MISSION IMPOSSIBLE(File.55555 名探偵カノン その1)

 

その日、俺はいつものように兄貴の観察日記をジーサンに提出し、帰ろうとすると謁見の間の入り口で兄貴とすれ違った。確か今日は、執務の当番の日ではないはずだが・・・・。

『待てぃ、弟。そなたもサガを手伝ってやるがよい。』

ジーサンに言われ、俺はもう一度大王椅子の前に戻る羽目になった。兄貴を手伝うって・・・・、また面倒臭い仕事を押し付けられるんじゃないだろうな・・・・。←その通り

『サガよ。おぬしにのぅ、返さなければならぬものがあるのじゃ。例のものを!』

ジーサンに呼ばれた神官が、なんだか巨大で平べったい四角いものを数人係でヨタヨタと兄貴の前に持ってきた。
真っ白なカーテンみたいな布で覆われたその謎の物体を見て、兄貴は動揺まるだし冷や汗タラタラだった。
兄貴はどうやらこれの正体を知っているらしい。←サガの私物であるからのぅ

『これはお前のじゃろう。いつまでも教皇の間に置いておくわけにはいかぬのじゃ。持って帰れ。』

『ハ、ハイ。・・・・・・早々に廃棄させていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。』

兄貴は、喉の置くから必死に声を出しているようで、掠れた声で答えた。あの兄貴をここまでするとは、一体コレはなんなんだ!?
俺は跪いたまま、目の前にある物体の白い布の裾を引っ張った。

こ、これは・・・・・・・・・・・・・・・、ジーサン?。

ジーサンの絵・・・・だよな。←お前の目は節穴か

『ほうほう、弟のお前は知らぬのか。これはのぅ、サガの肖像画じゃ。サガが教皇に化けていた時に、この部屋に飾ってあったものじゃ。』

ふーーーん。流石馬鹿兄貴だな。
俺だってこんな馬鹿なことしなかったのにな。
しかしな、こんな仮面つけてズベズベ着ている肖像画飾っても無意味だよな。やっぱり顔でてねぇとなんだか分からないじゃん。これじゃ、今のジーサンなんだか、ジーサンの弟(がいるとかいないとか・・・。)なんだか、兄貴なんだか分からないじゃねぇか。←全然違うではないか

『お前に面倒をかけてすまないが、この絵をすこしだけ支えていてはくれまいか?』

兄貴に言われて、俺は仕方なく絵を支えている神官を退かせ、無駄にデカイ巨大な偽教皇(アーレスだっけ?)の肖像画を支えてやった。
すると兄貴はヨタヨタと立ち上がり、いきなりアナザーディメンションの構えをとり始めたのだ。

うおっ、ちょっと待て。俺まで異次元にいっちまうじゃねぇかよ!!

『心配するな。お前まで異次元に廃棄するほど、私は落ちぶれてなどおらん!!いくぞっ、アナザー・・・・・・。』

おぉぉ、ちょっと待ってぇぇぇ。

『お待ちください、教皇。』

俺が兄貴のアナザーディメンションに身構えると、いきなりアフロディーテが現われた。

『どうしたのじゃ、魚よ。お前を呼んだ覚えは無いぞ。』

『はい。本日はお願いがあって参上いたしました。』

アフロディーテは珍しくかしこまっている。なんだ、お願いって・・・・。教皇、掘って(ハート)とか、アフロの聖衣をシャネルにして(ハート)とかか?←掘るのは構わんが、改造はいかんのぅ

『その絵、このアフロディーテに頂けないでしょうか?いくら不要の物とはいえ、これほどのものを廃棄すれば、異臭、ダイオキシンがでるに決まっております。しいては地球温暖化、環境汚染につながり、聖闘士としてそれは如何なものかと思うのですが。』

異臭?ダイオキシン?温暖化??←勉強せい

アフロディーテは、地球環境がどうとか、土壌汚染がどうとか、水質汚染がどうとか、オゾンがどうとか、環境ホルモンがどうとかとベラベラと一人で喋りはじめた。←まわりくどいのぅ

『もうよい、魚よ。それほどまでにこの絵が欲しいと申すか?』

『はい。』

誰も聞いていなかったアフロディーテの環境論を静止し、ジーサンが聞くと、デカイ目を輝かせて即答した。

『好きにするがよい。』

『お待ちください。これは廃棄するのでは・・・・。』

『欲しいという者がおるのじゃ。よいではないか。魚よ、もって帰るがよい。』

咄嗟に兄貴が立ち上がって反論しようとしたが無駄だった。
アフロディーテは深々と頭を下げると、軽々と巨大な偽教皇サガ・アーレスの肖像画を肩に担いで持っていった。

『サガよ、もう下がってよいぞ。弟はここに残れ。少し話がある。』

自分の過去の汚点の集大成のような肖像画をアフロディーテに取られた兄貴は、命令されるままフラフラと謁見の間を出て行った。
俺だけ残れって・・・・、まさか俺を掘るんじゃねぇだろうな・・・。←掘るならば兄とまとめって一緒にじゃ

『ふむ・・・・・、怪しいのぅ。』

ジーサンが首を傾げた。

『どう思うか?、弟よ。』

『おうっ、あれだけ肖像画を見せ付けられたら、兄貴はしばらくは鬱で、謀反を起こす気もないと思います!』

俺が答えると、ペンが飛んできた。
ふざけんな。真面目にちゃんと兄貴の考察を答えてやったのに、その態度はなんだ!←お前はサガのことしか考えられぬようじゃのぅ

『そうではない。魚じゃ、魚。』

魚!?

『あの絵を欲しがるとは、怪しいのぅ。』

はぁ・・・・、アフロディーテは黒い兄貴激LOBEだから仕方ないじゃん?←Love

『サガのおまけよ。あの肖像画の行方を調べて参れ。頼んだぞ。』

なっ!!
今回はなんの命令もないまま、帰れると思ったのに・・・・。
俺はまたくだらない命令をされた。←重大な調査である

そんなことが気になるなら、はなっからあの絵を兄貴に渡して廃棄させればいいじゃねぇかよ。
アフロディーテにやったのは、てめぇだろうが、このボケ!!←無礼者

仕方なく俺はあの肖像画の行方を調べることになった。

 

教皇の謁見の間を出て、まずは双魚宮におりた。
双魚宮の片隅に、アーレスな兄貴の肖像画は布をかけられたまま放置されていた。

俺はてっきり部屋・寝室あたりに飾って、絵をおかずに一人で慰めるのかと思ったのだが、どうやら使い道を違うらしい。
でも、外に置いといたら意味ないじゃん。

俺はアフロディーテが絵をどうするのか探るべく、薔薇園に入り、絵が見える垣根に体を隠す事にした。

昼になっても絵を移動する気配を見せなかった。
俺は一旦自宮に戻り、昼飯を食ってから双魚宮に戻った。

が、やはり絵はそのまま。

俺は薔薇の花に囲まれたまま昼寝をすることにした。なんだか死人みたいだな。

夕方になってもアフロディーテは絵を宮に放置したままだった。時折、自室から出てきては白い布をめくって、うっとりと眺めてはいたが、部屋に入れる様子はまったくなかった。

俺は夕飯を食いに家に戻ったが、一日中薔薇の中にいたせいか、薔薇臭プンプンだったらしい。兄貴に指摘され、俺は風呂に入ってから飯を食った。
相変わらず兄貴のは不味い!←作らせておいて文句を言うでない

 

今回の調査はこれにて終了。
兄貴の馬鹿肖像画は双魚宮に放置!

ということで、俺は次の日の昼、報告書を提出しようと双魚宮を通りかかる時、ついでに肖像画も放置されているか見ておくことにした。

が、なんと肖像画が双魚宮から消えていたのだ。

俺は慌てて双魚宮のドアを叩いた。中から、眠たげなアフロディーテが不機嫌そうに出てきた。

『なんだ、愚弟のほうか。アーレスの肖像画なら余りにも大きくて、部屋に入らないから処分したんだけど。何処に処分しかたは、君に言う必要ないよ。』

俺がアーレスの絵を何処にやったか尋ねると、アフロディーテはそう答え、眠いからと言って俺を追い出しやがった。
超、うそ臭い。←ウソであるのぅ
昨日、廃棄すると環境問題がどうたらこうたらと関係のない御託ばかりをならべた奴が、部屋に入らないから捨てただと!?
怪しいぞ、絶対に怪しすぎる!!!

俺は書いた報告書を懐にしまい、双魚宮に潜入することにした。

天井裏に忍び込み、絵がどこにあるかを探したが、どこを探しても見つからなかった。ということは、寝室か。
しかし、寝室にはアフロディーテがベッドの中で寝ているだけで、絵はなかった。

まさか一緒に寝ていたりして。
なーんてことは流石にないよな・・・・・・・。あの巨大な絵と一緒に寝るとなると、絵をひいてその上に寝るしかないからな。

俺は双魚宮を抜け出し、十二宮をおりてゴミ置き場に向かった。
しかし、既にゴミは回収された後で、ゴミ置き場はきれいになっていた。
俺は聖域内の教皇庁分室にある清掃局で、今日絵が捨ててなかったかどうかを確かめてみたが、そのような巨大なものは廃棄されていなかったようだ。

では、一体何処へ!?


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