獅子誕生秘話!?

 

聖域圏のロドリオ村よりも小さい村にアイオロスの実家がある。
聖闘士としての訓練の合間を見て、久しぶりに我が家に帰ってきたアイオロス6歳は、母の料理にかぶりついていた。

アイオロス「父さん、聞いてよ。今日、女神(アテナ)を見たんだ!!」

父「えっ!?アイオロス、女神はまだご光臨されていないだろう。」

アイオロス「嘘だ!!あの子は絶対に女神だって。」

父「あのこ?」

アイオロス「そう。昨日ね、聖域で訓練していたら、その子が神官と一緒に歩いていたんだ。俺と同じくらいの子かな?すっごーーーーーーーーーーーい可愛いかったんだよ。」

母「まぁ、アイオロスはもう初恋なの?」

アイオロス「青いクルクルの髪の毛がすっごくキレイでね、目も大きくてすっごい可愛いんだ。見とれていたら相手のパンチくらって、50mもぶっ飛んで鼻血だしちゃったよ。しかも肋骨4本折れて、歯も6本折れちゃったんだけど、教皇さまが『乳歯だから問題ない。お前は丈夫だな。』って誉められちゃったんだ!へへへっ。」

父「しっかりしなくちゃ駄目だぞ、アイオロス。」

アイオロス「父さんだって、あの子を見たら手がとまるよ。ほんとーーーーーーーーに可愛いんだよ。あれは絶対に女神だってば!!!」

父「大方、新しい女官か何かだろう?」

アイオロス「違うって、あれは女神だよ!!」

頬を紅潮させ、目を輝かせながら女神について熱く語り、久しぶりに自宅での休息を楽しんだ。

 

一週間後。

アイオロスはまた実家に戻っていた。
勢いよく自宅のドアを開け放っち、父の名を呼んだ。

アイオロス「聞いてよ、父さーーん。この前、またあの子を見かけたんだよ。」

父「あのこ?」

母「アイオロスの女神でしょう。」

父「あー、あれか・・・。」

アイオロス「この前も、神官と一緒に歩いていたんだ。でも、なんだかすっごくさびしそうで、不安な顔していた。初めてみた時も、すっごくさびしそうだったんだよ。」

父「そうか。その子は、もしかしたら一人なのかもしれないな。」

アイオロス「一人って?」

父「聖域は、お前みたいに両親がいる純聖域人ばかりじゃないということだ。親がいなくて聖域に引き取られたのかもしれないな。」

アイオロス「じゃ、あの子は一人ぼっちなの?」

母「そうかもしれないわねぇ。可哀想ねぇ・・・。」

アイオロス「・・・・・。」

父「聖域で無事に生きていけるといいな。何せ、聖域は無骨な男がいっぱいいるから、女子にとっては辛いだろに・・・。」

アイオロス「・・・・・・・・・・俺、決めた!!俺は絶対に女神を守る聖闘士になって、女神を、あの子を守るんだっ!!」

父「だから、その子は女神じゃないといっているだろう、アイオロス!」

母「ふふふっ。アイオロスもその内、分かるようになるわよ。アイオロス。頑張りなさいね。」

アイオロス「うん、母さん。あっ、そういえばね。あの子すっごいんだよ。」

母「すごいって?」

アイオロス「俺が声を掛けようと思って追いかけたら、いきなり消えたんだ。ビックリしちゃったよ。やっぱり女神だよ、あの子は!!」

父「消えた?」

アイオロス「俺、聖域に戻るね。あの子を守る為に強くならなくちゃ!」

アイオロスは在宅時間わずか30分で、聖域へと戻っていった。

父「消えた・・・・か。まさかな・・・・・。」

母「いやですよぉ。アイオロスもきっと疲れていたんでしょう。あの小さい体で聖闘士になる為に、毎日厳しい訓練をしてんだから・・・・。」

父と母は若干の不安を覚えつつも、我が子の成長を暖かく見守ることにした。

 

数日後。

アイオロスはまたまた実家に戻っていた。

アイオロス「聞いて、父さん。あの子の名前が分かったんだ。」

父「そうか。よかったな。それで、なんという名前だったんだ?」

アイオロス「サガだよ。サガ。俺さ、思い切って教皇に直接聞いたんだよ。そしたら、九九を覚えたら名前を教えてくれるって。」

父「それで覚えたのか?」

アイオロス「あったりまえだよ。そしたら教皇が、あの子のなまえがサガだって。SAGAって書いてある紙を貰っちゃった。俺の宝物だよ。」

母「そう、よかったわね。それで、サガとは知り合いになれたの?」

アイオロス「ううん。まだなんだ。サガはあまり聖域の方には顔を出さないみたい・・・。きっと恥ずかしいんだよ。」

父「はやく友達になれるといいな。」

アイオロス「うんっ!それは絶対に大丈夫。だって、サガはジェミニのセイントの候補なんだって。俺と同じゴールドセイントの候補なんだよ。教皇がジェミニって呼んでいたから間違いないよ。」

母「セ、セイント?」

父「やっぱり・・・・。」

母「その子は仮面をつけているの?」

アイオロス「仮面?つけてないよ。だって、すごい可愛い顔してるもん。仮面なんてつけていたら分からないだろう。」

母「・・・・・。」

父「アイオロス。その子が男の子だというのは、分かっているんだろうね?」

アイオロス「え?知っているよ。だって、女のセイントは仮面をつけているだろう?」

父「そうか・・・。」

アイオロス「俺、絶対にサジタリアスのセイントになって、サガと結婚するんだ。ずっとサガと一緒にいあげる事に決めたんだ!!いいだろう、父さん?」

父「・・・・・・。」

母「・・・・・・。」

アイオロス「あっ!俺、もう聖域に帰るね。いつサガが聖域にくるか分からないからさ!!」

アイオロスは食事を勢いよく済ませると、乱暴に家から飛び出していった。

その後ろ姿を見て、父は溜息をついた。

父「仕方ない、聖域だしな・・・。」

母「でも、まさかアイオロスがねぇ・・・・。」

聖域純正培養の父と母は、アイオロスの行動になんら疑問を抱いていなかった。

父「孫の顔はみれそうにないな。」

母「そうね。すごく残念だわ・・・。」

父「久しぶりに今夜頑張るか?今からなら、まだ大丈夫だろう。」

母「そうですね・・・・。」

その日、父と母の頑張りによって、無事にその8ヶ月後、アイオロスの弟は誕生する事になる。
しかし、孫の顔がみたい両親は聖闘士になるべくなって欲しくないという思いを込めて、アイオリアという女の子を名前をつけたのであった。


End