ミロたんと一緒(冥界編 男として認めん!!)

 

思慮深いことは結構だ・・・
しかし目の前で
同胞が殺されているのを見て
何の行動も起こせないような奴は・・・

もはや
男として認めん!!

 

ハーデス城に女神の躯を抱いたサガ達が現われた頃・・・・。

あっという間にハーデス城に到着した一行は、律儀にも城門の前に降り立った。その巨大な扉は硬く閉ざされ、来るものを拒んでいる、のは当然であった。

先頭にたったアイオリアは中に入るべく、その門戸に向けて拳を構えた。するとその手を、ムウが掴む。

ムウ「待ちなさい、アイオリア。」

アイオリア「何をするんだ、ムウ。」

ムウ「さっきから何度言わせれば気が済むのですか?」

アイオリア「はぁ?」

ムウ「むやみに拳を放つのはよしなさいと言っているのです。」

アイオリア「何を言っている。この扉を壊さねば、中へ入る事ができないだろう!」

ムウ「なんのための聖闘士の力なのですか。そのようなもの、瞬間移動を使えば容易いでしょう。」

ムウは瞳を閉じ、小宇宙を僅かに高めた。

ムウ「おや?」

首を傾げ、ムウはさらに小宇宙を高める。

ムウ「およ?」

ミロ「あのさ、ムウ。ギャグやってる場合じゃないんだけど。多分、ここはハーデスの結界の中だから、お前の得意の超能力も駄目なんじゃん?」

ムウの肩に手をおき、ミロが諭すように言う。

その様子にアイオリアは鼻で笑った。

アイオリア「ふっ、ムウはこの辛気臭い結界も分からないのか?お前こそ、もっと物事を考えるんだな。自分の力を過信しすぎるのは、どうかと思うが・・・。」

拳を構え、アイオリアは再び門戸と対じした。

むかっ!

こう言われては、後には引けないムウは、門戸を破壊しようとするアイオリアの手を掴んだ。

ムウ「お待ちなさい。先程から言うように、力で解決するのはよくないといっているではありませんか。」

アイオリア「ほうっ、では次はどうするのだ?、ムウ。お前のお得意の超能力も、このハーデスの結界では無力だぞ。」

ムウ「ふんっ、だいたいですね。人の家を訪ねようという時に、勝手に扉を壊すなど礼儀知らずもいい所。」

ミロ「はぁ?いえぇぇ?」

アイオリア「だったらどうするんだ?」

ミロ「(おいおい、本気で相手にすんなよ、アイオリア!)」

ムウ「ふんっ、野蛮な貴方には想像もできないことですよ。」

ムウの言葉に、アイオリアとミロは息を呑み、次の行動を見守った。

ムウはゴホンと咳払いをすると、門戸の真正面に立ち、顎を上げ見上げた。

ムウ「ごめんください。」

アイオリア「ライトニングッ・ボルトォッ!」

アイオリアの一撃で、巨大な扉は粉々に吹っ飛んだ。それを見て、ムウは膨れた。

ムウ「ったく、野蛮な・・・・。待っていたら衛兵が開けてくれたのに・・・。」

ミロ「あのさ、ムウ。アイオリア相手に意地になるのやめろよ。」

ムウ「はぁ?意地になんてなっていませんよ。」

アイオリア「ほらっ、何をグズグズしてるんだ。行くぞ!」

ムウ「グズグズゥ〜〜〜!?!?どうせ、私は女みたいにグズグズですよっ!!」

さらに頬を膨らませてムウを見て、ミロはもう何を言っても駄目だと思った。

 

シュラが、パンドラの後ろを取りエクスカリバーを高々と天にあげている頃・・・・。

ようやくハーデス城に乗り込んだ一行は、案の定迷子になっていた。

ミロ「おいちょっと待てよ、アイオリア。どこに行くんだ!」

アイオリア「サガ達のところに決まっているだろう。」

ムウ「女神を探すのが先でしょう、アイオリア。」

アイオリア「だから、その女神はサガ達と一緒にいるだろう!」

ムウ「ちょっとお待ちなさい、そっちではなく、右ですよ。」

アイオリア「何を言っている、サガ達の小宇宙は左からする。」

ムウ「ちがいます、右です。」

アイオリア「左だ!」

ムウ「右!」

アイオリア「左!!」

ミロ「だぁぁぁぁっ!もう、お前らいい加減にしろよな。今、仲間割れをしてどうするんだよ!」

ムウ「仲間割れ!?私はこんな単細胞とは仲間でも何でもありません!」

アイオリア「なんだと!?俺だって、こんな男女など、仲間だと思ったことは一度も無い!!」

むきっーーーーーーーーー!!

ミロは、カミュ達裏切り者達のあの厚い絆がこれほど羨ましく思えたことはなかった。ミロは二人の手を掴むと、問答無用で光速で走りだし、冥界闘士、ハーデスの小宇宙を追いかけた。

 

カミュ達が、天から射す光に慄き崩れ落ちていた頃・・・。

三人がたどり着いた場所は何故か地下。しかも、目の前には巨大な大穴があいてある。

アイオリア「な、なんだこれは?」

ムウ「ふっ、見て分からないんですか?穴ですよ、穴。」

アイオリア「むかっ!!そんなもの、見れば分かる。いちいち俺の言う事に突っかからないでくれ。性格の悪いやつめ。」

ムウ「むかっ!では、貴方には何の穴だか分かると言うのですか?」

アイオリア「ふんっ、それはもう。この穴は・・・・。」

ムウ「おや、言葉につまってますね。やはり貴方には分からないのではありませんか、この筋肉団子!」

アイオリア「(き、きんにくだんごぉ!?)なんだと、この麻呂眉!!だったら、お前にはこの穴がなんだか分かるのかよっ!」

ムウ「(ま、まろまゆぅ!?)・・・・・・・・・・と、当然です。この穴は、ゴミを捨てる為の穴ですっ!!」

アイオリア「ゴミをすてるだと!?」

ムウ「そうですよ。この国は、ゴミに関して五月蝿いんです。ですから、この城で出たゴミは、この地下の穴に捨て地に返しているんです。そんなこと、常識ですよ、じょ・う・し・き!!」

アイオリア「ムウ、お前のほうこそ、脳味噌は女みたいだな。わざわざゴミのために、こんな巨大な穴を作る馬鹿がどこにいる。ほう、そうか。お前は、ジャミールでこんな巨大な穴を掘って、ゴミを処分していたのか?」

ムウ「なんですと!?でしたら、この穴はなんだというのですか、アイオリア。納得いく説明をしてもらいましょうか。」

ダンッと、右足をならし、ムウは腕を組んで踏ん反り返った。

アイオリア「耳の穴をかっぽじって、よーく聞けよ。この穴はな、虎の穴だ!」

ミロ「はぁぁぁ?」

ムウ「と、とらの・・・・・・・・・・・・・・・・あな?」

ムウは首を捻ると、隣のミロをつついて耳元で囁いた。

ムウ「ミロ。虎の穴とはなんですか?」

が、それを聞き逃すアイオリアではなかった。

アイオリア「はっはっはっ、ムウは虎の穴もしらんのか!?」

ムウ「むかっ!!それぐらい知っています。そんな卑猥な言葉を、そんな大きな声でいうなどなんと下品な!」

アイオリア「はっ!?卑猥?」

ムウ「そんな大きな声で、穴穴言って・・・。これだから野蛮人は!」

ミロ「ム、ムウ・・・・。その穴じゃねぇよ。」

ムウ「え!?違うんですか?」

アイオリア「なぁ、ミロ。ムウの言ってる、虎の穴ってなんだ?」

ムウは慌ててミロを見て、アイオリアは首を捻ってミロに尋ねた。

アイオリア「なぁ、ミロ。ムウの言う、虎の穴てなんだよ!」

ムウ「ミロ。虎の穴って、虎のどこの穴なんですか?」

ミロ「もう、穴は言ってば。兎に角先に進むぞ!!」

ムウ「そうはいきません。このままでは、この筋肉団子との決着がうやむやになります。これはゴミの穴なのです。」

アイオリア「そうだ。俺だって、こんなオカマ麻呂に負けてたまるか。これは虎の穴だ!」

ムウ・アイオリア「サァ、ミロ!どっちだと思う。」

ミロ「(んなもん、どっちでもいいよ。)」

二人に詰め寄られてミロがタジタジになっていると、ラダマンティスが現われた。

ラダマンティス「はーーーーはっはっはっ。どでかいネズミがこの城でウロチョロしていると思ったら、アテナの鼠どもだったか。」

ムウ「ミロ、これはゴミの穴ですよね!!」

アイオリア「いいや、虎の穴だよな。ミロ。」

ミロ「ちょっと待てよ。後ろに冥闘士が・・・・。」

ムウ「そんなことは、どうでもいいのです。この穴がゴミか虎かですよ。」

ラダマンティス「おい、お前ら人の話を聞け!!」

アイオリア「この穴は冥闘士を訓練する為の穴だよな。そうだよな、ミロ。」

ムウ「いいえ違います、この穴はゴミを捨てる穴ですよ。友達のこねを利用するなんて卑怯極まりないですよ、アイオリア。」

ラダマンティス「ごらぁ、人の話を聞けって言ってるだろう。グレーテスト・コーション!」

穴でもめていた3人は、ラダの必殺技で宙を舞う。最初に落ちてきたアイオリアをラダマンティスは掴み上げた。

アイオリア「不意打ちとは卑怯だぞ!」

ラダマンティス「ふふふっ、お前達ネズミにこの穴がなんだか教えてやろう。この穴はな、冥界へと続いているのだ。だがしかし、ハーデス様のご加護がないお前達がこの穴へ落ちたらどうなるか・・・・・・・。」

ムウ「ほら、ごらんなさい。アイオリア。やはりゴミ穴ではありませんか。この穴は、冥闘士というゴミを捨てる穴なんですよっ!」

地に叩きつけられたムウはヨロヨロと体制を整えながら、ラダマンティスに抱え上げられたアイオリアに怒鳴った。

ラダマンティス「な、なんだと、この麻呂!」

ムウ「ま、麻呂だと?私が麻呂なら、お前は一本眉だ!」

アイオリア「ム・・・・ムウ・・・、それを言うならかもめ眉毛だろう。」

ムウ「なんですと!?また私の言う事に文句をつけようというんですか。これはかもめではなく、一本眉毛です。」

アイオリア「違うっ、これはかもめ眉毛だ!」

ムウ「一本眉毛!」

アイオリア「かもめ!」

ラダマンティス「畜生!てめぇら、あの世に落ちやがれ!!!」

アイオリア「うおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーっムウ、覚えてろよ!!!」

アイオリアはラダマンティスに冥府の穴へと落とされた。

ラダマンティスはミロとムウを掴み上げると、不適に笑う。

ラダマンティス「次はお前達の番だ。」

ムウ「ぎゃーーっ、アイオリアを触った手で私に触れるな!」

ミロ「馬鹿ムウ!そういう場合じゃねぇだろう。」

ムウ「やめろ、この一文字!!」

ラダマンティス「ふはははははっ、なんとでもホザケ、アテナの犬め!!」

ムウ「ぎゃーーーーーーーーーーー!!」

ミロ「うおぉぉ、おのれムウとアイオリア・・・・・・・・・。」

こうして3人は冥府の穴へと落とされた。


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