ミロたんといっしょ15(香る季節 その2)

 

獅子宮

ミロ「おい、アイオリア!匂い嗅がせろ!」

いきなり入ってきたミロの言葉に、アイオリアは目が粒になった。

ミロ「ごらぁ、ぼぉっとしてるんじゃねぇぞ。お前は確か、臭いはずだ!」

アイオリア「はぁ?」

ミロ「いいから、嗅がせろよ。」

数メートル近寄ってみると、なんともいえない芳しい男臭が漂ってきた。

ミロ「うげぇ、臭い!!臭いぞ、お前!!」

アイオリア「な、なんだと!?そういうお前こそ、臭いじゃないか。」

ミロ「馬鹿言うなよ。これはお前の匂いだろうが!!」

アイオリア「そんなはずはない。お前がうちに来てから、匂い始めた。」

ミロ「なんだと!?俺はお前より臭くないぞ!」

アイオリア「いいや、お前のほうが臭い!」

ミロ「絶対にお前のほうが臭いって!!」

アイオリア「だったら嗅いでみろ!!俺もお前を嗅いでやる!!」

アイオリアはそういうと、ミロの身体をクンクンと嗅ぎ始めた。鼻を近づけるアイオリアに、ミロも鼻を近づけクンクンと匂いを嗅ぐ。

クラッ。

お互いの香るフレグランスに、二人は一瞬軽い眩暈を起こした。

ミロ・アイオリア「く、くさい・・・・・・・・・・。」

ミロ「なんで、こんなに臭いんだろう。俺たち・・・。」

アイオリア「まぁ、男だし、体臭があっても問題ないだろう?」

ミロ「でもさ、体臭きついと、魔鈴に嫌われるぜ。」

アイオリア「まじで?」

ミロ「多分・・・・。」

アイオリア「でも、シュラとかカミュも臭そうだぞ。」

ミロ「それがあいつら、臭くないんだよ!!」

アイオリア「本当か!?」

ミロ「ああ。」

アイオリア「うーーん、取り合えず風呂に入るか?」

ミロ「ああ、そうするか。」

 

10分後

一緒にシャワーを浴び、身体を洗ったアイオリアとミロは、お互いの匂いを嗅ぐ。

クンクン。

アイオリア「・・・・だめだ。臭いぞ、ミロ。」

ミロ「お前だって、臭い。」

アイオリア「おかしいなぁ・・・・。もう一度風呂に入るか。」

 

さらに10分後

一緒にシャワーを浴び、身体を洗ったアイオリアとミロは、お互いの匂いを嗅ぐ。

クンクン。

アイオリア「・・・・だめだ。まだ臭いぞ、ミロ。」

ミロ「お前だって、臭い。」

アイオリア「おかしいなぁ・・・・。もう一度風呂に入るか。」

 

それから10分後

一緒にシャワーを浴び、身体を洗ったアイオリアとミロは、お互いの匂いを嗅ぐ。

クンクン。

アイオリア「・・・・だめだ。まだまだ臭いぞ、ミロ。」

ミロ「お前だって、臭い。」

アイオリア「おかしいなぁ・・・・。もう一度風呂に入るか。」

 

その後、同じことを繰り返すこと、5回。

クンクン。

アイオリア「うん、大分いい感じかも。」

ミロ「ああ、大分いい感じだ。」

アイオリア「これで臭くないよな。(ふぅ、魔鈴に嫌われずにすむ・・・。)」

ミロ「じゃぁ、次行こうぜ、次!」

アイオリア「はぁ?。次って?」

ミロ「巨蟹宮だよ、巨蟹宮!!」

アイオリア「巨蟹宮に行って、どうするんだ?」

ミロ「どうするって、匂いの調査の続きをするに決まっているだろうが!!いくぞ、アイオリア!」

アイオリアは無理矢理手を引っ張られ、獅子宮を出た。

 

巨蟹宮

ミロ「デスマスクも臭そうだもんなっ、アイオリア。」

アイオリア「俺がそんなこと知るかよ!!」

ミロ「なんだよ、お前は、自分だけ臭いのが嫌じゃないのか?」

アイオリア「・・・・。」

ミロ「本当は気になるだろう。」

デスマスク「おう、小僧。どうした?」

ミロ「匂い嗅がせてくれ。」

デスマスク「は?」

ミロ「お前、くっさそうだもんな。」

デスマスク「はぁ?」

アイオリア「やめろよ、ミロ。」

ミロ「いいから、いいから。」

デスマスク「小僧。俺様はホモじゃねぇーぞ。」

ミロ「んなもん、知ってるよ!。誰がお前みたいな毛蟹を襲うか!!」

デスマスク「じゃぁ、なんだ。」

ミロ「だから、匂い嗅がせて。お前、体臭きつそうだもん!」

デスマスク「・・・・・・・・・、小僧。お前、ホモの次は匂いフェチか?」

ミロ「いいから、嗅がせろって言ってるだろう、ゴラぁ!!」

嗅いでみろ!、とも言ってもいないのに、ふんぞり返っているデスマスクに鼻を近づけ、ミロは首筋から、脇、腹部にかけて、クンクンと嗅いでみた。

ミロ「あれ?、お前もいい匂いがする。」

アイオリア「うそ!?」

ミロ「まじで。」

アイオリアも思わずクンクンとデスマスクの匂いを嗅ぐ。

アイオリア「本当だ・・・・・。」

デスマスク「小僧!俺様を誰だと思っている。イタリア一の伊達男、デスマスクさまをなめるんじゃねぇ!!」

ミロ「ということは、お前も香水使ってるのか?」

デスマスク「ったりまえだろう。『デッちゃん今日もいい香(はーと)』って、女がわらわら寄って来るんだぜ!!」

ミロ「女がわらわら・・・・。だからお前はもてるのか?」

デスマスク「ガキはこれだからいけねぇぜ。香は俺の魅力のほんの一部だ。お前みたいな、お子ちゃまがどんなにいい香水をつけようが、俺みたいにはなれねぇよ!」

ミロ「なんだと!?馬鹿にするなよ!!」

デスマスク「はいはい、お子ちゃまはさっさとカミュのところに帰りな。」

ケラケラと笑いながら、デスマスクは私室へと帰っていった。

ミロ「くっそーーーー、毛蟹のくせに!」

アイオリア「ミロ、落ち着けよ!!」

ミロ「次行くぞ、次!!」

アイオリア「まだ、いくのかよ。」

ミロ「次は双子だ!!」

いやいやながらも、やはり自分達だけが臭いのが気になるアイオリアは、ミロについていくことにした。

 

双児宮

ミロ「おう愚弟!!サガはどこだ。」

カノン「はぁ?兄貴なら風呂だぜ。」

ミロ「また風呂か。まぁいい。行くぞアイオリア!」

アイオリア「ちょ、ちょっと待てよ。それはいくらなんでも・・・・。」

ミロ「いいんだよ。サガはどうせ、いっつも風呂に入ってるんだから。次いつ出てくるかわからねぇだろう。」

 

双児宮・浴室

ミロ「おじゃましますぅ。」

サガ「!!!!!!!」

ミロ「自分の裸に陶酔しているところ、悪いけどさ。ちょっと匂いかがしてくれ!」

ミロは、背中を洗っている形で硬直状態のサガの身体をクンクンと嗅いだ。

ミロ「おい、アイオリア。お前もそんな入り口につっ立ってないで、嗅いでみろよ。」

アイオリアは初めて見る、双児宮に風呂のでかさに茫然となりつつも、サガのヌードになぜかモジモジとなっている。

ミロ「クンクン・・・・・、石鹸のいい香がする。」

アイオリア「石鹸の匂い??」

サガが硬直しているので、アイオリアもオズオズと風呂に侵入し、サガの匂いを嗅ぐ。

サガ「ななななななな、なにをしているんだ、お前達は!?。出て行ってくれ。用があるなら、風呂が終わってからにしろ!」

ミロとアイオリアは風呂から追い出された。

ミロ「おかしい。サガも臭そうなのに・・・。」

アイオリア「あのさ、ミロ。風呂に入ってたら、誰だって石鹸の匂いじゃないのか?しかも、身体洗っていたし・・・。」

ミロ「ああ、そうか。そうだよな。だったら、風呂から上がってから、匂いを嗅がせてもらおう!!」

アイオリア「まだ、やるのか?」

ミロ「あったりまえだろう!!」

しばらくして、ホカホカと湯気を立たせながら、穏やかな顔をしたサガが風呂から出てきた。

サガ「いったい何なのだ?」

ミロ「あのさ、サガァ〜〜。」

ミロはお得意の猫攻撃で、ゴロゴロとサガに甘えた。

ミロ「匂い嗅がせてくれ。」

サガ「は?」

ミロ「いいから、匂い嗅がせてくれよ。」

サガ「ったく、今度は一体なんの遊びだ?、アイオリアまで一緒になって。」

アイオリア「えっ。俺はその、あの・・・・。」

ミロ「クンクン。やっぱり石鹸の匂いだな。ちょっと脇嗅がせて。」

サガ「はぁぁ?」

ミロは問答無用で、サガの腕を持ち上げた。

ミロ「クンクン。おかしいな・・・・。アイオリア、ちょっと嗅いでみろよ!」

アイオリア「なにがおかしいって?」

アイオリアは苦手意識よりも自分の興味を優先させてしまった。

アイオリアとミロが自分の匂いを嗅ぎ始め、サガは硬直した。

アイオリア「やっぱり石鹸の匂いだ。」

ミロ「だろう。いーーーっつも風呂に入ってるからかな?。」

アイオリア「どうだろう?」

ミロ「なぁ、サガ。サガのところって、どんな石鹸使ってるんだ?いい香じゃん。」

サガ「・・・・・・・・。」

ミロ「あれ?サガ、どうしたの?」

サガは二人の奇行に、まだまだ硬直中だ。

ミロ「おーーーーい、サガ。生きてる?」

サガ「い、一体なんなのだ?」

ミロ「ああ、ちょっと匂いの調査をね。やっぱりさ、カノンもサガと同じ匂いするのか?」

サガ「はぁ?知るか、馬鹿者。」

ミロ「あれ?サガ、何処に行くんだ?」

サガ「気分が悪い。風呂に入りなおしてくる。」

ミロ「また、風呂かよ!!」

アイオリア「なるほど、あーやって、石鹸の匂いを摺り込んでいくのか・・・。」

アイオリアとミロは、風呂へと消えていくサガを見送ると、リビングにいるカノンの匂いを嗅ぎにいった。

ミロ「おい、ごらぁ、愚弟!匂いかがせろ!!」

カノン「はぁぁ?」

ミロ「いいから、匂い嗅がせろって言ってるだろう!」

問答無用でミロは、リビングのソファに寝転がっているカノンを押さえつけ、匂いを嗅いだ。

ミロ「クンクン。」

カノン「ごらぁ、てめぇ、何をする。」

ミロ「あれ??」

アイオリア「どうした?」

ミロ「こいつ、海の匂いがするぞ!!」

カノン「なんだと?」

ミロ「こいつ、磯くせぇーーーー!」

カノン「うるせぇ、13年間海底に暮らしていたんだから、しかたねぇだろう!!」

アイオリア「まさか、だからって磯臭いなど・・・・。」

アイオリアも思わずカノンの匂いを嗅ぐ。

アイオリア「クンクン・・・・。」

ミロ「なぁ、磯臭いだろう?」

アイオリア「クンクン・・・・いや、生臭い。」

ミロ「陸に上がっちゃったから、腐ってきてるのか?」

カノン「な、なまぐさいだとぉっ!?ふざけるな!!!出て行け、てめぇら。」

ミロとアイオリアは双児宮を追い出された。


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