★MISSION IMPOSSIBLE(File.91919 いけてる? その3)
『アゴラよ!、君の真の強さを見せてやりたまえ。ポンを出すのだよ。』
はぁぁ?、俺の後ろでシャカが訳の分からないことを、でかいほうのインド人に言っていた。
ポンってなんだよ、ポンって!!ジュースかなにかか?それとも麻雀か!?が、俺はすぐにポンの正体がなんであるか、理解した。
拳を構え、小宇宙を燃やし始めたでかいほうのインド人・アゴラの小宇宙に、ピンクのデカイ華がうっすらと見えたのだ。そして、蓮華爆砕拳!!と叫んだと同時に、その華が
ポン!
と開いた。
なるほど、これがポンか。
こんな訳の分からん聖闘士の訳の分からない技を、俺が食らうとでも思っているのか?
俺が余裕でポンをよけると、シャカがまたまた後ろで怒鳴った。『何をやっているのだね?。シヴァよ!君の技をカノンに見せてやりたまえ。手をシュババとたくさん出すのだよ!』
・・・・・。なるほど、次の技は無数の拳を繰り出すんだな。そんなデカイ声で言ったら、バレバレじゃん。
案の定、小さいほうのインド人・シヴァは、『千手神音拳.!!』
と叫びながら、無数の拳を繰り出してきた。っていうか、この俺にそんな技が通用するわけないだろう。
こんなトッロイ動きで俺を倒そうなんて、なめられたもんだぜ。
俺はシヴァの拳を掴んで、アゴラの方に放り投げた。『駄目じゃん!!』
俺がシャカにニヤリと笑って言うと、シャカは眉毛を吊り上げた。
『アゴラ、シヴァ!、来るのだ!君達は一体なにを修行してきたのだね。カノンになど負けるとは、それでもこのシャカの弟子かね?修行が足りぬのだよ。地に額を擦りつけ、私を拝め!!!!』
インド人二人はヨロヨロとシャカの前に膝間付くと、これまた拝み始めた。
『おい、シャカ。だいたいこいつらが弱いのは、ろくに修行もしないでシャカを拝んでいるからじゃないのか?』←その通り
俺に痛いところを疲れたシャカは、顔を赤くして眉をさらに吊り上げた。が、二人の弟子が、いきなりシャカを庇いやがった。
『何を言っているのだ。俺たちはおシャカさまの元で毎日拝んでからこそ、聖闘士になれたのだ!』
とデカイ方のシヴァが言った。←アゴラではなかったか?
やっぱり拝んでただけかよ!!!!だから蓮座なんて星座はないんだから、お前は聖闘士じゃないって。←何座を蓮座と自称しておるのかのぅ『おシャカさまは、私達に素晴らしい必殺技まで教えてくださったのです。』
今度は小さい方のアゴラが目を輝かせて言った。←シヴァであろう。
だいたい必殺技ってポンとシュババだろう。しかも超が100個つくほどのヘッポコ技だし。←白銀であるからのぅ
シャカを崇拝しちまっているこいつらに、何を言っても無駄だよな。
『これで分かっただろう、カノン。地に額を擦りつけ、私を拝むのだ!』
弟子に持ち上げられたシャカは、いい気になって俺に拝めと言ってきた。馬鹿か、こいつは。
これだけの人数に拝まれても、まだ足りないのか!?←宗教とはそういうものである『ばーーか!誰がお前なんか拝むか、ゴラぁ。双子座の聖衣が俺のものになるっていうなら、拝んでもいいけどな。』
『では、拝むがよい。私を拝めば手にはいる!』
俺はわが耳を疑った。
こいつを拝めば双子座の聖衣が俺の物になるだと!?←無理である『心で強く念じ、私を拝めば、かならず君の物になるのだよ。』
またまたぁ!!そんなのは宗教者が信者を増やす為に良く使う手だ。この俺が騙されるわけないだろう!!!
でもな・・・・、こいつらもシャカを拝んで聖闘士になったって言ってたよな・・・。『カノン。私を拝みながら、聖衣が己に向って来るのを想像したまえ!』
『瞑想し、おシャカさまを崇めながら、おシャカさまの仰られるとおりにイメージすれば、必ずや貴方の願いは叶うでしょう。』
シャカがいうと、小さいインド人が何時の間にか俺の側に来て、言った。
『私達も、おシャカさまに促され、こうしてイメージを重ねたからこそ、一介の雑兵から聖闘士になるなることができたのです。さぁ、おシャカさまの仰るとおりに拝み、イメージするのです。』←イメージトレ−ニングであるのぅ
今度は反対側にデカイインド人が来て、言った。
『どうだね、カノン。私を拝む気になったかね?君は双子座の聖衣が欲しいのだろう?聖衣がドーンと君の元に来る姿を想像したまえ。私を拝めば、すぐにでも聖衣は君のものだ。さぁ、私を拝め!!』
シャカを拝んで聖衣が俺のものになるなら、安いもんだよ。
しかし態度がむかつくんだよな、この態度が。←自称神様であるからのぅシャカを拝んでも聖衣が俺の元にこなかったら、やっぱりこいつがあてにならないことの証明になるわけだし、そしたらジーサンにこいつが怪しい宗教を開いていることを報告すればいいか。
俺はシャカの前に座り、シャカの座り方を真似して目をつぶった。
『聖衣を呼ぶのだカノン。』
俺は言われたとおり頭の中で、ここに来て我が身を纏え双子座の聖衣よ!、と念じながら聖衣が来るのを思い浮かべた。
『そうではない、カノン。ドーンだ。』
俺が念じていると、シャカがいきなり話し掛けてきやがった。
で、ドーンってなんだ!?『君は何をやっているのだね。よく思い出してみるのだ。サガが聖衣を纏う時、ドーンとなるではなかったかね?』
そういえば兄貴が聖衣を呼び出す時、いつも服がビリビリに破れてドォォォンと聖衣が現われるよな。←全裸になるのぅ
しかし、ドーンって・・・・。
よく分からないまま、俺が瞑想をしていると、さっきの雑兵がいきなりシャカの膝元に駆け寄ってきた。しかも奴は、こいつらの言う事を信じているらしくて、シャカに必殺技を教えてくれとなきついた。
『よかろう。小宇宙を込めて拳を放てば、ドカンと行くのだよ。それを君の必殺技にするといい。』
俺も雑兵も、シャカの言葉に茫然となった。
はっきり言って、意味が分からない。普通、技というのは原理があって訓練を重ねる事で出るものだろう。
黄金聖闘士でなければ、いきなり技なんて出せるもんじゃねぇぞ。しかも、ドカンってなんだよ、ドカンって。『イメージなのです。拳を放って、ドカンといく様をイメージするのです。』
デカいインド人が言うには、シャカはこうやってヒントだけを与え、あとは自分の修行によって技を覚えさせようとしているらしい。
奴は、『ポンと華が咲くのだよ!』のシャカの一言からシャカを毎日拝み、瞑想を重ねて蓮華爆砕拳というヘッポコ技を編み出したらしい。
小さいほうは、『手がシュババと沢山でるのだよ!』で技を編み出したらしい。小さいのと大きいのはそういうと、再び瞑想を始めた。しかもブツブツと呟いている。また経か!?
が、よく聞くとデカイほうはポン、小さいほうはシュババと連呼していた。
よくよく回りの弟子達を観察すると、経だと思っていた言葉はシャカの啓示?の言葉だったようだ。
俺の周りの奴らはポカン、プスリ、バーン、ドカンなどとブツブツと言っているのだ。これらが混じった音が、どうやら経に聞こえたらしい。『分かったのかね、カノン。ドーンなのだよ。』
ドーンね、ドーン。
俺は頭の中で聖衣が来るのを思い浮かべた。
(ドーンなのだよ、ドーン!)
『わぁったよ!!ドーンだろ、ドーン!』
シャカが俺の小宇宙に直接語りかけ、しつこくドーン、ドーンいうので、俺は仕方なく口に出して念じる事にした。
ったく、馬鹿らしい。
『ドーン、ドーン、ドーン。』
俺がドンドン言う事二時間、シャカがよかろうとまた偉そうに言うので、俺は瞑想するのを止めた。
何が一体よかろうなんだ??まさか、これで聖衣が俺の元にくるようになったとか?何て分けないよな。ったく、無駄な時間を過ごしちまったぜ。
『カノン。聖衣を呼んでみるのだ。』
はぁ・・・・、こいつはまじで、こんなことで聖衣が来ると思ってるのか?相変わらずおめでたい奴だな。
俺は仕方なく身構え、右手を上げて小宇宙をこめた。
『ここに来て、我が身を・・・・・・・・・・・!』
『なにをやっているのだね!、カノン!』
いい気分で俺が聖衣を呼ぼうとすると、シャカが邪魔しやがった。
てめぇが聖衣を呼べっていうから、呼んでるんじゃねぇか!ちゃんと目を開いて、よく見ろ!!『君は本当にあのサガの双子の弟かね。頭が悪すぎるのだよ。』←その通り
なんだと、このくそ坊主。
『何度言われれば分かるのだ。ドーンだと言ったであろう。』
『え!?、もしかして、ドーンって言わなくちゃいけないのか?』
『当然だ!私を拝んだ以上、逆らう事は許されないのだよ。』
げっ!!なんだよ、そりゃ。←お前も信者の一人とみなされているのであろう
シャカがニヤリと笑いながら言った。こんなところで、そんな馬鹿なことをしたら晒し者になる事間違いない。
『さぁ、ドーンとくるかね?』
晒し者になってもこれでシャカがインチキだという事が判明するから、いいか。
俺は身構え右手をあげて叫んだ!!
『ドォォォォォーーーーーーーーーーーーーーン!』
が、俺は思わず目を見開いた。
出たのだ、ドーンが。まじで!!!!!いや、聖衣は案の定こなかったのだが、ドーンがでたのだ!
俺の右手から青白い小宇宙の塊がドーンと出た。兄貴が聖戦の時に、双児宮から教皇の間まで出した蛇みたいな、あのドーンが出たのだ。←ほうほう今まで何度やっても成功しなかった、あのドーンが20mもでた!!凄いぞ、シャカ!!
報告:シャカはいけてるお師匠さん。ドーンが出ました!
聖域での他の宗教活動は感心せぬのぅ。
イメージトレーニングも修業の一つではあるが、それだけではいかん。精神と肉体の修業を日々怠らないように・しかし、イケテルとは”カッコイイ”ということであるのかのぅ。
若者の言葉は難しいのぅ。教皇 シオン