MISSION IMPOSSIBLE(file.141414 インドの神様)

 

『乙女の弟子よ。』

俺が久しぶりにジーサンに呼ばれて教皇の間までわざわざ行ってやると、どうやらジーサンは俺のほかにシャカの奇妙な弟子も呼んでいるらしかった。だが、俺が見た限りではシャカの弟子の姿はどこにも見当たらない。
もしかして、ジーサンには俺には見えないシャカの弟子が見えるとか?ってか、やっぱりボケたんだな、ボケ。←余はピチピチの18歳である

俺がボケ老人の様子を伺っていると、ジーサンはまだまだシャカの弟子を呼んでいた。あーあ、さっさと白羊宮老人保護センターに収容して、俺か兄貴に教皇をやらせろ!←白羊宮は養老施設ではない

『この、馬鹿者!呼ばれたら返事をせぬか!』

ジーサンは見えないシャカの弟子が返事をしないので怒り出したが、もともとジーサンの脳内にすむシャカの弟子が返事をするわけがない。俺が鼻で笑うと、なんとジーサンがそばにいた神官がもっていた10センチの厚さのファイルを俺に光速で投げつけてきやがった。

おいおい、まさかシャカの弟子って俺のことかよ!!
俺は双子座のサガの弟だってーの。やっぱりボケちゃったのか。←ボケてはおらぬ

『お言葉ですが、俺はシャカの弟子ではありません。』

『お前は乙女に弟子入りしたではないか。』

はぁ?あれは調査だ、調査。誰があんな変人に弟子入りするかってーの!←技を授かっていたではないか

『まぁ、よい。乙女の弟子よ。お前の師がいつから神になったか調べて参れ。』

だから弟子じゃねぇーって言ってるだろうが、クソ爺!!←無礼者
だいたい、あいつは自称神様で、ただの人間だろう。どう見ても人間だ。俺は本当の神を何人も見てるから知っているが、あいつは絶対神じゃない。ただの変人だ!←知っておるわ

『余が連れてきたときには、神ではなかったのじゃがのぅ。さっさと調べてくるのじゃ、よいな。』

結局俺は、いつものようにくだらない調査を命令された。

 

とりあえず処女宮で話し聞いて終わりにしようと、教皇の間から出ると、仕事をサボってタバコをフカしてるデスマスクに出くわした。←いかんのぅ
霊界つながりで意外とシャカとも仲がいいらしいので、とりあえず聞いてみると、さすがに俺のカンは大当たりだった。

『シャカがいつから神かって!?あいつが神になったのは聖域に来てからだと思うぞ。』

『ああ、なるほど。乙女座の聖衣をゲットして、その力の凄さに皆がちやほやするから神になったと勘違いしたって奴か?』

『違う、違う。シャカはな、自分はブッダの生まれかわりだって豪語するから、アイオロスが「神様」ってあだ名つけてやったんだ。でさ、あいつすっかりその気になっちまいやがって、神様って呼ばれると上機嫌で何でも素直に言うこときくんだ。だから、神様ってあだ名が定着したわけよ。』←ほうほう

なんだ、ただのあだ名か・・・。

ということは、シャカは聖域に来た時から神で、名付け親はアイオロスということだな。よって、今回の調査終了。超っぱや!!

俺が教皇の間に戻ろうとするとデスマスクは聞きもしないのに余計なことまで教えてくれた。←本当は知りたかったのであろう

『ちなみに、シュラは「もみあげ」で、アフロは「ほくろ」、俺は「イタ公」だった。ったく、ロクでもねぇあだ名ばっかりつけやがって、まいったぜ。』

ぐはははっ、さすが鶏!頭も鶏だな。最悪にセンスのないあだ名だ。俺は思わず、兄貴と二人だけで生活させられていたことに感謝した。
どうせ、アイオロスのことだ、俺にも変なあだ名をつけるに決まっている。←「おまけ」か「金魚の糞」であろうな

ということで、これで本当に調査終了。・・・・・・・と思ったが、昔の聖域の話は、たまに兄貴から聞いたことくらいしか俺は知らない。
ということで、もうちょっと調査をすることにした。

 

俺が処女宮に行く途中、磨羯宮を通り抜けようと宮にはいると、ちょうどシュラがどこかから帰ってきたので、俺は「もみあげーっ!」と声をかけてやった。

すると、シュラの奴は、眉毛を吊り上げて光速で俺に走りより、俺の胸倉を掴んで睨みつけやがった。

『貴様、今なんと言った?犯されたいのか?』

『もみあげぇ〜〜〜、ってお前のあだ名なんだってな。よぉ、もみあげぇ〜〜〜〜。』

俺がそう言って片手を上げて挨拶すると、シュラはエクスカリバーを構えた。
おいおい、大人げねぇな。どうやら、シュラはこの『もみあげ』というあだ名は嫌みたいだ。
だが、大体そのあだ名をつけたのは、親分のアイオロスのアホじゃねぇかよ!
俺がそう言うと、シュラは額に青筋を浮かべて眉をピクピクとふるわせた。

『ガキの頃は恐くてアイオロスに逆らえなかったから、我慢してたんだよ!てめぇなんざに言われる筋合いはない!!』

うわっ、だせぇな。恐くて逆らえなかったのかよ・・・・。情けない奴だ。←仕方あるまい、子供と黄金聖闘士では話にならぬ
ん?ということは、シュラは小さい時から、もみ上げぼーんだったのか?

俺が聞くと、シュラはそうだと自慢気に、もみ上げを撫でて笑った。しかし、どんなに立派でも、所詮はお前はもみあげだ。
カプリコーンのもみあげ!
だっせぇー。←なさけないのぅ
わーーーははは!

俺が笑うとシュラはエクスカリバーで切りかかってきたので、俺は光速でもみあげから逃げることにした。
そういえば、もみあげにシャカのことを聞くのを忘れたが、他の奴に聞けばいいか。

 

シャカの名付け親のアイオロスに話を聞くのが一番早いと思い、俺が仕方なく人馬宮にいくことにした。人馬宮にはミロとアイオリアまでいたので、いつもに増して暑苦しい。

俺はヤらせろ!というミロを蹴飛ばして、シャカのことを訊ねる事にした。

『おい。シャカを神様って呼び始めたのはお前って、デスマスクから聞いたんだが。』

俺が訊ねると、アイオロスはない脳味噌をフル回転させて考えているようだ。

『ああ!!神様な。それならつい最近のことのように覚えてるぞ。』

わざとらしく大袈裟にポンと手を叩いてアイオロスは言ったが、13年間死んでたから本当につい最近なんだろうな。

アイオロスは、先程俺がデスマスクに聞いたこととほぼ同じような説明をした。

ミロはいっつも鼻を垂らしていたから「はなたれ」、カミュはまんま「赤毛」、アルデバランは「おっさん」らしい。旦那の奴、小さい時からオッサンだったのか。←牛はオヤジ顔であったのぅ

『で、てめぇの弟は?』

『アイオリアか?アイオリアは小さいときから、リアだ。』

アイオロスがそういうと、隣に座っていたアイオリアとミロが頷いた。

で、シャカは?

『そうそう、シャカはな小さいくせに、人一倍態度がでかくて、クソ生意気でなぁ〜。だがな、神様って呼んでやると、これが不思議と言う事を聞くんだ。あいつは昔から単純だったんだ。しかしな、せっかく神様っていうあだ名までつけてやったのに、サガにばかりなついていたんだよな。』

そりゃそうだろう、誰が神様なんて変なあだ名をつけた男に懐くかっていうの。

だが、俺は機嫌よくシャカの話をするアイオロスの隣で納得いかなさそうな表情で、お互いを見て首を傾げているリアとはなたれに気がついた。
なんだ、リアとはなたれはとうとう愛の目覚めか?男同士で見詰め合うなよ、キショイ。←よいではないか

『あのさ、他にシャカってあだ名なかったっけ?』

リアがアイオロスに言うと、はなたれもうんうんと頷いた。しかし、アイオロスは自分がつけたあだ名は神様だけだと言って、首をかしげた。

『絶対、もうひとつ呼び名あったよな。なんだっけな・・・・・・・・・・。なんかさ、変な名前だった気がするんだけど。』

はなたれもない脳味噌をフル回転させていたが、やはり思い出せないらしい。

脳味噌筋肉3人だ。思い出せないのも無理もないだろうな。このままではこいつらはずっと考え込んでいるだろうから、俺は早々に見切りをつけて人馬宮を出て行くことにした。

そのまま処女宮に降りていったが、どうせ本人に聞いても絶対あだ名のことは言わないだろう。っていうか本人は絶対神だ!とかいいそうだし。
リアとはなたれが言っていた変なあだ名に関しては、口が裂けても言わないだろうな。

ということは、兄貴に聞くのが一番早そうだ。黒くなっていない時の記憶なら、きっとばっちりしっかりあるだろうから、俺はそのまま双児宮にもどることにした。

書斎で仕事をしている兄貴に小さい時のシャカの話を聞いてみたが、確かにシャカは神様と呼べば機嫌が良くなるとは言ったが、他のあだなのことは知らなかった。

ということは、兄貴が本格的に黒くなってからの話なのか!?それとも、リアとはなたれの脳内あだ名とか?
その可能性も否定できなくもなくなってきた俺は、奴らと仲がいいおっさんことアルデバランのところに行く事にした。と言っても、この時間は絶対100%ムウのところに入るはずなので、俺は白羊宮に言った。

案の定、ムウと旦那と子供は白羊宮でおやつを食っていた。今日のおやつはサツマイモのプリンだ。←ムウに旦那などおらぬ
プリン美味い!!!

じゃなくて・・・・、俺はプリンを食いながら、旦那ことオッサンにシャカの話を聞いてみた。

『ああ、シャカですか。シャカのあだ名は神様ですよ。私はオッサンです。』

んなもん、知ってるちゅーの。だから、シャカのもう一つのあだ名が知りたいんだって。俺が聞くと、アルデバランは首を傾けた。

『うーーん、もうひとつのあだ名ですか。そういえば、あったような、なかったような・・・・・・。』

駄目だこりゃ。おっさんの思考回路のスピードは牛歩だな。

『TENMUS。』

『ああ、そうだ。思い出した、TENMUSだ、TENMUS!!!』

ムウがサツマイモプリンを食いながらボソリというと、アルデバランは勢いよく椅子から立ち上がって、『TENMUS、TENMUS。』と訳のわからないことを言い始めた。

『TENMUSですよ、カノン。シャカのもう一つのあだ名はTENMUSです。』

だからそのTENMUSってなんだよ。

『確か、あれはムウがつけたんだよな。ムウ』

『ええ、そうです。TENMUS。』

だーかーらー、そのTENMUSって、なんだっちゅーの。二人でラブラブしてないで、俺に教えろよ、ごら!!←いかんのぅ

『おや?TENMUSを知らないんですか?』

俺がイライラしながらムウとおっさんを睨み付けていると、ムウはやっと気がついたのか俺のことを馬鹿にしたように聞いた。むかついたが、これも仕事のうちなので、素直にTENMUSの正体を教えてもらうことにしてもらった。
TEMUSというのは、日本の食べ物で、ライスボールにTENPURAを乗せたものらしい。

昔、こいつらがガキだった頃、兄貴が天気がいいからといって、外で勉強を教えようとしたとき、兄貴の話があまりにも難しいんで、シャカはいつもの座禅を組んだまま、兄貴に寄りかかって寝てしまったらしい。
それに気がつかない兄貴が、話を終えて立ち上がったときに、寄りかかるものがなくなったシャカはそのままコロコロと転がったのを見て、ムウはTENMUSを思い出したと、俺に説明した。

『あの時も、ちょうど冬だったんですよ。比較的暖かかったので、サガも私達を外に連れ出したんでしょうね。シャカもよっぽど気持ちよかったみいたいで、もうぐっすりでした。シャカ以外にも、アルデバランやアイオリア、ミロもぐっすりでしたけどね。』

『ふーん、でその転がる姿がTENMUSなのか?』

『そうではなくて、冬のシャカがTENMUSなんですよ。ちょっと待っていなさい。』

ムウはそういって、キッチンに消えていった。

どうやら、俺のためにTENMUSを作ってくれるらしい。

俺はムウがTENMUSを作っている間、仕方ないのでプリンを食って待つことにした。俺が4つ目のプリンを食い終わったころ、ムウが俺をキッチンに呼ぶので、俺はプリンをかっ込んだ。

『はい。これがTENMUSです。シャカにそっくりでしょう?』

ムウはそういって、天辺に何か変なものが乗っかった、三角のライスボールを俺に渡した。これの一体どこが、シャカなんだ???
俺はもらったTENMUSを食いながら聞いた。

『この天辺に乗っているのが、TENPURAです。ほら、この形がシャカに似ているではありませんか。シャカはいつも袈裟を着ているでしょう。』

確かに、シャカはいつも緋色の袈裟をきて、片方の乳首丸出しだが・・・。
ああ、もう、訳わからねーな。もっと簡単に言えよ。俺は3つ目のTENMUSを食いながら聞いた。

『だからですね、今日も多分それを着ていると思うんですが、シャカの冬の袈裟ですよ。それがTENMUSそっくりなんです。確かに、TENMUSの服ともいえる海苔は黒ですが、シャカが冬の袈裟を着て、座禅を組んでいるとこのTENMUSの形にそっくりなんです。小さい時は、シャカは本当に小さかったですから、そりゃもうTENMUSそっくりで、おいしそうでした。』

俺はムウから7つ目のTENMUSをもらうと、そのまま処女宮に生きTENMUSを確認しに行った。←食いすぎじゃ。お前はサガに飯をもらっておらんのか?

 

俺が処女宮に行くと、シャカはいつものように蓮の台座の上でお休み中だった。

ムウからもらったTENMUSとシャカを見比べてみると、確かにこのTENMUSにそっくりだった。

今の今まで気がつかなかったが、そろそろ寒くなってきたのか、シャカはいつもの方乳首丸出しの袈裟ではなく、全身をショールで覆ったような袈裟を着て、台座の上で座禅を組んだまま寝ていた。
すっかり首まで隠して袈裟に丸まっているから、いい感じに三角形でTENMUSだ。で、シャカの金髪の頭がこのTENPURAって訳だな。
ってーか、多分ムウは、その時腹が減ってたんだな。それでシャカがTENMUSに見えたわけだ。←ムウはかわゆいのぅ

 

『なにかようかね?』

俺がジロジロ見ていたので、シャカが目を覚ました。

『おい、神様。教えてくれ。』

俺がそういうと、シャカはにやりと笑って斜に構えた。

『よかろう、拝め!』

俺が神様と呼んだので、シャカは機嫌がよくなった。いつもは「どうしてこのシャカが君になど教えなければいけないのだね?」とか、「なんだねその態度は。それが人に物を聞く態度なのかね?」とかいうくせに。
やっぱりデスマスク達にいうことは本当だったんだな。

『あのさ、お前は神様か?』

『違う、私は神だ。』

ああ、やっぱり神なのか。

『だったらよ、いつから神なんだ?』

『生まれたときからに決まっているではないか!』

『俺は、聖域に来たときからって聞いたんだが。』

『ふっ、私は生まれたときから神なのだ。神がそういっている、間違いない。』

『それってさ、脳内に神様が話しかけてくれるわけ?』

『私の小宇宙に話しかけてくるのだよ!』

ああ、なるほどね。シャカは生まれたときから、脳内神様との交信をしていたっていうことか。

『じゃ、お前はTENMUSか?』

『なんだねそれは?私は神だ!!』

なるほど、TENMUSの神様だな。

俺がTENMUSと呼ぶと、シャカは眉間にしわを寄せてご機嫌斜めになったので、六道に落とされる前に俺は、ムウからもらったTENMUSの一つをTENMUSの神様にお供えして、調査終了した。

報告:シャカは真性自称神。本当はTENMUSの神様。

乙女が子供の頃、インドに小宇宙で語りかけていたのは余であるがのぅ・・・・。
何を勘違いしてしもうたのかのぅ。
大儀であった。

教皇 シオン


End