★にぃちゃんといっしょ（兄ちゃんと幸せ家族計画）
デスマスク「おうシャカ！場所借りるぞ。」
デスマスクは蓮華の台座の上に浮んでいるシャカに声をかけると、ビールとつまみを台座に置き、全員に声をかけた。
デスマスク「おう、おめぇら！いつもの儀式行くぞ。」
デスマスクを始め、アイオリア、アイオロス、アルデバラン、カミュ、ミロ、シュラ、アフロディーテ、カノン、サガはシャカに跪き、一斉に拍手を打ち、手を組んで祈った。
デスマスク「おシャカさま、今晩も処女宮で、酒盛りさせて頂きます！」
シャカ「よかろう！」
全員に祈られて悦に入っているシャカは、こうして毎晩快く酒盛りの場所を提供してくれるのであった。
デスマスク「今日は、ドイツ出張の土産のビールだ！」
デスマスクはジョッキを人数分並べると、ビールを一気に注いだ。乱暴に注がれたビールはジョッキから溢れ処女宮の床を汚した。
カミュ「おい、デスマスク。こぼれてる。もったいないぞ。」
デスマスク「心配するな。ビールは売るほどあっからよ！」
カミュはデスマスクが指差したほうを見ると、箱に詰められたビールが大量に山積みになっていた。
デスマスク「それじゃ、かんぱーーい！」
皆は乾杯の音頭と共に、一気にジョッキを空ける。そこからは、もう自由である。手酌で飲むもよし、酌をして回るもよし、ラッパで飲むもよし・・・・。
いつになく、酒を飲むペースが速いアルデバランに、隣に座っていたカノンはギョッとなった。
カノン「おい、旦那。なんかいいことあったのか？」
アルデバラン「いや、別に何もないぞぉ。」
アルデバランの語尾が延びている、すでにかなり酒が入っているようだ。
デスマスク「なんだ、アルデバランの奴、今日は上機嫌だな。おい、アフロディーテ。もっと飲ませろ！！」
アフロディーテ「さっさっ、アルデバラン。じゃんじゃん、いちゃおう！！」
アフロディーテはアルデバランのジョッキにビールを継ぎ足した。ミロが新しいジョッキを用意し、いつでもアルデバランが次のを飲めるようにしておく。
シュラ「で、何があったんだ？」
サガの隣をしっかりキープしたアイオロスの隣を、これまたキープしたシュラが尋ねた。
アルデバラン「何にもないぞ。別にムウは関係ないからなぁ。」
カミュ「ふむっ。ムウと何かあったのか、アルデバラン。」
アルデバラン「別に何もないっていってるだろう。」
アルデバランは一言放つたびに、ジョッキを一つ空けていく。
デスマスク「いいから話せよ、アルデバラン。」
アルデバラン「実はなぁ、今日、ムウが金牛宮に来てくれたんだぁ。」
ミロ「それで、それで・・・・。」
アルデバラン「ムウはなぁ、可愛いんだぞぉ。」
デスマスク「は？ムウが可愛いわけねーだろう、アルデバラン。」
アルデバラン「ムウはなぁ、俺が優しくしてやると、頬を染めて喜ぶんだぞ。こう、『ありがとうござます、アルデバラン・・・』なんて言ってさぁ〜！」
ミロ「何、アルデバラン。やっぱり昼は金牛宮でムウとエッチしてるのか？」
アルデバラン「何を言っている、洗濯物を取り込む手伝いをした話だぞ。今日はムウと一緒に洗濯をしたんだ。」
シュラ「で、ムウも洗濯してやったんだろう？」
アルデバラン「そんなことをするはずがないだろう。」
アフロディーテ「またまたぁ〜〜〜。で、ムウと何したの？」
アルデバラン「ムウはうまいんだぁ。」
カミュ「何が、うまいんだ？」
アルデバランの言葉にサガとシャカをを除く全員が、身を乗り出した。
アルデバラン「こう柄をしっかりと掴んで、腰を入れるのがうまいんだぁ。」
シュラ「なに？柄を掴んで、腰を入れるだと。」
デスマスク「やっぱりお前、ムウと昼間いいことしてるのか？」
アルデバラン「それで、腰を入れながらぴかぴっかに磨いてくれるんだぁ〜。」
カミュ「ぴかぴかだと？流石、教皇仕込みだな。」
アルデバラン「みるみるうちにカビが取れるんだぞぉ〜。」
かび？？
皆が不思議そうな顔をしているのを見て、アルデバランは何杯目かのビールを飲み干すと言った。
アルデバラン「皆の風呂にはカビが生えないのか？ムウは綺麗にタイルのカビを取ってくれるぞぉ〜。」
デスマスク「おい、親父、つまらねーこと言ってるんじゃねーよ。」
シュラ「そうだ、そうだ。お前、本当はムウとはどうなんだよ！！！」
カミュ「ムウのことをどう思ってるんだ、アルデバラン。」
アイオロス「そうだぞ、アルデバラン。男だったら、俺みたいにはっきりさせろぉ！！なぁ、サガァ〜！」
カノン「ムウとは本当のところどうよ？」
アルデバラン「そんな、言えるわけないだろう！！」
ミロ「やっぱり妖怪が邪魔なわけ？」
アフロディーテ「本当はムウとどうしたいのぉ？？」
アルデバラン「・・・・・・。」
デスマスク「ほらほら、言っちゃえよ。アルデバラン〜。」
ミロ「大丈夫、大丈夫。妖怪には言わないって。なぁーーーー、アルデバラン！！」
アルデバラン「俺の夢はなぁ。ブラジルに小さな家を買って、ムウと暮らしたいんだぁ。」
アルデバランは語り出した。
アルデバラン「ムウはいつも家にいて、俺の帰りを待っていてくれるんだ。俺が仕事から帰ると、白いエプロンでお出迎えをしてくれてなぁ〜。」
アルデバランは一気にジョッキを空にした。
アルデバラン「それでな、ムウは俺の為に風呂を沸かしておいてくれるんだ。で、風呂に入った後、サッカーを見ながら、ムウがつくったつまみを食べて、ムウが飯を作ってくれるのを待ってるんだ。時々、キッチンから顔をだして、お酌もしてもらうんだぁ。」
シュラ「それで、それで。」
アルデバラン「ムウの作ってくれた夕飯を食べた後はな、リビングでムウと一緒にテレビを見るんだ。ムウは、『毎日お勤めご苦労さま』とかいって、疲れた身体をマッサージとかしてくれるんだぞぉ。」
アフロディーテ「教皇仕込みのマッサージだね。」
カミュ「それで、夜はどうなんだ、アルデバラン。」
アルデバラン「夜？もちろん、寝るぞ。俺が先にベッドに入っていると、風呂から上がったムウが鏡台で濡れた髪を梳かすんだ。」
ミロ「それから、それから？？」
アルデバラン「それからかぁ・・・・・恥ずかしいことを言わせるなよぉ。」
シュラ「ここまで言ったんだ、もったいぶらずに言っちまえ！！」
アルデバラン「もちろん、同じベッドで寝るんだぁ。」
アルデバランはビールが入った新たらしいジョッキをアフロディーテから貰うと、一気に飲み干した。
カミュ「で、その後はどうするんだ？」
アルデバラン「もちろん、手を繋いで寝るんだぞぉ。」
ミロ「ちっげーよ。お前のグレートホーンはいつでるんだよ！！」
アルデバラン「俺のグレートホーン？？・・・・・・・（にぱぁ）」
アルデバランはジョッキを持ったまま、にんまりと笑った。
アルデバラン「もちろん、俺のグレートホーンは炸裂するぞぉ。でも、ムウが疲れているときは、ちゃんと大人しくしておくんだぁ。」
皆、その言葉にはしゃいだが、サガの顔はひきつっていた。
カノン「それで、それで？」
アルデバラン「朝はな、先に起きたムウが俺の為にコーヒーを入れてくれて、ベッドの中で二人でコーヒーを飲むんだ。で、朝食を取ったら、出勤だ。ムウは『アルデバラン、ネクタイが曲がってますよ。』とか言ってな、ネクタイをこうやって直してくれるんだぞぉ。」
アルデバランはジョッキを持ったまま、架空のネクタイを直すしぐさをする。
デスマスク「・・・・・聖衣にネクタイかよ・・・。」
アルデバラン「もちろん、お出かけのキスもしてもらったら、ゴミ袋を持って出勤だ。いい旦那は、奥さんに朝のゴミだしなんてさせないんだぞぉ。」
ミロ「なぁ、アルデバラン。貴鬼はどうるすんだ？」
アルデバラン「あっ！」
ミロの質問にアルデバランの動きが止まった。どうやら、貴鬼のことをすっかり忘れていたようだ。
アルデバラン「貴鬼は・・・・・養子にもらうんだ。でも・・・しばらくは、教皇さまに預かってもらおう。いくらなんでも、貴鬼には何もなさらないだろう。そして、ムウと一緒に暮らすのが俺の夢だぁ〜。」
目尻が限界まで下がったアルデバランは、ニヤニヤ笑いながらビールを景気よく一気に飲み干した。
アイオロス「ちょっと待て、アルデバラン。駄目だ。それは俺の夢だぁ！！」
皆はアイオロスに注目した。
アイオリア「え？兄さんは、ムウのことが好きなのか！？」
アイオロス「何を言ってやがる、この馬鹿。俺はサガだ！！それは、俺とサガの夢だ。なぁ、サガぁ！！俺は、いい旦那だから、ちゃんと朝のゴミだしも、マッサージもしてやるぞ。朝出かける時には、お前が俺のヘッドギアを直してくれてなぁ、もちろん夜だってお前に寂しい思いはさせないぞぉ！！」
自分に頬を寄せてくるアイオロスの頭を跳ね返し、サガは眉間に皺を寄せた。
カミュ「カノンはどうするんです？」
アイオロス「あっ！」
カミュの質問にアイオロスの動きが止まった。どうやら、カノンのことをすっかり忘れていたようだ。
アイオロス「カノンは教皇に預けるんだ。なっ、アルデバラン！！」
アイオロスの言葉に、処女宮が水をうったように静まりかえる。
カノン「ふっざけんな、この鶏！！」
カノンはへべれけに酔っているアイオロスの顔面に鉄拳を食らわすと、サガの手を引っ張った。
サガ「・・・・アイオロス、いくらなんでも教皇にカノンを預けるほど、私は馬鹿ではない。そんなことをするくらいなら、私の手で楽にしてやる。」
サガはそういいながら、カノンに手を引っ張られ、同僚達に呆然と見送られて、処女宮を出て行った。
アイオロス「なにサガ怒ってんだろう？？俺、マズいこといった？？」
自分の度を越した暴言に気付いていないアイオロスは鼻血を拭うと、乾いた笑い声を上げている弟達と再び酒を飲み始めたのであった。
その後アイオロスは、しばらく双児宮を出入り禁止にされたのは、言うまでもない・・・・。