笑)
(俺も随分とホモ用語に詳しくなったもんだ。ありがとう、教皇&シュラ)

報告:アイオロスの行動は一部の人間には勘違いされやすい。シュラも多重人格かもしれない。モジモジシュラはなかなか面白い。

 

1月25日(金) 晴れ 気温:やや寒い

今日はシュラは教皇への拝謁の日だ。相方は愛しのアイオロスちゃんだ!
シュラは朝早くに起きて、ひたすら黄金聖衣を磨いていた。そして、1時間前になると、黄金聖衣を装着し、ソワソワと磨羯宮の前でアイオロスを待っていた。ちょっと寝坊した振りをして、いつもの素肌にガウンの姿で出て行けば、アイオロスもイチコロなのにな(笑)

俺がシュラと知り合ったのはつい最近だ。俺はシュラの幼い頃を知らない。一体、過去にあの二人・・・・・いや、シュラに何があったのだろうか?

俺はシュラが出かけた後、シュラの部屋に入って過去を知ることができるものを探した。俺は寝室の本棚から、数冊のアルバムを見つけた。そのアルバムには、幼い頃のシュラの姿があった。

そのアルバムには、アイオロスの写真やシュラとアイオロスとの2ショットがあった。隠し撮りと思われる写真も数枚あった。中でも注目すべき写真は、明らかに写真の3分の1を切り取って捨てた2ショットの写真だった。その写真のアイオロスの手は明らかに、その切り取られた誰かの肩に置かれていた。俺は、その切り取られた部分をよく見た。すると見覚えのある髪の毛が端に写っていた。これはサガだ!恐らく、兄貴とアイオロスとシュラで撮った写真を、シュラが兄貴の所だけ切り取って捨てたのであろう。

俺は、アルバムを元に戻し、当時のことを知る、シュラと同年代のデスマスクとアフロディーテの所へ向かった。

俺はまず、一番近い双魚宮へと向かった。

アフロディーテの証言
『もう、本当にあの子は小さい頃からアイオロスに引っ付いて歩いてのたのよぉ。あーんな筋肉団子の何処がいいのかしらねぇ〜。私はサガのほうがチョーーーー好みなんだけどぉ。う〜〜ん、カノンちゃんも可愛いわよねぇ(ハート)
そうそう、シュラとアイオロスっていえば、昔、あまりにもシュラがアイオロスにくっついているんで、弟のアイオリアがヤキモチをやいて、シュラとアイオリアで千日戦争寸前にまでなったのようねぇ〜。ホント、馬鹿よねぇ〜〜〜。』

俺はアフロディーテの話を聞いて、巨蟹宮へ行く前に獅子宮へ寄り、アフロディーテの話の真偽を確かめた。

アイオリアの証言
『そのことについては語りたくない。もう過ぎたことだ・・・・。』

アイオリアは嫌な過去でも思い出したように、暗い顔になった。アフロディーテの言ったことは本当だったらしい。
俺は、そのまま巨蟹宮へと降りていった。

デスマスクの証言
『あーーー!?そういえば、昔そんなこともあったなぁ。あいつは、アイオロスの事になると頭に血が上って周りが見えなくなんだよ!!
あいつさ、本当にアイオロスを崇拝しててさ、アイオロスはう○こもしなければ、オ○ラもしないと思ってるんだぜ!!
あっ!思い出した。あいつさ、小さい頃、人馬宮でアイオロスの出待ち入待ちしてたんだぜ!まじで頭わりいよなぁ!!ぐははははっ!!』

俺はそのまま、双児宮に帰った。
俺は、兄貴に『昔撮った、兄貴とシュラとアイオロスの写真』を借りようと思った。俺は兄貴に理由を聞かれ、正直に『教皇に、アイオロスとシュラの関係を調べろ!と命令された』と答えた。兄貴は案の定ショックを受けていた。ざまーみろ!←サガは山羊との関係を知らぬのか?
俺は兄貴から、例の写真を借りてコピーをした。
俺はついでに兄貴にも、昔のシュラの話を聞いた。

兄貴の証言
『・・・・いや、シュラは小さい頃から人一倍修行に励んでいたし、アイオロスもそんなシュラに目をかけていたんじゃないかなぁ?』

俺は、段々とシュラとアイオロスの関係がわかってきた。
俺は駄目押しに、本人に気持ちを直接、聞くために人馬宮でアイオロスの帰りを待った。

俺は、教皇の間から帰ってきたアイオロスに、『シュラのことどう思ってるんだ??』と単刀直入に聞いた。
アイオロスは唐突な俺の質問に目を丸くしたが、にっこりと微笑み、『シュラか?大好きだぞ!!』と答えた。
そして、その後こう付け加えた。
『俺は、シュラもサガもアイオリアもムウも大好きだ!カノン、もちろんお前のことも大好きだよ!!』

報告:アイオロスの優しさと実直さは罪だ。

 

最終報告:
 以上が、この数日間のシュラの行動である。また、アイオロスとシュラの関係については、シュラの一方的な片思いであると思われる。アイオロスは、その優しさと誠実さで男を手玉にとっているが、本人には自覚がない。
シュラは二重人格とまではいかないが、その行動に問題あり。
今回の調査を終えて、俺は是非一度、兄貴とシュラとアイオロスとを交えて食事をしようと思った。

添付書類:
 領収書(実費くれ!!)、昔の写真のコピー。

 

命令どおりきちんと調査できているので感心であるぞ。山羊にそんな可愛い一面があったとは、大した発見だ。大儀である。それにしても、山羊は二十歳過ぎて男に片思いとは情けない。そなたからも実力行使をすすめておけ。アイオロスは気が多すぎるようだな。サガはともかく、くれぐれもムウには近寄らせないように。

教皇 シオン


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