MISSIONN IMPOSSIBLE(File.7777 魅惑の双児宮 その1)

 

『いい加減、この白羊宮から出て行け。』

嫌だ!

『ムウと余の邪魔をする気か?』

邪魔をしているつもりはねーよ。俺は普通の生活がしたいだけだ。

『もともとは教皇のせいです。』

俺の言葉に教皇は顔をしかめた。

『一体どういうことだ!?』

俺はその場で報告書を書いた。

 

 

おっ、そろそろ9時だな。
俺は、教皇にマリーナの話を終え、退席しようとすると教皇が俺に言った。

『サガの弟よ。そなたに話がある。本日は礼拝に参加し、ここに留まるように。』

はぁ??話?話なら今たっぷりしたじゃねーか。

俺は、長ったらしい礼拝を受ける羽目になった。しかも、その日の当直日の聖闘士は兄貴とアイオロスだった。よりによって兄貴とは・・・・トホホホ。

礼拝の後、俺は兄貴達と共に教皇の前に跪いた。

『サガよ。これは一体どういうことじゃ?』

そう言って、教皇は兄貴の前に1枚の紙を投げ渡した。兄貴はそれをじっと見つめている。もしかして、あれは俺が出した報告書か何かか??ちょっと待て、兄貴に見せるなんて話、聞いてないぞ。←うろたえるな

『おぬし、分からぬのか?これはアイオロスのところの分じゃ。よく見比べよ。』

教皇は、もう一枚の紙を兄貴に渡した。アイオロスの分??俺は兄貴が持った二枚の紙を覗き込んだ。

こ・・・・・これは・・・・。

『そなたの所は、弟と共に生活しているから、他の宮と若干差がでるのはいた仕方あるまい。しかし、なんじゃ、その水道代とガス代は!?』

兄貴は双児宮の光熱諸費明細書と人馬宮の光熱諸費明細書を見比べていた。確かに、家の水道代とガス代はゼロが3つも多かった。おぉ、家の光熱費すげーな、なんだこりゃ。会計局もびっくりだな。←水はタダではない

『サガよ。しかも、水道代が先月よりも高いぞ。おぬし、風呂を増築したであろう?』

『はい。先日、1つ増やしました。』

『このたわけが!!たかが風呂の為に幾らかけておるのじゃ!風呂は禁止じゃ。教皇命令じゃ!今すぐ風呂を普通にもどせ!!』

真顔で答える兄貴に教皇がどなった。風呂禁止命令をだされた兄貴は、肩をがっくりと落としうなだれた。兄貴、ざまーみろ!

『待ってください、教皇!サガから風呂を取り上げるのは、私から筋トレを取り上げるようなものです!』

隣で話を聞いていたアイオロスが兄貴をかばった。しかし、教皇はアイオロスを見ると冷たく言った。

『よいではないか。』

『サガから風呂を取り上げるのは、アフロから薔薇をとりあげるようなものです。』

『よいではないか。』

『サガから風呂を取り上げるのは、カミュから弟子を取り上げるようなものです。』

『よいではないか。』

『サガから風呂を取り上げるのは、ミロからカミュをとりあげるようなものです。』

『よいではないか。』

『サガから風呂を取り上げるのは、教皇、貴方からムウを取り上げるようなものです!!』

『・・・・それは不憫よのぅ。』

教皇は、顎をなでながら切なげに言った。それで納得するなよ、ジーサン!アイオロスも馬鹿なら、教皇も馬鹿だな。←ムウを想うが故じゃ
兄貴は、教皇の言葉を聞くと顔を上げ、教皇をじーーっと見つめた。教皇はしばらく何かを考えると嬉しそうに言った。

『おぬし、そんなに大きい風呂が好きか?』

『はい。』

『だったら、教皇の間の風呂を使うといい。今はあまり使っておらぬが、いつでも余が入れるように常に風呂が沸かされておるからの。』

兄貴は教皇の言葉に眉をひそめ、冷や汗を垂らした。妖怪エロ羊の住処に、しかも風呂に入る馬鹿がどこにいる!←無礼であるぞ

『それは駄目です!』

硬直している兄貴に代わって、アイオロスが即答した。結局、教皇は光熱費を元に戻せばよい、ということで納得し、俺は兄貴達を残して退席した。

俺は、家に帰ると昼飯を食い、昼寝をした。夕方、俺がリビングでテレビゲームをしていると突然、部屋の電気が消えた。←修行をしろ
お?停電か??
しかし、テレビとゲームの電源は切れていなかった。
なんだ??

『カノン。電気代がもったいないだろう。』

仕事から帰ってきた兄貴がリビングの入り口に立って言った。ちょっと待て、だからって電気を消すことはないだろうが!!
兄貴は、今日から光熱費を節約する為に無駄な電気、ガス、水は使わないと言い出した。風呂も一番大きい風呂以外は使わないことに決めたらしい。

兄貴は倉庫から蝋燭を持ち出すと、ランプに入れて灯り代わりにした。そして、食事は野菜だけだった。

『ガスを使うのはもったいないだろう。だから無農薬の生野菜だけだ。我慢しろ。』

兄貴は野菜を食べると風呂に入りに行った。ちょっと待ってくれよ、夕飯が野菜だけ?俺は、兄貴が風呂に入っている間に、湯を沸かしインスタント食品を食べることにした。明日は、デスマスク辺りを誘って飯を食いに行こう・・・・。

俺は兄貴が風呂に入った後、直ぐに風呂に入った。風呂の湯が温かいうちに入ればガス代が節約できるということらしい。←一緒に入ればよいではないか
俺が風呂に入ろうとすると、今度は風呂の電気が消えた。

『風呂の電気もつけるな。これで十分だろ。なかなか雰囲気が出て落ち着くぞ。』

兄貴はそういうと、風呂の4隅にランプを掛けて出て行った。俺は、風呂で落ち着かなくてもいいんだよ。薄暗い風呂なんて不気味じゃねーか!!ただでさえ、デカイ風呂場なのに、灯りがないなんて・・・・・。←恐いのか?

『お前も寝ろ。夜、無駄に起きているから電気代がかかるんだ。』

俺が暗い風呂から上がると、兄貴はもう寝ると言い出し、部屋に消えた。もう寝るって、まだ9時だぞ兄貴。ちょっと待て!
いくらなんでも9時なんて寝られるはずがない。俺は久しぶりに夜の散歩にでかけることにした。

 

次の日、俺が起きたときには、すでに兄貴は起きていた。

『起きるのが遅いぞ。朝は日が昇ったら起き、夜は日が沈んだら寝なくては体がもたんぞ。』←基本である

はぁぁぁ?兄貴の奴、何を言ってやがる。いくら電気の節約とはいっても、それは俺には無理だ。俺は、コーヒーを注ごうとキッチンに入った。
あ??コーヒーがねーぞ。

『何度言ったら分かる。無駄な電気は使うな。コーヒーが飲みたければ、最小限の水で自分の小宇宙を燃やして湯を沸かせ。』

ふざけるなーーーー!こんな生活、もうできるか、ごらぁ!!!

俺はその足で白羊宮へ出向き、昼飯をご馳走になった。
俺はムウに、

『教皇が、光熱費を節約しろと言ったんだ。俺がいなければ、大分節約になるだろう。だから白羊宮で世話になるからな!』

と説明し、白羊宮で世話になることにした。ここなら、ただで美味い飯が食える!!

ムウは俺が家の手伝いをするという条件で、白羊宮の滞在を許した。やったぜ!!美味い飯!美味い飯!!

『おや、シオン様が帰ってこられたみたいですね。カノン、出迎えにいってくれませんか?』

 夕方、俺はムウに言われて、白羊宮の裏口まで教皇を出迎えに行った。

『なぜにお主がここにおるのだ??』

 教皇は俺の姿を見るなり言った。俺は、教皇に家出してきたことを説明した。

『まぁよい。しかし、何故にそのエプロンを着ておるのだ。それは余がムウのために新しく買ったエプロンであるぞ!』

 なるほどな。通りでおかしいとおもったぜ。こないだの真っ白でフリフリのいっぱいついたエプロンとはまた違うと思っていたが、わざわざまた新しいのを買ったのか。←可憐なムウにはよく似合うのじゃ

俺は白羊宮で夕飯を済ませると、ジーサンが風呂に入った後に風呂に入った。白羊宮で一人で風呂に入るのは危険なので、俺は貴鬼を連れて入ることにした。
しかし、狭い風呂だな。泳げねーじゃん!!灯りがあるだけましかな。←狭くなどないわ!風呂で泳ぐでない馬鹿者

さて、どうするかな。家に帰ってもどうせ真っ暗だろうしな。うーーーーん、ここのリビングに泊まるほど俺も馬鹿じゃないしな・・・・。

『オイラとムウ様の邪魔しないなら寝てもいいぞ。』

邪魔?貴鬼が俺に言った。

『うん。ムウさまはオイラと寝るんだ。それを邪魔しなければ、同じ部屋で寝てもいいよ。』←不可

うーーーん、ムウの部屋の床か。そこなら安全かな。

『じゃ、そういうことで。教皇おやすみなさい。』

俺は教皇に片手を上げると、ムウの部屋へ向かった。しかし、俺は教皇に髪の毛をつかまれて引き摺られた。

『ばかもーーーーん。さっさと双児宮へと帰らんか!!でなければ、余の部屋に泊まるか?』

結局俺は、双児宮へと戻った。

兄貴は既に寝ていたので、俺は部屋の電気をつけ、冷蔵庫から酒を持ち出すとテレビのコンセントを入れて、電源をつけた。

『カノン。部屋の電気をつけるなと言っただろう。無駄な電気を使うな。夜は寝ろ!』

兄貴はいきなり起きてくると、リビングの電気とテレビを消して、再び部屋に戻った。

ふ・ざ・け・ん・なーーーー!俺は、酒を片手に自分の部屋に戻り、電気をつけた。
あれ??つかない・・・・。

もしかして・・・。俺は蝋燭に灯りをつけると、部屋の電気を見た。そこに電球はなかった。兄貴の奴が、電球を外したのだ。

 

俺は目が覚めると、白羊宮へ向かった。

 

報告:以上が俺が白羊宮に居座っている理由です。早く、俺の家に電気と水を返してください。←生活を切り詰める以前に、風呂を何とかいたせ


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