★Mission Impossible(File No.800001 クイズ☆ミロたんに聞きました)
宝瓶宮
『は? ミロが頭がいい? それは楽しい冗談ですねカノン』
『違う違う、頭がいいんじゃなくて、勉強がすげぇ出来たらしいんだってーの』
どっちも同じだろう、俺は思わずミロの頭を引っぱたいた。
『お前が勉強が出来る!? それはもっと面白い冗談だぞ、ミロ。クールな氷河ですら腹を抱えて笑ってしまうだろうな』
そんなキグナスは想像できん。あいつはいっつもマーママーマ言って泣いている印象しかない。
ていうかそれほどありえないってことは、カミュは神童ミロたんを知らないってことか? ということは、やっぱり教皇とオカマが嘘ついているってことだな。←嘘はついておらぬ『勉強が出来るミロなんて今まで見たことありません』
『だろう!? 本人が知らないっつーんだから、絶対嘘だぜ。教皇とアフロディーテが嘘ついて、俺を勉強が出来る気にさせようって魂胆なんだ』
だから自分で言うなミロ。少しは否定をしろ、情けない。
『と言っても、私は聖域に来てすぐにミロ達と合流したわけではないので、それ以前のことは分りません。しかし少なくとも、一緒に修行をしていた時のミロは特別勉強が出来るという感じではなかったですが……』
カミュが目を閉じてなんか考え始めた。どうやら一生懸命思い出しているらしい。
まぁ、記憶にないってことは、やっぱりミロたんは小さい頃からバカだったってことだ。
俺はそのままミロを連れて磨羯宮に降りた。
シュラはほとぼりが冷めるまでピレネーの山奥に篭っているので不在だった。
俺とミロは女神像の下に座り、シュラに小宇宙を飛ばして聞いてみた。
『こいつ、俺のギリシャ語がへたくそなのをスッゴイ馬鹿にしやがったんだぜ!』←蠍は島なまりがきつかったがのぅ
『馬鹿に馬鹿にされるのは辛いだろう、とりあえずボコって締めてやったのか?』
俺が聞くと、シュラの答えはノーだった。
『できるわけないだろう、こいつすっごい頭よかったんだからさ。頭殴るとすぐにサガに怒られるんだ。本当にサガジュニア登場かと思ったくらいだぜ』
『まじで!?』
俺とミロが同時に驚いた。っていうか、何度も言うが張本人のお前が驚くな。
『だって、こいつ地理と歴史そかすっごいスラスラ言えててさ』
『それは俺じゃねーよ。絶対俺じゃないって。金髪の寝癖のついたシャカだったんじゃないの?』
いくら金髪でも、シャカとミロくらいの区別はつくだろうよ、馬鹿ミロ。
『ホワイトハウスがいつ建てられたとか、ヴェルサイユ宮殿やタージマハルを誰が建てたかとか知ってたよな、ミロ』
うお、俺もそれは知らない。ホワイトハウスは独立戦争とかで、タージマハルはインドの王様の嫁の墓だっけ、ヴェルサイユはルイなん世とかそのあたりじゃねの?←きちんと勉強しておくように
『それくらい俺だって知ってるよ、普通に考えれば分るだろう』
ミロがすっごいことを口にした。
俺の耳がおかしくなったのかと思うくらい、ありえない発言だ。
ようやく神童ミロのお出ましか!? やっぱり今までのは馬鹿を演じていたんだ、間違いない!
まさに脳ある鷹は頭かくして尻隠さずってことで、ケツ掘られまくるためにバカのふりしてたのだろうか。
久しぶりにちょっとだけ仕事が楽しくなってきた。俺はついつい興奮しながらミロに聞いた。
『それじゃホワイトハウスはいつ建てられたんだ?』
『決まってんだろう、ずっと前だよ!』
は?
『ずっと前って言っても、すっごい昔じゃない最近に近いずっと前な』
なんじゃそりゃ!?
『なんで分らねぇかな!! アメリカが出来てから今までの間に建てられたんだっての、そんなの常識だろう!!』←……間違ってはおらんがのぅ
……ちょっとは期待した俺が馬鹿だった。
『んで、タージマなんとかを建てたのは職人! 大工さんとか左官職人とかタイル職人とか!』
『やっぱりお前は馬鹿だな。それでこそミロだ』
『え!? 違うの!? じゃぁ、誰が建てたんだよ、聖闘士か? あんなの職人じゃなきゃ無理だろう。あっ、でもピラミッドは奴隷が建てたんだよね、メテオラは僧侶だろう? 俺、間違ってないよね?』←奴隷ではなく季節労働者と言う説もあるのぅ
ね? って俺に言われてもな、間違ってないが。っていうか、微妙に正解が入っているところがまたなんともいえないな。
『やっべぇ、俺ってマジで神童なのかなぁ』
おいおい、そこのミロたん、20才で神童って可笑しいだろうよ。しかも、それ絶対違うし。
『……昔はきちんと答えられていたんだがな。今のお前は馬鹿だが、小さい頃のお前は確かに頭が良かったぜ。アメリカの歴代大統領とかも全部いえてたしなぁ』
『なんだよ、アメリカの歴代大統領がいえたところで、なんの役に立つんだよ』
ミロが口を尖らせてブツブツといった。確かに歴代大統領知ってても、何にも役にたたねぇけどな。つかアメリカなんて俺らに関係ないし。←登場せんからのぅ
カミュとシュラ&アフロディーテの話からすると、ミロは聖域に貰われてきた当時は頭が良かったが、カミュ達と合流する頃には普通に戻っていたということか。
『それっていつまで? いつからミロは馬鹿になっちまったんだ?』
『さぁ、いつからだろうな。気がついたら、黄金聖闘士で一番普通のガキになってたな。やっぱりアイオロスに殴られすぎたのが原因じゃないか?』
俺はシュラの答えに頷いた。
なるほど、ミロたんが馬鹿なのはアイオロスのせいだ。犯人が分ったので、とっとと捕まえて黄金聖衣剥奪し聖域から追放しろ、ジーさん。
俺達は一方的にシュラとの会話を打ち切って、大罪人のアイオロスのところに行った。
人馬宮
『ミロはなぁ、ほんっっとにスッゴイ頭が良かったんだぞ。だからな、勉強なんてしなくていいからと思って、俺がたっぷり鍛えてやったんだがな。なんでこうも全部中途半端になっちまったかなぁ』←なるほど
やっぱりこいつが犯人だ!!
ミロが馬鹿になった犯人はこいつだ。間違いない!!!
『じゃぁ、俺はアイオロスのせいで勉強できなくなったのか?』
『バカヤロウ、他人のせいにするな。それに、俺だってお前をもっと鍛えてやりたがったが、教皇とサガが、もっと勉強させるって言って勉強もしてただろうが!』
『え!? そうだっけ……』
ミロしっかりしろ。
しかしミロのこの馬鹿っぷりは、普通じゃない。やっぱりアイオロスに力任せに殴られたせいに間違いない。
アイオロスは自分で責任を取りたくないから、必死に自己弁護に走っているのだ。超絶卑怯な奴だ。
『その証拠は?』
『証拠っていってもなぁ、今はその片鱗すら残ってないからなぁ。少しでも昔の神童っぷりが残っていればいいんだが、うーん』
アイオロスがぽくぽくとミロの頭を叩いた。そうやって叩くからバカになんじゃないのか?←脳細胞が死滅した可能性があるのぅ
つか、片鱗すら残ってないのに、証明しようがないよな。
『こいつだって、昔は元素周期表とかスラスラ言えたんだぞ』
『あっ、それくらい俺だって知ってる』
まじで!? とうとう神童ミロたんの本領発揮か!? 片鱗が残っていて、良かったな!。
『すいへーりーべーぼくの船ってやつだろう』
俺はマジで耳を疑った。ミロの口からよもや周期表を聞くとは思ってもみなかった俺は、腰が抜けそうになった。
『で、それから?』
アイオロスが言った、そうだその次を言え神童ミロ!
いや、ちょっと待て俺。これくらい一般常識だから、神童ミロって言い方は可笑しい。もう大人だし。
だが、いつものミロが馬鹿すぎて、周期表なんて神レベルにしか思えない。
『なんとななんとかクラークか……だっけ』
俺が期待したのがバカだった、なんとかなんとかは覚えてないらしい。
まさかこいつ、それがどう対応してるのかも分ってないんじゃ……。
『うん、わかんねぇ。水平がエッチだっけ。エッチって水素?』
『おぉ、それだけ分れば十分だろう』
アイオロスがミロの頭を撫でて褒めた。レベル低すぎだろう。
『せめて水の構造式くらい言ってみろ』
俺の言葉にミロが目を丸くした。まさか構造式の意味が分らないんじゃないだろうな。
アイオロスが俺の隣で苦笑を漏らして首を横に振った。どうやら本当に分らないらしい。『昔のミロなら簡単な問題だが、今のミロには難しいんじゃないか。H2Oだ、ミロ。それくらいも覚えてないようじゃ、サガに泣かれるぞ』
『あっ、H2Oか。なんか聞いたことある。でもさぁ、別にそんなこと覚えてなくてもいいじゃん。だから俺、覚えてないんだと思う』
『覚えてなくちゃダメだろうが』
俺が思わず言うと、ミロが俺をにらみやがった。てめぇ、なんだその態度。周期表もいえないくせに、態度でかいっつーの。
『だったらカノンは、水飲む時にH2Oを飲んでるって意識したりするのかよ!! エッチが二個とオーがくっついてるのを飲んでるって思ってるわけ? 空気吸うときも構造式とか意識するのかよ!! 別に俺達の生活に元素なんて関係ないじゃん』
『しかし我々聖闘士は原子を砕いたりする設定があるわけだから……』
アイオロスがいいこと言った!
そうだ、そうだ。俺達は原子を砕く聖闘士さまだ。物質の構造を知ってなきゃ話にならん。
『へぇ、だったらアイオロスはいちいち物の構造意識しながら原子くだくわけ!? あれって小宇宙のなせる業じゃん!』←意識せい
『そ、それはそうだが……しかし、一般常識としてな、サガに泣かれないためにも、少しは勉強をしろ』
『やだ! 役に立たない物を覚えるなんて俺には無理! そんな余裕は俺の脳みそにはない!』
即答するなバカ。少しはやろうとしろよ。
『だいたい普通エッチっつったら、セックスじゃん。カノンやらせろよ』
誰がやらせるか、ぼけ!
アイオロスが手を上げて、文字通りお手上げポーズをとった。
あぁ、バカなアイオロスにまでバカにされてらぁ。
俺は暴れるミロの首根っこを掴んでそのままシャカん所に行った。