★子羊といっしょ(ライオンさんと必殺技 その2)
ムウとアイオリアがおいかけっこをして遊び始めると、アイオロスとサガは稽古に戻った。
しかし、拳を構えていたサガが突然目を剥いたのを見て、アイオロスは小首をかしげた。
アイオロス「どうしたサガ?」
サガ「・・・お前の弟、なにやってんだ?!」
振り返ったアイオロスは、サガが硬直した理由を知り、光速で駆け出した。
アイオロス「わーーーーーーー!何やってるんだ!アイオリア!!」
アイオリアはムウに後ろから抱きつき、前後に腰を動かしていたのである。しかもご丁寧に、ムウの着ていたキトンの裾をめくって、小さな尻に腰をパンパン叩きつけていた。
ムウとアイオリアを引き剥がすと、アイオロスはアイオリアの社会の窓があいていないことに胸をなでおろした。
アイオロス「お前、ガキのくせして10年早いんだよ!どこでそんなこと覚えてきたんだ!」
アイオリア「にいちゃんのまね!」
アイオロス「は?」
アイオリア「にいちゃん、サガなかしてるもん。」
ムウのキトンを直していたサガは、自分とアイオロスとの大人な関係をアイオリアに見られていたことを知り、顔を真っ赤にしてうつむく。弟が昼寝している隙に、アイオロスはしょっちゅうサガに襲い掛かっていたのだ。
アイオロス「あーーーーーー・・・アイオリア!いいか、それは兄ちゃんの究極奥義なんだ。だから無闇やたらに使っちゃいけないんだぞ。いざっていうときに使うんだ!。わかったな。」
アイオリア「きゅーきょくおーぎ?」
アイオロス「そうだ、大人になるまで使っちゃ駄目だぞ!」
アイオリア「うん、わかった!」
アイオロスは何度も頷く弟の小さな頭を乱暴になでると、サガの方を向いたが、サガは顔を真っ赤にしてプイと顔を背けてしまった。
サガ「だからいつも言ってるじゃないか!誰が見てるかわからないからやめてくれって。よりによってお前の弟に・・・・。」
アイオロス「大丈夫、大丈夫。あいつは全然わかってないって!だから、機嫌なおしてくれよサガ。」
顔を背けたサガが突然目を剥いたのを見て、アイオロスは小首をかしげた。
アイオロス「どうしたサガ?」
サガ「・・・お前の弟、なにやってんだ?!」
振り返ったアイオロスは、アイオリアがムウの肩をつかみ、唇を重ねているのを見て微笑んだ。
アイオロス「なんだ、キスくらい別にいいじゃないか。挨拶みたいなものだろう。」
サガ「挨拶するのに口を重ねるか、馬鹿!!!」
サガがアイオリアとムウを引き離すべく、慌てて駆け出すと、アイオロスもそのあとを追う。
しかし、二人が駆けつける前に、アイオリアが突然パタリと地面に倒れてしまった。
サガ「ムウ!!アイオリアに何をしたんだ?!」
ムウ「アイオリアがね、ちゅーってしたから、ムウもちゅーってしたの。」
アイオロスの腕の中で目を回しているアイオリアと、無表情のまま小首をかしげているムウを見比べ、サガは眉間に皺を寄せ、もう一度ムウに聞いた。
サガ「ちゅーでアイオリアが倒れるわけないだろう。何をしたんだ?怒らないから、正直に言うんだ。」
ムウ「ムウうそついてないよ。きょうこうさまみたいにね、ちゅーってしたの。」
そういうとムウは、自分の目の前にしゃがんでいるサガの頬に小さな両手をあてがい、サガの唇に自分の唇を重ねた。突然のことにサガは呆然とし、しばらくムウとキスをしていたが、それに気付いたアイオロスが、弟を小脇に抱えたまま、あわててサガからムウを引きはなした。
アイオロス「いいか、ムウ。サガは俺のだ。だから、サガにチューはやっちゃだめだぞ。」
ムウ「はーい。」
アイオロスはムウの頭を撫でると、しゃがんだまま口を押さえているサガに声をかけた。
アイオロス「どうしたんだ、サガ。」
サガ「・・・いや、なんでもない。」
アイオロスから背けたサガの顔は、真っ赤に染まっていた。ムウからキスを貰った際に、ムウの小さな舌が、サガ舌の上を撫で回していたのである。アイオリアを倒した技は、シオンの直伝のディープチュウであった。
夕方の礼拝から戻ってきたシオンは、アイオロスから返却された、土と埃だらけのムウを連れて風呂に入った。
湯船に浮かんだ自分の銀色の髪で遊んでいるムウを抱き上げ、シオンは小さな尻をじーっと眺めて、しばらく悩む。そして、綺麗にあらったばかりの柔らかい尻に、何度も口付けすると、ムウを向かい合わせに、膝の上に座り直させた。
シオン「今日はアイオロス達と何をして遊んだのじゃ?」
ムウ「きょうはアイオリアと、サガごっこをしたのです。」
シオン「サガごっこ?」
ムウ「ムウが『ぎゃらくしゃんえくすぷーしょーん』ってやると、アイオリアが『あとみっく!』ってやって、おほしさまがキラキラキラーってして、アイオリアがどーんって、むこうにとんでいったのです。」
お湯をパチャパチャとはねさせながら、ムウはサガのギャラクシアンエクスプロージョンの真似をしてみせた。
シオン「ほうほう、アイオロスの弟を吹き飛ばしたのか。」
ムウ「でも、サガごっこは、あぶないからやっちゃいけないって、サガがいったのです。」
シオン「それでは何をして遊んだのじゃ?」
ムウ「サガごっこができないから、ムウはシオンさまごっこをして、アイオリアをたおしました。」
シオン「余の真似をしたと申すか。」
ムウ「はい、アイオリアがちゅーってしたから、ムウもシオンさまみたいにちゅーってしたら、サガもアイオリアもげんきなくなっちゃいました。」
シオン「ちゅー?何じゃ、その技は?」
ムウは濡れた手をシオンの頬に当てると、桜色の小さな唇を「ちゅー」と言いながら、シオン唇に重ねる。そしてシオンは、侵入してきたムウの小さな舌を自分の舌で絡めとり、ムウの口内を何度も嘗め回した。
唾液の糸を引きながら口を離すと、シオンはぽーっとしているムウの口の回りを、手で湯をすくい、きれいに洗い流した。シオン「よいか、ムウよ。これは技ではない。」
真剣な顔付きのシオンに、ムウは目を瞬かせる。
シオン「これは余としかやってはならぬ。よいな。」
ムウ「はい、かしこまりました。」
ムウはそういって頭を下げると、シオンは濡れた薄紫の頭を優しく撫でた。
一方その頃アイオロスは、アイオリアを連れて風呂に入っていた。
アイオロス「お前、なんでムウにちゅーなんてしたんだ。ムウが好きなのか?」
アイオリア「にいちゃんのまね!」
アイオロス「は?」
アイオリア「にいちゃん、いつもサガにちゅーってして、サガくるしそうだもん。」
アイオロス「あーーーーーー・・・アイオリア!いいか、それは兄ちゃんの超必殺なんだ。だから無闇やたらに使っちゃいけないんだぞ。いざっていうときに使うんだ!。わかったな。」
アイオリア「ちょーひっしゃつ?」
アイオロス「そうだ、大人になるまで使っちゃ駄目だぞ!」
アイオリア「うん、わかった!」
アイオロスは何度も頷く弟の小さな頭を乱暴になでると、「ヨシ!」と小さくガッツポーズをとったのだった。