MISSION IMPOSSIBLE(file.600000 ある愛の形)

 

超めずらしく俺は女神に呼び出された。

『カノン、貴鬼からきいたのですが、白羊宮で一体何があったのです?』

ああ、あのことか。あのことだな、間違いない。
忙しい女神のために俺は報告書を丁寧に作って提出することにした。

 

一週間くらい前

昼飯を食いに白羊食堂へいくと、日曜日だったので昼なのに教皇がいた。
中国のじーさんもいて、ムウがいて貴鬼がいて、殺伐と飯を食っていた。←あら、白羊宮の食卓は楽しそうではないの?

殺伐としているのはいつものことなので、別に報告するようなことではないが、飯を食ってると、何と中国のじーさんの女がやってきたのだ。たしか、シュンレイとかいう名前だ。←やっぱり私がいないと、おじいさまは楽しくお食事ができないのかしら

『老師、シリュウがかえってこないんです』

小娘は、手を組んででっかい瞳をうるうるさせて、甲高い声でそういった。
その瞬間、じーさんはグーでシュンレイを殴り飛ばした。←まぁ、何てことでしょう!

俺も教皇もムウも貴鬼も驚いてフォークを落とした。
突然自分の女をグーで殴る黄金聖闘士がここにいました!ドメスティックバイオレンスの現場に遭遇!
俺も兄貴に年中殴られているが、じーさんの女も負けてないな。←兄弟喧嘩なんてうらやましいわ

『だれじゃ!お前は!!!わしのシュンレイはもっさりしておるのじゃ!!』

もっさり?←もっさりです
じーさんは怒鳴ると聖衣をまとって、棍棒で小娘をタコ殴りにした。

見かねて教皇が止めに入ると、小娘はカーサになっていた。←さすが童虎ですね
……ていうか海闘士のくせに聖域に来るからだ、バカめ。

『すごいや、老師!どうしてわかったの!』

貴鬼が言った。俺も知りたい。←私も知りたいです

『わしのシュンレイはもっさり声でボンキュッボンのサトウエ●コちゃんなのじゃ!小さくてかわゆい声のシュンレイは遠い思い出なのじゃ』←童虎は思い出の春麗さんが一番大切なのね

声はともかくボンキュボンの方がいいな。俺もじーさんに賛成。

潰されたゴキブリみたいにピクピクしているカーサを教皇が哀れみの目で見ながらフォークでつっついた。←虫には殺虫剤です

『お前のことは愚弟から報告を受けておる。ほれ、海闘士よ。はよう次のものに化けぬと童虎に殺されるぞ。化けてみよ、ほれほれ』

カーサはヤバイと思って言われる通りに化けた。
今度は小さいオカッパのガキだ。

『シオンさま、いたいですぅ……』

でっかい目から涙を流して教皇にこびてる。紫色のオカッパに麻呂眉ってことは、まさかムウか?!このガキはムウなのか?!
目の前にムウがいるのにムウに化けたのか、こいつは?一輝で懲りてねーのかよ。←お馬鹿さんですね

『ムウやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

……ひっかかったよ。教皇がガキを抱き上げてチューチューとキスをしまくった。←シオンのことですから騙された振りです

『ムウやぁぁ、そうかそうか痛かったか。よしよし、余が痛いの痛いのとんでけぇぇ〜〜♪をやってやるぞ』

教皇はそういうとムウを抱えて走り出した。そっちの方向は、たしか寝室だ。
まさかガキをやろうというのか?!そうなのか?!←なにをやるのですか?看病ではなくって?

5分もしないうちに絶叫がして、カーサが泣きながら走って戻ってきた。←流石おじぃさまvvv

『これ、ムウやどこへいった?余が気持ち良くしてやろうというのに……』

鼻の下をのばして教皇が追いかけてきた。教皇はムウならなんでもいいらしい。

『おじさん、沙織さんに化ければいいのに。そしたらみんな、手出しできないよ』

壁に張り付いてガクブルしているカーサに貴鬼が教えた。てか、敵に塩を送るようなまねをするな、バカ。←賢いのだか、間抜けなのだかわかりませんね。ムウは一体どういう教育をしているのかしら
カーサは言われたとおり女神に化けた。←無理です

『老師、シオンをなんとかなさい』

俺は見た。バコーーーンと老師が棍棒で女神を殴ったのだ。←私ではなくカーサでしょう
カーサだって分かっていても殴るか?普通?

『全然似ておらんわー!女神のおっぱいはもっと大きいのじゃ!!!』

って、比べる所は胸かよ!←まぁお下品!
老師がまたたこ殴りをはじめたので、カーサは女神の姿のまま教皇の足にすがった。

『し、シオン、私を助けてください』

教皇はさっきとうってかわり、麻呂眉をつりあげると、グシャーーっと女神を踏み潰した。

『女神が助けを求めるはペガサスだけじゃ、真似るならもっと上手く真似い!』

いや、十分似てると思うけど……。←似ているはずありません

女神に化けたカーサを殴って蹴ってぼっこぼこにしている老師と教皇は何かとっても楽しそうだった。
こいつら本当に女神の聖闘士なのか、俺は疑問に思った。貴鬼もムウも首を傾げていた。

最後に教皇がおもいっきり蹴り飛ばし、カーサは星になった。

『おお、しまった。海闘士を退治するのに夢中になって、何をしにきたのか聞くのをわすれてしもうたわ、ははは』←まぁ、おちゃめさん

教皇はそういって笑うと、老師も笑った。
こうして聖域の平和は老人二人によって守られた。

 

報告:教皇と老師は人としてどうかと思います。というか、人として認めん。←妖怪でしょう?

 

世界一美しい私に化けることなどできるはずがありません。
カノンは一度眼科へ行きなさい。
それにしても海闘士が何をしにきたのかしら?
海に戻って聞いてきなさい。

グラード財団総帥 城戸沙織


End