白羊家の食卓2(ネコは言いたい〜イモイモ♪)

 

カノンは昼食を食べた後、テラスで昼寝をしていた所を教皇シオンの小宇宙で叩き起こされ、機嫌が悪かった。

カノン「んあ?なんだよ、面倒くせーな。」

カノンは眉間にさらに数本シワを寄せ、双児宮を出て行った。

 

教皇の間

カノン「ジーサン、何の用っすか?」

シオン「ジーサンではない、教皇じゃ!」

カノン「はぁ〜。で、教皇。何か?」

シオン「おぬしに調べてもらいたいことがあるのじゃ。」

カノン「あ!?まだキリ番はきてないっすよ!兄貴の観察もしっかりやってるぜ!」

シオン「文句をいうでない!!白羊宮から、煙があがっておるのじゃ調べて参れ。」

シオンはテラスにでると、白羊宮の方を指差した。白羊宮からは、白い煙がモクモクと上がっている。

カノン「んなもん、自分で調べればいいじゃないっすか。白羊宮なんて、すぐそこだろう。いちいち俺を呼び出すのやめてくれ!!!」

シオン「口答えする出ない。余は忙しいのじゃ!さっさと調べて参らぬか!!」

カノンはシオンに投げられた羽ペンを額にうけ、ブツブツと文句を言いいながら教皇の間を後にした。

 

白羊宮

白羊宮の階段の下、十二宮の入り口でムウ、アルデバラン、貴鬼、ミロが焚き火を囲んでいるのを見て、カノンは眉をひそめた。

カノン「おい、お前達。何をやってるんだ?」

貴鬼「あっ!頭の悪い方のオジサン!!」

カノン「かっこいいほうのオジサンだ!!で、何してんだ?」

ミロ「焼き芋してるんだって。」

カノン「やきいも?」

ムウ「老師様から、たくさんサツマイモを頂いたので、焼いているんです。」

ムウはスカした笑顔で、焚き火の中を棒でかき回す。

カノン「やきいもって何?」

アルデバラン「焼いた芋のことだ。」

カノン「それだけ?」

カノンの質問に皆頷いた。

カノン「それって美味いのか!?」

ミロ「俺も食ったことないから、こうやって待ってるんだよ。」

ムウ「そろそろですね。」

ムウはそういうと、持っていた棒で焚き火の中を引っ掻き回した。焚き火の中からはじき出されたアルミホイルに包まれた芋が、ゴロゴロとでて来ると、貴鬼がアチチチッといいながら、ミロとカノンに手渡す。

ミロ「アチーーーー!」

カノン「うおっ、アチアチッ!!なんだよ、これ!!」

貴鬼「これが焼き芋だよ。そのアルミホイルの中に芋が入ってるんだよ。まっ、食べてみてよ。」

ミロとカノンは地面に腰をおろし、アルミホイルから芋を取り出すと皮を剥いて食べ始めた。

カノン「ん!うまいな、これ。」

ミロ「超うめぇーーーーよ!!」

貴鬼「さすが老師さまの作った芋だね。ムウさま、甘くて美味しいよ。」

ムウ「そうですね。ちゃんと皆さんの分のサツマイモも送ってきてくださったんですよ。」

ミロ「え?みんなの分って?」

ムウ「ええ。ほら、あそこに。」

ムウが指をさした方を見ると、11個のダンボール箱が並べられ、中にはサツマイモが詰められていた。

カノン「あれって、1箱が1宮分?」

ムウ「そうですよ。」

カノン「ふーーーん。でさ、サツマイモって他にどんな料理ができんの?」

ムウ「そうですね・・・・。スウィート・ポテトとか、くりきんとんとか、大学芋とか・・・。」

ミロ「芋の大学?」

ムウ「サツマイモのパイとか、プリンもできますね。」

カノン「なんだ。お菓子ばっかりだな。」

ムウ「ふむ・・・。そういえばそうですね。」

アルデバラン「ムウは甘いものが好きだからな!」

カノン「あのさ。俺の家の分も全部焼き芋にしてくれない?」

ムウ「おや。いいんですか?」

カノン「だって持って帰っても、兄貴は芋の菓子なんて作れねぇもん。」

ミロ「あ!天蠍宮分も焼き芋にしてよ。俺のは、半分でいいや。あとはカミュに冷凍芋にしてもらうから。」

貴鬼「ところでオジサン、何しに来たの?」

カノン「あっ!そうだ、ジーサンにな、白羊宮から煙があがっているから様子を見て来いって言われたんだよ。『あれは絶対にムウが、余を呼ぶのろしだ!!』って言ってた。そう思うなら、てめぇで見に行けってんだよ!!」

ムウ「そうですか。では、すぐにでも教皇の間に戻らないといけないですね。」

カノン「おう。芋食いながら行って来る。」

ムウ「ちょっと待ってください。シオンさまにも焼き芋を持っていってください。」

カノン「え?なんで、俺がそんなことしなくちゃいけねぇんだよ!」

ムウ「手ぶらで戻ったら、『芋を持って来い!』って言われますよ。」

ムウは超能力でバスケットを取り出すと、中に枯葉を詰めて、その上にアルミホイルに包まれた焼き芋を3つ並べた。

ムウ「では、お願いします。貴方が帰ってくる頃には、焼き芋も全部できてるでしょう。」

カノン「ちっ、しかたねーな。」

カノンはバスケットを受け取ると、ぶんぶんと振り回しながら教皇の間への裏道を上っていった。

 

教皇の間

カノン「おう、ジーサン・・・・教皇。調べてきました。」

シオン「ふむ。ご苦労であった。して、煙の正体は?」

カノン「これです、これ!!」

カノンは執務机の上に、ドンッとバスケットを乗せる。

シオン「なんじゃ、これは?」

カノン「白羊宮のおやつですよ。」

シオンはバスケットを開けると、ない眉をしかめた。

カノン「焼き芋です。ムウが教皇に持っていってくれって。」

シオン「やきいも??なんじゃそれは。」

カノン「200年以上も生きてるくせに、そんなことも知らないんですか?サツマイモを焼いたやつっすよ。」

シオン「焼いただけか?」

カノン「そうっすよ。これが、んまいんだ!」

シオンは机の上に置かれた呼び鈴を鳴らすと、神官を呼びバスケットを手渡した。
程なくして、神官は装飾が施された豪華な皿に、焼き芋を盛り付けてもどってきた。
シオンはそれを受け取ると、フォークとナイフで上品に食べ始める。

シオン「ふむ。」

カノン「うまいでしょう?」

シオン「シンプルな味であるな。」

カノン「(ってーか、相変わらず、不味そうな食べ方してんな、このジジィ・・・。)」

シオン「で、煙の正体はこの芋を焼いていた煙ということか?」

カノン「そうです。別に、ムウが教皇を呼ぶのろしてもなければ、ムウが助けを呼びのろしでもないです。」

シオン「そうか。下がってよいぞ。」

 

白羊宮

カノン「あー、疲れた。ったく、ジジィも少しは動けってーの!!」

貴鬼「あ!頭の悪い方のオジサン。お芋焼けたよ。」

カノン「おお、サンキューな。」

カノンはダンボール箱に詰められた焼き芋を受け取ると、双児宮へと戻っていった。

 

2時間くらい前、自宮で筋トレをしていたアイオロスは、カノンが十二宮の階段を上にのぼる姿に気が付くと、気配を殺して人馬宮の出口で待ち伏せをした。
そして、いつもに増して機嫌が悪そうなカノンが階段を下りてくると、そのまま後をつけ始めた。

アイオロス「よしっ!!双児宮を通り抜けたぞ。きっと、教皇に何かを頼まれたんだな。カノンはしばらく帰ってこない!!」

双児宮を通り抜けたカノンの姿を確認したアイオロスは、小さくガッツポーズをすると、そのまま双児宮の私室へと入っていった。

 

双児宮

アイオロス「サッガァ〜〜〜〜。カノンは出かけてるだろう?だから、キスしていい?キス!!」

サガ「いやだ。」

ソファで本を読んでいるサガに、アイオロスは抱きいてサガの厚い胸板に顔を埋めながらキスを強請る。

アイオロス「照れるなよサガァァァァ。んーーーーー。」

ダーーーン!

そこに白羊宮から帰ってきたカノンが勢いよく玄関の扉を開ける音が聞こえると、サガはアイオロスの身体を力いっぱい押しのけた。

アイオロス「(ちっ。いいところだったのに!)」

カノン「おう、兄貴。中国のジーサンから芋が送られてきたんだってよ。それで、ムウのところで焼き芋にしてもらったから、食え!!」

カノンは床に転がっているアイオロスを、邪魔そうに蹴りを入れながらどけると、リビングのテーブルの上にダンボール箱を置いた。

サガ「やきいも?」

カノン「おう。芋を焼いたやつだ。おい、鶏。お前も食っていいぞ。」

サガ「カノン。この箱、全部が焼き芋なのか?」

カノン「おうともよ!!どーせ、兄貴はろくな飯つくれねぇだろう。だから、俺がムウに頼んで、全部焼き芋にしてもらったんだ。ありがたく思えよ!」

大量の芋を目の前に、サガは眉間にシワを寄せながら、芋を食べ始めた。

アイオロス「ん、美味いな。」

サガ「アイオロス。頼みがあるんだが。」

アイオロス「なんだ?お前の頼みならなんでもきいてやるぞ。」

サガ「芋を半分持って帰ってくれないか?いくらなんでも、食べきれん。」

結局アイオロスは、双児宮の芋を半分持ち帰ることになった。帰りに獅子宮に寄ったアイオロスは、アイオリアに持って帰った焼き芋を半分渡して帰ったのであった。

 

翌日、双児宮。

朝になって目を覚ましたカノンは、朝食を見て、眉間のシワを増やした。

カノン「げっ!!なんだよ、この朝食!!」

サガ「焼き芋だ。見れば分かるだろう。」

カノン「なんで朝から焼き芋なんだよ。」

サガ「仕方ないだろう。焼き芋はまだこんなにあるんだ!」

カノン「俺、朝飯いらねぇー。」

カノンは、朝から焼き芋を食べているサガを無視して、寝室に戻るともう一度寝なおすことにした。

 

昼になって、カノンは再び目を覚ますと昼ご飯を食べに起きてくる。

カノン「げっ。なんだよ、この飯は!」

ダイニングのテーブルには、朝と同様に、皿に焼き芋が乗っていた。

サガ「焼き芋だ。見れば分かるだろう。まだまだ焼き芋はいっぱいあるんだ。」

カノン「んなもん。捨てればいいだろ!」

サガ「食べ物を粗末にするんじゃない!文句があるなら食べなくていい!」

カノン「言われなくても食わねぇよ!俺、ムウの所で飯食ってくる!」

カノンは不機嫌そうに双児宮を出て行くと、サガは眉間にシワを寄せた。どう見ても、焼き芋は一人で食べられる量ではない。

サガ「(アイオロス!サジタリアスのアイオロス!!助けてくれないか?)」

サガはアイオロスの小宇宙に直接語りかけると、アイオロスが聖衣を纏って光速で人馬宮から下りてきた。

アイオロス「どうした、サッガァァァ!!」

サガ「芋を食べてくれないか?」

アイオロス「いも?それよりお前が食べたい。んーーーー!!」

アイオロスが唇を突き出すと、サガはアイオロスの口に芋を突っ込んだ。

アイオロス「なぁ、これ食べたらヤらせてくれるか?」

サガ「全部食べてくれたらな。」

アイオロス「分かった。」

アイオロスは聖衣を脱ぐと、テーブルに乗っている3つの焼き芋にパクついた。

 

アイオロス「ふぅ。さぁ、全部食べたぞ、サガ。いいだろう?」

サガ「もう一つ食べたらな。」

サガは自分の分の焼き芋を手渡した。

アイオロス「うっ・・・・・。分かった・・・。」

15分後。

アイオロス「うぷっ・・・・・もう食えないからな、サガ。」

サガ「助かったよ、アイオロス。今、コーヒーを入れてくる。」

アイオロス「サガ!!」

芋を食べたらエッチという約束をはぐらかそうとして席を立ったサガの手を、アイオロスが掴む。

アイオロス「サガ。芋を全部食ったらって約束だぞ。」

サガの顎に手を添えて唇を開かせると、唇を重ねた。

サガ「・・・ン・・・ッ・・・・。」

アイオロスの舌が歯の裏側を擦り、口腔内をなでさする。

アイオロス「(やった!!今日は、いける!!)」

アイオロスは、手をサガの腰に回し抱き寄せながら、サガの舌を絡め取る。舌と舌が絡み合う音を聞きながら、アイオロスはサガの雫を零さぬよう、飲み込んだ。

アイオロス「サガ・・・・。今日は芋の味がする・・・・・。」

サガ「・・ハ・・・ァ・・・。さっきまで・・・芋を食べていたからな。」

アイオロスは自分のキスで瞳と頬が潤み始めたサガの耳元にキスをしながら、右手でローブの裾を捲し上げる。

サガ「・・・・駄目だ、アイオロス。」

アイオロス「今更何を言ってるんだ、サガ。」

サガ「やっぱりやめよう。」

アイオロス「どうした?」

アイオロスが眉を潜めながら顔を上げると、サガの真剣な眼差しを捕らえた。

サガ「さっき芋を食べたばかりだろう。」

アイオロス「だからどうした?」

サガ「昨日の夕飯も芋だったんだ。」

アイオロス「だから?」

サガ「朝も芋を食べた。」

アイオロス「それで?」

サガ「さっきも芋を食べただろう?」

アイオロス「ああ。」

サガ「なんだか、嫌な予感がする・・・・。尻に挿すのは・・・・危険だ。」

サガの手が腹をナデナデしているのを見て、アイオロスは冷や汗を垂らした。

アイオロス「・・・そうだな。今日はやめよう。明日は?」

サガ「明日も3食、焼き芋だ。」

アイオロス「じゃ、明後日は?」

サガ「明後日も焼き芋だ。」

アイオロス「その次ぎも?」

サガ「ああ・・・・。しばらくは、焼き芋だな。」

アイオロス「そんなーーーー。」

双児宮の芋がなくなるまで、カノンが白羊宮で食事をする為に不在になったはいいが、アイオロスはサガとエッチが出来ぬまま、毎日二人で芋を食べつづけ、芋味のサガのキスだけで我慢したのであった。


end