ミロたんといっしょ(ミロたんと羊さん)

ある日、白羊宮を通り抜けようとしたミロは、聖衣ボックスの山の中から怪しげなダンボール箱を見つけた。中を開けてみると、聖闘士星矢の愛蔵版全15巻が収められていた。

ミロ「こっ・・・・これは!?」

貴鬼「へへぇ〜〜〜ん。いいだろう。日本から星矢に送ってもらったんだぁ!!」

ミロは突然、後ろから声を掛けられビックリした。

ミロ「なんだ、貴鬼、いたのか・・・。これいいな、ちょっと読んでもいいか?」

貴鬼「別にいいよ。オイラは昨日、全部読んじゃったからさ。でも、持ち出しは禁止だよ!ミロは持っていった本を返してくれないからな。」

ミロ「分かった、ここで読んでいく!」

ミロは聖衣ボックスに挟まれ小さく腰を屈めて聖闘士星矢愛蔵版第1巻を手に取った。

数時間後ミロは第11巻の自分がカノンをたこ殴りにしている所を読んで、ニヤッと笑った。

ミロ「俺様、超かっこいい!!まじ、イケてる!すっっっげぇ〜〜〜慈悲深い!!なんていい男!!」

さらに数時間後、ミロが14巻を読み終えた頃には日も既に落ち、夜の帳がおりていた。

ミロ「あっ、俺死んだ。聖闘士星矢はこれにて完結!!」

ミロは14巻を箱に収めると、数時間ぶりに顔を上げた。

ミロ「さぁーて、そろそろ帰るかなぁ。」

ミロ「よっこいしょっと・・・・・・・・・あれ?」

コロン

ミロは立ち上がろうとしたが、数時間も聖衣ボックスの間で身を屈めていたため足が痺れて上手く立てずにその場に転がった。

ミロ「おーーーーーい、貴鬼。貴鬼!!」

貴鬼「なんだよ、蠍のオジサン。まだそこにいたの??」

貴鬼はまさかミロがこんな時間まで本を読んでいるとは思わなかったので、ビックリした様子で聖衣ボックスの間を覗いた。

ミロ「ついつい夢中になってな。ところで、足が痺れて動けないんだが、お前の超能力でちょっくら天蠍宮までテレポートさせてくれないか??」

貴鬼「えぇーー?面倒くさいよ。足がなおるまでここにいればいいじゃん。」

ミロ「いや、今日はこれからカミュとの約束があってさ。頼むよ、こんどアイスおごるからさ。」

貴鬼「もう、しょうがないな。今回だけだよ!!」

貴鬼はミロの前で目をつむり静かに呼吸を整えた。

貴鬼「・・・・・・・・・・・・。」

シオン「(貴鬼、貴鬼。)」

貴鬼「あっ、シオン様だぁ!」

ミロを天蠍宮まで飛ばそうとした瞬間、貴鬼は彼の小宇宙に直接語り掛けてきたシオンに思わず反応してしまった。
その瞬間にミロは白羊宮から姿を消した。

教皇の間

ミロは貴鬼が超能力でてっきり自分の天蠍宮へと飛ばしてくれるものだと信じていたので、目の前に現れた人物に度肝を抜かれた。
しかも、教皇との距離は30cmも離れていない。

ミロ「へっ??」

ミロは自分が今座っている場所が教皇の膝の上だと気が付くのに数秒を要した。
しかし、そこから動こうにも足が痺れて動けない。ミロは足の痺れ以外にも外部からの力によって動きを封じられていたことにはまったく気が付かなかった。

貴鬼「(シオン様、どうしたんですか??)」

貴鬼はミロが教皇の間にテレポートしたことなど知らずに、シオンの小宇宙に返事をした。

シオン「(貴鬼。今日は、残業になるから遅くなるとムウに伝えておけ。)」

貴鬼「(はーーい、シオン様。それで夕飯はどうしますか?)」

シオン「夕飯は今届いた。」

シオンはミロにも聞こえるように声に出して言った。

貴鬼「(そうですか、分かりました。それじゃ、お仕事がんばってください。)」

シオンが仮面を外し静かに立ちあがると、シオンの膝の上で硬直していたミロはそのまま床に転げ落ちた。

ミロ「うおっ!」

シオン「ふっふっふっ・・・・・。今日の夕飯は、これまた美味そうな・・・・。どうした、スコーピオン、いつもの活きの良さはどこへいった?」

ミロ「うわっ、来るな!来るな!俺に近づくんじゃねー妖怪!」

シオン「ほぉ〜。足が痺れて動けないのか?ふふっ、さすがの蠍も己の痺れには勝てないようだな。」

ミロは立ち上がれぬ体で後ずさりをしようとしたが、やはり足が痺れて動けなかった。シオンの手が容赦なくミロの足をつかむ。

シオン「ほほぉ〜、この足が痺れているのか?ここか?」

ミロ「はうっ!!」

シオン「ふふふっ、なかなか可愛い悲鳴じゃのぉ〜。ほれっ!」

ミロ「ぐあっ!」

シオン「ふふふっ、ここはどうかな?」

ミロ「あうっっ・・・・・。」

シオンは人差し指でミロの痺れた足を突ついて、その反応を楽しんだ。

シオン「さぁ〜て、次はどこかなぁ?」

ミロ「ハァハァハァ・・・・・ち・・・・ちくしょう!」

シオン「おや、スコーピオン、気分が悪そうだな?少し横になったほうがいいのではないか?」

ミロ「うわぁぁぁぁぁぁ、それだけはぁ〜〜〜〜〜〜〜。」

シオン「はっーはっはっはっはっーーーーーーーー。」

そう言うとシオンはミロを小脇に抱えて自室へと消えていった。

 

宝瓶宮

カミュ「はっ!い・・・・今、教皇の間の方でミロの小宇宙が散った!
す・・・・すまん、ミロ。こればかりは私の力でもどうにもならんのだ・・・・許せ・・・。」

 

白羊宮

ムウ「おや、今日の夕飯は蠍ですか・・・・。」

貴鬼「ムウさま、これ蠍なの??」

貴鬼は食卓に並べられた料理を見てムウに尋ねた。

ムウ「いえ、教皇の夕飯のことですよ。」

貴鬼「ふぅ〜〜ん、シオン様も変なもの食べるの好きだね。」

ムウ「そうですね。」

 

教皇の間

シオン「よいではないか♪よいでないか♪」

ミロ「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!」


End