MISSION IMPOSSIBLE (File.61616 夏野菜)

 

『サガの弟よ、ムウがのぅ、また処女宮に出入りしておるようじゃ。ちと様子を見てまいれ。』

そんなくだらねぇ用で俺を呼びつけるんじゃねぇ!!

『心配なら首に縄でもつけて繋いでおけばいいんじゃないですか?』

『それをするとのぅ、ムウが嫌がるのじゃ。』

って、もう既にやったのかよクソジジィ・・・。←お前はサガにしておらぬのか?

『つべこべいわず、調べてくるのじゃ、よいな。』

ジーサンはそういうと、さっさと何処かへいってしまった。くっそーーー!このクソ暑いのに、どうしてクソ暑い処女宮の調査なんて、ふざけるなーーー!
沙羅双樹の木陰で昼寝しながら、ムウの様子でも調べるか。いや、今回は見るだけでいいんだ。昼寝しながらムウの様子を見る。決定。←しっかり働かぬか、馬鹿者

キンキンに冷えたレモネードを教皇の間の厨房から貰い、処女宮に行くと、いつも通りシャカが寝ていた。

こんな暑い中よく寝れるよな。←インドはもっと暑いから平気なのであろう

『おーーい、シャカ。寝てますか?』

『寝てなどいない。』

おっ、今日は起きてるのか。
丁度いい、俺はシャカに最近ムウがここに来ているか尋ねた。

『ふっ、君は麻呂眉に興味があるのかね?金髪の麻呂眉にでもなるつもりかね?それとも、ムウ自身に興味があるのかね?』←ムウは余のものである、お前にはサガがおるであろう

はぁ?俺はホモじゃねーってーの!
お前と一緒にするな。

どうせシャカのことだ、一日中グッスリでムウが出入りしているのも気が付いてないんだろう。←いかんのぅ
っていうか、ジーサンの思い過ごしだ。
ムウはこの時間は金牛宮の旦那の所だろう。心配するなら、そっちを心配したほうがいいぞ、ジーサン。←旦那ではない

一応念のため、庭の方にいないか確認っていうか、見るだけだが、外に出た。

ぐおっ、なんだこの暑苦しさ・・・・・!!

雑草(おそらく一輝)がボーボーにのび放題。
例のインド人な弟子にちゃんと一輝の処分させろよ、シャカ。何のために弟子がいるんだ。

あれ??
ここ何ヶ月か暑いので、沙羅双樹の下に昼寝スポットを変えたから気が付かなかったが、俺の昼寝場所に変な物が生えている。
俺の昼寝場所に柵が張り巡らされ、竿が立っているのだ。
近寄ってみると、そこにはトマトやキュウリ、ピーマン、ナスがなっていた。

もしかしてこれって家庭菜園?それともこれもトマトの一輝か?

まぁ、いいや腹も減ったし。俺の昼寝場所になってるんだから、俺が食べても問題なし。

俺はトマトをもぎ取って食べて、一口食べた。

うまい!!!これ、冷えてたらもっと美味いだろうな。

俺が3個目のトマトを食っていると、いきなり殴られた。

ちくしょう!やっぱりこれも一輝か?紛らわしいからこんなところに植えとくな!
だがな、もう一輝3つは俺の腹の中だ!!

『私の野菜を勝手に食べていた犯人はあなたでしたか!』

ん??このモソモソとした小さい声は・・・。振り返ると、ザルを持ったムウが額に青筋を浮かべていた。←ムウの声はかわゆいのじゃ

はぁ?私の野菜?

『野菜泥棒とは情けない・・・、あなたはサガにご飯を食べさせてもらっていないのですか?』

はぁ?誰がんなセコイ泥棒なんかするかゴラ!

『私が育てた野菜を勝手に食べないで下さい。』

なるほど、ムウは処女宮の庭で家庭菜園をやっているのか。
それで頻繁に処女宮に出入りいしてんだな。っていうか、なんでシャカ気がつかねぇんだよ。駄目じゃん。←いかんのぅ

『まったく、どこまでセコイ男なんでしょうね・・・。』

『だから俺じゃねぇっていってるだろう!ゴラ!俺はたまたま通りかかっただけだ!』

『では、誰が私の野菜を勝手に食べているのです!。』

『しらねーよ!シャカだろ、シャカ。シャカが夜中に食ってるんだろうが。だから、お前が処女宮に勝手に出入りしているのも、知らないふりしてるんだろう。』

『やはり、貴方もそう思いますか。私もシャカが怪しいと思っているのですよ。』

だったら俺を疑うんじゃねぇ!←お前を疑うのは基本である

ムウはスカして笑うとスタスタと処女宮へと歩いていった。もしかしてこれからシャカVSムウか?

ムウが宮内に消えるとすぐにシャカの怒鳴り声が聞こえたので、俺はトマト2個とキュウリを3本もぎ取って、様子を見にあとを追った。

『誰が君の野菜など食べるか!君が作ったものを食べる馬鹿が何所にいるというのだ!』←余は食うぞ

シャカは額に青筋を浮かべて、蓮の上に浮かびながらムウに怒鳴り散らしていた。

『カノンは食べましたよ。』

『ふっ、あれは馬鹿だからな。』←その通り

何だとゴラ!

『君の作った野菜だ、大方水銀や砒素でも入っているのだろう。それともカドミウムか?。そもそも私の庭でなんで勝手に野菜を育てているのだ!』←ガンマニウムやスターダストサンドはありうるのぅ

シャカの言い分はもっともだが、気がつかないお前も、人の事言えないくらい馬鹿だ。←その通り

『はぁ?私の庭ぁ?ここは聖域の土地であって、貴方の私物じゃありませんよ。女神の土地です、思い違いも甚だしい。』←その通り

ムウのいい分ももっともだが、勝手に菜園つくっちまうムウもどうかと思うがな。←ムウはかわゆいのぅ

『しかし、ここは私が預かる処女宮だ!私の庭で勝手に野菜を植えて、それで私が食べたからといって、何か問題があるのかね?』

やっぱりシャカが食ったんじゃん。

『やはり貴方が食べたのですね。』

『だから食べてなどいないと言っているだろう!あんな不味そうな野菜、猿でも食わぬわ!』

シャカ、食ったのか食ってないのかどっちなんだ?
シャカに手作り野菜をけなされたムウはない眉を吊り上げると、大股で再び庭に歩いていった。そして5分もすると、籠に野菜を沢山のせて戻ってきた。

『どこが不味そうだというのです!その目を開いてよく見なさい!』

ムウはそう言うと、もぎたて野菜の入った籠をシャカの鼻先の押し付けた。

『ふ、見るまでもない・・・・神が毒だと言っている!!。』

シャカが斜に構えて自信満万にそう言うと、ムウは鼻で笑った。
やっぱりあの野菜は問題無いんだな。帰りにもっとかっぱらって帰ろう。←盗むでない

『まったく、どうしてくれましょうか・・・・。』

ムウはそう言いながら超能力で塩を取り出すと、床にかがんで野菜に塩を振りかけた。そしてキュウリやナスを塩で揉んでいる。ここで野菜サラダを作ってシャカに食わせる気なのか?だったら、デスマスクのところで、マヨネーズを貰ったほうがいいぞ。

塩も美味いが、マヨも美味い。

しかし、俺は凄いものを見てしまった・・・。

『あ!!!!!一輝!』

ムウがそう叫ぶと、シャカはムウが指差した方向に振り向いた。途端、ムウに後ろから蹴りを入れられ、蓮の台座から転げ落ちた。そして、そのまま光速で袈裟をめくられた。シャカちょろい!
よっぽどフェニックスが恋しいんだな。←馬鹿である

『な!何をするのだ!』

って、尻丸出しで、決まってるだろう・・・どうして聖域はホモばっかりかな。あー、やだやだ。←よいではないか

『私の野菜が不味いかどうか、食べさせてあげましょう。』

その姿勢でか?どうやって?

ムウは左手でシャカのフンドシをめくると、右手に持っていた塩揉みキュウリをシャカの尻に突き刺した。

『ぎゃーーーーーーーーーーーー!』

わーー、おシャカさまが悲鳴をあげてるよ・・・。塩揉みキュウリじゃ痛いだろうな。塩は染みるからな。
ムウはシャカの尻に塩揉みキュウリをグリグリとねじりこみながら、邪悪に笑っていた。はー、俺、思わずムウに目をつけられなかったことと、聖域で人知れず生活していたことに感謝した。←女神に感謝するが良い

『どうです、私の作ったキュウリは美味しいでしょう。』

尻じゃわからねぇと思うな・・・。←ほう、分からぬかどうか試してみるか?

『麻呂!食べ物を粗末にするんじゃない!』←その通り

おっ、シャカも余裕じゃん。まだムウに説教たれる気満々ってか。

キュウリをこれ以上尻に入れさせまいとするシャカと、全部ねじ込もうとするムウの小宇宙がぶつかり合って、超最悪な千日戦争だ。じーさん大喜び!←当然じゃ

俺は、さっきパクってきた野菜が無くなったので、もう一度庭に戻り、トマト4個とキュウリ5本をもぎ取って、宮内に戻った。←盗むでない

戻ると、まだまだ野菜の千日戦争中だった。

俺はムウのそばにある塩を引き寄せて、キュウリに塩をかけて食べた。美味い!!

『カノン!そこで見てないで、麻呂をどうにかするのだ!』

『神に近い男なら自力でなんとかしろよ。俺はまだ、お前にいろいろな貸しを返してもらってないんだぜ。』

『なっ、なんだねその態度は。サガが知ったらどう思うかね。』

『さぁ?説教1時間コースのうえ、ボッコボコかもな。兄貴にチクルならどうぞ、ご自由に。ただし、今の状況じゃ兄貴にチクりたくても、チクれねぇぞ。』

はぁ、トマト美味い。

『麻呂。君の野菜を勝手に食べているのはカノンではないか。こういうことはカノンにしたまえ!』

はぁぁぁ?俺は尻でキュウリは食えねぇな。

って、ちょっと待て、シャカの尻にキュウリをつっこんだまま、俺を睨むな。俺は何も悪くねぇぞ。道端に生えてた野菜を食っただけだ。
名前を書いておかなかった、お前が悪いんだ。
おいちょっと待て、なんで空いてるほうの手にナスを持って、俺を見てるんだ。シャカの尻に集中しろよ、ムウ。
ナスなんて尻に入れたら裂けちまうじゃねぇかよ。←ほうほうよく知って折るのぅ。サガにやったことがあるのか。

『あのさ、ムウ。ムウの作った野菜メッチャ美味いんだけど。こんな野菜がなってたら、誰だって食べたくなるって。』

俺が慌ててフォローすると、ムウはナスをキュウリに持ちかえた。
キュウリか・・・・、俺の尻は出す専用。入れるの無理、無理!!←なれれば容易い

『あのさ、ムウ。俺、こんな美味い野菜食ったの産まれてはじめたよ。流石ムウ!!野菜作りの天才!!もう八百屋開くしかないね。まじで美味いぜ、この野菜。中国のジーサンから届く野菜より、ン百倍も美味い!!ムウ、天才!!』

俺が褒めちぎると、ムウはシャカの尻にキュウリを入れたまま悦に入った。

 

ポキッ!

ん!?ポキッ?俺が食っているのはトマトだぞ。なんでポキッって音がするんだ。

まさか・・・・。

なんとそれは、黄金聖闘士の小宇宙に耐え切れず折れたキュウリの音だった。

『まぁ、あなたの尻の中でキュウリが折れてしまいましたねぇ・・・・。ふ、頑張ってキュウリのぬかづけ出してくださいね。』←非情よのぅ

ムウは折れたキュウリを捨てると、勝ち誇ったように笑った。

・・・・・きたねぇなぁ。最悪だな、ムウ。
よっぽど菜園を馬鹿にされたのが悔しかったんだな。

『おーーーのーーれーー、麻呂眉ーーーー!!!』

ぎゃーーーーーー!シャカの目が開いた!!総員退避じゃん!俺超ピンチ!
俺は野菜を持って、小宇宙を燃やしシャカの後ろの柱に身を隠した。

『尻にキュウリの入った男など、闘うに値しません。下剤あげますから、さっさと出してらっしゃい。』

ムウはそういうと、シャカに超能力で出した薬を投げて、野菜を持って白羊宮に帰ってしまった。

 

報告:ムウは処女宮で家庭菜園中。野菜をめぐってシャカに殺される日も近い!

 

ムウも懲りぬのぅ。そんなにシャカを苛めたいのかのぅ。分からぬでもないが、ほどほどにせねばならんのぅ。
しかし、何故にムウはこんなに貧乏くさいかのぅ。やはり余が13年間死んでおったのがいかんのかのぅ。
家庭菜園などせずとも、市場に行けば野菜はいくらでもあろうに。市場くらいへは、余も外出を認めておるというのに、いかんのぅ。
わざわざ処女宮で野菜を作ったところを見ると、やはりシャカと遊びたいのかのぅ。
だが、危険な遊びであるの。一言注意をせねばならぬのぅ・・・。

教皇シオン


End