MISSION IMOPOSSIBLE(File.51515 真夏の夜の夢 その1) 

 

3日前からの断水で、俺と兄貴は仕方なく宝瓶宮で世話になっていた。
真夏の炎天下の上に、断水なんて最悪だ。

兄貴が宝瓶宮のダイニングで仕事をしている傍らで、俺がカキ氷を食っていると、教皇の間から更に仕事をもってきた神官が、教皇が俺を呼んでいるなんていう話まで持ってきやがった。
まさか、また何かくっだらない仕事を押し付けられるんじゃないだろうな?←お前はいつも何の仕事をしているんだ!?

確か断水が直るまでは、故郷があるものは特別夏期休暇を貰えるはずで、神官や文官の半分が夏期休暇と称して聖域を離れているから、そんなに仕事は無いはずだ。←それなりにある
それに、黄金聖闘士達だって然りだ。

ミロはアイオリアを連れてミロス島に帰っているし、デスマスクはシュラ、アフロディーテを連れてイタリアの実家に帰っている。
アルデバランは運良くブラジル出張だ。←教皇の陰謀だ
教皇の間は地下の井戸から直接水を汲み取っているから水に不自由しないといって、ムウは自らジーサンの元で生活している。←ジャミールに帰らせてもらえないらしい
まぁ、シャカはインド育ちだし、もともと断食とか超得意だから断水と暑さにはなんの抵抗もないようだ。←寝てるだけだから水も食事もいらんだろう
兄貴は仕事があるからといって、どこにもいけず、俺も兄貴のつきあいで、どこにもいけず終いだ。←お前はどっかいけ
で、俺たちは仕方なくカミュの所に世話になっているのだが。
あいつのところは涼しいし、水と氷の魔術師って言うだけあって、水を生成することもできるからな。エロ瓶に襲われる危険性があるが、兄貴が一緒なら俺の尻は安泰。カミュは兄貴を構うので手一杯!←サガを構っていいのは私だけだ!

そんなことを考えながら、ダラダラと階段を登っていると、あっという間に教皇の間についた。
そうか、宝瓶宮は後ろから2番目だから、ジーサンの所が近いんだな。
涼しいし、水はあるしで、あれでカミュがいなければ最高な場所だぜ、宝瓶宮!!←人馬宮ほどじゃない

・・・・・・・。

俺は大王椅子に座っている奴を見て、そのまま回れ右をして帰ろうとした。が、そのまま殴られ、引きずられた。←帰るな!
っていうか、アイオロスじゃねぇーかよっ!!
なんで、アイオロスがくそ似合わない法衣なんて着て、大王椅子に座ってんだよっ!!←私は教皇代理で次期教皇だ!

『カノン、サガはどうしてる?』

はぁ?
しらねーよ。
俺はシカトを決め込む事にした。こいつに答えてやる義理なんてねぇもんな。←ふざけるな

『お前、口がないのか?サガはどうしてるか、と聞いているんだ。私は教皇代理だ、サガの様子を知る権利がある。答えろ、カノン。』

『んあぁ!?兄貴なら、宝瓶宮でカミュとラブラブだ。んなこと聞くために俺を呼んだんじゃねぇだろうな?』←うそつくな!

何が教皇代理だ、この偽教皇が!←次期教皇だ!
兄貴のことを知る権利だと!?思いっきり私用じゃねぇか。←聖闘士の行動を把握しておかなければいけないのだ
適当に答えると、アイオロスは額に何本もの青筋を浮かべ露骨に不機嫌になった。←真面目に答えろ!

『・・・・・・・・・・、おい、カノン。いいか、皆がこの断水で困り果てている。調査チームを組んで、調査はさせているのだが、なかなか思うようにはかどってはいないようだ。よって、一連の断水の原因を調査してくれ。』

『はぁ?なんで、俺がそんなことしなくちゃなんねんだよっ!!!ふざけるなっ!』

『シオン教皇に伺ったら、こういうことはカノンに任せるといいと仰った。私の言葉はそのまま教皇の言葉と同じだ。だからこれは教皇命令だ。いいなっ、カミュでもなんでも連れて、断水の調査をするんだ、分かったな。』

なるほどな。
折角自分が教皇代理で兄貴の補佐がつくと思ったのに、ジーサンがずっと教皇の寝室でムウに淫行を働いているから、兄貴が恐がって教皇の間にいきたがらないんだな。←私が守ってやるのに
だから、宝瓶宮で仕事をしている兄貴からカミュを引き離したいということか。←教皇の間にいた方が仕事がはかどるんだ
思いっきり私用じゃねぇかよ。←違う
むかついた俺は適当に返事をして、偽教皇の間を出て行った。←次期教皇だ!

まぁ、断水のせいで、風呂は入れない、便所もつかえない、もろくなもんを作れないで、迷惑しているからな。←大迷惑だ
俺は、神官に冷え冷えのレモネードを貰ってから、教皇庁に併設されている施設局生活課に向かった。アイオロスの話では、この謎の断水の原因を調査する為の調査グループがあるらしい。←私が責任者だ
俺は生活課の水道施設担当責任者を呼び出して、胸倉を掴んだ。

『ごらぁ、てめぇ。いつになったら水でるんだぁっ!!皆困ってんだよっ!!』

今にもちびりそうな神官から断水調査がどうなっているを聞いた。←暴力を振るうな

神官の説明を大まかにまとめると、山の頂きにある貯水池にはまったく問題は発生しておらず、どこかで水道管が破裂している可能性が高いということだった。
しかし、聖域の水道施設はかなり古く、どこに繋がっているか不明なものなどが沢山ありすぎて、全てを調査するのに1ヶ月以上はかかるらしい。←遺跡に増築を重ねているからな

っていうことは、あと1ヶ月は断水!?水なし生活かよ・・・・、まじで勘弁だ。

旧式水道施設を熟知した人間などそう滅多におらず、古い排水地図を見ながら地道に破裂場所を探していくしかないようだ。←教皇ですら知らないらしい
そういう専門の事は、専門家にまかせることにして、俺は一旦宝瓶宮に戻る事にした。←仕事しろ

こういう時は、水と氷の魔術師をなのるカミュに聞くのが一番だろう。っていうか、最初からカミュに頼めばいいだろう。水と氷の魔術師なんだから、漏水くらいすぐに見つけられるだろうよ。←もう頼んだ。無理だった。

俺が宝瓶宮に帰ると、兄貴がカミュのカキ氷を食って涼んでいた。俺も、カミュから氷いちごを貰い、神官から聞いた話を兄貴達に話してやった。

1ヶ月断水と聞いた兄貴はうんざりした表情になったが、俺は無表情だったカミュの唇が僅かに緩んだのを見逃さなかった。
どうやら、この断水の為に兄貴が、自分をいつもに増して必要としてくれることが嬉しいらしい。だから、こいつはミロス島に帰るミロにもついていかなかったし、シベリアにも帰らなかったんだな。←帰れ
兄貴も兄貴で、すっかりカミュを頼りにしているらしく、ずっと一緒にいるみたいだ。もう、アイオロスの話なんて、これっぽちも出てこない。←ウソつくな
もう、二人はラブラブアツアツで、一緒にいるこっちが恥ずかしくなっちまうぜ。←本当のことをかけ

俺が氷いちごを食べていると、カミュが今度は氷ミルクを作ってきた。

『サガ。これもおいしいんですよ。はい、あーーん。』

と、カミュが氷ミルクをスプーンにすくって兄貴に差し出した。兄貴は当然のように、ぱかっと口を開けてカミュに氷ミルクを食べさせてもらっていた。←サガがそんなことするはずないだろう
っていうか、あれ、本当にミルクか!?
カミュのミルクだったりな。←ありえる

『ん、美味いな。カミュの作るカキ氷は世界一だ。お前も食べるといい。』

兄貴はニコニコと笑うと、カミュの手からスプーンをとって、カミュに食べさせてやった。まるで新婚みたいだ。←ウソだ

なーんてね。←なんだこれは?!

 

兄貴はカキ氷を食べ終わると、また仕事を始めた。
きっとアイオロスが全然仕事しないから、こんなに沢山仕事があるんだな。全部アイオロスのせいだな、かわいそうな兄貴だ!!!あーー、かわいそう、かわいそう。全部アイオロスのせい。←私も仕事をしているぞ

その点、カミュは甲斐甲斐しく兄貴の世話していて、いい女房だ。←なわけがない!

風呂好きなのに、風呂に入れない兄貴を心配して、空気中の水蒸気を集めてシャワーを作ってくれたりするしな。兄貴も、水不足だからといって、そのシャワーをカミュと二人で使ってラブラブだ。裸と裸の付き合いってやつだ。たまに、シャワーなのに1時間以上も出てこないときがあったりしたかもな。
もしかしたらそれ以上の付き合いだったりして。←そんなことない

だったらどうするよ!?←認めん

 

夕飯はカミュ得意の裸料理煮込み料理。←何だ?!裸料理というのは?!
このクソ暑いのに、煮込み料理なんて食えるかと思うだろうが、兄貴がちょっとでも暑がると、カミュは凍気を発してくれる。真夏なのに、超天然?冷房効きまくりの部屋で、煮込み料理なんて贅沢だ!!
兄貴もカミュの煮込みにメロメロだったりして。←なわけないだろう

『サガ。明日、水浴びにでも行きませんか?河か湖で水浴びです。風呂には遠く及びませんが、ゆっくり浸かれます。水風呂だと思えば・・・・。』

ボルシチを食っていたカミュが突然言った。

どうやら風呂に入れなくて不機嫌な兄貴を気遣っての事らしい。
カミュの言葉を聞いて兄貴の顔が輝いた。

『さすがだ、カミュ。お前はなんていい奴なんだ。大好きだぞ、カミュ!!』

兄貴はよっぽど嬉しかったようで、カミュを抱き締めて、両頬にキスをしながら喜んでいたかも。←するわけないだろう!

 

俺は夕飯を食い終わって、カミュ特製・簡易樽シャワーを浴びる事にした。カミュの冷え冷え水シャワーを堪能した俺は、冷蔵庫からビールを貰おうと思いキッチンへ行くと、とんでもないものを目撃してしまった。
兄貴とカミュがキッチンで!!!!!。←途中でやめるんじゃねぇ、きちんと書け

 

その夜、俺がリビングのソファで寝ていると、いつものように、カミュの寝室から兄貴の喘ぎ声が聞こえた気がした。←空耳だ

『アッ、アア・・・・・。はぅっ・・・。』

いや、カミュの喘ぎ声か!?←幻聴か?

まぁ、どっちでもいいや。俺には関係ないし。とりあえず俺は、ちょっと冷気が効きすぎなので、毛布をかぶってねた。

 

報告:断水は水道管の破裂の可能性が高い。素人がうかつに手をだすよりも、専門家に任せたほうがよしっ!
明日は皆で水浴びに行く予定。超楽しみ!!場所は・・・・・・・・・・どこだったか忘れた!←忘れるな、思い出せ!

 

ウソばっかり書いてるんじゃない!きちんと事実を報告しろ!
断水の調査をしろ!今すぐ破損個所を見つけて来い!
風呂に入りたかったら教皇の間の風呂を使えばいいのだ。

教皇代理 アイオロス


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