MISSION IMMPOSSIBLE(File.39393 サルカニ合戦 その1)

 

俺が兄貴の不味い飯を食っていると、デスマスクが双児宮に現れた。別にこいつが家に顔を出すのは珍しいことじゃない。デスマスクは元々兄貴とは、兄貴の反乱での裏切り者、聖戦での裏切り者という縁もあってか、それなりに話しとかするみたいだ。
それに俺だって、こいつはホモじゃないし、ノリもいいから嫌いじゃない。

兄貴にリビングへと通されたデスマスクのドデカイ声が、ダイニングで飯を食っていた俺にまで聞こえた。

『やっピー!今、五老峯行ってきたんだけどよっ、これ土産の月餅だ。それとジャスミン茶な。』

何!?土産だと?げっぺい?
中国のジーサンの月餅か!?あれ、メッチャ美味いんだよな。前にムウに貰った奴は、全部食っちまったくらい美味かった。←サルの餌である

俺がパンをかじりながらリビングに行くと、丁度デスマスクが兄貴に土産を渡しているところだった。←はしたない
兄貴はそれらの礼を言いながら受け取り、さっそく月餅とジャスミン茶を入れる。
ダイニングで昼飯を食っていた俺も、その茶と月餅を兄貴から貰い、リビングに移動した。

『んっ!相変わらず老師の月餅は、おいピーな!!』

デスマスクが月餅をかじりながら言った。
やっぱり中国のジーサン所の月餅は美味い。流石中国何千年って奴だぜ。
兄貴も美味いと言いながら、茶をすすっている。

『あのさ、老師がな、サガによろピく言っておいてくれって。』

『老師さまが?』

『ああ。お前の病気を心配してたぞ。お前、ここのところずっとマンモスダウン気味だろう。だからよ、様子を見て来いって。』

『そうか、それはすまんな。まぁ、ゆっくりしていってくれ、デスマスク。』

そう言って、兄貴は2杯目のお茶をデスマスクに注いでやった。

マ、マンモスダウン?なんじゃそりゃ。
っていうか兄貴、今の話理解できたのかよ?

俺は隣に座った兄貴の肘をつつき、マンモスダウンの意味を聞くと、

『マンモスダウンは絶不調という意味だったか?、デスマスク。』

と、デスマスクに尋ねた。
デスマスクは、嬉しそうに笑い、流石兄貴は物覚えがいいと言ってご満悦の様子だった。
俺よりもデスマスクとの付き合いの長い兄貴は、この怪しいデスマスク語を多少理解しているようだった。

なんでもこのデスマスク特有、いや、確か中国のジーサンもこういう喋り方をしていたが・・・、この喋りはのりピー語というらしい。
デスマスクは普段、のりピー語を好んで使っているようだ。
ただ、以前兄貴に、外ではみっともないからやめろ!と怒られてからは、家にいるときしか使わないように心がけているらしい。←当然じゃ

って、ここ俺の家だろう。お前の家は、もう1個上だ。だからその鬱陶しい喋り方はやめろ、毛蟹!

この日のデスマスクは、超ご機嫌のようで、喋る度にPi、Pi、Piと言っていた。

兄貴はあまり気にしないでデスマスクと会話をしていた。

こいつ、マジでPi、Pi、Piうるせぇ!!

あまりにもウザイので、俺は自分の部屋に戻り二度寝をすることにした。←きちんと仕事をせぬか
俺は、超デカイデスマスクの声を聞きながら、布団に潜り込んだ。

何時間寝ただろうか、美味そうな匂いが部屋に充満してきて、俺は目を覚ました。
時刻は7時を過ぎていた。ということは、兄貴が夕飯を作っているんだな。

俺がダイニングに行くと、やはり兄貴が夕飯の準備をしていた。そして、何故かデスマスクもダイニングの椅子に座っている。
こいつ、まだいたのかよっ!!

デスマスクは夕飯を食べる時も、いただきマンモス、おいピーとか言いながら、飯を食って、家に帰っていった。

 

翌日になって。

俺が気持ちよく寝ていると、髪の毛をわしづかみにされて目を覚ました。朝一番に俺の目に飛び込んできたのは、女装のデスマスクだ。
ピンクのカチューシャ、ピンクのワンピースにフリフリエプロン。
厚化粧をしたオカマのデスマスクの開口一番の台詞はもちろん、

『コケコッッピー!おっはぁーーーー!』

昨日はのりピー語で、今日は慎吾ママかよ。
まだ寝てから3時間も経ってないので、キショイオカマに蹴りを食らわし、もう一度寝ることにした。←早寝早起きを心がけるように
が、デスマスクは俺の髪の毛を掴んだまま引っ張り、ベッドから引きずり下ろしやがった。そして、無理矢理ダイニングに連れて行かれた俺は、無理矢理自分の席に座らされた。

なんで朝からこんなにやる気満々なんだよ、この毛蟹野郎!!

既にダイニングには、デスマスクお得意の蟹料理がならんでいた。

カニスープ、カニサラダ、カニグラタン、蟹刺し、カニカマ、カニパン・・・・・・。

っていうか、カニパンは蟹料理じゃねぇだろう・・・・。
とりあえず、カニスープかなと思い、俺が手を出すと、俺はまたまた髪の毛を引っ張られた。

『ごらぁ!サガがまだ起きて来てねぇのに、勝手に食うんじゃねぇ、愚弟!!飯というのはだな、家族と一緒に大勢で食うから、おいピーのだ!!』←その通り

なんだと、だったら兄貴を起こしてから俺を起こせ、この馬鹿ッ!!!

俺は、蟹料理を前にテーブルに突っ伏せて寝ることにした。兄貴が起きてきたら、起こしてくれるだろう・・・。

はぁ、蟹の美味そうな匂いが鼻について眠れねぇ・・・・。

しばらくすると、俺のTシャツとジーパンを履き、化粧を落としたデスマスクが、文句をブーブー言いながらダイニングに戻ってきた。
どうやら兄貴に無理矢理着替えさせられたらしい。

兄貴がようやく起きてくると、やっと蟹三昧の朝飯となった。
朝から蟹なんて、超ラッキーだぜ。これ食ったら、もう一度寝なおし決定だな♪そういえば、最近はオールマヨテイストはやめたらしい。
オールマヨにされると、マヨの味しかしねぇんだもんな。←無駄に高カロリーである

『で、朝からなんなのだ?、デスマスク。』

カニパンを食べていた兄貴が言った。
そういえば、2度も慎吾ママなんておかしいよな・・・・。

『へっ!?昨日話たじゃねぇか。おれっピは、サガの様子を見に来たんだ。老師が心配されてるからよっ!お前、もろくすっぽ食って無いだろう?だから、おれっピが飯を作りに来たんだ。』

『そうか・・・・、お前にも迷惑をかけてるようだな。すまんな。』

相変わらず兄貴が辛気臭い顔で言うと、デスマスクは気にするなと爽やかに笑った。
なるほど、中国のジーサンにまで兄貴は心配されてるのか。兄貴も本当に迷惑な男だな。←猿はハーデスの結界を心配しておればよいのじゃ

朝飯を食い終わると、兄貴が片付けるからいいと言うのも聞かずに、デスマスクは後片付けを始めた。
しかし、慎吾ママルックでないと調子が出ないと言って、またまたオカマの格好をしだし、兄貴は頭を抱えていた。
デスマスクが煎れた超美味いコーヒーを飲みながら、俺はソファに横になる事にした。←手伝わぬか、不精者
兄貴はデスマスクが片付けをしている間に、洗濯と部屋の掃除をしていたようだ。

俺がウトウトしていると、キッチンからデカイ歌声が聞こえてきた。
どうやら、今日もデスマスクはご機嫌で鼻歌交じで、家事をしている。
こいつがいると家が五月蝿くて、おちおちと居眠りも出来ない。マジで勘弁だ!!!!

兄貴は一通りの家事が終わると、書斎に篭もり仕事を始めた。
いつもの兄貴のお決まりコースだな。
流石のデスマスクも、兄貴の仕事は手伝わないのか、テラスの長椅子に座り、鼻歌を歌いながら、たばこを吸い始めた。どうやら慣れないことをして疲れたらしい。

そうまでして何で兄貴の面倒なんて見てるんだよっ!!←蟹が邪魔なのか?

俺が尋ねると、

『老師がサガのことを心配してるんだ、しかたねぇだろう。あいつ、最近元気ないしよっ。黒サガみたいとは言わないが、もっとありんこあかピーになってくれねぇと、辛気臭くていけねぇや!』

と、照れ臭そうに答えた。
あ、ありんこあかピー!?←宇宙語であるのぅ
こいつの言ってる事、まじでわからねぇ・・・。多分、兄貴が辛気臭くて嫌だということか・・・。

人の辛気臭さを心配する前に、自分の宮の辛気臭さをどうにかしろよっ!

ちなみに昼飯は、蟹シュウマイ、蟹餃子、蟹チャーハンだった。

うまかった。


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