MISSION IMPOSSIBLE(file.545453 101匹ニャンニャン)

明け方、ようやくネコが静かになったので眠れたと思ったら、今度は犬の鳴き声で俺は飛び起きた。
1匹2匹の遠吠えならたまに聞こえるが、そうじゃない。
ワンワンワンワンと吼えまくってるのだ。しかも近距離で。
何事かと思って双児宮から飛び出してみると、アイオリアが犬を何匹も紐をつけて走り去ってゆく後姿が見えた。←犬まで増えておるのか

……イヌゾリでもはじめるのか?
いや待てよ?
猫が増えたのはアイオリアのせいか?突然動物愛護精神に目覚めてあっちこっちから拾ってきたのかも。←有得るのぅ

俺は獅子宮に真相を確かめるべく侵入した。が、侵入するまでもなく俺の推理はあたってた。
何と獅子宮の柱に犬が沢山結び付けられていたのだ。
さっきも10匹くらいいたのに、ここにも10匹くらいいる←いかんのぅ
漏れなくみんな赤いバンダナを首にしていた。

犬がワンワン吠えだしたので、俺は双児宮に戻ってアイオリアが帰ってくるのを待った。
2時間後、アイオリアが帰ってきた。犬はみんなヘトヘトだ。これなら噛みつかれることもなさそうだ。←ほぅ、犬が怖いのか?

「おい、アイオリア!ネコを増やしいるのはお前か!!」

俺がそういうと、アイオリアは思いっきりうろたえた。わかりやすー。

「お、俺が拾ってきたのは犬だ!ネコじゃない!!」←拾ってくるな

アイオリアはそういうと、くたった犬を引きずって階段をのぼっていった。
その30分後、今度は獅子宮に繋がれていた犬を連れて、アイオリアはまた下へおりていった。

大体犯人が判明したので、俺はようやくゆっくり寝た。気が付いたら夕方だった。←だらしない。きちんと昼間は起きて働け
白羊宮に飯を食いにいくと、猫が更に増えていた。今日は5匹だ。←無闇に餌をやるでない

「シオンさまが、用があるから来いとおっしゃってましたよ」

ムウは俺の顔をみるなりそう言った。その前に飯よこせ、ゴルラァァァ!←白羊宮は食堂ではない

「今日はこないのかと思って、ネコにあげました」

ムウがテーブルの下を指差すと、ネコが必死に魚を食っていた。
がーーーん!!俺の飯!!!俺の飯!!!!
俺はマジむかついたので、教皇にネコ被害を訴えに行った。←寝坊して餌をとられただけではないか

教皇に兄貴とアイオリアのことをチクると、二人はすぐに連行されてきた。
謁見の間に現れた教皇は玉座の上に座っているネコを摘み上げ、ぽいと捨てた。が、ネコは座った教皇の膝の上に飛び乗った。

「サガよ、このネコを何とかせい」

兄貴は返事をすると教皇に近寄り、膝の上のネコを掴んだが、その瞬間ネコに顔をひっかかれた。バカめ。

「このネコは教皇様のお膝の上が好きなようでございます」

兄貴はそうとぼけたが、教皇に蹴り飛ばされて壇上から転げ落ちた。

「お前のネコであろう、何とかせい!!」

「お言葉でございますが、私のネコではございません」

「弟がお前のネコだとゆうておったぞ」

「カノンはうそつきでございます」

マジむかつく!兄貴死ね!←きちんと調査せず適当な報告をするからじゃ

「お前がエサをやっていると弟がゆうておったが……」

「腹が減っているようでしたので、見かねて与えただけでございます。教皇さまはこの私に、飢えた動物をそのまま見捨てておけとおっしゃるのですか?」

でた、兄貴の偽善者攻撃。
だがじーさんはさくっと無視した。

教皇は兄貴からアイオリアへ視線を移した。アイオリアは完全に黒だからな。教皇がまだ何も言ってないのに

「わ、私が連れてきたのは犬だけです!!!」

と言った。

「では、ネコは誰が連れてきたのじゃ?」

「ミロです」

あっけなかった。こいつの辞書に友情と言う文字はないらしい。←正直でよい

兄貴は教皇にミロを連行してくるように命令され、俺は絶対兄貴もグルである証拠をおさえるため、後をつけた。

天蠍宮にミロはいなかったので、兄貴は十二宮の入り口の柱の陰に隠れてミロがもどってくるのを待った。

しばらくして、俺は現れたミロを見て仰天した。兄貴も驚いたに違いない。何と腹がでかいのだ。←ほうほう
柱の影から出てきた兄貴にミロは驚いてうろたえまくっていた。

「ミロ、その腹はなんだ?!」

「え、あ、これ……食いすぎ!!」

食っただけでそんなに腹が出るかボケ。

「ミロ、うそをつくならもっとマシなウソをつけ」

「え、あ……カミュの子!カミュの子妊娠したんだよ!」←男は妊娠せぬ

俺も兄貴もコケそうになった。それがマシなウソなのか?!ミロの脳みそに皺はあるのか?!←いよいよなくなったか
兄貴はミロが抱えてるトレーナーの裾を引っ張ると、中からミロのいうところのカミュの子供が落っこちた。
ああ、流産しちゃったよ、ぷ。
トレーナーの中からネコが2匹落っこちて、すぐさま岩陰に消えてしまった。←いかんのぅ
やっぱり犯人はミロか。そして、ネコの脱走に兄貴が協力と……。

兄貴はミロの首根っこを掴むと教皇の間へ連行していった。
その途中、ミロが兄貴に助けを求めた。
ミロの話によると、アテネオリンピック開催に向けて、アテネ市内の野良犬や野良猫が毒餌で片っ端から殺されてるらしい。←不憫よのぅ
それをアテネ市内のタベルナできいたミロとアイオリアが、イヌネコを聖域に連れてきているらしい。

「な、可哀想だろう、サガ!!!ネコや犬にはなーんにも罪はないんだぜ!!身勝手な人間に捨てられた挙句、勝手な理由で殺されなきゃいけないなんて、可哀想じゃないか!!!」

ミロの同情作戦に兄貴の心はガクガク揺らいでいた。単純だからな。

執務室につれてこられたミロは、部屋の隅で正座しているアイオリアを睨みつけた。

「この野郎!!よくも喋りやがったな!!」

「ちゃんと面倒見ないお前が悪いんだろう!!俺はちゃんと面倒見てるぞ!!」

教皇が顎で合図すると、喧嘩をはじめたミロとアイオリアの頭を執務当番のデスマスクとカミュが殴った。

「蠍や、ネコを増やしておるのはお前か?」

教皇にきかれて、ミロはびくびくしながら頷いた。

「面倒を見もせずに拾ってくるでない。さっさと処分せよ」

ミロは目に涙をいっぱいためた。でるぞ、でるぞ!

1、2、3、でたーーーーー!車田滝涙!!!!,

流石にこれには教皇も驚いたらしく、しばらくミロが泣くのを黙って見ていた。捨て猫拾って、親に怒られた子供か、ミロは?←泣けば済むと思ったら大間違いじゃ

「教皇!教皇のお力でネコや犬をなんとかしてください!!!」

つられてアイオリアも滝涙を流しながら訴えた。
ミロは泣きながら事情を話すと、教皇は仮面の顎を撫でながらしばらく考えた。

「ダメじゃ」

ミロがまた滝涙を流した。

「ぅわーーーん、教皇の人でなしーーー!」

ミロが走って逃げようとすると、教皇が投げた羽ペンがミロの後頭部に突き刺さって、ミロは倒れた。バカめ……。←余からどさくさに紛れて逃げようとは100億年早いのじゃ

ていうか、そもそも教皇は人じゃないしな!妖怪に何言っても無理だろう。←無礼者

「聖域にはのぅ、十分な数のネコがおる。面倒を見もせずに無責任に増やすでない」

「じゃあ、面倒見ている犬はいいのでしょうか!!!」

「十二宮で飼うでない。うるさいのじゃ」

「では雑兵の宿舎で飼います!」

アイオリアはあっけなく解決した。こいつ雑兵生活に戻るつもりか?←プライドがなさすぎるのじゃ

教皇は机の下からトラ縞のネコを持ち上げると、机の上に乗せ、引出しの中から金のリボンを取り出しネコの首にまいた。

「たしかのぅ、教皇の間にはもともと8匹ほどネコがおる。そのネコには首輪をつけるゆえ、他のネコはすべて処分せよ」

「8匹も80匹も一緒じゃないですか!!!」

ミロが頭から血を流しながら叫んだ。バカが更にバカになったようだ。

「そんなにおるのか、馬鹿者!!!さっさと処分せねば童虎に食わせるぞ!!!」

教皇に怒鳴られミロは泣きながら兄貴に腕をひっぱられ出て行った。
80匹、マジか?←信じられぬ。非常識にもほどがある

ベランダに隠れていた俺は、教皇にミロがネコをきちんと始末するのを見張るよう命じられた。
ついでにカミュも

「きちんと蠍の面倒をみるように」

と教皇に言われた。


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