MISSION IMPOSSIBLE(File.60000 太陽の季節 その1)

 

やっと水道が復活し、双自宮で水風呂に浸かって昼寝をしていた俺は、ジーサンに呼び出された。
はぁ、水風呂から出たくない・・・・、涼しい海底が懐かしいぜ。明日は大量に塩を買って、水風呂を海水風呂にでもしてみるか。←水を無駄にするでない
っていうか、俺には夏休みないのか、ジーサン!!←ない

『先日は大儀であったのぅ。金髪のそなたも中々よいのぅ〜。サガも金髪にしたら、おそろいでこれまたよいかもしれぬのう。』

げっ!!ジーサン、暑さで頭をやられたのか!?俺は兄貴じゃねぇーから掘るなよ。←さてのぅ♪

『そう露骨に嫌な顔をするでない。ところでのぅ、最近気になることがあるのじゃ。』

また、調査か・・・・。どうせジーサンの気になる事なんてろくな事じゃねぇんだろうな・・・。←重要な事である

『ほれ、あれじゃ。アイオロスと弟の関係じゃ!あやつらはちっとも浮いた話を聞かぬ。普通、兄弟というものは、そういう噂の一つや二つあってもおかしくないのじゃ。』

はぁ?

『おまえら双子など乱れまくっておるというのに、何故にあの二人にはそういう話がないかのぅ。』

はぁぁぁ?誰と誰が乱れまくってるって?勝手に脳内で話し作ってんじゃねぇ!!←お見通しじゃ
やっぱりジーサンは暑さで脳味噌やられちまったらしい。

『アイオロスに聞いてものぅ、「何もない、自分はサガ一筋だ」と、すっとぼけるのじゃ。よって、サガのおまけよ、お前に命令する。アイオロスと獅子の仲を調査するのじゃ。』

ジーサンはそういうと、そそくさと大王椅子からおりて、幕の奥へと消えていった。
俺は、とんでもない調査に唖然となった。あの筋肉馬鹿兄弟が近親相姦かどうか調べて来いなんて、冗談じゃない。でなくてもホモの調査なんてまっぴらごめんなのに、あのアホで馬鹿で、暑苦しい筋肉の塊兄弟の調査なんて、頼まれてもごめんだ。←仕事に文句を言うでない

頼むから、どっちかだけにしてくれよ。あの二人が揃うと暑苦しい上に、どっちがどっちだかわかんない。あいつら、双子並にそっくりでキショイんだよ。←毛深いほうが獅子じゃ

俺は教皇の謁見の間の扉に蹴りを入れて、嫌々調査を開始することにした。こんなくだらない調査はちゃっちゃっと片付けて、塩買いに行こう。そして明日は海水風呂だ!←物にあたるでない

俺は取りあえず人馬宮に潜入することにした。調査ついでに、またあのアホ鶏をからかってやろう。
が、人馬宮にアイオロスはいなかった。双児宮にも来てなかったから、また筋トレにでもでかけているのだろう。

アイオロスの調査を諦め、標的を愚弟に変え、獅子宮への潜入作戦をとることにした。←愚弟はお前の事であろう

まずは双児宮に戻って兄貴と早めのトレーニングをし、手を抜いて異次元に送られ、わざとボッコボコにされてから、荷持つをまとめて家を飛び出した。
もうちょっとリアリティを出す為に、獅子宮の前で服を裂いて、土をなすりつける。←わざとではなく、いつものことであろう

『兄貴と喧嘩したんだ。しばらくやっかいになりたいんだけど。』

獅子宮から出ててきたアイオリアは、俺の顔を見て眉間にシワを寄せ、嫌な顔をした。こいつは俺のこと嫌いだもんな。俺も、てめぇのことは大嫌いだ。仕事じゃなければ、誰がてめぇの世話になんてなるかよ!!←嫌よ嫌よも好きのうちである

『何を企んでいるんだ、お前。行く所なら他にもあるだろう。』

アイオリアはいきなり俺を拒みやがった。マジむかつく!!←当然である

『他って?』

もちろん俺がそんなことで諦めるはずがない。

『お前はいつもムウのところにいるじゃないか。ムウのところに行ったらどうだ。』

『ムウはアルデバランとSEXの最中でラブラブだったんだ。俺が邪魔しちゃ悪いだろう。』←ウソも大概にせい

『なっ・・・・なっ、何を言ってるんだ。だったらデスマスクのところに行けばいいだろう。』

アイオリアは顔を真っ赤にして、何かを想像していた。単純な奴だ。←いかんのぅ

『あそこは幽霊が出るからいやだ。』

『ふっ、お前は幽霊が恐いのか?』

『あーそうだよ。恐いんだ。誰だって嫌いなものあるだろうが。だから獅子宮に入れてくれ。』

恐いわけねぇだろう、馬鹿!←本当は恐いのであろう
俺は神をも恐れぬ男だ!←大失敗したがのぅ

『だったら、シャカの所に行けばいいじゃないか。』

『あいつは変だからや嫌だ。』

『そうか。』

アイオリアもシャカのことを変な奴だと思っているんだな。←皆が思っておる

『だったらミロの所にいけばいいだろう。』

『やだ、あいつのところは汚い。それに掘られる。ついでに、お前の兄貴の所に行っても誰もいなかった。シュラのところは掘られるから嫌だし、カミュも然りだ。アフロディーテもキショイから嫌だ。十二宮の中でお前が一番まともなんだ、だから獅子宮に入れてくれ。』

『うっ・・・・。』

『もしかして、お前は俺のことが嫌いなのか?』

『うっ・・・・・・。』

ふーん、俺もお前みたいな奴は大嫌いだから安心しろ。

『そうか・・・・、俺が路頭に迷って飢え死にしても、お前には関係ないもんな。』

『うっ・・・・。』

『お前は冷たい男だな。黄金聖闘士のくせに、仲間を見捨てるんだな。』

『うっ・・・・。』

どんどんと動揺の色を濃くするアイオリアを見るのは、なかなか面白かった。

『そうか、俺が路頭に迷って、強姦され、拉致られて異国に売られたら、お前のせいだからな。』

『・・・・。聖闘士のお前がそう簡単に拉致られるものか!』

『何言ってんだよ、俺は海闘士だ。海闘士は弱いんだ。「俺とミロで乗り込めば、海闘士なんてあっという間」、みたいな事をムウに言ったそうじゃないか。俺は知っているんだぞ。』←よく知っておるのぅ

『うっ・・・・・・・。』

『はぁ・・・・、そうか、もういい。お前にこれやるよ。俺の大事なスニオン服だ。これを見て、たまには俺のことを思い出してくれ。それから兄貴に、カノンはアイオリアに見捨てられ、野垂れ死にしました。って伝えておいてくれ。それじゃ・・・・。』

俺は、カバンの中からスニオン服を出して、茫然としているアイオリアに押し付けた。
アイオリアの目はすっかり泳いでいて、俺を引き止めるのも時間の問題だ!!

俺はわざと肩を落とし、背を丸くめてアイオリアに背を向けて、トボトボと歩き出した。

『ちょ、ちょっと待ってくれ、カノンっ・・・・・・・。』

俺の計画大成功!アイオリア、チョロイ!!←チョロすぎである
ニヤケそうになるのを我慢し、俺は立ち止まった。ここで振り返る前に、駄目押しを食らわせてやろう。

『無理に引き止めなくてもいい。俺はどうせ嫌われ者だ。実の兄貴にも嫌われ、世間から隠された存在の俺はどうせ誰にも受け入れてもらえないんだ。』

『おっ、愚弟!なにやってるんだ?』

ん?俺は後ろからアイオリアではない男に声をかけられた。

『お前、まさかアイオリアに悪さしようなんて考えてるんじゃないだろうな?』

『に、兄さん。そんなこと言ったら可哀想じゃないか。カノンは何も悪いことしていないんだ。悪いことをしたのは、むしろ俺だよ・・・・。』

この声はアイオロスか。そうか、愚兄は愚弟の所にいたのだな。そうか・・・・、作戦変更決定だな。←ほうほう、獅子宮でなにをしておったのかのぅ♪

俺は満面の笑みを浮かべて、馬鹿兄弟に振り返った。

『お義兄さん。兄貴と喧嘩をしたんだ、獅子宮に泊めてくれ!今日は未来のお義兄さんと、義理の弟の世話になりにきたんだ!おにいさん!!

俺の言葉にアイオリアは口をポカーンと開け、目をシュラにして唖然としていた。
が、馬鹿アイオロスの顔はみるみる崩れていき、ニンマリといやらしい笑顔になりはじめた。

『そうか、またサガと喧嘩したのか。あいつも厳しいからな。いい、いい、今日は兄ちゃんが面倒みてやるぞ。さぁ、入った、入った。』

うわーっはっはっはっ!!チョロイ、チョロ過ぎだぁーーーっ!!

俺はアイオロスに手招きをされ、茫然と立ち尽くすアイオリアからスニオン服を奪い返し、奴の脇を通り抜けて獅子宮の私室に入った。

獅子宮潜入成功!!しかも、馬鹿兄付き!俺、天才!

可愛い義弟だの、いい子だのと頭を撫でたり、抱擁するのは本当なら蹴りを入れて、ボッコボコにするところだが、今日は仕事に免じて勘弁してやろう。←まんざらでもないのであろう


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