★白羊家の食卓(実りの秋 その2)
ミロ「どうするよ?」
シュラ「ヤりはじめたら頂くか?」
ミロ「4Pか?」
シュラ「俺はどっちか一人でもいいぞ。」
ミロ「ムウは超能力で逃げる可能性があるからな。」
シュラ「だったら、ミロ、お前が愚弟を捕まえろ、俺は羊をおさえる。羊に逃げられたら林間学校だ。」
二人が茂みで妄想をめぐらせている間、川に入ったカノンはもちろん股間を洗っているわけもなく、小宇宙を燃やして魚をとっていた。素手で捕まえた魚を川原のムウに投げること数回、カノンは川から上がって、ムウの向に腰を下ろす。
魚とキノコの焼ける匂いが川原に広がり、何も食べずに山を上ってきたミロの腹の虫をくすぐった。
ぎゅるるるるるるるる・・・・。
ムウ「隠れていないで出てきなさい!」
今まで折角気配を殺していたのに、ミロの腹の音でバレてしまい、シュラは観念して茂みから姿をあらわした。シュラに頭を殴られたミロは頭を押さえてうずくまっている。
カノン「何やってんだ、ゴラ!」
シュラ「散歩していたら、いい匂いがしたのでな。」
ムウ「ふ、私の焼きキノコにつられてやってきたのですか。」
カノン「ゴラァ、羊!簡単に騙されてるんじゃねぇ!コイツがこんなところを散歩するわけねぇだろが!。」
ムウ「・・・・、このキノコは私のですからあげませんよ。」
ムウは洗ったキノコが詰まった篭を超能力で引き寄せると、自分の背中の後ろに隠す。
シュラ「俺が欲しいのはそのキノコじゃなくて、お前のキノコだ。」
ムウ「だから、これは私のです。しつこいですね。そんなに欲しければ焼いてあげますから、自分で採ってきなさい。」
シュラが問答無用ではなったエクスカリバーを紙一重でよけると、ムウはキノコ刈り用にもってきた鎌を念動力で取り出し、すばやく身構えた。
ムウ「なるほど、貴方の目当ては、私の股間についたキノコですか。」
シュラ「そういうことだ、おとなしく俺に食われろ。」
ムウ「ふっ、貴方のしめじもザックリ刈ってあげましょうか。」
シュラ「何を言っている、俺のはベニテングダケだぞ、ムウ。」
ムウ「あなたのエクスカリバーほどではないですが、私の鎌もよく斬れますよ、ふふふふ・・・・。」
シュラとムウが対峙してにらみ合っている隙に、カノンは一人で難を逃れようと、慌てて靴を履き、その場から逃げ出す。
ミロ「待て、ゴラ!お前はムウを見捨てるのか!!」
茂みの中から突然現れたミロに行く手を阻まれ、カノンは頬をひきつらせた。
カノン「知らねーよ!聖闘士なら自分の尻は自分で守れって、いつもお前ら言ってるだろうが!どうして、このカノンさまが麻呂なんぞを助けなきゃいけねーんだよ!。」
ミロ「そうか。だったら、お前も自分で守れよ!。うりゃぁ!」
ニヤニヤとやらしい笑いを浮かべながら、突進してくるミロにカノンはあっけなくタックルで押し倒された。うつ伏せに押さえつけられ、しかも跨られてしまい、カノンは川原の上で溺れたようにバタバタと暴れている。
ミロ「弱い!弱すぎるぞ、海将軍!ぶははははっはは!!」
カノン「貴様それでも聖闘士か!下半身のために聖闘士の力を使うんじゃねぇ!」
ミロ「今日こそ、お前の尻を頂くぞ!ここじゃぁ、サガを呼んでも来ないからな!」
パンツを引き摺り下ろされ、尻にひんやりとした空気が当たり、尻に史上最大の危機を感じたカノンは必死に小宇宙を高めた。
カノン「ここへ来て、まとえ我が鱗衣よぉぉぉうぉ?!」
しかし、鱗衣を呼ぼうと声を出したはいいが、ミロに股間を握られ、気合が抜ける。掘られてたまるかと、大臀筋に力を入れても、今度は竿をこすられ、カノンは脱力した。
カノン「ぅおーーーー!助けろーーー兄貴ぃぃーーーーー!!」
シュラとミロは都合のいいサガの登場に身構えたが、カノンの叫びは川の流れる音に掻き消された。
ミロ「サガなら今ごろ、風呂だ、風呂!!」
カノン「おーのーーれーーーーー、馬鹿兄貴ぃぃぃぃぃぃぃ!!!。ヤメロ変態!俺は俺はホモじゃねぇ!!」
ミロ「カノンちゃんのお尻、いっただっきまーーーーす!。」
ミロはベルトをはずすと、パンツごとズボンを下ろし、既に準備万端の股間を手にとる。
カノン「ぅお?!やめろ!それどころじゃねぇ!?」
ミロ「何だ、今更命乞い、じゃなくて尻乞いか?」
カノン「火事だ!火事!火事だ馬鹿!」
ミロ「火事????」
ミロは嗅覚を研ぎ澄まし、眉を寄せる。確かに魚を焼くにしては煙の匂いが強すぎるのだ。
ムウ「シュラ、ミロ。森でタバコを吸いましたね。あなた達、タバコくさいですよ。」
ミロ「何だと?!お前こそ、森でキノコを焼いてたんじゃねぇのか?!」
ムウ「私はここで焼いてるんです!」
シュラ「おい、それどころじゃねぇ。こりゃやべぇぞ!!」
空を見上げると、真っ黒な煙が山の下へと流れている。風上にいたため、気付くのが遅れたらしい。
シュラ「おい、火消すぞ!このままじゃ全部燃えちまう!」
シュラはカノンの上に跨ったミロの首根っこを掴むと、光速で森の中の火災現場へ急行する。予想以上に広範囲に火が広がっているのを目にしたシュラは、これ以上火事が広がらないように、エクスカリバーで周囲の木々をなぎ倒し始めた。
ムウ「おや・・・・焼き栗がいっぱいですね。」
カノン「焼きキノコもいっぱいだぜ。」
シュラ「暢気な事言ってないで手伝え!。」
ミロ「そうだ、カノン!波おこせ!波!波で消せ!!」
シュラ「おう!その手があったか!!」
カノン「はぁぁ?!馬鹿かお前ら?!海がないのにどうやって波をおこすんだよ!」
カノンは焼きキノコをもぎゅもぎゅ食べながら、鼻で笑った。
ミロ「何だと、この役立たず!!こうなったら、スカーレット・タイフーンで吹き消したやるぜ!」
ムウ「何ですか?それ?」
ミロ「今、命名した、これだ!とぉーーー!」
ミロは両手を開き片足を高々と天にむけて上げると、ミロのまわりから竜巻が発生した。アンドロメダ島でアルビオレの抹殺に失敗した技である。
しかし、火は吹き消すどころか、風にあおられ、どんどん山に広がっていた。
ムウ「・・・・、火の粉が飛んでますねぇ。」
カノン「これは山火事を広げてるだけだな。」
シュラ「うぉ!火の勢いが止まらん!!!お前ら食ってないで手伝え!!」
カノン「てめぇらのタバコの不始末を俺に押し付けるんじゃねぇーよ!」
ミロ「お前もタバコ吸うだろが!」
カノン「ばーか!麻呂がうるせぇから、今日はすってねーよーーーー!」
ムウ「あーーーーあ、これはシオンさまに怒られますねぇ。」
ジャミール服のストールをはずし、その中に山火事で焼けた栗をあつめながら、ムウはスカして笑う。
カノン「あー、俺もうだめ、目がいてぇ。ちゃんと火の始末しとけよ!!」
ムウ「私もたくさん拾ったので帰ります。」
シュラ「バカヤロウ!お前達それでも聖闘士か!!!」
カノン「俺、海闘士!!」
ムウ「仕方ないですねぇ。この貸は高いですよ。」
長い睫の瞼を閉じて、ムウが小宇宙を燃やし始めると、ミロとシュラは何かが起きることに期待し、息を飲む。ムウは瞼をぱちりと開けると空を指差した。
ムウ「雨が降りますよ。」
シュラ「雨?」
ムウ「雨雲を念動力でここへ移動させました。もうすぐ雨が降るでしょう。」
ミロ「あ、なるほどね。」
ムウ「私とキノコとカノンは先に帰ります。さようなら。」
ムウがそう言い終わる寸前、焼きキノコを咥えていたカノンとムウ、そして川原に置かれた大量のキノコ、焼き魚、キノコのホイル焼きは姿を消した。
程なく土砂降りの雨が山を覆い、山火事は広がることなく無事鎮火した。
シュラとミロは誰かに見つかる前にこっそり山を下りたが、そうは問屋がおろさなかった。
雑兵と供に鎮火の確認に来たカミュが、エクスカリバーで切り倒された木々を発見したのである。
翌日、スニオン岬の岩牢の中で、ミロとシュラの叫び声が響いたのであった。
シュラ、ミロ「だせーーーーー!!!」