俺の仕事10(絶体絶命!俺の×××!)

 

くっそ!ジジィのやつ、俺の聖衣の書物だけ隠しやがったな。白羊宮で飯を食ったからって、人を石化してんじゃねーぞ!!とっととくたばれ、この妖怪!! ←あと300年は死なぬわ。

取りあえず、俺は今週のマリーナ『スキュラのイオ。実は俺、獣が好きなんです。』を話して聞かせてやった。エロジジィは獣の話も好きらしい。←海底は乱れておるのう

 

9月18日(月) 晴れ 

はぁ、今週も兄貴の観察か、うざい。
俺は、教皇の間から退出すると即効で双児宮へと戻った。兄貴を病院へ連れて行くためだ。兄貴の奴、やっぱり喋るヘッドを諦めておらず、今朝も早くから起きてヘッドを眺めて、喋りかけていた。←諦めが悪いのぅ

病院へ行った兄貴は、聖衣が喋ることをカウンセラーに言うと、カウンセラーは驚いていた。兄貴のストレスがMAXになって、幻覚でも見たのだろうと言った。まっ、普通はそうだろうな。特に、こいつらは聖闘士じゃないから、信じられないんだろうな。←聖闘士でも信じぬわ
俺が、医者に事情を説明すると、

『そういうことでしたら、アリエス様にお聞きになられたほうがよろしいと思います。私たちの専門は人間ですから。』

と言った。ムウなんかに聞けたら、兄貴だってこんなに悩まないってーの!
結局兄貴は、先々週、先週と引き続いたジジィの嫌がらせのせいで、せっかくよくなっていた症状も元に戻ってしまったらしい。
表には出てないが、かなり心労MAXらしい。表に出ない時が一番危ないとか・・・・。
兄貴は取りあえず、カウンセリングを受けて病院を後にした。

兄貴は結局、羊の棲家に行くくらいならばと、聖衣のことをやっと諦めた。

その後、家に帰った兄貴は書斎にこもって何かをしていた。俺が覗くと、兄貴はカードを書いていた。
どうやら、明日はシャカの誕生日らしい。そうか、あいつにも誕生日なんてあるんだな。

眉間のしわ:3本
報告:羊の巣窟にいくほど馬鹿じゃない。

 

9月19日(火) 晴れ

兄貴は今日は出勤。朝から、眉間のしわがいっぱいだ。きっと、ジジィの顔も見たくないに違いない。
兄貴の様子を心配したアイオロスが迎えにきた。今日の当番はアイオロスとらしい。お迎えつきの出勤か?

兄貴はアイオロスに連れられ、シャカへの誕生日プレゼントとカードを持って出かけていった。
恐らく、行きにシャカに渡してから行くのだろう。しかし、あんなしけた面をしたやつから、プレゼントなんてもらったって嬉かないだろうな。←乙女は拝まれれば喜ぶであろう。安上がりである。

夕方、デスマスクが双児宮に現れた。処女宮でシャカ誕生日大宴会があるから来ないかということらしい。
なるほど、宴会か。俺は、シャカの誕生日プレゼントの代わりに、マリーナ仕込みの海の男の魚料理を作って、宴会に参加した。俺が出かけるのと入れ替わりに、兄貴が双児宮に戻ってきた。兄貴は、宴会には参加しないらしい。

眉間のしわ:5本
報告:人がたくさんいるところは好きじゃない。←ひきこもりか?

 

9月20日(水) 晴れ

俺は処女宮で目を覚ました。宴会に参加した何人かは、既に自宮に戻ってしまったようだ。
昨晩の宴会は大盛況で、みんなに祝ってもらい悦に入ったシャカもいつになく斜に構える角度が高かった。

俺は兄貴がリビングで本を読んでいるのを確認してから、風呂に入った。あの様子だと、今日は一日中本を読んでいるに違いない。
午後になって、兄貴が動き出した。兄貴は本を持って、散歩をしはじめた。
なんだか、老人みたいな生活をしてるよな・・・。←修行をせぬか

しばらく散歩をした兄貴は、木陰に腰を下ろすと本を読み始める。
んだよ、結局本を読むのか。だったらわざわざ外に出る必要もねーだろう!!
俺は、兄貴の隣に寝そべって居眠りをした。←仲がよいのぅ

しばらくして、俺は兄貴が外にでた理由が分かった。アイオロスが来たのだ。
アイオロスは兄貴の隣に腰を下ろして、兄貴と楽しそうに話していた。
もしかして、これってデートってやつ?俺、邪魔?きっと邪魔だな。←間違いなく邪魔である

兄貴もアイオロスも特に俺に何も言わないので、俺はそのまま寝転んでいることにした。
きっと、アイオロスも兄貴も本当は二人きりになりたいんだろうな。

俺たちは、夕方になると双児宮に戻り、飯を食った。兄貴が作った飯を食えたアイオロスは嬉しそうだった。んなもん、毎日食ってると飽きるぞ!
っていうか、なんでアイオロスまで一緒に夕飯を?←家族きどりじゃのう
やっぱり、兄貴とアイオロスはデきているに違いない。

眉間のしわ:3本
報告:兄貴とアイオロスは絶対に怪しい。

 

9月21日(金)

朝から書斎で仕事をしていた兄貴は、午後になって外に出かけた。

珍しく、十二宮を上にのぼった兄貴に、どこへ行くのかと尋ねるた。
兄貴はアフロディーテの所へ行くつもりらしい。
しかし、アフロディーテのところにいったい何の用があるのだろうか?

俺は双魚宮があまり好きではない。この宮はバラの香りに満ちて、むせ返る。このバラの香りに鼻がなれるまで、いつも時間がかかった。
兄貴は、平気なのだろうか・・・・それよりも隣宮のカミュは・・・・・。←香気が届く前に凍るのであろう

『サガ。待ってたよぉ。今日は、ローズティ?カモミール?ミント??どれがいい??』

兄貴は俺に説明してくれた。こういう、ハーブティや香りのよいものは、神経を落ち着けてくれるのだそうだ。アロマテラピーとかいうらしい。なるほど、兄貴は兄貴なりに、精神を落ち着けるために頑張っているということか・・・・。そして、兄貴は定期的にアフロディーテのところへ通っては、そういうことを教えてもらっているらしい。

俺達はバラ園の一郭で、お茶を飲んだ。真っ白なテーブルクロスの上には、ティーセットとマフィンやプチケーキが並べられていた。

兄貴はアフロディーテに特性ローズティを貰い、その香りを楽しんでいた。やっぱり、こういうのは精神にいいのだろうか?
俺もアフロディーテに兄貴と同じモノをもらい、飲んでみた。

くせぇ〜〜〜〜。ぷーーーんとバラの香りが匂ってきやがる。こんなもの飲んだらますます調子が狂う。

俺は、一息で茶を飲み干すと、手元にあったケーキやマフィンで口直しをした。これはなかなかの美味だ!!

アフロディーテは兄貴の向かいに腰をかけ、頬杖をついて上目遣いで兄貴を見つめていた。

『あらぁ〜〜〜。おかしいわね。いつもなら、そろそろなんだけどぉ〜。』

アフロディーテは小首を傾げながら席を立ち、いきなり兄貴の膝の上に向かい合わせになるように跨った。兄貴は茶を飲みながら遠い目をしていた。

アフロディーテは、兄貴の肩に両腕を回し、ボーーーーーっとしている兄貴にいきなり口付けをした。しかも、舌をつかったディープキスだ。
兄貴とアフロディーテの口からは、クッチュ、クッチュと舌が絡み合う音が聞こえる。兄貴は無抵抗というか、無反応だ。げっ、このオカマ、兄貴のお茶に何かいれやがったな?←薬であろうな

『んふっ・・・・・。』

アフロディーテが、熱い吐息ともに放した口は、兄貴の口と透明な糸で繋がっていた。うわぁ、まじですげーよ。アフロディーテが兄貴を襲っているよ。←病気に付け込んだ卑怯な手段であるな

アフロディーテは、俺を振り返りニッコリと笑いかけると、再び兄貴にキスをした。兄貴の表情は益々生気を失い、半目状態になっていた。
まさか、こいつ兄貴の生気を吸っているのか??妖怪は教皇だけにしてくれ。

兄貴とアフロディーテの口から、またもや舌が絡み合う音が聞こえてきた。次の瞬間、俺は信じられない光景を見た。

兄貴の表情が、見る見るうちに変わり、毛先が徐々に黒くなっていった。兄貴は、ブランと垂れ下げていた手をアフロディーテの腰に回し、力いっぱいアフロディーテを抱き寄せ、その唇を吸い、舌を絡ませて、アフロディーテに答えてた。

『アッ・・・・・・ハァ・・・・・・。』

アフロディーテから熱い喘ぎ声?が漏れ出した。

俺は、流石にヤバイと思い。手元にあった紅茶ポットを手に取ると、立ちあがった。今なら、兄貴の頭に一発いれれば、まだ間に合う。

しかし、俺は立とうとした瞬間にその場に崩れ落ちた。足や腰がいうことを効かない。ちくしょう、アフロディーテの奴、俺の茶にも何か仕込んだな。俺の身体は段々と痺れていき、声も出なくなった。←情けない

黒い兄貴はアフロディーテの肩越しに、俺を見て笑った。

黒い兄貴は、アフロディーテから無理やりその口を放すと、アフロディーテを膝の上からどけ、立ちあがった。
そして、黒い兄貴は倒れた俺の前に立ち、俺の腹を力いっぱい蹴り上げた。

 

・・・・・・・・・・そこからは、よく覚えてない。多分、俺は気を失ったのだと思う。多分・・・・・。

俺は、腰の痛みで目が覚めた。そこは、俺が先ほど倒れた場所だった。兄貴は・・・・・・兄貴はアフロディーテと話していた。お茶を飲みながら・・・・・。いつもの兄貴が、お茶を飲みながらアフロディーテと普通に話していた。俺は、夢を見たのだろうか・・・・?俺ってば、兄貴の病気でも感染したのかなぁ。なんだか、頭が朦朧とした。

『おい、カノン。起きろ。今日は、アフロディーテのところに泊まって行くつもりか?』

俺は、兄貴に声をかけられて我に返った。アフロディーテは俺を見て、クスクスと笑っている。やっぱり夢?
俺は腰を上げようとした、しかし、腰と・・・・尻が痛くて力がはいらなかった。なんで尻??めちゃめちゃ痛い。なんでぇ?←悩むまでもない

『なんだ、カノン。腰を痛めたのか?そんな硬いところで寝るからだ、まったく情けない。やっぱり双魚宮に泊まっていくか?』

俺は兄貴に家まで運んでもらうことにした。兄貴は深いため息をつくと、俺を軽々と持ち上げて肩にかついた。その瞬間、尻に激痛が走った。くそっ、もっと丁寧に扱え、馬鹿兄貴。

報告:兄貴が黒くなった原因はアフロディーテのせい!!!あのオカマ、ぶっころす!←厳重注意であるな

 

9月22日(土)

俺は兄貴にベッドに運んでもらい、そのままうつ伏せになって寝た。朝起きても、尻と腰の痛みは取れない。

兄貴は、俺の様子を見に来ると、ベッドに腰をおろし、俺の腰に手をあて始めた。兄貴の手から俺の腰に暖かい小宇宙が流れ込んだ。
兄貴は、堅い床の上でなど寝るからだ、みっとない、と言いながらヒーリングをしてくれた。
床の上で寝たくらいじゃ、こんなに痛くならねーって。今度、床の上で寝てみろ!!←その通り

俺は、兄貴に昨日のことを聞いてみることにした。

兄貴は、昨日はずっとアフロディーテとお茶を飲んでいて、俺は途中で居眠りをし始めたということだった。
昨日の俺は、「眠い」と言って、薔薇園の一角に腰をおろして寝始めるとそのまま熟睡したらしい。
兄貴はずーっとお茶を飲んでいたらしい。アフロディーテが作ってくれるお茶を飲むと、いつも気持ちが落ち着いて、リラックスできるらしい。←ほうほう

兄貴は、黒くなった時の記憶がないのか?もしかして、アフロディーテにキスされたことも覚えてない??
あのオカマ、兄貴をマインドコントロールしてやがるな。←幻覚作用の一種であるな

って、兄貴の奴、いつから双魚宮に通ってるんだ??

俺がたずねると、兄貴は2ヶ月前から通っていると言った。
2ヶ月前ぇぇぇ??
そういえば、6週間前くらいから兄貴が黒くなり始めたよな・・・・・。

っていうか、なんでそんなに通ってて気がつかねーんだよ。馬鹿!←気付いている余裕がなかったのであろう

はぁ、それにしても尻がいてぇ〜。

俺は、兄貴のヒーリングで腰の痛みはよくなったが、相変わらず尻が痛い。

俺の尻、どうしちゃったんだろう・・・。やっぱり・・・・。

『ど、どうした、カノン??』

枕に顔を預けて、物思いにふけっていた俺に、ヒーリングをしていた兄貴が突然言った。

どうしたって?だから、腰と尻が痛いんだってば。

『お前、泣くほど、腰が痛いのか?』

へ?泣くほどって?何が?

俺は、兄貴に言われ、自分の目から涙が出ていることに気が付いた。なんで、涙でてんだろう。←ほうほう、そんない悲しいか

 

9月23日(日)

俺は、朝起きると、そのまま痛む尻を抱えて病院へ行った。
なんか、兄貴の様子がおかしかったが、今はそれどころじゃない。←きちんとサガの様子を見ぬか。

医者は俺に便秘かと尋ねた。
そんなことはない、毎日ちゃんとお通じはある!!

俺は情けない格好で診察され、医者に一気に尻を元に戻された。その痛みは半端じゃなく痛い。俺は、尻に薬を塗ってもらい、やっと無様な格好から解放された。

帰りに、クスリをくれた医者は、

『こんどなさるときは、ちゃんと滑らかにしてからにしてくださいね。オイルとかいろいろありますから、相手の方にちゃんとしてもらったほうがいいですよ。』

と、サラリと言った。
俺はその言葉に唖然とした。恐るべし、聖域の医者。

俺は、帰り道医者の言葉を思い出した・・・。

はぁ、やっぱり、やっぱり、そうなのか・・・。

俺はそのまま部屋に戻って寝ることにした。飯もあまり食いたくない。

 

250年生きてきた教皇に、初めてお知恵を拝借したくなりました。俺って、やっぱり・・・・・。

 

黒くなったサガに掘られたであろう。ついでに魚も一緒に掘ったのかも知れぬぞ。二本挿しでは、肛門も破裂して当然であるな。
掘られたくらいで落ち込んでいては、聖域では生きては行けぬぞ。掘られて悔しければ掘り返す、これは基本である。
魚は厳重注意・処罰するので、連行してまいれ。

教皇 シオン


End