アルプスの妖怪××× 番外編

 

カノンはのりピー語で真っ赤に染まった報告書を見て、顔をしかめた。

童虎「サガよ。よく調査したのぅ。しかし、お主はこんなに頭が悪かったかのぅ?」

カノン「おいクソジジィ。俺はカノンだって言ってるだろう!?」

童虎「そうじゃった、そうじゃった。すまなかったの、サガよ。」

カノン「(このボケ老人、いつかぶっ殺してやる。)」

童虎「ついでに頼みがあるのじゃ。これを焼いておくれ。」

カノン「焼くだと!?てめぇ、俺が折角書いた報告書を焼こうっていうのか!?」

ムウ「カノン、ゼロックスですよ、ゼロックス。」

カノン「はぁっ?ゼロックス?」

アルデバラン「コピーのことを言うんだ、コピー。」

童虎「これをの、12枚焼いて、各宮に配るのじゃ。」

カノン「あっ、ああ。いいぜ。」

童虎「さてと、わしはそろそろ中国にもどるとするか・・・。皆のもの、達者でな。」

カノンは白羊宮をでると、教皇庁の神官にコピーを12枚頼み、受け取る。
そして十二宮を、各宮に報告書をおきながらおりていった。

数週間後。

黄金聖闘士達は、教皇の執務室に呼び出された。
執務室の社長椅子には、代理のアイオロスがドーーンと腰を掛け、その隣に補佐のサガが立っていた。

ムウと童虎を除いた全員が執務机を挟んで横一列に並ぶ。

ダーーーン!!

サガが机を平手打ちした音が執務室に響く。

サガ「お前達、教皇さまが不在だからといって、何を毎日毎日遊びまわっているんだ!」

デスマスク「だってよぉ、妖怪がいねぇから、俺たち仕事ないんだぜ。」

デスマスクが言うと皆、そうだ、そうだと頷いた。
アイオロスが教皇代理で、その補佐をサガがしていた為に、毎週回ってくる補佐の当番が無かったのである。

そして、カノンの報告書のコピーを読み、シオンが暫くは帰って来ないと知ると、皆、思い思いの自堕落な生活をしていた。

ダーーーーーーーーン!!!!

再びサガが机を叩く。

サガ「だからといって、遊びまわっていいはずがなかろう。仕事や訓練、後輩の育成など、私たち黄金聖闘士にはやる事がいっぱいあるだろう!!」

シュラ「折角妖怪がいないんだから、たまには羽を伸ばすのもいいじゃないですか。」

サガ「ばっかもーーーーん!!羽を伸ばしすぎだ、羽を!!」

ミロ「おいっ、ムウはなんでいないんだよ。」

アイオロス「ムウはな、ジャミールに帰っているんだ。」

ミロ「ジャミール??」

アイオロス「そう、休暇だ。休暇。」

デスマスク「なんで、ムウだけ休暇なんだよ。ずりぃー(ずるい)じゃねぇか。」

アイオロス「ムウはな、ちゃんと休暇届を出していったからいいんだ。それに、たまには休ませてやらないと、ムウの尻が可哀相だろう。」

サガ「アルデバランッ!!」

アルデバランは呼ばれ、顔を上げた。

アルデバラン「はい、なんでしょうか?」

サガ「お前は今まで何をしていた?」

アルデバラン「はい。ブラジルとジャミールと聖域を往復する毎日を過ごしていました。」

サガ「はぁっ?」

アルデバラン「最近は光速で走って5分で、この3つを回れるようになったんです。」

サガ「カノン!お前は何をしていた!?」

カノン「世界征服っ!」

サガ「はぁぁっ!?」

カノン「もうボケたのか!?二度も言わせんなよ。世界征服するために各地を混乱させて遊んでいたんだ。」

サガ「お前はまだそんなくっだらないことを考えているのかっ!?」

カノン「うおっーーーーー、やめてくれ兄貴ぃぃ!!!」

カノンはサガにボッコボコにされ、目を回して倒れた。

サガ「次ぎ!デスマスク。」

デスマスク「俺?キャサリンの世話と、ナンパ!」

サガ「仕事と修行をしろ!次ぎ、アイオリア!」

アイオリア「筋トレ。」

サガ「少しは勉強しないか!!次ぎ、シャカ・・・・は、ずっと寝ていたのだろうから、聞くまでもないな。」

シャカ「寝てなどいない!」

サガ「ミロ!」

ミロ「俺は、デスマスク達とナンパと、カミュとエッチ(ハート)」

サガ「馬鹿者!お前も勉強をするんだ、勉強を!!次ぎ、シュラ!」

シュラ「デスマスクとナンパです。」

サガ「はぁ・・・・、デスマスクと一緒にいるなら、共に修行や仕事をしないかぁっ!!次ぎ、カミュ!」

カミュ「はい。ミロと一緒にいました。たまにシベリアに帰って弟子を可愛がってます。」

サガ「少しはミロの勉強をみてやれ。最後、アフロディ−テ!」

アフロディーテ「エステ!」

サガ「はぁ?」

アフロディーテ「だからぁ、エ・ス・テ!サガのために全身をキレイにしておきたいのぉ!!」

サガ「・・・・・・・・・。」

サガは思わず目をそらした。

デスマスク「そういうお前はどうなんだよ。アイオロスが真面目に教皇代理なんてしているとは思えねぇけどな。」

アイオロス「え?私か?もちろん、毎日サガとエッチ三昧!」

サガ「そんなことはしていないだろう、この馬鹿。」

アイオロス「うおぉぉ!!」

アイオロスはサガに殴られ鼻血を垂らした。

シュラ「そういうサガはどうなんです?やっぱりアイオロスとエッチ三昧ですか!?」

サガ「そんなわけないだろう!」

アイオロス「サガはなぁ。風呂だ、風呂!」

ミロ「やっぱりな。サガだって全然仕事してないじゃないかよぉ!」

アイオロス「そんなことはないぞ。サガの風呂は一日6時間、朝昼晩2時間ずつって約束なんだ。でないと、一日中入っていて、ふやけちゃうからな。はははっ!」

サガ「・・・・・・・。」

Ring♪Ring♪

執務室にとつぜん電話の音が響き、全員がビクッとなった。
なっているのは、執務机の上に乗っている、クラシックな電話だ。

アイオロス「はい、アイオロスです。只今留守にしております。『アトミック・サンダーボルト』の後に、メッセージをお入れください。アトミック・・・・・・・。」

沙織「もしもしぃ〜〜。私ぃ。沙織よ、さおり。」

アイオロス「あっ、女神。これは失礼いたしました。」

サガ「ア、女神!?」

サガは慌ててアイオロスに顔を近づけ電話の声を聞く。

沙織「あのね、今アテネ市内にいるの。これらそっちへ行くからぁ〜。」

アイオロス「今からですか?誰か迎えによこしましょうか?」

沙織「大丈夫よぉ〜〜。あっ、おじい様ぁ。聖域までどれくらいかかるぅ?

アイオロスは沙織が、隣にいるであろうおじい様に声をかけたのを遠くで聞いた。

沙織「あのね、0.5秒でそっちに着くって。よろしくねぇ。」

ガチャ。

電話が一方的に切れると、ほぼ同時に、満面の笑みをたたえた女神と、げっそりと痩せて青い顔をした教皇が、執務室へと現われた。

と、同時に全員が沙織の目の前にひれ伏した。

沙織「あらぁ。皆、もう揃っているのね。さすがだわぁ〜〜♪」

シオン「んん?ムウはどうしたのじゃ?」

アイオロス「ム、ムウでしたら、只今白羊宮の階段を登っているところです。」

サガ「(ムウ。今すぐ聖域に戻って来い。裏道を通って執務室に来るんだ。教皇さまが戻られた。)」

サガはそ知らぬ顔をしながら、必死でムウの小宇宙に語りかけていた。

シオン「ほう。出遅れておるのか?」

アイオロス「い、いま、双児宮を抜けました。」

シオン「そうか・・・。」

それから1分もしないうちにムウは現われた。しかも聖衣を着て、珍しく息を乱していた。

ムウ「ア、女神。遅れた無礼をお許しください。」

沙織「ムウ。久しぶりぃ〜〜〜。元気だった?」

ムウ「はい。おかげさまで・・・。」

沙織「そう、それは良かったわ。皆も元気そうで何よりね。それじゃ、沙織はもう帰るから。」

サガ「もうお帰りになられるのでしょうか?」

沙織「ええ。本当はもっとおじい様と一緒にいたいんだけどね。それじゃ、また遊びに来てね、おじいさま。」

chu♪

沙織はそういうとシオンの頬にキスをし、シオンにテレポートされて執務室から消えていった。

その途端、全員が立ち上がりにやりと笑う。

お帰りなさい、おじーさまぁぁぁぁ♪

シオン「お前達!!なにを言っておるのじゃ!早く出て行け。ムウ、ちこう!」

ムウ「おじいさま。ご無理はいけませんよ。」

アイオロス「おじいさま。そのようなことをしては、孫の女神が悲しまれますよぉ。」

その後、シオンは全員におじーさま、おじーさまと呼ばれつづけた。


沙織はね、聖域のおじい様も大好きよ♪