MISSION IMPOSSIBLE(File.272727 貴方の見えない世界)

 

『ムウはどうしておるかのぅ。童虎に悪戯などされていなければいいのじゃが。』

昼食を食った後、昼寝をしていた俺はまたじーさんに呼び出された。

またムウか?

じーさんの頭の中はムウのことしかないのか?←そうじゃ
そんなにムウが心配なら、首に縄でもつけておけ。←それをするとムウが嫌がるのじゃ
というよりも、中国のジーさんがムウを襲う心配なんて、はっきりいって取り越し苦労だ。あのジーさんは俺の記憶が間違っていない限りは、女好きのはずだ。←ムウは特別なのじゃ
ムウが女みたいな顔をしていようと、あの筋肉ムキムキの野郎の身体じゃ、あのじーさんに襲われる心配なんて絶対にない!←ムウの尻はかわゆいのじゃ

『しかものぅ、童虎を追い出そうと思うて蟹に頼んだらのぅ、ミイラ取りがミイラになりおったのじゃ。あやつ、朝から白羊宮に来て、ぴっぴっと騒いでおるのじゃ。今ごろムウは蟹と童虎にとんでもない卑猥な悪さをされておるかもしれん。サガのおまけよ、ムウが襲われてないか、様子を見て来い。ついでに蟹がしっかり仕事をしておるかも見て来い。』

俺はまた命令された。
っていうか、それは自業自得だろう。んでもって、さっきも書いたが、おもいっきり取り越し苦労だ。
中国のじーさんはホモじゃないし、デスマスクもホモじゃない。デスマスクはムウのことが嫌いだから、絶対にその心配はない。
仮にデスマスクがムウにホモ行為をしても、白羊宮にデスマスクを送り込んだジーさんの自業自得だ。
自分でなんとかしろ。

『つべこべいわずに、さっさと見て来い。』

俺はジーさんの投げた羽ペンを華麗によけて、渋々白羊宮の様子を見に行くことにした。←刺さったであろう、嘘を書くでない

まったく、自分の尻は自分で拭えよな。

 

ダラダラと金牛宮まで下りると、白羊宮からムウとアルデバランがのぼってきた。

『おい、中国のじーさんはどうした?』

『老師様なら、白羊宮でシリュウと一緒に農作業をされていらっしゃいます。』

ムウはすかして笑いながら俺に答えた。

シリュウっていうと、確か青銅聖闘士のストーカーのドラゴンだったよな。あのガキ、また聖域に来てるのか?

『今朝、老師様のご命令で野菜の苗を持ってきてくれたのです。』

『へぇ。で、デスマスクはどうした?もうスターライトなんとかであの世におくっちまったか?』

『デスマスクなら、老師様と一緒に農作業をしていましたよ。』

あん?さっきから農作業農作業って、なんなんだ?

まぁいい、今は白羊宮には中国のジーさん、デスマスク、ドラゴンに貴鬼の4人だけってわけだ。
ムウはここにいて、というか恐らく金牛宮に行くであろうから、ムウが中国のジーさんやデスマスクに襲われる心配はない!

ということで、いつもの如く今日の仕事は終了♪

 

と思ったが、どうせ今戻ってもジーさんは、『ムウがいない間に4人でよからぬことを考えているに違いない、調べてまいれ!』とかって言うだろうから、俺は暇つぶしもかねて白羊宮に様子を探りに行った。←ムウの様子を見に行かぬか大馬鹿者!ムウが牛に犯されるではないか

しかし、白羊宮には誰もいなかった。

念のため、ジーさんの部屋、ムウの部屋、リビング、キッチン、冷蔵庫をしらべた。
だが、奴らはどこにもいなかった。
そういえば、ムウが農作業と言っていたことを思い出し、まさかと思ったが俺は白羊宮を出て、階段のところから脇に入った。

白羊宮の脇、っていうか裏庭?は、いつのまにか菜園になっていた。
そういえば、この前まで処女宮の庭が野菜畑になっていたが、ムウはとうとう自分の宮の裏庭に畑を作ってしまったらしい。←絶対に認めぬ

そこで麦藁帽子をかぶり、首から白いタオルを下げた中国のジーさんが土いじりをしていた。
その隣で、ぴーぴーと訳のわからない言葉を言いながら一緒に土いじりをしているのはデスマスクだった。
よくよく見ると、中国のじーさんもデスマスクもぴーぴー何か言いながら話していた。
もしかして、中国のジーさんもぴーぴー語とかいうやつが話せるのか?

『老師。天秤宮に戻ってきちくださいよぉ。』

デスマスクは小さいスコップで土をほじりながら、中国のジーさんに言った。
どうやら、デスマスクがミイラ取りがミイラになったのはジーさんの勘違いで、ちゃんと中国のジーさんを白羊宮から追い出そうとはしているようだ。←出て行かなければ意味がないのじゃ

『わしはムウに中華料理のスタピーを教える約束をしたからのぅ。』

『しかし、老師。だからといって、白羊宮で生活しなくてもいいじゃないですか。』

『デスマスクや。お主、まさかシオンに何か言われてきたのではあるまいな?』

中国のジーさんの言葉に、デスマスクは冷や汗をたらしていた。
思いっきりバレバレじゃん。デスマスクの奴、この仕事失格だな。←話にならぬ

『ちょろっとまっピください。そうじゃないんですよ。せっかく老師が戻ってきているのに、ムウのところにばかりいるから、皆がマンモス寂しがっています。俺っぴだって、老師といろいろとつもるはなピもあるし、天秤宮に戻ってきてくれませんかね?』

『だったら、お前が白羊宮にくればいいっピ。わしもムウもいつでもお前を歓迎するぞ。』

『うっぴー。それは絶対にありえません。それにですね、白羊宮は教皇がいるので、皆おちょろピがってこれないんです。』

『シオンなど、おっちょろピーくなどない。このわしが目をきらッピしているかぎり、あの馬鹿に何もさせんわ。』

デスマスクはなんとかジーさんを白羊宮から追い出そうとしていたが、中国のじーさんはのらりくらりとそれをかわしていたみたいだ、多分。←余には何をゆうておるのかわからん

そろそろ暑くなってきたので、俺が白羊宮に戻ろうとすると、デスマスク達の後ろにあった、なんかめちゃめちゃ背の高い蔓状の植物がいっぱい生えている奥から、いきなり水がデスマスクの後頭部めがけて飛んできた。

『てめぇ、なんじゃらピー!』

デスマスクは間一髪でそれをよけると、超広い額に青筋立てて怒鳴った。

あいつ草に向かって怒ってるのか?と思ったが、なんとそこから貴鬼に手をひっぱられながら青銅のドラゴンがバケツをもって出てきた。

『蟹のおじさん、シリュウはわざとやったんじゃないんだよ。』

『すまんのぅ、デスマスク。シリュウは目が見えんのじゃ・・・しかし、シリュウよ。お前も見当違いなところに水を撒くとは、まだまだ修行が足りんのぅ。』

貴鬼はドラゴンの手を引っ張りながら言うと、中国のジーさんもやれやれって感じで言った。

なんかやっと人間らしい言葉になったと思ったが、我が耳を疑った。

ドラゴンの目が見えないだと!?そんなはずはない。
俺が冥界で会った時、奴の足取りも拳も目の見えない人間のものではなかったし、この前だってシュラのストーカーをしたくらいだ。←怪しいのぅ

『さて、一仕事終わった後は、風呂かのぅ。デスマスクも一緒に入るじゃろう?』

俺が考え事をしていると、ジーさんが腰をたたきながら立ち上がった。
なに?デスマスクとジーさんは一緒に風呂に入るくらいラブラブなのか・・・て、それじゃ麻呂と同じ発想だな。一緒に風呂に入ったぐらいでホモ扱いは麻呂と同じレベルだ。←無礼者

『は?』

デスマスクは間抜け面を浮かべて、しゃがんだままジーさんを見上げた。

『は?ではない。たまには一緒に入るが良い。』

『はっ、ありがとうございます、老師。このデスマスク、老師のお背中流させていただきマンモス!』

デスマスクはすっかり中国のジーさんの言いなりだった。駄目じゃん。

まぁ、あいつもずる賢いところがあるから、ジーさんの言うことをきくふりをしているのかもしれないが。

『シリュウと貴鬼や。お前達も、一緒に入るっぴ??』

『老師。オイラ、あとでムウさまと一緒に入りたいな。駄目?』

『どっかんピー!駄目じゃ。お前はもう子供ではないのだから、ムウと一緒に入るでない。またシオンの馬鹿にねちねちと嫌味を言われるだけじゃぞ。』

『ちぇっ〜。』

貴鬼は頬を膨らませながら、ドラゴンの手を引っ張りながら白羊宮に消えていった。
そのムウも今ごろ金牛宮で風呂に入っていたりな。←調べに行かぬか大馬鹿者

貴鬼に手を引いてもらっていたドラゴンは、俺が知っているドラゴンと全然違った。なんだか足取りがおぼつかない。
ストーカーをしていた時は、黄金聖闘士をストーキングするくらいだからそりゃもう飛び跳ねたり走ったり、物陰に隠れたりしていたんだが。
ということは、シュラのストーカー事件から今までの間の短期間でドラゴンは失明したのか!?

4人が消えた後、俺は念のため菜園を調べた。
これは家庭菜園の域を越していると思った。ほうれん草、ピーマン、トマト、スイカ、ぶどう、にんじん、それにドラゴンが出てきた蔓状の物体は、キュウリとかなんかよく分からない野菜がなっていた。
しかもさらに奥には、ビニール菜園まであった。←全部撤去じゃ


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