MISSION IMPOSSIBLE(File.31313 SAY KE!)

 

夕方、俺はいつものようにジーサンに呼び出しをくらった。

『サガの弟よ。獅子と鷲はあれからどうなっておるのじゃ?』

しらねぇよ。
ジーサンは男女の仲にも興味あるのかよ?信じられないな?←興味津々じゃ♪
あまりにも仕事が暇すぎて、噂好きな主婦化したか?←余はいつでも多忙じゃ

『ふむっ。気になるのぅ。よい、調べて参れ。』

俺はいつのもようにジーサンの気まぐれで命令された。
今回はホモの調査じゃないから、よしとするか。おいしい現場に出くわしますように!!

・・・・そういえば、魔鈴は女神の護衛をする為に、へび使い座の女とずっと日本に行きっぱなしじゃなかったか?←その通り
俺は獅子宮に向かう前に、人事院に行って魔鈴の居所を確認してみたが、やはりあの女は日本にいるということだった。
ということは、アイオリアと魔鈴はいわゆる遠距離恋愛ってやつだな。あれって、破局になる可能性が高いらしいな・・・・。←聖闘士に距離など関係あるまい
魔鈴が日本で新しい奴隷を見つけていたら、アイオリアは絶対にふられるだろう。

俺はそのまま獅子宮へ行き、魔鈴との関係がどうなっているか訊ねることにした。
しかし、俺はあまりこの熱血正義男が好きではない。こいつ、俺のことをいっつも睨みつけるんだよな。
俺と兄貴の見分けついてないんじゃないか?
13年間逆賊の弟として生活を強いられたわけだから、兄貴を恨み嫌っているのは当然だが、俺にまで矛先を向けるなよ。←お前は女神を水柱に閉じ込めたであろう
でも、こいつの場合、嫌い=好きという図式があるからな。ムウの事も嫌いとか言っておいて、何気にLAVEなところもあるようだし・・・、ということは、もしかして兄貴にもLAVE?←Love
兄貴の奴、相変わらず男にモテモテだな。うぇ、キショイ!

俺がわざわざ訪ねてきてやったのに、アイオリアはやっぱり俺を睨み付けやがった。
魔鈴との関係を尋ねても、

『お前になど関係ない。』

の一点張り。俺は、まじでむかついたので「教皇命令!」という一言を出した。
聖域の連中は「女神命令!」「教皇命令!」にはチョロイからな。←絶対である

『べ、別に魔鈴とは友達であって、特に教皇様にご心配をかけて頂くような問題ではない!』

アイオリアは目を泳がせ、明らかに動揺していた。20歳のいい年した男が女ごときで動揺してるんじゃねぇよ!←ウブじゃのう
俺は、アイオリアは魔鈴の恋人で奴隷じゃないのか!?と念をおして聞いてみた。

『こ、こいびとぉ!?ななな、なにを言ってるんだ。さっきから友達だと言ってるだろう!!』

脳天から超デカイ声を出したアイオリアは、顔が真っ赤だった。今にも鼻血を垂らしてぶっ倒れそうな勢いだ!!
これは明らかに友達っていう態度じゃないだろう。
こいつは魔鈴を襲いたいが、そのために今の関係を崩したくないという超ずーずーしい考えをもっているんだな。
女なんて生き物は、体に言う事きかせればいいんだ。←そういう考え方はいかんのぅ。

まぁ、いい。
魔鈴とアイオリアの関係は『友達以上、恋人未満』っていう、一番最悪な関係な訳だ。

よって調査終了♪

今回は楽だな。いい感じだ。
俺が獅子宮を出て人馬宮を通り抜けようとしたとき、人馬宮の隅からドデカイ下品な笑い声が聞こえた。
確かこの声は、デスマスク?

通路を外れ、覗いて声の主を確認すると、やっぱりデスマスクだった。しかも一緒にいるのはペガサスとアイオロスだ。アホ面馬コンビって奴だな。←お前ほどではない

『おう、カノン!!面白い話があるんだ、聞いていけ!!』

デスマスクに呼ばれた俺は、馬鹿3人から本当に面白い話を聞いた。

なんと、魔鈴が日本で見合いっていうのをしたらしい。←ほうほう

ペガサスの話をまとめると、

女神のたっての希望で紹介された男で、既に数回はデートをしたらしい。
その男は、なかなかのイケ面(かっこいいということらしい。)で、高学歴、高収入で、女神の財団系列の会社の出世頭らしい。←それはよいのぅ

ということだ。

いわゆる一般人って奴だな。

『俺、1回だけ会ったことあるんっすけど。すげぇ優しい感じでいい人でしたよ。』←弟子を紹介するとは、中々進展しておるのぅ

『そうか。で、強いのか!?』

『一般人っすからね。激ヨワっすよ。でも、日本で生きていくなら強いと思いますよ。キャリアですからね。それに、魔鈴さんは弱い男のほうが好きなんですよ。ほら、女王さまだから。』←そうであろうな

アイオロスはいまいちペガサスの言っていることが理解できなかったようだ。
こいつの男の基準は強さしかないんだろうな。頭も筋肉じゃ、その程度の考えしかできないんだろう。

『よーーーしっ、今日はアイオリアの失恋パーティだ!!全員処女宮に集合!!!』

宴会部長のデスマスクは、ゲラゲラと笑いながら宴会の準備を始めるため人馬宮から出ていった。

すぐにでもジーサンに報告に行こうと思っていたが、宴会でのアイオリアの反応を見てからでも遅くは無い。ジーサンだって、きっとアイオリアの反応を知りたがるに違いない。←よいよい

アイオロスは、愚弟が魔鈴に捨てられ残念がっていた。

『そっかー、あいつと魔鈴の子供見たかったのにな・・・。』

もう子供かよ。アイオリアは絶対にまだ魔鈴とヤってないと思うが・・・。こいつの脳内って、恋人=ヤってる=出産か!?←そうであろうな

 

夜になって、ムウを抜かした全員が処女宮に集合した。
他人の不幸を喜ぶデスマスクはいつになくご機嫌だ。もちろん、俺もご機嫌だ!
皆、いつもの宴会と思って和気藹々としていた。
恒例となった、おシャカさまへのくっだらない儀式をした後、デスマスクの宴会開始の号令だ。

『おう。今日はな、特別な日だ!!っていうことで、アイオリア失恋おめでとう!!乾杯!!』

相変わらずのデカイ声で言ったデスマスクの言葉に、皆、吹き出して笑いだした。

アイオリアは訳が分からずに茫然だ!!その間抜けッ面ったら、最高だった。
そして、ペガサスから事情を聞いたアイオリアは、みるみる真っ青になっていった。やはり魔鈴を他の男にとられたのがショックらしい。

アイオリアは皆にはやしたてられ、からかわれ、苛められ、涙目になっていた。←情けないのぅ

だから、さっさと押し倒しちまえばよかったのに・・・。そんなだから他人に取られるんだ。自業自得だな。

『おい、誰か、ムウ呼んで来い!ムウ!!』

デスマスクが叫ぶと、ミロが走っていった。なるほど、ムウを呼んで更にアイオリアを苛めるんだな。

程なくして、ミロがムウを連れてきた。ムウは教皇から解放され宴会に参加できるのが嬉しいのか、アイオリアの不幸が嬉しいのかご機嫌だった。
恐らく両方だな。←獅子の不幸に喜んでおるだけである。

『ふっふっふっ・・・・。聞きましたよ、アイオリア。魔鈴にふられたんですってね。ばっかですね。間抜けですねぇ、くず!ですね!!はっはっはっはっーーーー!!』

アイオリアがふられたのがよっぽど嬉しいんだな。ムウは高らかに笑って、アイオリアを馬鹿にし始めた。←昔はあんなに仲がよかったのにのぅ

すっかり酒の肴になったアイオリアは哀れと言うしかないな。

『アイオリア。なにがあったんだ?』

見かねた兄貴がアイオリアに訊ねても、奴は首をプルプルと横に振るだけだった。

『お前、魔鈴に嫌われるようなことしたんじゃないのか?』

『そ、そんな。何もしてないって!!』

愚兄が愚弟に聞いた。

『アイオリア、本当に何もしてないのか!?魔鈴を強引に襲ったり、風呂に入ってるのを邪魔したり、寝室に忍び込んだり、人前でイヤらしいことをしたり、外で卑猥なことをしたり、後を付回したりしたんじゃないのか?』←それはいかんのぅ

『・・・・していない。』

鬱MAXのアイオリアは、兄貴に言われても視線を合わせよともしない。

『でしたら、権力に任せて強姦したり、食事が口に合わないと言ってお膳をひっくり返したり、自分以外の男と口を聞いたからといって、機嫌を損ねて暴力をふったりたりしたんじゃないですかねぇ・・・。』←それは横暴じゃのぅ

『していない!!』

アイオリアはムウを睨みつけた。

『だったら、散らかった部屋を片付けさせたり、洗濯をしたり、飯を作らせたり、魔鈴がいない隙をついて浮気したり、弟子にヤキモチを焼いてみたりとか・・・。』←それもいかんのぅ

『じゃぁ、あれだ!!変なダンス躍らせてみたり、変なエッチな服を着せてみたりしてるんだ!!』←それは馬鹿じゃのぅ

『してないって言っているだろう。本当に何もしていないんだ!!』

カミュとミロに怒鳴る。

『だったら何でふられたかねぇ??アイオリアだってそれなりにいい男だし、黄金聖闘士っていったら玉の輿同然なんだがな・・・。よっぽど問題があるんだろうな。』

シュラが腕を組んで考え始めた。
こいつの場合は、問題大有りだろ?まず、その根暗な性格はヤバイだろう。それに、すぐに鼻血でるしな。

『お前さ、何もしてないって、まさか手も握ってなかったりするんじゃないのか!?』

『あ、あたりまえだろう!!魔鈴はまだ16歳なんだ!!』

多分デスマスクはからかったつもりだったのだと思う。しかし、アイオリアの真剣な答えに皆目を粒にした。
こいつは手を握っただけで子供だ出来るとでも思っているのか!?←そうであろうな
どうやらアイオリアは、本当になーーーーーーんにも魔鈴にしていないらしい。

『まさか、聖域に帰ってくるときに、迎えに行ってやることもしてないんじゃないだろうな?』

『迎え?そんなことするわけないだろう。』

『あちゃーーー。毎回、毎回花の一つでも持って、出迎えてやれよ。そりゃ魔鈴がかわいそうだぜ。』

デスマスクは額に手をあてて叫んだ。

『帰って来る前に家の掃除をしたり、食事を作ってやったりしないのか?仕事の疲れをほぐしてやる為にマッサージとか・・・・。』

『していない・・・。だって、家にいるときくらい仮面を外させてやらないと、可哀想だろう?』

『なに?お前、まだ素顔も知らないのか?家の合鍵は!?』

シュラがまくしたてたが、答えは全てNOだった。

『アイオリア。時間があれば愛を囁いてやっているか?』

アイオロスの言葉に首を横に振る。←いかんのぅ

こいつ、全然駄目じゃん。そりゃふられるわなぁ・・・・。

アイオリアはその後も次々と質問攻めにあったが、返事はどれもNO!で、ダメダメ男っぷりを発揮していた。
最初は笑っていた連中も、あまりのダメダメっぷりに呆れて言葉もでなかった。←古風な男であるのぅ

『ったく、アイオリアは本当に仕方ない奴だな!!よしっ!アイオリア、今から魔鈴を取り戻しに日本に行ってこい!!』

アイオロスは愚弟の背中をバシバシと叩くと、皆頷いた。


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