MISSION IMPOSSIBLE(File.18181 一夏の経験 その1)

 

『近頃、日本にいっておる鷲が聖域におるという噂がたっておる。調べて参れ。』

鷲?んなもんは、鶏野郎の弟に聞けよ。
っていうか、自分の部下のことはちゃんと把握しておけ!!←つべこべ言わず調査せよ
じーさん、少しは自分で動かないとボケるぞ!←余は忙しいのだ

俺は取りあえず、獅子宮へと向かうことにした。魔鈴(だっけ?)が日本から帰ってきているということは、恐らくアイオリアの所にいるはずだ・・・・、ただし、アイオリアが魔鈴に捨てられてなければの話だが。←ほうほう、もう破局であるか?

獅子宮を訪れた俺に、アイオリアは相変わらず辛気臭い顔を出した。
俺、ちょっとこいつ苦手なんだよな。
根暗で、正義ばっかり口にして、しかもすぐにムキになるからな。何考えているかも、よく分からないし。←何も考えてはおらぬであろうな。
しかも、なんか俺はこいつに恨まれている感じもするしよ。←サガを黒くしたのはお前であると信じているからのう。

俺が単刀直入に魔鈴の所在を聞いていみると、アイオリアは知らないと答えた。
やっぱり捨てられたのかぁ?
俺は、噂のことを説明すると、アイオリアはますます暗い顔になって

『帰ってきてるなら、なんで私に教えてくれないんだろう・・・。』

と、呟いた。

『お前、つまらない性格してるから、捨てられたんじゃないの!?それとも飽きられたとかな!』←そういうのを、噛めば噛むほど味のなくなるガムのような男、とゆうのだ。しかし、獅子は生真面目であるからからかいがいがあるぞ。

俺はそういい残して、獅子宮を後にした。

うーーーん、アイオリアが知らないっていうことは・・・・・・。困ったな。取りあえず、白銀聖闘士の詰め所でも行ってみるかな。

十二宮を下りて、聖域内にある白銀の詰め所に行くと、白銀共がダラダラと寛いでいた。お前ら弱いんだから修行しろよ!←お前もだ
俺が顔を出した途端、奴らはビシッと背筋を伸ばし、俺を出迎えた。

『ジェミニさま。いかがなされたのでしょうか??』

『サガさま。何か一大事でも・・・・。』

近くにいた二人の白銀が俺に言った。取りあえず、俺は、俺と兄貴を間違えた馬鹿に顔パンを食らわして、魔鈴の居場所を聞いた。←無闇に殴るでない
白銀の奴らも、やはり魔鈴が聖域に帰ってきているという事は知らなかった。
やはり、蛇使い座の女と一緒に日本に行っているらしい。

魔鈴が聖域に帰っているというのは、ただの噂だ。
俺は、そのままジーサンに報告しに行こうと十二宮を登った。教皇の間に行く前に、ついでに人事院まで行って魔鈴の日本滞在を確認するかな・・・。←既に確認済みじゃ
はぁー、今回の仕事は楽!!いつもこんな楽な仕事ならいいんだけどなぁ。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。

俺が磨羯宮まで登ったとき、磨羯宮の私室へと消える女の姿を目撃したのだ。その女は髪は赤毛のセミロングで、黒レオタードに腰にスカーフを巻いていた。
・・・・あの格好は女聖闘士だな。
たしか、魔鈴もあんなんだったような・・・・。

そうか!やっぱりアイオリアは魔鈴に捨てられたのか。シュラに寝取られたんだな。←ほうほう
シュラの奴も、なかなかやるな。
しかし、相手が魔鈴っていうことは、シュラにもSMの趣味があるのか??まぁ、あいつの趣味は幅広いからなぁ。

もちろん俺は、磨羯宮に潜入して、魔鈴とシュラの関係を探ってみた。
俺は天井裏を伝い、魔鈴の居場所を探す。そして、魔鈴はリビングにいた。

仮面を外してテーブルに置いた魔鈴は一息つくと、腰に巻いたスカーフを取り、ハイヒールを脱ぎだした。天井から見ていた俺に、魔鈴の素顔は見れなかったが、あの凶暴女の素顔など興味は無い。←やはり兄にしか興味がないのか?

しかし、いきなり素顔を見せてハイヒールまで脱ぐとは、シュラのやつに本当に惚れたのか!?
・・・・っていうことは、これからいい事するのか??

しかし、俺はとんでもないものを見てしまった。

魔鈴がいきなり自分の頭に手をかけて引っ張ると、赤毛の髪の毛の下から黒い頭髪が現れたのだ。
・・・・あの女、ヅラだったのか。確か日本人だったよな。まぁ、日本人なら黒髪でも不思議じゃないがな。しかし、ヅラにするんだったら、色抜けばいいのにな。

・・・・って、ちょっと待て。
俺はリビングのソファに座った魔鈴の姿を見て、己の目を疑った。顔がシュラだったのだ。いや、もともと魔鈴がシュラなのか?
そうか、そうか、シュラは女装の趣味があったんだな。←多趣味であるの
まじで、馬鹿だぞシュラ。シュラの醜態をあざ笑って、ゆする為にリビングへとおりた。←せこい事をするでない

『おい、シュラ。お前、女装の趣味があったのか!?』

『はっ?そんなわけないだろう。』

『おいおい、その格好でその返事は信憑性がないぞ。』

まったく動揺していないシュラは、俺を見て笑った。なんだよ!!

『実はな、そろそろ12人斬りを決行しようと思ってなぁ。それで、記念すべき第1人目をアイオリアにしようと思ってさ。』

はっ?12人斬り??なんだそれ・・・・。

シュラは俺に、その12人斬りとかいう奴を説明した。
それは、黄金聖闘士全員と寝る(犯す?)ということだった。そして、1人目がアイオリアであり、奴を襲うために魔鈴の格好をしているらしい。←童虎や牛もか?
やっぱり鶏野郎に似ているから、最初に選ばれたのか?←弱いからであろう

だから、なんで魔鈴??

『だからな、魔鈴の格好をして、アイオリアを騙すんだ。楽しいだろう?アイオリアを騙すために、特注でヅラとレオタード、仮面、靴も用意したんだぜ。もちろん、脛下とかが見えないように、肌色のボディスーツも着てさ。』

そう言ってレオタード姿のシュラはソファから立ち上がり、ポーズをとって見せた。
うえぇぇぇ、キショイ・・・。

『いくらなんでも、そんな格好じゃアイオリアだって騙されないだろう。男ってバレバレだぞ。』

と、俺はシュラの股間を見てびっくりした。股間がないのだ!!

『ああ、これか!?俺のマンモスはな、ちゃんと締まってテープで止めてあるんだ!』←剥がすのが痛かろうに

マンモス・・・・。馬鹿か、こいつ。
本当に自分の身体に自信持ってんな。

『で、どうやって騙すんだよ。いくらなんでも、体つきが違うだろう。どうみても、お前の格好は巨大なオカマか、巨大な女ボディビルダーだ!魔鈴ってもっと小さくなかったっけ!?それに、声が男だぞ。』

『くくくっ、まぁ見てろ。』

シュラは楽しそうにそういうと、魔鈴変身セットを身に付けて磨羯宮を出て行った。

こいつ、本当に楽しそうだな。
こいつにとっては遊び感覚なのか!?とんでもねぇ、やつだな。
俺は、アイオリアにばれてシュラがボコボコに、・・・・いや、星になるのを見に行くことにした。

 

フードつきのケープを纏ったシュラは獅子宮を通り抜けると、そのまま十二宮をおりて行った。どうやらアイオリアに会いに、奴の馴染みの訓練場に行くらしい。
俺はシュラに、切り立った崖の上まで連れていかれた。
その崖の遥か下のほうでは、豆粒みたいなアイオリアが一人で訓練をしている。

日の光の下で見る、シュラの姿は異様だった。
赤いセミロングの髪、銀色の仮面、屈強な身体には黒のレオタードに、胸にはパッド入りのプロテクター。ボディスーツを着込んだ足や手は脛下を隠していて、どっからどう見ても、巨大な男の魔鈴だった。←それは最早鷲ではあるまい

シュラはケープを脱ぐと、足元にあった小石をアイオリアめがけて投げつける。

シュラが投げた小石は、アイオリアにぶつかる前に、アイオリアから放たれた拳によって砕け散った。小石が飛んできた方向を睨みつけたアイオリアは、魔鈴(シュラ)の姿を見て言った。

『魔鈴、帰ってきていたのは本当だったのか?』

おいおい、アイオリアは馬鹿なのか!?本当に騙されているよ。←恋は盲目であるな
多分、あまりにも二人の距離が遠すぎて、魔鈴(シュラ)のサイズが分からないんだろうな。
本当に馬鹿なやつだ。さすが、アイオロスの弟だ!!←大馬鹿である

『どうしたんだ、魔鈴。日本に行っていたんじゃないのか?』

『ちょっと風邪を引いちまってね。』

アイオリアの質問に、シュラは裏声で答えた。
俺は思わず腹を抱えて笑いそうになった。騙されるアイオリアも馬鹿だが、魔鈴になりきっているシュラもかなりの馬鹿だ。←救いようのない馬鹿であるな

『大丈夫か、魔鈴!いま、そっちへ行くから。』

『いや。獅子宮のあんたの寝室で待っていてくれないか?』

『し、寝室で!?』

魔鈴(シュラ)の言葉に、アイオリアは裏声で答えた。裏声対決か?
アイオリアは顔を真っ赤にして、目をぱちくりとさせている。

『女の私にこれ以上言わせないでくれよ。分かったね、アイオリア!!』

アイオリアは魔鈴(シュラ)の勢いに押されたまま、頷くと走って獅子宮へと戻っていった。

アイオリアが去ったのを確認した俺達は、腹を抱えて大爆笑した。
まさか、アイオリアの奴、本当に騙されるとは思ってなかった。あいつ、そうとうたまってるんだな。もしかして、魔鈴とはまだそういう仲じゃないのか!?←そうであろうな

シュラは爆笑しながら、ケープをまとうと再び十二宮へと戻っていった。
こいつにとって、やっぱり12人斬りは遊びなのか!?

だが、これからがシュラの腕の見せ所だな。


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