新!俺の仕事 その5

 

今朝は早く起きてきちんとジーさんに報告書を提出した。

ほうほうと鳴きながら報告書を読んでたジーさんに兄貴を呼んで来いと言われ、俺はいったん自分ん家に帰った。

説教&お仕置き決定だ!! ていうか、小宇宙に直接呼びかけて呼び出せばよくね?

兄貴がジーさんにこってんぱんにされるのを見られるならよしとするか。

 

11月26日(月)

双児宮に兄貴を呼びに戻ったら、兄貴みたいな生き物が腹巻をまいたままアイス食ってた。

今日も顔はパンパンにむくんで、吹き出物だらけだ。本当にバカだ、同じ血が通ってるとは思えない。←血は争えぬ。お前も十分馬鹿じゃ

ジーさんが呼んでいることを伝えると、兄貴は風呂に入って身支度すると言い出したので、俺は兄貴からピノを取り上げ髪の毛を引っ張って双児宮から引きずりだした。

軽く抵抗されて殴られるかと思ったが、なんかいつもよりチョロかった。

どうやら兄貴は太った&むくんだ&下痢などなどで、思いっきり体力が落ちているらしい。

その証拠に天蠍宮まで昇ったら、ゼーハァ、ゼーハァ言いながら座り込んだ。←情けない

もしかして下痢がきたかと思ったが、出る前に下痢止めを飲ませたのでお漏らしは間逃れた。28歳でお漏らししたら笑えたので、薬を飲ませなければよかった。ていうか薬を下剤に変えておけばよかったと後悔した。←十二宮を汚さぬように

俺もまだまだ修行がたりんな。←そういう修行はせんでよい

「疲れた……少し休ませてくれ」

兄貴がついにダウンした。

もしかして今ならさくっと殺せるかも!←であろうな

俺は思わず兄貴を後ろから襲いたくなったが、ぐっと堪えた。ジーさんに怒られるし、多分女神にも怒られるからな。女神は怒らせると怖いんで、兄貴が自分から死ぬように仕向けないとな。←殺す気などはなから微塵もなかろう

兄貴はジーさんに叱られ、仕置きされながらじわじわ死んでいくがいい!

30分くらい休むと兄貴がよろよろと歩き出した。←休みすぎじゃ

もちろん教皇の間についたら、遅いと怒られたので俺は事情を説明した。

なぜかアイオロスも一緒にジーさんの隣にいたが、来るのが遅かった理由を聞いて二人もポッカーン。

んで、じーさん切れた。

「お前のような極悪人が幸せをつかめると思うておるのか? 自分の罪はもう忘れたとは言わせぬぞ」

さすがジーさん、無駄に200年以上生きてない。正論&説得力ありすぎ。

ぶわぁぁと兄貴が突っ伏してオイオイ泣き始めた。

ていうかお前、今まで大罪人な事を忘れてたのかよ! つか、たかがアイスにどんだけ思いつめてんだ、このバカは?←自覚が足りんのじゃ

「そんなに幸せになりたかったらのう、余がベッドの中でたっぷり幸せにしてやろうかのう?」

びくっと兄貴が身体を震わせ顔をあげた。

「ご、ご、ごごご勘弁ください。自分の身に余るものを望んだ私がバカで愚かで間抜けでした」

ジーさんが蹲って泣いている兄貴に近寄って、ずべずべ服の上から思いっきり腹の肉を掴んだ。

「なんじゃ、この聖闘士にあるまじき肉は!」

あんなくびれのない服きて腹突き出してたら妊婦だ妊婦。一体誰の子供妊娠しやがった、兄貴!

生まれるのは、○んこだけどな!!!ぶははははは!!!←汚いのぅ

俺が笑い転げているとジーさんに思いっきり睨まれた。しかたねぇじゃん、面白いんだから。

「さっさとこの肉をどうにかせい」

ジーさんは兄貴のむくんでるのかデブったのか分らない顎の肉をタプタプさせながら言った。すげぇ、俺もあのタプタプやってみたい、超気持ちよさそうだ。

「余の寝室に一週間くらいおれば。あっという間に元に戻るがのう?」

兄貴が顎をタプタプされながらぶるぶる震えると、アイオロスがタプタプさせてたジーさんの手を掴んだ。

「教皇、話が違います。私がサガの面倒を見るという約束では?」

「おお、そうじゃった。ついついこの肉付きが気持ちよくてのう。アイオロス、しっかりサガの身体を鍛えなおすのじゃぞ。でなければ、余の寝室行きじゃ」

俺は久しぶりに自分の耳を疑った。おいおいジーさん、ふざけんなよ。

せっかくアイオロスを双児宮から追い出したのに、どういうつもりだ。兄貴のダイエットなら一人で勝手にやらせろよ。

「私が朝夕とトレーニングをしてるからな、筋肉作りなら任せろ、サガ。ちゃんと食事管理もしてあげるからな!! まずは下痢を治そうな」

兄貴が涙を流しながら頷いた。バカ兄貴、了解してんじゃねぇ。

ていうか、アイオロスがチラリと俺を見てニヤリと笑った。ざけんな、その笑みはなんだ、きしょいんだよごらぁ!!

「しっかりサガのダイエット日記をつけるのじゃぞ。お前も一緒にトレーニングに励むがよい」

俺はジーさんに文句を言ったが受け入れてもらえなかった上に、面倒くさいことまで押し付けられた。まじでむかつく!!

兄貴の運動は下痢が治ってからってことで、とにかくムカついたので俺はピノ禁止令くらってる兄貴の目の前でピノ食ってやった。またハートが出たので、思いっきり見せびらかせた。←つまらぬことにしか運が向かん男よの

 

11月27日(火)

ダイエット1日目

朝からバタバタとアイオロスが来て、俺まで目が覚めた。時間は5時。早すぎだ、バカ!←早寝早起きを心がけよ

今日から朝夕の散歩がトレーニングになったので、もう本当に鬱。鬱休暇くれ!←そのようなものはない

兄貴の顔はあいかわらずタプタプで顔色も悪くてブツブツだらけだ。

アイオロスもよくこんなのに付き合ってられるなと思ったら、

「サガがどんなに変わっても私はお前を愛しているぞ」

って声が聞こえてきた。

もう気持ち悪くて朝からゲロです、教皇!!

んでもって、なぜか俺までトレーニングに連れて行かれた。ジーサンの命令で仕方ないんだが、俺は筋肉ムキムキ、超イケてるボディだからアイオロスみたいにこれ以上無駄な筋肉はつけたくないんだっての。←お前は腐った精神を鍛えなおせ

仕方なく双児宮を一緒に出ると、アイオロスについてきた駄目猫が兄貴の姿を見て呆然となった。そりゃそうだ、ムチムチ中年太りのメタボリックちゃんだからな。

しかも駄目猫の一言が痛烈だった。

「サガ……それは酷すぎだよ」

流石の兄貴も目をきょどらせると、アイオロスがアイオリアを殴って口を閉じさせた。←いかんのぅ

兄貴はまた無駄にアイオリアの恨みを買ったにちがいない、ばかめ。

トレーニングをし始めて30分もしないうちに兄貴はバテた。ていうか、まだ闘技場500周くらいの軽いウォーミングアップしかしてない。ヘロヘロになった兄貴が倒れたので、アイオロスが慌てて駆け寄って手を繋いで一緒に走り出したが、兄貴は殆ど引きづられている状態だった。←なさけない

俺は普段からマッスルイケメンなので、筋肉兄弟とのトレーニングも余裕!←ほとんど休んでいたと聞いたが?

2時間後には兄貴はピクリとも動かなくなって、アイオロスに担がれて双児宮に帰宅。

風呂に放り込まれた。浴槽で殆ど溺死状態の兄貴の横で、俺はちゃっちゃとシャワー浴びて兄貴を浴槽から引きずりだして風呂を出た。←ほうほう、二人仲良く風呂か

そしたらなぜかキッチンには朝食が出来ていた。って、アイオロスが作った割にはすっげぇまともで美味そうだ!!
俺がマジで驚いてると、キッチンからカミュが出てきた。ジーさんからの命令でカミュが飯作ってくれているらしい。

「サガ……、カノンの不摂生にもほどがあります」

ダイニングテーブルについた俺に、カミュが背中を丸めてクタクタヨレヨレになって座っている兄貴を見ながら言った。俺は兄貴じゃねぇよ、馬鹿。ジーサンから聞いてんだろうが、しっかり現実を見ろ!

「え!? あれサガですか?」

「そうアレが兄貴。俺はカノン」

カミュはあんぐりと口をあけたまましばらく硬直してた。憧れのサガ先輩があんな姿になったことが信じられないらしい。

栄養バランスとかがしっかりした飯を食った兄貴は、デザートにアイスを欲しがったがアイオロスとカミュに即行で却下された。

つか、お前は子供かっ!←病気じゃ

夕方のトレーニングは殆ど話にならなかった。

 

11月28日(水)

ダイエット2日目

兄貴筋肉痛で動けず。どこまで筋肉落ちてんだよ。←1週間でそれほどに落ちるものかのぅ?

今日はトレーニング15分で兄貴がばてた。俺達はすでに軽く150kmくらい走ってたが、兄貴はその半分も走れてなかった。もちろんこの後、腕立て、腹筋、組み手とかいろいろやる予定だが、それすら出来そうにない。

筋肉兄弟がおもいっきり兄貴に哀れみの視線を向けてて面白かった。

結局兄貴が動けず、アイオロスがいやらしい手つきで兄貴の身体にマッサージをして終わった。

珍しく兄貴が筋肉兄弟にぺこぺこ謝って、アイオオロスに「気にするな、ゆっくりやろう」といわれて慰められてた。

もう聖闘士引退でいいんじゃねの?
俺が正式に双子座の聖闘士!。←お前には無理じゃ
兄貴はメタボリック教皇でどうよ!←あのような体では勤まらぬ

ぐったり兄貴は昨日と同じようにアイオロスに担がれて双児宮に帰宅後、風呂に入った。

「どうしよう、あれじゃ駄目だ。もっと厳しくしないとサガのためにならん……」

カミュがいれた紅茶を飲みながらアイオロスが頭を抱えて呟いた。アイオロスもお手上げか?

「私情がはいって甘くなってるんじゃないですか、アイオロス。もっとびしびし厳しくしたらどうですか?」

カミュがいい事言った。そうだもっとびしびし死ぬまで扱きまくれ!!
しごいて、しごいて、しごきまくれ!!

「しかし、サガは甘え上手さんだからなぁ……つい甘やかせてしまうのだ」

「それは辛いですね」

はぁぁぁ? 兄貴のどこが甘え上手なんだ? つか、確かに絶対にアイオロスを舐めてかかってるから、真面目にダイエットしてないのは見え見えだが、甘え上手には絶対に見えない。つか、あいつはただのダレきっったメタボリックだ。

「ここは心を鬼にしないといかんな、サガのためだ!!」

「そうです、アイオロス。サガが泣くまでしごくのです! 『アイオロス先生、もう駄目です!』って、泣いて許しを請うまでやらなければサガのためにはなりません!」

「ア、アイオロス先生!?」

「そうです。今は私情を挟むのはサガのためになりません。ここはしっかりと立場を教え込むのです。いいですか、アイオロス。今のサガの身体では聖衣は着れません。ですから『アイオロス先生、もう一度聖衣が着たいです!』って泣くまで扱き倒すのです!!」

「うぉぉぉ、なんか興奮してきたぞ!!」

カミュとアイオロスは変態同士で意気投合って感じだ。なんかこいつらが『しごく、しごく』っていうと、なんかすっげぇ卑猥な意味に聞こえるんだが。絶対、目的が違う気がしたが、兄貴が泣くならいいか。←ダイエットという名の調教じゃのぅ

この日は、夕飯後に夜の訓練も加えられ、兄貴は泣くことはなかったがピクリとも動かなくなって風呂にも入らず寝た。

寝たっていうか気絶してた兄貴を慈悲深い兄思いの俺さまがベッドに放り込んでやった。←ほうほう、優しいではないか

 

 

11月29日(水)

ダイエット3日目

今日もアイオロスが5時に来たが、何故か俺がアイオロスに起こされた。お前が起こすのは兄貴だろうが、兄貴に発情できないからってまさか俺に発情してんじゃねぇだろうな!!

一瞬ヒヤリとなったが、兄貴が寝室にいないらしくて俺の部屋に来たらしい。

兄貴、アイオロスの扱きが辛くてついに逃亡か!←徘徊かもしれぬ

とうとう首に縄つけて24時間監視に置かなくちゃいけなくなるのか!? と俺がうんざりしていると、

「なんじゃこりゃーーーーーーーっ!!!」

兄貴の馬鹿でかい声が響いてきた。しかも風呂場から。

朝の5時から風呂かよ、バカかよ、風呂入ってる場合じゃねぇだろうが!!

俺とアイオロスが仕方なく風呂場に駆けつけると、なんと鏡の前で全裸の兄貴が髪を白くして騒いでいる。どうやら連日のアイオロスの扱き&気絶風呂抜きでストレスマックスになって黒くなったらしい。

つか多分一番の原因は幸せになれなかったことだな。←他人を不幸にしておきながら、図々しい

「愚弟っ、 私の身体はどうなってるのだ! この贅肉とたるみはなんだ!! いったいどういうことだぁぁぁぁ!!」

兄貴(黒)が腹をタプタプさせながら俺に怒鳴った。つか自分でピノ大量に食って太ったくせに、俺に説明させんな。←全くじゃ

予想もしなかった兄貴(黒)の出現で、アイオロスが思いっきり臨戦態勢にはいり、聖衣着て弓を構えて兄貴に照準あててやがった。もう、この黒メタボ兄貴を、ささっと射ぬいてしまえ!←その方が聖域のためかもしれぬ

「貴様、きちんとアレの管理をせんか、なんのために双児宮においてやっているとおもってるんだ!! 役立たずが!!」←自己管理自己責任

なんか顎プルプルさせながら目を真っ赤にさせて兄貴(黒)が俺に怒鳴った。だから俺のせいじゃねぇし、そんな体系で怒鳴られれてもちっとも迫力ないし。

黒い兄貴にまたDVされるのもごめんなので、こっそり双児宮から離脱しようとしたらなんとスッピンで眉毛がない頭にカーラー巻いたアフロディーテが血相変えて部屋に入ってきた。

「お呼びですか、アーレスさま!」

どうやら兄貴(黒)に呼び出されたらしい。朝からホモホモウッフンアッハンか!?

が、アフロディーテは兄貴(黒)の姿を見て目をつぶにさせた。

「あんた誰よ! サガはどこ!!!?」←目の前じゃ

俺とアイオロスが黒い兄貴を指差すと、アフロディーテの目は識別できないくらい粒になって、顔も真っ青になった。

「ムリムリムリムリムリムり! こんなプヨプヨのお腹の不細工な男と寝るなんて無理! ごめん、サガ! 本当に無理だから!!」

アフロディーテは即行で謝り倒すと逃げるように踵を返したが、兄貴がその首根っこを掴んだ。

「ぎゃーー! そのニキビ面をアフロに近づけないで。アフロが好きなのは、マッチョで顔が綺麗なサガなの。だから無理だから、絶対無理、こんなの相手にしても感じないしイケないから!! アフロのお尻はイケメン専用なの!!」

手を足をバタバタさせて髪を振り乱しながらアフロディーテが叫びまくった。兄貴(黒)がますます凶悪な顔になって、アフロディーテの首を捻りあげた。

もしかして強姦か!?

俺が助ける義理もないし、アフロディーテが兄貴のいけにえになってる分には俺も安泰なのでほうっておくことにした。

「いやぁぁぁ、アイオロス、助けて! サガに犯されるぅーーーー!!!」

アフロディーテが進んで黒い兄貴に抱かれるのを知ってるので、アイオロスは困って視線で俺に助けを求めてきたが無視した。さっさとその矢を兄貴に打ち込め。

「落ち着け、アフロディーテ」

「いやーーー、犯されるーー」

「犯さぬ、バカ者がっ!!」

兄貴(黒)が怒鳴ると、アフロディーテが涙を流しながら泣き落としに出た。が、黒い兄貴にそんな技は通用しない。

「そんなに今の私は酷いか?」

「酷くないと思ってるの? 自覚ないの? あんなにサガはサガの体が美しいって、自画自賛してサガの身体のことを愛していたのに?」

すまん、サガ(白)とサガ(黒)とちゃんと分けてくれ。サガサガサガサガいって意味分んねー。

「……、どうにかならんか、アフロディーテ? そっちはお前のほうが詳しかろう」

「犯さない?」

「こんな体じゃ犯す気にもならん……。腰を動かすたびに揺れる腹など……、あの馬鹿め、なんてことをしてくれた」

うわぁぁぁ、兄貴(黒)が凹んでるのを俺は初めてみた。すげぇぇ、まじすげぇ。肩落としてしょぼくれてやがる。←何故写真に撮らぬのじゃ!

「分った、それじゃまずは顔は絶対触っちゃ駄目。触ったらニキビ酷くなるし、跡になってクレーターになっちゃうから絶対に潰しちゃダメ。アフロはサガのツルツルの顔が好きなの! て、もう何個かつぶれてるんでけどぉぉぉ!!」

アフロディーテが悲鳴をあげて俺とアイオロスを睨みつけた。

俺達が潰したんじゃねぇっての、そんなキモイことするかごらぁ!

「わ、私はサガの顔がブツブツになって跡が残ってても気持ちは変わらないぞ!」

アイオロスが言ったが、全員に思いっきり無視された。

「いいサガ。その前髪ともみ上げが顔にかかるのもニキビに悪いの。だから、治るまでは髪の毛束ねてヘアバンドして生活して。それからちゃんと運動もして汗をかくこと」

「分っている」

「これは大丈夫だと思うけど、汗をかいたらきちんとお風呂に入ってね。常に清潔にしておくこと。食事もきちんとバランスよく食べること。30近いんだから、ちゃんと食べて痩せないと、皮がたるむだけだから!!」

「分っている!」

兄貴(黒)が俺とアイオロスを見たので、アイオロスが渋々と兄貴のダイエットメニュー(朝、夕、夜の筋トレとカミュの飯のこと)を教えた。

「ただ、筋肉が落ちてて身体が動かないのか、あまり上手くメニュをこなせなくてな。どうなんだ、サガ。黒くなってもやっぱり筋肉痛はつらいのか?」

「バカ者、あれを甘やかすな!!」

黒い兄貴が思いっきりアイオロスを叱責した。てめぇの問題を人のせいにするなよ、糞兄貴(黒)。←いつものことじゃ

「それじゃ、私はシェスタの時に全身のアロママッサージとパックしてあげるから。リンパマッサージも任せて、お風呂上りにはフェイシャルもしてあげるから。いい、きちんと身体を元に戻さないと、マジでヤバイわよ。サガは顔と体だけしかとりえないんだからね!!」

ってことで、この日から兄貴が黒くなった。

が、誰も犯されず、黒い兄貴は真面目にアイオロスと筋トレを始めた。アイオリアはもちろん超ドン引き。カミュも及び腰でビクビクしながら飯を作っていたが、兄貴(黒)は太って性欲減退したのか、それとも裸になりたくないのか大人しくしていた。

 

 

11月30日(金)

ダイエット4日目

今日はアイオロスの誕生日だったが、もちろん兄貴(黒)は祝う気なし。

つか、俺、すっげぇ真面目に兄貴の観察してる気がする。たまにはいいか。←いつも真面目にやらぬか

黒い兄貴にカミュもアイオリアもビクつきまくっていたが、黒い兄貴自身が現在性欲減退中なので今回は被害者ゼロか? 

ていうか、今回は黒い兄貴のほうが兄貴の被害者か?

黒い兄貴のほうが今の体系に危機感があるのか、しっかり筋トレしていた。多分アイオロスも黒い兄貴には遠慮がないから、ビシバシやってた。組み手も思いっきり殴る蹴るしていた。

でもって、夜はアイオロスの誕生日会を処女宮の予定がなぜかウチでやることになった。

兄貴太って黒くなっている姿を見て、全員がドン引き。

腹を抱えて笑い出したミロに、兄貴(黒)が容赦なくアナザーディメンションを食らわせていた。

が、腕を上げた瞬間二の腕プルプル、脇肉プルプルでショックを受けていた。ばかめ。

ていうか、黒い兄貴の分際でアイオロスの誕生日祝いに参加するってどんだけ図々しいんだ。相変わらず面の皮の厚さだけは世界一だ。←銀河一じゃ

「貴様ら、私が酒も飯も甘いものも食えんのに、いやがらせかぁぁ!」

兄貴(黒)が絶叫したが、ムウが兄貴(黒)のタプタプの二の腕をタプタプさせながら笑った。

「嫌がらせですよ。別に貴方は呼んでませんから、帰っていただいて結構ですが?」

「ここは私の宮だ、出て行くならお前らが出て行け!!」

「そんな身体では聖衣も着れないでしょうね。聖衣を着れないなら、もう聖闘士失格ですから、貴方の宮でもありませんよ。悔しかったら、その身体で聖衣を着てから騒いでください」

「貴様、覚えていろ。体が戻ったらたっぷり可愛がってやる!」←それをしてもよいのは余だけじゃ

「おや、今のタプタプの身体とブツブツの顔で可愛がって頂いても結構ですよ。でもそんな中年太りした身体見せられたら、こちらが萎えますけどね」

ムウ、グッジョブ!!!

おめぇに食わせる誕生日ケーキはねぇってことで、兄貴(黒)は当然お預け。

多分ムウの嫌がらせで、飯もケーキもいつもより超美味そうだった。

酒もあびるほどあるが、兄貴(黒)は全部お預けで、目の前に出されたカミュが作った皮なしチキンのなんとか、野菜スープ、青汁を睨みつけてた。

兄貴(黒)超〜〜〜惨めっ!!

誕生日ケーキはこの真冬にアイスケーキ。しかも、アイスケーキの中にハート型のチョコが隠れていて、それが当りらしい。

って、これ俺がムウにもちかけた嫌がらせなんだけどな、さすが俺!!

「バカめ。私はアレみたいにハートのアイスなど必要ない! そんなものを欲しがるほど愚かではない!」

兄貴(黒)が超強がったが、だが本当の兄貴はきっと幸せのハートが欲しくてウズウズ疼きまくってるに違いない。

「皆、サガを苛めるな! サガは病気なんだぞ! 心の病気で太ってしまったんだから、あまり攻めるな」

アイオロスがまた怒鳴った。だからそれが一層兄貴を精神的に追い詰めてる気がするが、自覚なしか?

「サガ、今日はお祝いの日だから少しだけならいいぞ」

とかなんだとか言って、アイオロスが一皿にちみっとずつ料理を持って、液体薬のキャップみたいなちっこいグラスに入った酒を兄貴(黒)に差し出した。

だから余計それが惨めに輪をかけるんだっての。

「貴様の施しなど受けぬわっ!!」

兄貴(黒)はどなってミニチュアな飯をひっくり返し部屋に入っていった。

こっそり追いかけると、髪の毛の色が戻った兄貴が寝室で体育座りして膝を抱えてシクシク泣いていた。

黒い方は中年メタボリックにプライドが堪えられずに引っ込んだらしい。←情けない、根性なしめ

 

 

12月1日(土)

朝早くに兄貴に起こされた。一瞬、夜這い&強姦かと焦ったが、よく見ると兄貴が普通の兄貴にもどってた。

髪の毛の色が元に戻ってて、いつもどおり鬱オーラを纏っていたので俺はちょっと安心したが、瞼が腫れあがって、目が真っ赤だった。

そういえば、昨晩一晩中号泣してたんだった。

ていうか、俺が昨日寝たのは3時過ぎくらいなんだが……、今何時。って4時半っ!?

ありえねぇ、とりあえず寝かせてくれぇぇぇ

「トレーニングに行くぞ!!」

あぁん? 勝手に行け。てか、鶏が来るまで待ってろ。ていうか、昨日は鶏も遅かったはずだから、今日は来ないんじゃねぇの?

兄貴は髪の毛後ろで束ねて、前髪もヘアバンドで上げて洗顔した後、鏡をみながらマッサージして、しかも吹き出物に丁寧にクスリを塗り始めた。

クレアラ○ルのCMか! ていうか思春期のガキみたいなんだが……。

どうやら黒い兄貴にまで見放されて、ようやく危機感が沸いてきたらしい。ていうか、もしかして黒い兄貴にダイエットさせようって腹だったが失敗したってことか?←遅いのじゃ

どうせアイオロスなんてこないから、今日はダイエット休みだ。俺が二度寝をしようとしたら、あいつ来ましたよ、教皇!!

俺の記憶が確かなら、あいつも兄貴の号泣を慰めるために結構遅くまで双児宮にいたはず。

で、しっかり双児宮を出たのは確認したんだが……。

兄貴の体力と筋力は大分ましになった。黒い兄貴が気合入れて根性で一日3回しっかりやっていたお陰だ。

しかし、やっぱりアイオロスも眠かったのか、トレーニングして朝飯食った後は昼寝してた。もちろん俺もバタンキュ〜。

兄貴はせっせと掃除と洗濯をして、それからアフロディーテのエステを受けていた。

今までのダラけていた態度が嘘のようだ。

半分まどろみながら二人の会話を聞いていたんだが、どうやら兄貴は兄貴(黒)に思いっきり怒られ、罵られたらしい。ていうか、その状況もよく分らんのだが、頭の中で喧嘩したってことか?

兄貴の頭の中って、どうなってんだよ。二重人格まじこえぇ〜〜〜。

んで、アフロディーテにも、

「怒られて当然。今のサガは酷すぎる。見るに堪えない、生きる価値なし」

と締められて、しょぼんとしていた。

 

 

12月1日(日)

ダイエット……5日目?

メタボ兄貴、早く痩せろ! 筋肉つけろ! マジムカつく!!

今日、買い物してたら、「弟さんが太って大変ね」っていわれた。太ってんの俺じゃねぇよ、兄貴だバカヤロウ!!

マジムカついたので、金払わないで帰った。←きちんと払わぬか馬鹿者

俺のほうは兄貴達に付き合っているせいか、最近ますます筋肉がついてきてかっこよさに磨きがかかってきた。

こんな絶世のイケメンをメタボ兄と間違えるとは、聖域のばばぁ達の目は節穴か!←どちらも大して変わらぬ

これ以上かっこよくなる必要なんてこれっぽちもないんだけどな!!

今日も兄貴はしっかりダイエットメニューをこなしてた。

アイオロス先生とカミュ先生とアフロディーテ先生も絶好調。

明日はジーさんに報告する日だが、兄貴がやせてなかったらやっぱり聖闘士失格か!?

早く俺に聖衣をくれ!←やらぬ

 

何故にたった1週間でここまで酷くなるかのぅ? 
そして何故に1週間で戻らぬかのぅ?
鍛え方が手ぬるいのじゃ。

教皇シオン


 

end