目覚め……

 

シオンがアイオロスとサガの補佐の元で仕事をしていると、執務室をアイオリアが訪れた。

アイオリア「聞いてください教皇……。」

アイオロス「どうしたんだ、アイオリア?」

アイオリア「兄さん……兄さんもこれをみればきっとわかるよ。」

アイオロス「ん?なんだこれ……。」

サガ「漫画のようだな。まさかミロやカノンみたいに、いい年した大人がコミックなど……」

アイオロス「チャンピオソ・レット゛??」

開いた途端、アイオロスは硬直し、肩越しにそれを見たサガもまたメデュウサに魅入られたごとく硬直した。

アイオリア「聞いてください、教皇……。俺はやっぱり不幸の星の下に生まれたんでしょうか?」

シオン「一体どうしたのじゃ、獅子よ。いつにもまして暗いのぅ。」

アイオリア「ジーへの目覚めなんです。俺、来月目覚めるらしいんです。」

シオン「ほうほう、自慰へのめざめか?よいのぅ。」

アイオリア「いやです、俺!!あんなもの、目覚めたくありません。」

シオン「よいではないか。男なら誰でも一度は通らねばならんのじゃぞ。なんなら、余が手ほどきしてやってもよいがのぅ。」

アイオリア「俺……今までどんなことにでも堪えてきました。でもこれだけは我慢できません。」

シオン「ほうほう、我慢せずともよいではないか。我慢するのは身体によくないぞ。」

アイオリア「ですが、あれだけはいくら俺でも耐えられません。いっつも兄さんと比べられたり、13年間虐げられて来たり、幻朧魔皇拳にかかって主人公を襲ってみたり、兄のことを信じられなくて女神を襲ってみたり、ムウを男とみとめないとかいってヘッポコの烙印をおされたり、そんな不幸を背負った俺ですが、いままでどんな不幸でも甘んじて受けてきました。でもこれだけはたえられないのですっ!!」

シオン「一体何をそんなにムキになっておるのじゃ!」

アイオリア「だからジーです、教皇!いくら俺が不幸の星の下に生まれたからって、あれは酷いじゃないですか。何でまた俺が主役なんですか!!!」

シオン「ふむっ・・・・・・・お前が一番自慰ネタに使いやすいということかのぅ。余は別にムウでもサガでもアイオロスでも誰でも構わん。自慰は誰がやってもよいのじゃ、自慰さえ見れればそれでよいのじゃ♪」

アイオリア「教皇は、それでも教皇ですか!!少しは俺の気持ちも考えてください。来月は、子供の俺がジーに目覚めるんですよ。」

シオン「ほうほう、子獅子の自慰が。よいのぅぉ。どうやって目覚めるのかの。気になるのぉ。」

アイオリア「ちゃんと真面目に聞いてください、教皇。兄さんのあの姿、ごらんになられましたか!?俺は、あの兄さんのことを見た日から、夜も眠れないんです!!」

シオン「ほうほう、なるほど。お前の性の目覚めは、アイオロスであったか!!」

アイオリア「あれは俺の兄さんじゃありません!!!!あのりりしくて、14歳でもすでにおっさん顔負けの貫禄に、ムキムキマッチョで臭そうなあの俺の自慢の兄さんが、あんな女々しい姿になって・・・。あんな女みたいな顔のヒョロヒョロの兄さんなんて、俺の兄さんじゃありません!!」

シオン「ん?ということは、アイオロス似の女子で自慰ということか??」

アイオリア「兄さんになんてちっとも似てませんよ!!あれが兄だというのなら、ここにいる兄は一体誰なんですか!!もしあれが本当の兄というなら、俺は、俺は、俺は・・・・・・うおぉぉぉぉーーーーーっ。」

シオン「おちつけ、獅子よ。もっと余に分かるように説明せい。少年のおぬしが、実の兄・アイオロス相手にハァハァし、自慰をするのであろう。しかしお前は自慰のやりかたもしらぬから、この余に相談に来たのではないのか?安心せい、余が立派に自慰に目覚めさせてやるゆえ、ちこう♪」

床にうずくまって男泣きをするアイオリアに、シオンは仮面の下でいやらしい笑みを浮かべて手招きをした。

童虎「やめんんか、このエロボケがぁっ!!!」

テラスから突然飛び込んできた童虎にシオンは中華鍋で思いっきり殴られ、思わず仮面がポロリと床におちた。
アイオリアが普段よりも数倍、数百倍に暗い顔をして天秤宮を抜けたのを見て、童虎が後をつけてきたのだ。

童虎「それを貸せい!」

童虎が硬直していたアイオロスの腕からチャンピオソ・レッドを奪いとると、アイオロスとサガはハッと我に返った。

そして童虎は、バンッと机の上にそれを叩きつけ、勝ち誇ったように踏ん反りかえった。

童虎「安心せい、アイオリアよ。来月から始まるのはのぅ、わしが主役じゃ。」

アイオリア「なに!?ということは・・・・・・。」

童虎「そうじゃ。わしが主役じゃ♪」

シオン「なぜそうなるのじゃ?」

童虎「シオンはもうぼけたのか?おぬしはわしのことをいつも、サルサル言うておるではないか。じゃからの、サルのわしが主役なのじゃ。」

シオン・サガ・アイオロス・アイオリア「は?」

シオン「いかんのぅ、皆のもの。ボケ老人の相手はせぬでよい。今は、子獅子の自慰デビューの話しじゃ!」

童虎「ボケておるのはシオン、お前じゃ。来月からはの、わしがドラゴンの玉を捜しに行くのじゃぞ。ほれ見よ、ちゃんとドラゴンレーダを春麗に作ってもらったのじゃ!」

サガ「老師さま、それは懐中時計では・・・・・・。」

童虎「それにのぅ、ほれ、春麗に尻尾も作ってもらったのじゃ♪来月からは、わしと春麗で、なんでも願いがかなうドラゴンの玉を探しに行く物語がはじまるのじゃ♪だからいうたであろう、エピソード爺じゃと♪」

シオン「ふむっ・・・・・・残念じゃったのぅ、童虎よ。それは絶対にありえん。」

童虎「なに!?」

シオン「残念じゃが、それは違うのぅ。ふむ、獅子の自慰が見れぬのは、まことに残念ではあるが・・・・・・。」

アイオリア「じゃぁ、俺は目覚めなくてもいいんですね、教皇。」

アイオロス「わ、私はどうなんでしょうか?もう生き恥さらしたくはないのですが・・・・・・。」

サガ「私も顔が出ないうちに退散しとうございます・・・・・・。」

シオン「安心せい。来月登場するのは、アイオレア、アイオラス、セガであろう……」

アイオロス・アイオリア・サガ・童虎「はぁぁぁぁ??」

シオン「ほれ、巻末のここをよく見てみるとよい。ここに『SAINT SAIYA』と書かれておる。」

童虎「だから、聖闘士のサルであるこのわしがSAIYA人として活躍する物語ではないのか?」

シオン「それはちと無理があろう、童虎よ。それであれば、ドラゴンボー○爺とでも名づけるはずじゃ。」

アイオロス「ということは、この作中にあるのも誤植でしょうか?この『アイオロス』と呼ばれているのは??」

シオン「そうじゃ、アイオラスの誤植じゃのぅ。」

そう聞いて、3人はホッと胸を撫で下ろし、見た目18歳の老人は地団駄を踏んだ。

シオン「ということじゃ、獅子よ。今宵はゆるりと眠るがよい・・・・・・余のベッドでのぉ♪余がお前の自慰を見てやるぞ♪」

アイオロス「よかったなぁ、アイオリア♪」


アイオリア「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」