★ミス 黄金聖闘士 世界大会
次の映画は十二宮リメイクだ!
ある日そんな噂が一二宮を駆け巡った。だが、噂に反して黄金聖闘士達は震え上がっていた。
噂には続きがあった。
女になる聖闘士がいるらしい。
こうして黄金聖闘士は誰が女性となるか決めるため、教皇庁にある会議室に集まったのだった。
童虎を除いた十一人が円卓につき、オブザーバーとしてシオンと童虎、カノンも適当に空いている席に座っている。
アイオロス「というわけで、誰か女になりたい奴」
ムウ「はいっ」
全員「え!?」
ムウ「私、女性でいいです」
アルデバラン「確かにムウは女の子になっても可愛いな」
ムウ「女性になれば、シオン様もきっと私に執着しなくなるでしょう」
シオン「ならぬ、命令じゃ」
アイオロス「教皇命令が出たから却下だな」
ムウ「……ひどい」
アイオロス「泣くな、ムウ。その代わり、メガネ男子の地位をやる」
ムウ「メガネ男子?」
アイオロス「巷で流行っているメガネ男子だ。よかったな」
ムウ「メガネ男子……なんてイマドキ風。いいでしょう、メガネ男子で我慢します」
シオン「うむ、よくやったアイオロス。次期教皇に選んだ余の目に狂いはなかったのう」
アイオロス「恐縮です。ということで、女の子になるのはサガでいいな」
全員「はっ!?」
アイオロス「決定、以上解散っ!」
サガ「待て、アイオロス。どうして私が女なのだ。十二宮編といえば、悪側の主役はこの私だぞ。その私が、女性になるなどありえぬ」
アイオロス「でも、サガが女の子になったら可愛いし、綺麗だろう」
デスマスク「ということは、カノンも女か。いいなぁ、双子のレズもの」
シュラ「悪くないどころか、見てみたいな」
サガ「馬鹿者がっ。貴様、女の手先となりたいのか」
デスマスク「美女ならいい」
サガ「いやいや、待て。ラスボスが女性というのは、闘いにはならん。それに星矢が女性に手をあげるなど好ましくない」
アイオロス「大丈夫、東映マンガまつりのときは女神エリスがラスボスだったじゃないか。さぁ、女になって私の嫁になれ」
サガ「お前、女に裏切られ嵌められて死ぬんだぞ。情けないと思わないのか」
アイオロス「うっ……」
サガ「仁智勇が私よりも優れているからこそ次期教皇となっているが、競う相手が女であれば、男社会の聖域だからお前が次期教皇になったと言われるぞ」
アイオロス「えっ!?」
カノン「兄貴が女はマジヤバいぞ。18禁になる。こいつが、何度お茶の間に全裸をさらしたと思ってるんだ」
サガ「そうだな。というわけで、私が女性になるのはストーリー上、問題が多すぎるので却下だ」
カノン「むしろ、アイオロスが女になればいいんじゃねぇの?」
サガ「なるほど、女性に教皇の座を奪われた私が黒化するのは仕方がない事だな。新たな聖闘士☆星矢の誕生だ」
カノン「俺の悪の囁きも正当性をもってくる。決定だな」
サガ「うむ。お前と生まれて初めて意見があったな、カノン」
カノン「ああ。奇跡だぜ」
アイオロス「私が女なんて、ありえない! 私が女になったなら、射手座の聖衣を着る星矢も女でなくてはおかしい。そもそも、私は全編通して正義の象徴だ。ありえない、却下!」
サガ&カノン「ふんっ」
アイオロス「というわけで、誰に……」
デスマスク「アイオリア。お前がなれ」
アイオリア「え!?」
デスマスク「世は妹萌えだ。強い兄貴を持った虐待トラウマもちの妹。世間からの受けはいいと思うぞ」
アイオリア「いやいや、ありえないだろう。俺だって、兄さんに次ぐ正義の象徴。黄金聖闘士の中でも唯一純然たる正義の漢」
ムウ「私、女性に『男として認めん』と言われるのは……」
ぎろりとムウがデスマスクを睨む。
デスマスク「なーんてな、ちょっと言ってみただけだ」
ムウ「そういうデスマスクが女性になっては?」
デスマスク「Pi!? お、おれっぴが!?」
ムウ「どうせ大した役ではないのですから、よいではありませんか」
デスマスク「貴様、俺の人気を舐めるなよ!!」
ムウ「でも、問題ないでしょう?」
デスマスク「ふふふふふっ、馬鹿め。よぉく思い出してみろ、俺は聖衣に逃げられるんだぜ」
ムウ「ええ、知ってますよ」
デスマスク「サガの全裸が許されないなら、俺の半裸も許されない。おっぱい丸出しになったら、それこそ紫龍の株がさがるってもんだぜ」
ムウ「……ちっ」
デスマスク「ということで、俺が女になるなんて無理なんだよ」
アイオロス「では、シュラか。お前どうだ?」
シュラ「俺ですか? そんな無茶な」
アイオロス「何か問題でもあるのか? お前なら、女武士みたいな感じでなかなか良さそうだぞ」
シュラ「俺は紫龍の導き役ですよ。それが女なんて恰好つかないでしょう」
アイオロス「別に問題ないだろう」
シュラ「それに、アイオロスは女に殺されるんですか?」
アイオロス「ん?」
シュラ「俺、アイオロスの事を殺すんですよ。女に殺されるへっぽこでいいんですか、アイオロス」
アイオロス「ああ、ダメだ。絶対ありえん。お前が女になるのも却下だ」
アイオロスは大きくため息をついて円卓を見回した。
アイオロス「ああ、カミュ。お前はどうだ。ほら、最近『雪の女王』とかなんとかって流行ってるし、氷の女聖闘士。しかも女師匠だ。世間の受けもよさそうだぞ」
カミュ「ありえません」
アイオロス「いやいや、そこをなんとか。特別に歌もつけてやる。ありのーままー?だったか?」
カミュ「私は、氷河のマザコンを否定する立場にあるのだ、アイオロス。男の私が否定する分には、世間の母親達も仕方ないとしているが、これが女の私がマザコンを否定したとなれば、しかるべき面倒くさい団体から怒涛の抗議がくるのは必至。あなたが、それを全て請け負ってくれるというならば、考えてもいいが」
アイオロス「うっ、それは困る」
カミュ「では、私が女性となるのは無理だな」
アイオロス「それじゃ、シャカはどうだ。お前も美人顔だし、乙女座なんだから問題ないだろう」
シャカ「仏陀の生まれかわりが女であるはずがない。こちらもしかるべき団体から苦情がくるぞ」
アイオロス「そんなことで苦情が来てたら、もうとっくに来てるだろう……、まったく」
アルデバラン「私がなりましょうか?」
ムウ「素晴らしい。私がお嫁にもらいましょう」
デスマスク「いや、それはダメだ」
アルデバラン「え!?デスマスクも私にプロポーズですか?!モテる女は辛いなぁ」
デスマスク「馬鹿野郎。世間が求めてるのは、美女か可愛い女の子なんだよ。繋がり眉毛のデカ女に、何の価値がある」
シュラ「それに、かませ犬が女というのはなぁ」
アルデバラン「そ、そうか……」
童虎「仕方ない、わしが――」
シオン「妖怪婆になんぞもっと需要はないぞ、童虎」
アイオロス「やっぱり見た目も美人なアフロディーテか?」
アフロディーテ「殺すよ、アイオロス。私は、男でこの美貌だから価値があるんだ。女になったら、ただの美女で終わってしまう。美女に薔薇、なんの捻りもないだろう」
アイオロス「しかしだな、そうなると残りは……」
ミロ「俺、なってもいいよ」
全員「なに?!」
ミロ「だって俺、青銅のやつらと深い関わりないから、女として氷河に負けてもなんの問題もないじゃん。それに脱がないし」
サガ「しかしだな、ミロ。そもそも我々の誰かを女にするという事自体が――」
ミロ「だから、別に俺はいいんだってば。むしろ女の子になってみたいかも!」
全員「へ!?」
ミロ「だってさ、女の快感って男の何十倍もあるんだろう。経験してみたいじゃん!!」
全員「はぁ?」
ミロ「あっ、そうだ。アイオリア、俺の初めてはお前にやるよ」
アイオリア「えっ!? は!?」
ミロ「だから、お前の童貞もらってやるっていってんの!カミュはホモだからな」
デスマスク「待て、小僧。初めて同士は上手くいかないこともあるし、快楽を求めるならまず俺がお前の身体をならしてやる」
ミロ「そっか。初めてじゃキツイもんな。あっ、でも俺尻もあるから大丈夫だよ」
サガ「待ちなさい、ミロ。お前はそんな理由で?」
ミロ「ああ、何か問題でも?」
サガ「カミュ、お前からもなんとか言え」
ミロ「大丈夫だよ。カミュは、俺が女になったって友達続けてくれるし、問題ないって」
カミュ「パートナーとしてはお断りだが、文通くらいならかまわんぞ。私たちの友情は永遠だ」
ミロ「まかせろ、人工授精でカミュの子供産んでやるからな。育てるのは自分でやれよ」
カミュ「心配するな、子育ては実績がある」
シュラ「小僧、俺もやらせろ」
ミロ「オッケー! アイオロスもやる? お前も女童貞だろう?」
アイオロス「いや、私は……」
ミロ「あっちがやなら尻でもいけるよ、俺?」
アイオロス「いや、結構だ。アイオリアと穴兄弟にはなりたくないしな」
ミロ「そっかぁ。あっ! 俺、サガともやってみたい! カノンと3Pとか、めっちゃ楽しそうじゃね? 口もあるから4Pもいけるな」
サガ「いや、私はもうそういうことは遠慮しておく」
カノン「馬鹿か、お前」
アルデバラン「まぁ、ミロなら美人になるだろうな」
アフロディーテ「かわいい系も小悪魔系もクールビューティ系も、どんな感じでもできそうだし」
ミロ「そうだろ、そうだろ。でもアルデバラン、お前とはカミュの子供を産んでからだぞ。いきなりお前とヤったらガバガバになっちゃうし」
ムウ「これで問題解決ですね」
カノン「そうだな」
ミロ「あっ、ムウにも俺の乳もませてやるからな!! ちっぱいと爆乳と普通、どんなのにしようかなぁ~」
シオン「うむ、これにて一件落着。だな、アイオロスよ」
アイオロス「え!? いいんですか、教皇」
シオン「本人がやりたいというておるのじゃ、好きにさせるがよい」
アイオロス「では、女性化はミロ。異議のあるものは速やかに述べよ。なければ、決定事項とする」
こうして満場一致で女性枠はミロと決まったのだった。