★ MISSION IMPOSSIBLE (file.636363 めにーくるしみます)
『愚弟よ調査依頼じゃ。サガと蟹と蠍について調べて来い』
はぁ?依頼ってなんだよ?じーさんは探偵会社でも始めたのか?←秘密じゃ
『つべこべ言わず調べてくるのじゃ!内緒で女神に渡したクリスマスプレゼントでも調査してこい!』
おい、じじぃ!今は2月だぞ!!もしかして女神からの調査依頼を忘れていたんじゃないだろうな!←忘れるわけなかろう
じじぃは俺の質問に答えずに走って逃げた。絶対忘れていたんだな、そうに違いない。俺は女神にチクってやろうと心に誓った。←余は忙しいのじゃ
クリスマスって2ヶ月も前の話しだし、プレゼントってことはもう女神のところに届けたんだよな。
双児宮に戻る途中、俺は天蠍宮に立ち寄った。
ミロが女神にプレゼントっていうのが、どうもおかしい。カミュに財布握られてるミロがプレゼント買う金があるとは思えない。相変わらずミロの部屋はゴミだらけで、ゴミをかきわけかきわけ進むと、ミロが寝ていた。
この俺様が早朝から働いているというのに、ミロのくせに生意気だ。
むかついたので、俺はミロをベッドからけり落とした。『なにすんだ、ごらぁぁぁ!』
ていうか、俺が入ってきたことに気がつかないお前が悪い。緊張感なさすぎ。流石D級黄金聖闘士。←その通り
俺が女神に渡したらしいクリスマスプレゼントの話をすると、ミロは俺に枕を投げつけてきた。
『しらねーよ、そんなもん!お前の兄貴のせいで、俺まで悪人にされたんだからな!!!』←可哀相にのう
俺に八つ当たりするな!馬鹿サソリ!兄貴と俺を一緒にするんじゃねぇ!
問いただしてもミロは知らないの一点張りだったので、俺はあきらめて巨蟹宮へ行った。
巨蟹宮でもデスマスクがクリスマスと聞いた瞬間いやな顔をした。
『せっかく正義の味方、蟹座のニューヒーロデスマスクとして売り出し中なのに、サガのせいで逆戻りだぜ』←無駄な努力じゃ
そのツラで正義の味方かよ。片腹痛いぜ。って、プレゼントと何の関係があるんだ?
『んなこったぁ、てめぇの兄貴にきけや!まったく、思い出すだけでも胸糞悪いぜ』
兄貴のツラが胸糞悪いのは前からだろうが。←お前も同じ顔じゃ
兄貴に聞けばわかりそうなので、俺はさっさと巨蟹宮をあとにした。
俺は双児宮に戻って、兄貴に直接聞いてみた。というかこんな調査直接聞くしかないだろう。
俺が聞くよりじじぃが直接拷問して吐かせたほうが早いんじゃないのか?←ほうほう、拷問が好きなのか書斎にこもって恨み日記を書いていた兄貴に問いただすと、いつもより更に欝になった。
『……うっ、どうしてお前が知っている?』
俺は教皇から聞いてこいと言われたことを教えてやった。
『ぐはっ、教皇様まで……。別に悪意があったわけではない。すべて誤解なのだ』
はぁ?一体何をやらかしたんだ?
『12月の頭に女神にクリスマスカードを送ったら……脅迫状と間違えられたのだ……』
ちょっとまて、どうやったらクリスマスカードが脅迫状になるんだ?!
兄貴は引き出しの中からボロボロになった手紙を俺に差し出した。封筒に書かれた赤いインクが雨で滲んで血みたいになっているのだ。
『クリスマスらしく赤で書いたのが失敗だった……。開封もされずに日本から送り返されてきたのだ……』←大馬鹿者!
まぁ差出人が兄貴じゃ、不幸の手紙としか思われないよな。←そのとおり
『お前の言うとおり、きっと差出人が私だから受け取ってもらえなかったのだと思ってな、次はデスマスクと連名でカードを送ったのだ……』
兄貴が言うより前に俺はオチが読めた。デスマスク&サガって極悪人の名前連ねてどうするよ?←浅はかじゃのう
『……手紙が呪われていると、送り返されてしまったのだ……』
兄貴が机から出したもう一通の手紙は、前のと同じく黒いインクが雨でにじんで不気味な染みになっていた。
なんとなく人の顔に見えないこともない。←水性で宛名を書くでない『これでは私が女神に嫌がらせをしているみたいなので、何とか誤解をとこうと、プレゼントを贈ることにしたのだ。しかし、私とデスマスクの名前では受け取ってもらえないからな、もっと当たりのよさそうな、ミロの名前を借りたのだ』
三度目でようやく自分の名前が悪魔の代名詞だって気づいたのか、馬鹿め。←大馬鹿じゃ
『若い女性が喜びそうなものなど、私にはわからぬからな。ミロに頼んで買ってきてもらったのだ……が……』
俺はまたまたオチがわかってしまった。ミロのことだ、絶対アダルトグッズを買ってきたに違いない。大人のおもちゃってやつだな。
『……爆弾と間違われたのだ』
兄貴は机の中から請求書を取り出した。爆弾処理に使われた費用らしい。
『……まさか中が目覚まし時計とは思わなかった……』
あー……いくらミロの名前がついていても、兄貴の名前がついててコチコチ音が鳴っていたら爆弾と間違えるわなぁ。←お約束じゃのう
『悪気はなかったのだ!すべて偶然が重なった不幸な出来事なのだ!!』
兄貴の存在自体が不幸な出来事だしな。それに女神が爆弾ごときで死ぬとは思えないし。←死なぬな
『ミロとデスマスクは余計な濡れ衣着せられたと怒って口をきいてくれないし……はぁ、教皇様の耳にまで届いているのか……もうだめだ。死のう』
兄貴は脅迫状と呪いの手紙と請求書を持って、ふらふらと出かけていった。
女神、GJ!
報告:兄貴は死にました。双子座の聖衣は俺のもの。
サガから嫌がらせの贈り物が続いておると、女神から苦情が来ておったのじゃが、やはり誤解であったか。
今のサガに謀反を起こすほどの気力も体力も勇気もあるまい。
しかし、日頃の行いが悪いから誤解されるのじゃ。よって弁解の余地なし。
サガには何もさせぬよう、おとなしく双児宮に閉じ込めておくように。教皇シオン