MISSION IMPASSIBLE(File.20202 乙女座宮)

 

『山羊が行方不明じゃ。もう1ヶ月も無断欠勤しておる。』

しらねーよ。ジーサン、自分で探せばいいだろう。←余は忙しいのじゃ

『小宇宙が消えておるのじゃ。』

なら死んだんじゃないのか?もしくは、シャカに六道に落とされたんだろう。

シャカ・・・・・あ!まさか!。

俺は確認する為に処女宮へと向かった。←いきなり出て行くでない

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

だいたい1ヶ月とちょっと前。

最近すっかり十二人斬りの顧問になっている俺は、またシュラから相談をうけた。次のターゲットはシャカらしい。
シャカってさぁ、最難関だと思うんだが・・・・。←その通り

最難関のシャカを落として、一気に勢いをつけたいらしい。確かに、シャカを落とせば後はチョロいだろうが、こいつにシャカを落とせるのか?←無理であろうな

俺はシュラにムウがシャカの捕獲に失敗したことを話してやった。

『そうか・・・あのムウですら捕獲できんとは・・・流石は最も神に近い男だ。』

諦めろ諦めろ、ヘッポコのお前じゃ無理だって。←その通り

 

それから2週間くらい

俺はシュラに呼ばれて磨羯宮へと行った。どうやら俺に見せたいものがあるらしい。俺を襲わないと女神像に誓わせて、俺はリビングへと入った。
っていうか、なんで俺に相談するんだ?カミュとかアイオロスにでも相談しろよ。←悪知恵に長けているからであろう

俺は、磨羯宮のリビングに入って、あまりの狭さに眼が点になった。リビングが倉庫と化していたのだ。

所狭しと怪しげなものがたくさんおいてある。木とか、巨大なぬいぐるみとか・・・。

『人質作戦が使えないからな、変装作戦でいこうと思うんだ。どうよ?』

馬鹿だな、こいつ。←その通り

シュラはいきなり服を脱ぎ始めた。
おい!まて!俺を襲わない約束だろう!

『着替えるだけだ。どの変装が一番しっくりしているか見てくれ。』

だからって、他人の目の前でいきなり全裸になるなよ!!!!キショイ!←よいではないか

そして、シュラは紺色のアンダーウエアーを着ると、プロテクターを体に着け始めた。

変装した姿を見て俺は目がシュラになった。なんだよその格好・・・・。

『フェニックスだ!これでシャカも簡単に落ちるだろう!』←無理であろうな

シュラはフェニックスの聖衣のレプリカを衣装専門店で作ってもらったらしい。アホだ・・・・。

『ファエニックスはそんな大きくないぞ。あいつはチビだ!。全然似てねーよ。』

『そうか・・・じゃぁな、もう一つあるんだ。』

シュラは偽聖衣を脱ぐと、今度は黒いプロテクターを着け始めた。

『ブラックフェニックスだ!これならイケテルだろう。』

俺は思わずソファーから転げ落ちそうになった。アホだ!アホ!正真正銘のアホだ!。

大体そのブッラックフェニックスってなんだよ!?←暗黒聖闘士である。そのような事も知らんのか。もっと勉強するように。

『他にもまだ、沢山あるんだ。』

シュラは黒い偽聖衣を脱ぐと、次はサルのぬいぐるみを取り出した。
ぬいぐるみじゃなくてこれは、着ぐるみだったのか・・・・。

『白いサルの着ぐるみは、なかなか売ってなくてなぁ。これも特注品だ。ちゃんとすぐにヤれるように、前にファスナーが付いてるんだぞ!』

白いサルの頭を被り、シュラは偉そうにふんぞり返ると、股間のファスナーを下ろそうとした。俺は、シュラの腹に蹴りをいれてそれを静止した。

『どうだ、シャカの飼ってたサルに似ているか?』

フェニックスより、さらにデカ過ぎだぞ・・・・・。

『きっと「イッキ!帰ってきてくれたんだな!!」って、抱きつくに違いないぜ!』

俺が呆れてアングリしているのをみて、シュラは着ぐるみを脱ぎながら「これはいけるとおもったんだけどな・・・」と呟いた。
どこをどうやったら、それがいけるんだよ?!

次に着たのは木だった。木の着ぐるみだ。まさか・・・

『沙羅双樹の変装だ!シャカが瞑想しているところを襲うんだ!』

無理だろう。

そして、その次は大仏の着ぐるみ。

『この中に入ってな、シャカを騙すんだ。あいつは仏像と会話ができるらしいからな。』

・・・・・・・・。

『で、騙してどうするんだよ?アイオリアの時みたいに目隠しでもするのか?シャカは最初から目をとじてるぞ。』

『あ!』

俺が言うと、シュラは目を粒にした。馬鹿だ。真性の馬鹿!さすが、アイオロスの一の子分だ。親分も馬鹿なら、子分も馬鹿!←お前も十分馬鹿である

 

シュラはしばらく悩むと、処女宮へ行こうと言い出した。しかも変装はしていない。

処女宮には誰もいなかった。今日はシャカは出勤らしい。俺たちは処女宮を横切り、裏庭へと出た。

『相変わらず、一輝だらけだな。』

『どこにイッキがいるんだ?』

俺がそう呟くと、シュラが訊ねてきたので、処女宮の生物にはすべて一輝という名前がついていることを教えてやった。

するとシュラはニヤリと笑い、地面を這うようにして歩き出した。

『何やってんだ、お前?』

『いや、シャカの通り道がないかと思ってな・・・・。』

シュラの思惑はこうだった。

この庭には一輝を踏み殺さないように歩くための道があるはずで、そこの下に隠れてシャカを強襲しようというのだ。

たしかに、サルの一輝に変身するよりかはマシかもな。

しばらく一輝の上を這いずり回ると、シャカの通り道を発見したシュラは、ガッツポーズをとった。しかし、俺にはどこが道なのかはさっぱり分からない。

シュラはいったん磨羯宮に戻ると、大理石を長方形に切り出し、石の棺おけのようなものを作った。これを埋めて、その上に庭変身シートをかけるらしい。

鏡に向かって鼻歌まじりに迷彩メークをすると、シュラは棺おけと庭変身セットを持って再び処女宮へと降りていった。

飲み代一週間分で、庭に化けるのを手伝った俺は、庭で昼寝をしながらシャカが現れるのを待った。

しかし、夕方になってもシャカは現れず、代わりに何故かムウが現れた。俺は慌てて建物の裏へと隠れる。

ムウは処女宮の脇に設けられた水道にホースを付けると、庭に水撒きをはじめた。しかも、シュラが言ってたいた、シャカの道を歩いている。このままじゃ襲われるのはムウか?。

ま、十二人斬りだから、ムウでもシャカでもいいんだよな。←ムウは余のものである

水を撒きながら道を歩いていたムウの足が止まった。やはりシュラに気付いたらしい。
あんな作戦に引っかかる奴なんてまずいないだろう。←そうであろうな

てっきり地中のシュラに水をかけるのかと思ったが、ムウは来た道を戻ると、水を止めてしまった。

そして俺は凄いものを見た。

ムウが両手を高く掲げて瞑想すると、その手の上に3メートルはあろうかと思われる仏像が現れたのだ。

そしてムウはその仏像をテレポテーションでシュラが埋まっている真上に移動させると、髪が逆立つほど仏像に小宇宙を注ぎ込んだ。←可愛いのう

『こんな所で何をやっているんですか?』

突然振り向いたムウと目が合い、俺は諦めて庭に出た。ま、別に俺は悪いことはしてないし。

『シュラがな、シャカを襲って六道に飛ばされるのを見に来たんだよ。お前こそ、何やってんだよ。』

そう答えると、ムウはいつものスカした顔の唇をつりあげて笑った。

『ふっ、インドで大地震があったので、シャカが現地に向かったのですよ。ですから、恩着せがましく私が代わりに、庭に水を撒いているのです。』←よい心がけじゃ

なるほど、だからシャカはいなかったんだ。

『で、あの仏像は?』

『シャカには仏像の方が似合いますからね・・・・。』

ムウはそう言って、凶悪に笑うと、再び庭に水を撒き始めた。

俺は試しに仏像を動かしてみようと手をかけたが、これがどうにも動かない。ムウの結界?封印?か何かが施されているかんじだった。

シュラも黄金聖闘士なら、自力で脱出するだろう。俺は水撒きが終わったムウにくっついていって、そのまま白羊宮で夕飯を食った。ハンバーグ美味い!←サガときちんと食事をとるように

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして俺は処女宮の裏庭で、一月ほど前と変わらぬ位置で横たわっている仏像を見た。

 

報告:シュラは十二人斬りに失敗して処女宮の庭に埋まってます。シュラの生死は不明です。

今すぐ処女宮に戻り、山羊を救出してまいれ。一人で出来ぬのであれば、サガにでも力を借りよ。
しかし、山羊は結界も抜け出せぬとは、修行が足りんようだの。アイオロスの元でもっと修行を積むように促すこととする。
それにしても、ムウもなかなかお茶目なことをするのう。今夜は厳重処分としてお仕置きでもするかのう。

教皇シオン


End