大修復!劇的!ビフォーアフター(顔に悩まされた聖衣)

 

依頼は聖域のカノンからです。
今回匠が手がけるのは、彼の兄が纏う双子座の黄金聖衣。
一見、普通の双子の形を保った聖衣ですが、纏ってみると・・・・・・。

なんと双子座のシンボルともいえる二つの顔は、依頼人の兄が聖衣を装着すると依頼人の兄の頭部に!!
そう、双子座の聖衣はヘッドの部分に顔が二つもあるのです。
そのとてつもない外観は、依頼人の兄がヘッドを被れば一目瞭然。正面には依頼人の兄の顔、そして向かって左にもまた顔、そして右にも顔。これではまるでアシュ○マンではありませんか。
この恐るべき”ヘッド”に現在28才独身の依頼人の兄が長い間悩まされているのです。

8歳のとき賜ったこの聖衣。
しかし、28歳現在、数えきれないほどに纏ったこの聖衣ですが、依頼人の兄がこのヘッドを被ったのは過去に5本の指に収まるくらいしかないというのです。
さらにこのヘッドには大きな問題が隠されていました。
それはヘッドだけを単独で見て、初めて分かるのです。我々は依頼人に断って、双子座の聖衣箱からのヘッドを取り出し、箱の上に置いてみました。
なんということでしょう!
そこには突然、黄金のバケツが現れたではありませんか!
幼い頃、同僚からの”バケツ”の一言は、依頼人の兄を恐怖のどん底に陥れました。
以来、依頼人の兄は自らヘッドを被るのを拒否しているのです。

そんな兄を心配した弟(28)が、匠に依頼してきました。
双子座の聖衣を見るたびに鬱になる兄に、聖衣を堂々と着させたい。
依頼人の切なる願いをかなえるべく、一人の男が立ち上がりました。
修復の匠、アリエスのムウ。
黄金聖闘士でありながら、生まれもっての修復師。聖闘士ライフを快適にするため、アイディアを詰め込む、聖闘士に優しい聖衣を得意とする。
そんな彼を人は”麻呂眉の変人”と呼ぶ―――

今回のキーワードは「顔」。一体匠はどんな大修復を行うのでしょうか。

 

<第一章 バケツ>

依頼人から聖衣を預かった匠は、工房へと向かいました。そこで双子座の聖衣を観察した匠。一体匠はこの聖衣をどうしようというのでしょうか。
突然匠は双子座のヘッドを本体から取り外しました。そしてまるで観音開きのようにヘッドを二つに割ったのです。匠はこの状態で何度も首を傾げています。
この双子座のヘッドは匠を悩ませるほど大変な物なのでしょうか。

と、突然匠は双子座の聖衣のスカートの裾に手をかけました。なんと匠はこのスカートを一枚はずそうというのです。
はずされたオリハルコンのスカート。匠はこれを一体どうしようというのでしょうか。
なんと匠は、そのスカートを一枚の薄い板状にしたのです。その板から匠は一枚の丸い板を抜き取りました。
この黄金の丸い板で匠は一体何をするつもりなのでしょう。

なんということでしょう!

匠は丸い板をヘッドにとりつけたではありませんか。

さらに匠自らこの丸い板になにやら細工を施しています。これが一体最終的になにになるのでしょうか・・・。

 

<第二章 顔>

しかし双子座のにはまだまだ問題が山積みです。
そこで匠は巨蟹宮へと向かいました。一体ここで匠はなにをしようというのでしょうか?

巨蟹宮ではなんと匠の弟子が待っていました。我々はその弟子が手にしている物を見て驚きました。

小さな弟子が抱えているのは黄金の顔ではありませんか。匠がヘッドに細工を施している間、弟子は巨蟹宮の壁を利用して、仮面を作っていたのです。
時間を無駄にしない。さすが匠です!

しかもこの沢山の顔、なんと先ほどの丸い板を切り抜いた余りをつかっているのです。
さすがは匠!
匠の手にかかれば廃材ですらこのように立派に生き返るのです。

そして匠は再び工房へと戻りました。

今度は一体なにをしようというのでしょう。

なんと匠は双子座のヘッドについた両方の顔をいきなり取り外したではありませんか。そしてそこに現れたのは、左から右へ、右から左へと抜ける空間。
これこそまさに、空間の魔術。
今まで依頼人の兄を苦しめてきた二つの顔を取り払うことによって、匠はその苦痛までも取り払ってしまったのです。
そしてこの空間には、他にも匠ならではの心配りが。
なんとこれは頭皮が気になり始めるお年頃の依頼人の兄への、匠からの心憎い演出でもあるのです。

さすが匠、空間と男心の魔術師!

 

<最終章>

これで匠による大修復は終わりました。

一体双子座の聖衣は匠の手によってどのように変わったのか?

ここで依頼人が兄をつれて白羊宮を訪れました。

その見違えた姿に依頼人の兄は感激のあまり倒れてしまいました。

さて、ここでおさらいです。

今回の依頼は、長年兄を悩ませつづけた双子座の聖衣。

以前は「バケツ」と馬鹿にされ続けたこのヘッドが匠の手によって生まれ変わりました。
バケツと見まちがわれていたこのヘッドに、なんと匠は蓋をしたのです。
頭頂部が開いているからバケツと間違われる。
匠の粋な判断です。

これでもう二度とヘッドはバケツと言われる心配はありません。

「収納です」

そう言って匠は、丸い板を我々に開閉して見せてくれました。

なんということでしょう!

そこには黄金に輝く双児のヘッドに突然隠れた収納が現れたのです。
匠の手にかかれば、たんなる黄金聖衣を超え、バケツから小物入れへ。
20年間依頼人の兄を苦しめてきたこのバケツ、「もうバケツとばかにされたくない」そんな兄の切なる願いが匠に届いた瞬間でした。もう誰にもバケツなどとは言わせません。

そしてもう一つ。依頼人の兄を悩ませつづけた、この両面についている顔。なんと匠は、この二つの顔をなくすことによって、それを解決させたのです。

「さぁ、かぶってみてください」

匠はそういって生まれ変わったヘッドを依頼人の兄にかぶせました。
そこには20年間依頼人の兄を苦しめてきた双子座のヘッドはありませんでした。
骨格だけを残し左右に開いた空間は、28歳ストレスの多い依頼人の兄への配慮で風通しがよく、蒸れやすいヘルメットタイプのヘッドの問題を解決しました。
そして匠は、その空間から依頼人の兄の輝く青銀の巻き毛の房の束を出し、おしゃれを演出します。

しかし、今までついていた顔や廃材を利用して作った顔は一体どこにいったのでしょうか?

なんとここで匠はヘッドに設けた隠れた収納をあけました。

なんということでしょう!

そこには今までヘッドの左右に位置していた優相と凶相の仮面が収められていたのです。そして他にも、先ほど匠が弟子に作らせていた沢山の顔!
まさか匠はヘッドにあいた左右の顔を取り外し自由にしたというのでしょうか?

「たまにはサガも公務で外に行く時もあるでしょう。貴方はどうせ裏切り者で外に行けば、下を向いてばかりいて仕事もろくにできないのですから、この仮面を被っていくといいでしょう」

なんという心配りでしょう。それは匠から依頼人の兄への親心とも言える仮面だったのです。
この無数の仮面を被ることにより、依頼人の兄が群集の前に出ることを可能にしたのです。
さすが匠!

そしてこの沢山の仮面は、依頼人の兄の感情の変化や、その日の気分によって仮面をかえられるという、匠の心憎い演出がほどこされているのです。
さらにこの沢山の仮面。どれもが慟哭の表情をしているではありませんか。
それは罪を償って欲しい、そしてこれからも黄金聖闘士として愛と正義に生きて欲しい。そんな切なる願いを匠はこの沢山の顔に込めたのです。

これには依頼人の兄も泣いて大喜びです。嬉しさのあまり依頼人の兄は失神してしまいました。

「さぁ、この肩をあけなさい」

匠は依頼人に、倒れた依頼人の兄の方を指差しました。そして依頼人が聖衣の肩にふれると・・・。

なんということでしょう!

ここにも匠は隠れた収納を設けていたのです。元々二層になっている双子座の肩。その上部を開閉可能することによって、そこに小さな収納スペースが出現したのです。

右肩には、ヘッドに収納しきれなかった仮面を。
そして左肩にはなんと小さな布がしまわれていました。

「この布で毎日仮面を磨くのです。これを貴方の仕事にしなさい」

そうです。これは依頼人にすこしでも兄の仕事を手伝って欲しい、そして仲良くなって欲しいという匠の願いが込められて小さな布だったのです。

これにはさすがの依頼人も匠の人柄に感謝せずにはいられません。

そして匠が双子座の聖衣に施した修復はこれだけではありません。

なんと匠は、アンダーウェアを着用することを嫌がる依頼人の兄の為に、スカート部にアンダーパンツをつけたのです。
これでもう依頼人に兄は、聖衣に陰毛を挟むことも、冷える冬場も平気です。
そしてこれは少しでも聖衣を大切にして欲しいという、匠から依頼人の兄へのプレゼントでもあるのです。

これで全ての修復が完了しました。

こんかいの大修復は、なんとか予算内の血液2000ミリリットルで収めることができました。

20年間依頼人の兄を苦しめ続けたヘッドは、空間と収納を兼ねた素晴らしいヘッドに。そして聖衣はアンダーパンツ付きの機能的なものへと。

双子座の聖衣。これからも二人の兄弟に支えられ、大事にされることでしょう。

 

次回、大修復!劇的!ビフォーアフターは「矢に悩まされた聖衣」

 

<緊急大募集>

現在修復をお考えの聖闘士のみなさまを大募集!
あなたも各界で腕をふるう「匠」に大修復を依頼してみませんか?
貴方のお名前、聖衣、修復内容をお書きの上、白羊宮までご応募ください。


End