新!俺の仕事 その2

 

だからぁーー、兄貴はずっと家にいて、観察するようなこともないんだよ。兄貴はずっと家にいる!って書くと怒るくせに、ジジィいい加減にしろ!!←余はピチピチの18歳である
しかも、朝夕の散歩まで増やしやがったな、ふざけんな!!←お前達のためじゃ
ジジィは報告のついでに、また海闘士の話しを聞きたがった。っていうか、海闘士の話を聞きたいだけで、兄貴の観察はついでなんじゃねーのか?←お前は存在自体が”ついで”じゃがのぅ
俺は、仕方なく『本当のシードラゴンは一体誰?』を話してやった。ジジィはつまらなさそうだった。ジジィはエロ話ししか興味がないようだった。←お前の話がつまらぬのじゃ。

 

11月5日(月) 晴れ

俺が教皇の間から戻ると、アイオロスはもう既に兄貴に引っ付いていた。←いかんのぅ
えーっと、朝夕、兄貴を散歩させなくちゃいけなんだっけ?まぁ、今日の夜からでいいか。面倒くさい。←きちんと散歩させぬか
今朝は早起きしたので、俺はそのまま昼寝をしようと思ったが、アイオロスの兄貴を呼ぶ声がうるさくて眠れなかった。俺がアイオロスにうるさいと怒鳴ると、奴は、
『なんだ、ヤキモチをやいているのか?カノンは可愛いな!』←図星であろう
と俺の頭をまた撫でた。くっそ、まじでこの男むかつく。俺のほうが年上だってーの!!俺は、アイオロスに蹴りをいれて、テラスで昼寝をした。
夕方になって俺は、兄貴に教皇命令の散歩の話しをしたが、兄貴は外に出たくはないと我侭を言った。兄貴も教皇命令には逆らえない。しかし散歩をするなら、、人が少ない夜がいいと言った。
そんなに人と接するのが嫌なら、どっかの無人島にでもいけよ。←その際はお前も一緒じゃ

夜の8時になって、兄貴はやっと重い腰を持ち上げた。兄貴の散歩にアイオロスもついていこうとしたので、奴の髪の毛を掴んで、兄貴だけを散歩に行かせた。兄貴がフラフラと階段を下りていったのを確認し、俺はアイオロスを引きずって部屋に戻った。ったく、こいつが一緒にいったら、兄貴に抱きつきっぱなしで散歩にならないだろうが!!!←別によいではないか
っていうか、とっとと帰れよ!

兄貴が散歩に出かけてから1時間が経過したが、帰ってこなかった。1時間で帰って来いって言ったのに、どこをほっつき歩いてるんだ。いい加減、兄貴が帰ってこないと、鶏が双児宮から出ていかないんだよ!!←実力行使で追い返せばよいではないか
更に2時間がたっても兄貴は帰ってこなかった。これって、家出?←かものぅ
きっとアイオロスがいつもくっついいるのが嫌になったんだな。それで家出だ。俺は思わず心の中でアイオロスに感謝した。兄貴がいなくなれば監視生活からおさらばだもんな。←本当は心配だったのであろう

アイオロスは、まったく帰ってくる様子がない兄貴を心配し、
『どこかで黒くなって苦しんでいたらどうしよう。』とか、←あり得るのぅ
『黒くなって教皇を殺しに行ってたりしたらどうしよう。』とか、←返り討ちじゃ
『どぶにはまって身動きがとれなくなって泣いていたらどうしよう。』とか、←あり得るのぅ
『足を踏み外して崖から転落してたりして、泣いていたらどうしよう。』とか、←あり得るのぅ
『双児宮がどこにあるか分からなくなって、迷子になって泣いていたらどうしよう。』とか、←あり得るのぅ
『おいしお菓子があるよ、とか言われて変なやつに連れ去られたりして、泣いていたらどうしよう。』とか、←あり得るのぅ
『拾い食いして、腹が痛くて泣いていたらどうしよう。』などと言いながら、部屋をウロチョロウロチョロと歩き回っていた。

馬鹿かこいつ。兄貴を幾つだと思ってるんだ。しかし、間抜けな兄貴のことだから、どぶにはまって身動きがとれなくなっている可能性はあるな。
俺がアイオロスを無視して雑誌を読んでいると、奴がいきなり叫び始めた!!

『うおぉ、大変だ。あいつは可愛くて美人だから、こんな夜中に外にだしたら、飢えた雑兵に茂みに連れこまれて襲われる!!』

は?誰が美人で可愛いだって?雑兵に襲われる??
一体どこの兄貴のことを言っているんだ、こいつは。すくなくとも、双児宮で俺と一緒に暮らしている兄貴のことじゃないよな。←アイオロス脳内のサガであろう
そんな兄貴が世の中に存在するなら、お目にかかってみたいもんだ。

『はぅっ!!しかも、雑兵どもに輪姦されていたりなんかしたら・・・・・・。』

黄金聖闘士が雑兵に輪姦か?←あり得ぬ

『うおぉ!!監禁されて、縛られて、犯されて奴隷にでもされていたら・・・・。やっぱり一人で行かせるんじゃなかった。カノン、サガを救出に行くぞ!!』

アイオロスは俺の腕をいきなり掴むと、光速で十二宮を駆け下りていった。馬鹿かこいつは。それは全部お前が兄貴にしたいことだろうが!!←その通り
勘弁してくれよ、兄貴の捜索ならアイオロス一人で行けよ。アイオロスはあてもなく、兄貴を探し始めた。
うげっ、寒い。部屋着のまま連れ出された俺は、外の寒さに凍えそうになった。いつも上半身裸か、プロテクターだけの半裸族のこいつは、寒さを感じないのだろうか。謎だ。←神経まで筋肉なのであろう

方々を探し回った俺達は、闘技場のそばの丘の上にいる兄貴を発見した。兄貴は木に寄りかかり、体育座りをして口をポカーンと開けながら空を眺めていた。
あーあ、魂抜けちゃっているよ。はははっ、これのどこが可愛くて美人なんだかな。ただの間抜け面にしか俺には見えない。←アイオロスは目が腐っておるのじゃ
兄貴は星をボケッと見ていて、すっかり帰るのを忘れていたらしい。馬鹿だ!

『お前は何を考えているんだ、この馬鹿!こんなに身体が冷えてるじゃないか!!』

アイオロスは兄貴に怒鳴ると、どさくさに紛れて兄貴を抱きついた。
っていうか、お前のほうが絶対に寒いってーの!!

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:6回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:3回
報告:兄貴は物思いにふけるのが大好き。散歩に出すとはいかいするので、散歩は中止。←徘徊

 

11月6日(火) ちょっと寒い

昨日は馬鹿兄貴のお陰で、最悪だった。もう散歩はやめだ、やめ。
・・・・でも、ジーサンにばれたらまた叱られるか。仕方なく俺は、兄貴を連れて双児宮を出た。
そして、兄貴をちょっと散歩させると手を引っ張り帰った。さんぽ完了!楽!←散歩ではないな

アイオロスは教皇の執務の当番にもかかわらず、わざわざ双児宮までおりてきて朝飯を食っていった。
今日も、朝の抱擁とキスをされそうになったので、俺は蹴りを入れてアイオロスを兄貴に押し付けた。←本当はばっちりチュ〜したのであろう
そういえば、こいつに教皇の補佐なんて勤まるのかよ。邪魔なだけなんじゃないのか?←役立たずじゃ
っていうか、本物のアイオロスを見て、心底疑問に思う。なんで、こいつが次期教皇なのか。兄貴のほうが絶対にむいてるって!俺のほうがジーサンよりも人を見る目があるよな。13年前の俺の言ったことは正しかったのだ!!←サガよりましである
こいつもジーサンも殺されて正解!!←不正解じゃ

ということで、今日は次期教皇殿が家に入れないように、鍵をかけておいた。
夕方になって兄貴が飯を作っていると、玄関の扉をドンドンと叩く音が聞こえた。俺は兄貴に自分が出るから飯を作ってろ、と言って玄関の扉を開けた。案の定、アイオロスがそこに立っていたので、俺は、兄貴は今晩は出かけていていないから帰れ!と言った。
俺がそのまま扉を閉めようとすると、物凄い力で扉を引っ張られ、

『ウソを付くな!サガの匂いがする!』

と、言って奴は人の家に勝手に入っていった。兄貴の匂い?俺と一緒だろ?なんだよ、兄貴の匂いって。←お前は磯臭いのぅ
しかも、奴は兄貴に『ただいま!』と言って、また抱き着いていた。何が、ただいまだ!!お前の家じゃないだろうが!!←その通り

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:3回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:2回
報告:さんぽはちゃんとやってます。←怪しいのぅ

 

11月7日(水) 昨日よりも寒い

兄貴は今日は出勤だ。教皇の所まで行くのに外を歩くので、今日は散歩はなし!
相変わらず、教皇の仕事の日は鬱!眉間の皺はバリ5だ!←いかんのぅ
兄貴は飯も食わずに出かけようとすると、アイオロスに無理矢理ダイニングに連れて行かれて、座らされた。
仕方なくコーヒーだけを飲んでいた兄貴は、アイオロスがフォークにスクランブルエッグを取って無理矢理口に運んでいた。しかし、兄貴はそれでも食べたくないと言って拒んでいた。
そして、俺は朝から凄いものを目にする事になった。

飯を食わない兄貴に、なんとかして飯を食わそうとしたアイオロスが、とんでもない行動にでたのだ。奴は、まったく我侭なやつだな。と言って、自分の口に飯をふくむと、兄貴の顔をグググッと無理矢理自分の方に向けて、顔を重ねたのだ。

これって口移し!?←その通り

兄貴は突然のことに目を白黒させたまま、口に移されたものを吐き出さないようにアイオロスに口を押さえられ、そのままそれを飲み込んだ?。
っていうか、今の食ったのか・・・?確かに、兄貴の喉がごっくんと動いたのを、俺は見た。←汚らしいのぅ

兄貴はアイオロスの顔面に怒りのパンチを入れ、フォークを奪って飯を食い始めた。そして、また耳と頬が赤くなっていた。しかも、フォークを持つ手がちょっと震えていた。きっとあんなことをされて、怒ってるにちがいない。←動揺しているのであろう

気持ち悪い・・・。俺は吐きそうになった。朝からあんなキショイもの見て、俺の食欲がなくなってしまった。

その後、アイオロスの変態行為のせいで、珍しくしっかり朝食を食べた兄貴は、仕事へと出かけていった。
兄貴が出勤しても、鶏が双児宮から帰らないので、俺は

『てめぇ。人ん家にいるなら、家事しろよ!!でなければ、出ていけ!!』

と、命令した。どうせ、こんな無骨でがさつな奴にそんなことができるはずがない。これで鶏が帰ると思ったが、奴は分かったと頷くと、掃除やら、洗濯を始めた。また作戦失敗だ。←そんな事は下の者にやらせておけばよいのじゃ
馬鹿な兄貴なら簡単に俺の作戦に引っかかるのに・・・。くそっ、こいつのことをよく知らないからいけないんだ。ってーか、知りたくもないけどな。

まぁいい。こんな馬鹿はほうっておこう。俺は、やっと兄貴の観察から解放されたので、そのまま遊びに出かけることにした。

ちなみに、仕事から帰ってきた兄貴は、もちろん鬱だった!!しかも朝からアイオロスのよだれ味のスクランブルエッグを食わされたせいで、いつもよりも鬱度がたかかった。

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:4回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:1回
報告:兄貴は口移しで飯を食う変態。←いかんのぅ

 

11月8日(木) まぁまぁ寒い

今日も朝からアイオロスだ。朝飯を作っている兄貴に抱きついて、ヘラヘラとスケベな顔をしている。昨日の教皇補佐の仕事からあまり機嫌が良くない兄貴に、アイオロスは怒鳴られていた。

『アイオロス!鬱陶しいぞ。』

『照れるなよサガ。』

『いい加減にしてくれ!』

『嫌だ!私はもうお前をアイツの取られたくないんだ。』

アイオロスも頑として腰に回した手を放さなかった。っていうか、アイツって俺?俺は兄貴を取ったつもりねぇぞ。のしをつけてくれてやる。←ほうほう、では余が頂くかのぅ

『アイオロス・・・・。』

兄貴が朝食を作る手を止めて、アイオロスの手に重ねた。げっ!昼メロモードだ!!デカイ男同士でキショイからやめろ。←暑苦しいのぅ

しかし、俺は見てしまった。兄貴に抱きついていたアイオロスの腰が前後にぴくぴくと動いたのだ。
う、動いた。兄貴にギュッと抱きついたまま、兄貴の尻に叩きつけるようにして、動いた!!
あいつ、言っている事と身体の動きが違うじゃねぇか。
結局、腰が動いたアイオロスは兄貴に顔面と鳩尾にパンチを食らってピヨっていた。馬鹿なやつめ。

俺が兄貴をさんぽに連れて行ったあと、リビングでダラダタしていると、教皇の呼び出しを食らった。

『おぬし。サガの散歩はどうした?』

『へ?俺はちゃんとさんぽしてるぜ。』

『嘘を申す出ない。サガとおぬしが白羊宮を通っておらんと、ムウから報告を受けておる。いったいどこへ散歩にいっておるのだ、この馬鹿者!!』

『だから、一歩、二歩、三歩って、散歩させてます!』←古典的なことをするでない

俺は教皇に殴られた。くそっ、俺にいちいち変な仕事やらせるなよ。結局、一日2回1時間以上の散歩を、しかも白羊宮から下に必ずでることを言われ、俺はジジィの宮から解放された。ムウのやつ、教皇に余計なこと言いやがって、覚えてろよ!!←ムウはかわゆいのぅ

俺が階段を下りていると、カミュとミロがラブラブモード炸裂で宝瓶宮の階段を下りていた。どうやら、今日はミロの誕生日でこれから二人でラブラブデートらしい。
はぁ、ここでも巨大な男がイチャついてるよ。本当に十二宮ってホモの巣窟だな。←聖域自体がホモの巣窟である

因みに、ミロから聞いた話がだ、兄貴からの誕生日プレゼントは難しい本だったらしい。天蠍宮のゴミの一部になること間違いなし!←いかんのぅ

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:4回(俺の不在時のカウントなし)
アイオロスが兄貴に殴られた回数:3回(うち一回はピヨった)
報告:抱き着いても殴らないが、腰を動かされるのはだめ。

 

11月9日(金) 曇り

俺は朝6時に兄貴に散歩に行くぞと言われて、起こされた。散歩?なんでこんな早い時間から散歩なんだよ。兄貴は老人かってーの。はぁ、今日からちゃんとした散歩に行くなんて言わなければよかった。←人に会いたくなくば4時じゃのぅ。

『あー、勝手に行って来い。』

俺は、ベッドの中から手を出して兄貴を追い出した。兄貴は、分かったと言って出ていったが・・・・・・、やっぱり着いて行くことにした。またムウにちくられたら、ジジィに何されるか分からない。

そういえば、アイオロスは今日はまだ来てない。なるほど、この時間帯にはまだあいつも寝ているのか?アイオロスの声がしないっていいな。うん、うん。←筋トレ中であろう
俺は兄貴に適当に散歩をさせ、光合成をさせてから双児宮に戻った。俺たちが朝食を食っていると、またアイオロスが現われた。相変わらず兄貴にベッタリ。

昼頃、なんと1ヶ月の監禁生活から戻った、アフロディーテが家に来やがった。もちろん、家になど入れてやるものか、このオカマ!!
しかし、玄関先で兄貴に謝りたいとピーピー泣き叫んでいた。そして、兄貴に何もしないと約束をさせたアイオロスに首根っこを捕まれ、兄貴の前に引きずりだされた。
アフロディーテは兄貴の膝にすがりつきながら、

『サガ、ごめんなさい。ごめんない。もう二度としないから、アフロを嫌わないでぇ!!』

と、ワンワン泣いて謝っていた。

兄貴はアフロディーテの姿を見ると、一瞬顔をしかめたが、『もう気にしてない。』『黒くなった自分にも責任があるから・・・。』『お前のほうこそ尻は大丈夫なのか?』とかと言って、奴の頭を撫でていた。

兄貴は嘘つきだ!本当はばりばり気にしているくせに、兄貴のこういうところが大嫌いだ!反吐がでる!!こんなオカマ、即効で異次元送りにしてやれ!!←相変わらず偽善者であるのぅ

兄貴に許して貰ったアフロディーテは、それでもグズグズと泣きながら家を出て行った。
しかし、双児宮の出口で、アフロディーテが

『ふっ!チョロい!』

と、言って髪を掻き揚げながらニヤリと笑っているのを俺は見てしまった。

あのオカマ、全然懲りてない!!まじで、いつか殺す!

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:8回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:3回
報告:アフロディーテはあと4、5ヶ月の監禁が必要。ジーサン、奴をもっと監禁しておけ!←ほうほう

 

11月10日(土) ほどよく晴れ

今日も散歩。双児宮で仕方なく飼っているペットの散歩は大変だ。
まず、うちのペットは散歩の時間が早い。なんと朝6時から散歩をせがんでくる。しかも、その時間をどこでかぎつけてきたのか、野良鶏がうちのペットの尻を追っかけてくる。
この野良鶏は発情期なのか、我が家のペットに抱きついて、交尾体制をとって離れない。所構わずだ。
もちろん、夜の散歩のときも、この野良鶏はついてくる。
『コケーーッ!!コケッ!コケッ!コケッ!』
と鳴いてうるさい野良鶏だ。うちのペットはちょっと抜けているので、後ろから抱きつかれても構わず散歩を続けている。
途中で休憩をとるために休んでも、野良鶏はうちのペットに擦り寄って離れない。交尾したくてたまらないという感じだ。そのうち、羽を広げて無理矢理乗っかるんじゃないかと思う。
たまに、嫌がられパンチを食らうが、野良鶏はそれでも懲りずに尻を追い掛け回す。

そんな1日2回の兄貴の散歩は大変だ。←きちんと報告せい

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:8回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:4回
報告:野良鶏は発情期。

 

11月11日(日) 今日も晴れ

今日は安息日。俺の安息日は一体いつ来るのだろうか。
最近、思う事だが、やっぱり兄貴とアイオロスはできているにちがいない。兄貴はアイオロスに抱きつかれても、あまり抵抗しないしな。←昔からデキておるわ

兄貴は今日も、アイオロスにベッタリくっつかれていた。相変わらずそんなことを気にしていないようで、ソファに座って本を読んでいる。アイオロスは兄貴の膝の上に頭を乗せて、本を読んでいた。
え?こいつが、本なんて読むのか?嘘だろ?こいつ、絶対文字読めなさそうだもん。きっと鶏語が書いてある本に違いない。←腐っても次期教皇である

コケコケコケッ!コケーーーーー!コケッ!コケッココ!

こんな感じだなきっと。

兄貴は、自分のコーヒーが無くなるとアイオロスに構わず席を立ち、新しいコーヒーを3人分持ってきた。
再びソファに座った兄貴の膝の上に、アイオロスは頭を乗せて本を読みはじめた。
俺は、兄貴が持ってきたコーヒーを持ってキッチンに移動し、それを捨てた。
このコーヒーには、さっき俺がタバスコと塩をたっぷりいれたのだ。こんなもの飲めるか!←食べ物を粗末にするでない

俺は、そろそろ『カノン特性スペシャルコーヒー』を飲むであろう兄貴達の様子を影から窺った。

兄貴は本を読む手を止めてコーヒーを口に運ぶところだった。口に含んだ途端、兄貴の口からコーヒーが零れ落ち、さらに傾いたコーヒーカップからコーヒーが零れる。

『あちぃーーー!』

それが膝の上にいたアイオロスの顔にかかると、奴は悲鳴を上げて勢いよく上体をおこした。

『うおぉーーー!』

その拍子に兄貴の手に頭をぶつけ、兄貴の持っていたカップが手から落ちてアイオロスの頭と兄貴の体の上に零れた。兄貴達は熱い!熱い!といって大騒ぎをしていた。馬鹿な奴らだ。

アイオロスが兄貴に抱きついた回数:9回
アイオロスが兄貴に殴られた回数:4回
報告:カノン特性スペシャルコーヒーは効果抜群!

明日は教皇に報告する日だ。俺にも安息日くれ!!
アフロディーテはもっと監禁が必要なので、一生監禁してやってくれ!

 

アイオロスは目に余るのぅ。まったく仕事をしておらぬではないか。
双児宮に居座りつづけるようであらば、教皇命令で追い出すかのぅ。公私混同甚だしすぎじゃ。
引き続き、散歩はきちんとするように。

教皇 シオン


End