MISSION IMPOSSIBLE(File.1111 獅子の恋路を調査せよ その1)

 

『鷲と獅子はいつ結婚するのだ?。仲人はもちろん余であろう。』

 んなもん、俺が知るか!!人の恋路を邪魔する奴は、兄貴に刺されて死んじまえ!まさにこの妖怪教皇に相応しい言葉だ。っていうか、こいつ男女の仲にも興味があるのか?←正しくは『馬に蹴られて死んでしまえ』である
 結局、俺はいつもの教皇命令でアイオリアと魔鈴を調査することになった。ま、ホモの調査に比べれば超マシか。おいしい現場に出くわしますように!

 

 俺はまず人馬宮でアイオロスに話を聞いた。何でもアイオリアは、魔鈴とその弟子のペガサスに稽古をつけているらしい。稽古って夜の稽古か?ムフ!

 兄貴には悪いが、俺はアイオロスに案内してもらい、アイオリア達が稽古している闘技場へ連れて行ってもらうことにした。あとで兄貴に、『今日はアイオロスとデート(ゲロ)した』とでも、話してやろう。兄貴、どんな顔するだろう。←病状が悪化するであろうな
俺は、その道すがらアオリアと魔鈴の関係がどのへんまで進んでいるのか聞いてみたが、アイオロスは余り知らないようだった。しかし、アイオリアとマリンの子供はさぞかし可愛くて、強い子供になるだろうと、熱く語ってくれた。俺の知ってる範囲だと・・・・手を繋いだ事もなさそうだが、もう子供か?もしかして、こいつ、手を繋いだら子供ができると思っているんじゃねーだろうな・・・・・。

 闘技場には人だかりが出来ていた。その中に馬鹿騒ぎしているミロとデスマスクを見つけたので、合流し、話を聞く。何でも、練習試合をしているらしい。
 1回戦目はペガサスVS魔鈴で、魔鈴の圧勝。今から魔鈴VSアイオリアの夫婦喧嘩対決が始まるとか。いいタイミングだ。話を聞いていたアイオロスが熱くなって、騒ぎ出した。

『魔鈴は聖衣を着用すべきだ!。そのくらいハンデーをつけなければ意味が無い!』

 こいつ、本当に修行馬鹿だな。夫婦喧嘩くらい好きにやらしとけ。

 魔鈴はアイオロスの言葉に従い、聖衣を着た。

 とりあえず俺は魔鈴が勝つ方に賭けたが、ミロやデスマスクも魔鈴が勝つ方に賭けたので、結局賭けにならなかった。だれか、アイオリアに賭けてやる人間はいないのか・・・・。←賭博厳禁

 そして、俺は前代未聞の夫婦喧嘩対決を見てしまった!。

 魔鈴が一方的にアイオリアをタコ殴りにしている。女相手に本気を出すなんて、男らしくないって事なのだろうか。これじゃ試合になってない。でも、殴られているアイオリアはどことなく嬉しそうだった。顔にはうっすら笑いが浮かんでいる。
 俺の横でアイオロスが痺れを切らしてアイオリアに怒鳴った。

『アイオリア!魔鈴は女といえども聖闘士だ!手加減することは許さん!!むしろ失礼にあたるぞ!。』

 はー、まったく正論君だね。虫唾が走る。しかし、黄金と銀の力の差は歴然だろう。真剣に戦って、殺しちまったらどうするんだよ。アイオロスって、何気に怖いことを平気で言うやつだな。

 アイオリアはアイオロスの言葉に頷いた。おいおい、やめとけ。魔鈴が死んじまうぞ。

『魔鈴!本気で俺を蹴るんだ!俺も本気で受ける!』

『じゃぁ、容赦なくやらせてもらうよ。イーグルトゥーフラッシュ!!』

 魔鈴は跳びあがると、まさに鷲のようにアイオリアに襲い掛かった。流石にあれを聖衣なしで受け止めるのはキツイだろう。だが、アイオリアはいきなり後ろを向いて、なんと尻で魔鈴の一撃を受け止めた!。あれは痛いぞ!靴の踵がめり込んでやがる。

『ハァハァ・・・・いいぞ、魔鈴!。今のは効いたぞ!!さぁ、来い!』

『あんたも、なかなかしぶといね。もう一発くらいな!!』

 次の一撃もアイオリアは後ろを向いて、尻にくらった。一体何のつもりだ?!新しい受身の練習か?

『い、いいぞ!!魔鈴!!ハァハァ・・・も・・・もっと!』

・・・・・もっと?。

 魔鈴はスラリと伸びた脚で、ゲシゲシと倒れたアイオリアを踏みつける。アイオリアは痛そうな顔どころか、至福の笑みだ。

『そうだ!その調子だ、魔鈴!!ハァハァ・・・・もっと踵で踏みつけるんだ!』

『さっさとギブアップしちまいな!。鷲の爪があんたの肉を引きちぎるよ!』

 すっげー女だ。無抵抗のアイオリアをボッコボコにしてやがる。しかし、何で反撃しないんだ。あの細い足首をひっ捕まえて、一気に押し倒せ!
俺にはアイオリアが蹴られて楽しんでいるようにしか思えなかった。

『ハァハァ・・・・魔鈴、そこで、もっと威圧するんだ!!そして踵でグリグリっと!』

『こうかい?』

 魔鈴はアイオリアを見下ろし、尻に靴のヒールをめり込ませて、足をひねった。

『ぅう・・・・おぉぉ・・・・』

 悲鳴というより奇声だ。いや、嬌声だ。アイオリアの奴・・・・もしかしなくても、そうだ!!こいつ、魔鈴に踏まれて喜んでやがる。世に言うマゾってやつか?!

『アイオリア、お前は一体何を考えているんだ。とっとと反撃しないか!!』

 アイオロスは熱くなり、叫んだ。しかし、アイオロスが何を言っても、アイオリアの耳には届いていないだろう。アイオリアはすでに、恍惚として地に倒れたまま魔鈴に踏まれていた。
 魔鈴も一向にその攻撃をやめる気配はない。それどころか、ますます蹴りに勢いをつけている。
 アイオリアのパンツは、魔鈴から繰り出せれた蹴りによってボロボロになっており、肌があらわになっていた。そして、そこからは血をダラダラと流れていた。

『ず・・・・・・・ずるいぞ、アイオリア!!俺が倒れている間に魔鈴さんと・・・・・・。』

 魔鈴の後方で、恐らくペガサスであろう少年がヨタヨタと立ち上がったのを俺は見た。その少年は先ほど魔鈴にボッコボコにされた為、ほとんど誰であるか分からなくなっていた。
 ペガサスは、ヨロヨロと歩き出しアイオリアの前へと出た。

『星矢、あんたまだやるのかい?』

『あたりまえだ!俺はまだまだいけるぜ!』

『そうかい、それじゃ、行くよ!イーグルトゥーフラッシュ!!』

 おい、魔鈴。いきなり必殺技かよ!しかもすっぴんの青銅聖闘士に!!俺は、容赦ないこの女に驚いた。しかし、周りで見ていた聖闘士たちは歓喜の声をあげて喜んでいる。

 しかし、魔鈴が必殺技を繰り出した瞬間に、ペガサスの前にアイオリアが飛び出し、魔鈴の一撃が再びアイオリアの尻にあたった。

『ぐあぁっ・・・・・・・。ハァハァ・・・・・星矢、今は私の番だ。邪魔をするな。』

『ア・・・・アイオリア!お前こそ、俺と魔鈴さんの邪魔をするなよ。俺は魔鈴さん会いに、久しぶりに聖域に来たんだぞ!』

『ハァハァ・・・・・。なにを言う、星矢。お前は、幼いころに散々、魔鈴に鍛えてもらっただろう・・・・。』

『そんなのは関係ない!魔鈴さん、さぁ、俺に蹴りを入れてくれ!』

『魔鈴、相手は星矢じゃないぞ。この私だ!!』

『あんた達、つべこべとうるさいね。そんなに、私の蹴りが欲しいなら、二人まとめてあげるよ!くらえぇぇぇぇ!!』

 2人は魔鈴の前へでようと押し合いへし合いしていると、魔鈴が痺れを切らし2人に蹴りを入れた。
 星矢とアイオリアは同時に吹っ飛んだ。もちろん、二人ともその顔には恍惚の笑みが浮かんでいる。ペガサスもマゾとは・・・・ 。あいつら、本当にただのアホだ。
 魔鈴は、倒れたアイオリアとペガサスにかわるがわる蹴りを入れた。

『アイオリアは、シルバー相手に一体なにをやっているんだ。相手が、サガやムウ、シャカならともかく・・・・・・・・。』

 アイオロスは頭を横に振りながら呟いた。自分の弟の醜態が許せないらしい。しかし、今発言は問題だぞ。こいつは、兄貴やムウ、シャカに踏まれたいのか??

『あいつら、真性だな・・・・。』

 俺の斜め後ろにいたデスマスクがポツリと呟いた。

『しかし、こういうことは家に帰ってからやれよな。』

 ミロもポツリと呟いた。するとデスマスクが笑い出した。

『お前、知らないのか?人前でやるからこそ、燃える奴らもいるんだぜ!!』

 なるほど・・・・。俺は、調査終了と思い、闘技場を後にしようとした。そのとたん、隣のアイオロスが怒鳴った。


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