MISSON IMPOSSIBLE(File.202020 銀盤の貴公子)

 

『愚弟よ、宝瓶宮のあれをなんとかせい。』

俺はジーさんにまた命令された。しかも今回は調査じゃない。
俺は何でも便利屋じゃねぇぞ、ごら!←普段仕事をしておらぬのじゃ、たまには働け

俺が文句をいうとジーさんに殴られた。

『皆、水瓶の行動には迷惑しておるようじゃ、お前とて、宝瓶宮が通れなければ迷惑であろう。文句を言う暇があったら、とっとと何とかせい。』

俺はしぶしぶジーさんの命令に従うことにした。

別に俺は迷惑など、これっぽっちもしていない。週一の兄貴の報告書やら、くだらないジーさんの命令で教皇の間までこなければいいんだから、別に俺は迷惑でもなんでもない。むしろ、カミュのせいでジーさんの所に行けないから逆に感謝だぜ。←きちんと仕事をせぬか
って、裏口もついでに通行止めにしてくれれば、俺はカミュに感謝するけどな。

などと考えながら、俺は宝瓶宮まで向かった。

宝瓶宮は相変わらず、超寒かった。あのエロ瓶は何をとち狂ったか、1週間くらい前から宝瓶宮の床を全部凍らせやがった。
いつもここだけ24時間年中無休で真冬だが、今の宝瓶宮は真冬を通り越して、北極だ、北極。バナナで釘が打てます!
1回ジーさんのところに行こうとして、通路を通ろうとしたが、床がツルツルに凍っていて通れなかった。どうやら他の奴らも通れなくて、わざわざ裏道を通って教皇の間に通っているらしい。
この前、シュラがそういってブーブーと兄貴に文句を言っていたし、ミロはミロで、やはり宝瓶宮に入れないといって、ピータラ文句を言いに来ていた。情けない奴だ。
情け無いっていうか、自分で何とかしろって感じだ、いちいち兄貴に面倒押し付けて、鬱にさせてんじゃない!←その程度で鬱になるでない

しかし、宝瓶宮が凍ってから、誰もカミュの姿を見ていないらしい。そういわれると、確かに週に何回かは頼みもしないのに兄貴の世話を焼きにきていた奴がきていないような気がしないでもない。

とうとう奴は、宝瓶宮の氷の中でお陀仏になったか?

宝瓶宮の中にやっぱりカミュはいなかった。嫌がらせに宝瓶宮を凍らせて、一人でシベリアに帰っているとか?奴ならありえるな。
とりあえず私室のほうも調べようと思い、俺が宝瓶宮に一歩足を踏み出すと、なんといきなりカミュが俺の目の前に滑ってきた。

奴はいきなり、俺めがけて突進するように滑ってくると、俺の前にカキ氷を散らして止まった。

とにかく、俺はジーサンが言うように、皆が迷惑しているからさっさと床を解凍するように言うことにした。

『おまえさ、皆が迷惑してんだ。この床どうにかしろよ。ってか、てめぇ、何やってんだ?』

俺が尋ねると、

『ふっ、貴方はこれがなんだか見て分かりませんか?』

とすかして笑い、俺の前で手を広げてクルリと一回転した。俺は、やつの鬱陶しい長い赤毛を除けて、しかたなく奴の格好を見てやった。

カミュは、袖が膨らんだ、スケスケのシャツを着ていて、大きく開いた胸元から胸毛が見えてて、しかも乳首がスケスケシャツに透けていた。
その下には、ピッチピチの黒いズボンをはいていて、なぜかスケート靴まで履いていた。

『なんだこれ?』

『貴方はこれを見れも分からないのか?』

さらに聞くと、カミュは二股眉毛を寄せて俺を睨みやがった。分からないって言うか、どう見てもホモにしか見えないんだが・・・。←いまさら報告するまでもないことだ

『まぁ、いい。これを見れば、脳みそが海水の貴方でも分かるでしょう。』

カミュがそういいながら、またまた大げさに手を広げて半回転し、宝瓶宮の中央を指差した。
っていうか、脳みそ氷付けのお前に言われたくないんですけど。←目糞鼻糞を笑う、であるのぅ

宝瓶宮の中央の天井には、両脇の柱と柱にくっつけられた横断幕があった。そこには、ロシア語で何か文字が書かれていた。
おいおい、ロシア語なんて読めるわけねぇだろ、馬鹿!←勉強せい

『これが読めないんですか?全く、貴方は本当にサガの弟ですか?』

カミュはくるくる回りながらまた言った。本当にいちいちムカツク男だが、俺も調査のためと思い下手にでることにした。この仕事が終わったら、魚屋やコスプレ癖があることを聖域中に言いふらしてやるからな、覚えてろよ!

『めざせトリノオリンピック!打倒、ヤ〇゛ディン!』

カミュはそういって一人で陶酔していた。

なるほど、カミュはこの前までやっていたオリンピックにはまったんだな。って、そのヤ〇゛ディンって誰だよ。アスガルドかどっかの聖闘士か?←オリンピック選手であろう

『貴方は、金メダリストの●レクセイ・ヤ〇゛ディンを知らないのか?』

またまたカミュはクルクル滑りながら言った。いちいち大げさなんだよ、っていうかもっと落ち着いて喋れないのか、こいつは。
オリンピックがやっていたのは知っていたが、TVつけたときにたまたまやっていたのを見ただけなので、知るわけ無いだろう。

『お前、もしかしてオリンピック出場狙ってんの?』

『貴方の耳は貝ですか?私がさきほど、めざせトリノオリンピックと、この横断幕を読んであげたでしょう。私は次回のオリンピックにロシア代表として出場するのです!!とにかく私の磨き上げられた演技を見てください、カノン。』←大馬鹿であるのぅ

やばい!このパターンは、なんかやばいそ。

やっぱりカミュは頼みもしないのに、いきなり踊りだしやがった。

カミュはガーッと宮の端まですべると、端っこに置いてあったラジカセのスイッチを入れた。カミュはスイッチを入れると、またまたガーーッと猛スピードで宮の真中まで戻って、右手を上に垂直に伸ばし、左手を胸にあて、足をクロスして陶酔し始めた。フィギュアより、ピチピチもっこリ全身タイツ着て、スピードスケートやったほうがいいんじゃねぇのか?←聖闘士がスポーツ競技に参加する自体不毛である

しかも、何故か天井からカミュに向かって明かりが・・・。

俺がよく見ると、宮の天井には照明設備がいつのまにか設置してあった。もしかして、これって自分で改造したのか?おいおい、俺の兄貴ですら、まだ宮は改造してないっていうのに、いいのかよこんなことして。←よいわけなかろう

俺が呆れていると、どこかで聞いたような曲が流れてきた。カミュはそれに合わせていきなりスケートをしはじめた。

カミュは音にあわせて、いきなり顔を上げると、またまたガーーーーーッと猛スピードで俺めがけて滑って、いきなり垂直にジャンプしながらクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクル回りだした。
それに合わせてカミュの赤い髪がぐるぐると体に絡み付いていた。
って、あいついつまで回転してんだ?
カミュは音楽に合わせながら、しばらく空中で光速回転すると、ガッとまたまた地面にカキ氷を作って着地した。しかも、これまた、片足をピシッと後ろに上げて伸ばし、両手でポーズをつけて陶酔していた。←回りすぎじゃ

その後、カミュはすぐにまた空中回転をし、着地と同時にその場でクルクルと回りだした。その回転が超速いので、カミュの足元にどんどんカキ氷が出来ていった。

カミュは30回くらいスピンすると、今度はまたまた宮の端(入り口)まで光速で走り、今度は手をばたばたさせ、腰をくねくねさせながら俺のほう(出口)まで走ってきた、そしてまたまた回転ジャンプをきめ、今度は宮の中心でくるくるとデカイ弧を描いて、スケートを滑っていた。

カミュは、上半身と滑っていない方の足を床と水平に上げた状態でクルクルまわると、今度はその足を前に伸ばし、片足で座った状態でクルクルわまり、次に上半身を横に倒して片足を同じ位置にあげてクルクル、最後に上半身をまっすぐ起こし片足を耳につけるように上げてクルクルクルクルといつまでも回っていた。←フィギュアスケートには程遠いのぅ

カミュは音楽が終わっても、まだまだクルクル回りつづけていた。

どうやら止まらなくなったらしい。

しかも、スケート靴のエッジで床の氷が削られカキ氷の壁に覆われて、カミュは見えなくなった。竜巻状のカキ氷がまだまだ大量発生していたので、多分カミュもまだまだクルクル回っているらしい。
さらに時間がたつと、氷の壁が茶色になってきた。ということは、まさか氷の床を削りすぎ大理石の床まで削って地面に到達か?
フィギュアスケートというよりも、これって人間ドリルか!?←止まらなくなったのであろう

水と氷の魔術師やめて、ドリルの魔術師にでもなったほうがいいんじゃん?

それにしても、カミュの奴いつまでドリルってるつもりなんだよ?まさか、ギリシャの裏側にでも行こうっていうのか、あの格好で・・・。

報告:カミュはドリルになりました。今頃はギリシャの裏側。←きちんと報告せい


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