MISSION IMPOSSIBLE(File.?????  WHITE X−DAY)

 

数日前、俺がぐっすり寝ていると、誰かに起こされた。
っていうか、俺を起こそうとする馬鹿は、兄貴しかいないんだが、俺は深夜までゲームをしていてついさっき寝たばかりだったので、兄貴を無視することにした。←いつもそうやって構ってもらっているのですね。←早寝早起きを心がけよ

『カノン。いい子だから、起きなさい。でないと、兄さんは怒るからな。』

兄貴が自分のことを兄さんなんて言ってやがる。その前に、俺のことをいい子だと!?ああ、これは夢だ夢。絶対に夢に違いない。←むしろ貴方の願望なのでは?←そのとおり
俺はそのまま夢の中の兄貴に、毛布の中から蹴りを入れ睡眠を続けた。が、その足を夢の中の兄貴につかまれ、毛布から引きずりだされた。

ってことは、まさか夢じゃないってことか・・・・・。

俺がうっすらと目を開けると、兄貴が俺の脚をつかんでいやがった。

『カノン。寝ぼけてないで、いい加減おきなさい。まったく、そんなに寝起きが悪いのでは、いつになっても双子座の聖闘士にはなれんぞ。』

はぁ??こいつは一体何を言っているんだ。そもそも双子座の聖衣を俺に譲る気なんて、これっぱちもないくせに。←偽善者ですから

と兄貴を睨み付けると、俺はとんでもないものを見てしまった。

兄貴がキラキラしているのだ。目はいつもの倍大きく、口元には気色の悪い笑みを浮かべてキラキラ輝いてやがる。←気持ち悪いですね←よいではないか

『おはよう、カノン。やっと目が覚めたか。今日も気持ちのいい朝だな。さぁ、食事ができてるから、早く食べよう。』

兄貴はそういってますますキショイ笑顔を浮かべて俺に微笑んだ。
ああ、なんだこの笑顔は。なんでこんなにキラキラしてんだ、こいつは。兄貴からは、いつものよどんだ鬱のオーラではなく、異様に神々しいオーラがビリビリと出ていた。←また人格が変ったんですか。迷惑ですね。←電波であるの

ベッドの上でキラキラ兄貴を茫然と見ていると、兄貴は不思議そうに首を傾げて俺のことを見ている。一体なんなんだよ。お前のほうが不思議なんだっての。

『どうしたんだ?、カノン』

『兄貴こそ、どうしたんだよ?』

『あにき?』

俺が聞くと、キラキラ兄貴の眉間にシワが寄った。が、まだキラキラしている。
が、兄貴はいきなり俺のベッドに座ると、茫然としている俺の鼻を摘んで、またキラキラしやがった。

『どうしたんだ、カノン。兄貴じゃなくて、兄さんだろう?でなければサガっていつもお前は呼んでるじゃないか。ほら、早く起きなさい。』

兄貴はそう言って、俺の鼻をぎゅうとつねって微笑むと、そのまま部屋を出て行った。←28歳の男がすることとは思えませんね。さっさと病院に連れて行ったほうがいいでしょう。

俺はしばらくベッドの中で考えた。

あのキラキラといい、あの微笑といい、あの神々しいオーラといい、あのうそ臭い優しさといい・・・・。あれは俺の知っている十数年前の偽善者面した、神のような男のサガだ。あれは俗に言う白サガに間違いない。俺は思わず冷や汗をながした。切れると聖衣を着たままスッピンの俺をボコって、スニオン岬に放置したあのサガなのだ。←神のようなだけで、神ではないですから。所詮は偽善者偽神さまですよ。

そういえば、先週病院に行った時に、兄貴の精神状態が最近は随分と落ち着いていていい感じだとは言っていた。確かに、その頃から何となく兄貴は目がパッチリで、ちょっとキラキラしていた気もするんだが。

なんでまた今日は、あんなに目がでかくてキラキラしてんだ?。←よいではないか

俺がずっとベッドの中で考え事をしていると、兄貴がまた部屋にやってきた。ウザイ、まじでウザイ。いちいち起こしにくるな。←本当は構ってもらって嬉しいのでしょう←そのとおり

仕方なく、俺は眠い目を擦って起きると、兄貴はワードローブから俺の服を取り出した。どうやらこれを着ろということらしい。兄貴は俺にTシャツとジーンズを渡して、顔を洗ってこいと言ってそそくさと出て行った。←自分の着るものくらい自分で用意も出来ないのですか?←いかんのぅ

俺が渋々と兄貴が出した服に着替えて顔を洗ってダイニングに行くと、キラキラ兄貴がすでにテーブルについていた。

『兄さんな、今日はお前の大好きなシチューを作ったんだ。』

はぁ?こいつ何言ってるんだ??
俺が露骨に嫌そうな顔をすると、兄貴は心配そうな表情をして、

『お前、シチュー好きだろう?ほら、クリームの入った奴。』

とオロオロしはじめた。

っていうか、好きとか嫌いとかの問題じゃないだろう。朝食にクリームシチューなんて、聞いたことねぇぞ。しかも、朝6時だ、6時!!←馬鹿ですね

『えっと、お前の好きなチョココロネとクリームパンも買ってきたんだ。』

俺は兄貴の視線を追うと、テーブルの中央のバスケットにチョココロネとクリームパンが山盛りにつまれていた。
おいおい、クリームシチューに菓子パンってどういう組み合わせだ。←美味しそうですね←チョコなんたらなどパンではない
この状況で兄貴に何を言っても無駄なので、俺は黙って席につくことにした。とりあえず、朝から兄貴のまずいシチューは勘弁という事で、俺がパンを食べようとしたとき、兄貴に手の平をつねられた。←好物を覚えていてもらえてよかったですねぇ←よかったのぅ

『ちゃんと女神に祈りを捧げなければ駄目だそ、カノン。ほら、ちゃんと手を合わせて女神に祈りなさい。』

いつもなら俺が勝手に飯を食い始めても一人で祈っている兄貴が、俺に祈りを強要してきた。一体なんなんだよ。
まじで勘弁だ。俺は適当に目を瞑って手を合わせてムニャムニャしてから、を食った。←ちゃんとお祈りしないと、またスニオン岬の岩蝋に閉じ込められますよ

俺がいつものように黙々と飯を食っていると、兄貴がジーット俺のことを見ていることに気がついた。しかもなんかまたキラキラして、ウルウルしていた。
巨大な男がキラキラウルウルすんなよ、キショイ。←あの肩幅では可愛くないですね

『なんだよ。』

『カノン。具合が悪いのか?』

兄貴は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。具合が悪いのはお前だろうと思ったが、俺が別にといって答えると、兄貴は突然席を立ち上がって、俺の前髪をかきあげ自分の額を俺の額にくっつけてきやがった。

『どうした?熱はないようだが・・・。お前が大好きなシチューをあまり食べないなんて、具合が悪いのか?もう、お前は私と離れて生活することもなくなったんだから、具合が悪いのならはっきり言いなさい。兄さんはずっとお前の傍にいてあげるから。』←よかったですね←よかったのぅ

はぁぁぁ?ちょっと待てよ。一体兄貴の奴はどうしたんだ?俺は別に病気を隠しているわけでもないし、兄貴に傍にいて欲しいわけがない。むしろ早くどっかいけ。←本当は嬉しくてニヤニヤしていたんでしょう←するどい洞察力じゃ

これってもしかして、白くなりすぎって奴なんじゃねぇのか?

『実はな、兄さん、ちょっと頭が痛いんだ。だから、双子のお前ももしかしたら兄さんの痛みを感じ取って、痛いのかと思って。本当に何もないんだな?』←痛いわけないでしょうに、馬鹿ですね。←まだまだ甘いの。双子は摩訶不思議な力があるゆえ、痛くないとは断言はできぬぞ。

俺が頷くと兄貴はホッと溜息をついて、安心した。
俺は恐くなった。兄貴が俺のことを心底心配している。いつもはボコボコに殴ったり蹴ったりして、俺の体の心配よりも世間の風評や平和の事ばかり心配するあの兄貴が、俺のことを心配していた。←よかったですね←まったくじゃ

そういえば、頭が痛いとかいっていたな・・・・・、まさか、昨日風呂場ですっ転んだ時に頭をうちつけたあれが痛いのか?

俺は兄貴の心配をするふりをして、兄貴の後ろ頭を見ると、巨大なたんこぶを発見した。←本当は心配だったのであろう

昨晩は、普通に白い兄貴が俺の飯にピーマンの肉詰めを作ったから、仕返しに風呂場の床に石鹸を塗っておいたのだ。兄貴はまんまと俺の罠にはまり、足を滑らせて頭からすっころんで風呂場で気を失った。←超馬鹿ですね。聖闘士の癖に頭を打つなんて、修行が足りないようですね。

恐らく、このたんこぶはその時に出来た奴だろう。

ということは、兄貴が白くなりすぎてキラキラしすぎてるのは、打ち所が悪かったせいか。←そのとおり

『カノン。兄さんの頭になにか出来てるのか?』

俺が兄貴の髪の毛を掻き分けて、じーっとたんこぶを見ていると兄貴が心配そうに声をかけてきた。俺が、どでかい腫瘍が出来ているというと、兄貴はショックのあまり目を粒にさせた。

おいおい、まじで信じるなよそんなこと。っていうか、もしかして昨日風呂場ですっ転んだ記憶がないっていうんじゃないだろうな。俺が聞いてみると兄貴は、なぜか今朝起きたときは風呂場で裸で寝ていたといって首を捻った。←お約束ですね

兄貴がキラキラしているのは、完璧に打ち所が悪かったせいだ。白い兄貴は打ち所が悪くて、黒くなるどころかますます白くなったんだ。←どちらになったとしても、性質が悪いですね

俺がどうしようかと悩んでいると、兄貴が突然粒にしていた目から滝涙を流し始めた。一体何事かと思ったら、どうやら頭にできた腫瘍が原因で、俺より先に死んだらどうしようとか訳の分からないことを悲しんでいるようだ。←馬鹿ですね←やはり死ぬ時は一緒がよいのか?

『ど、どうしよう、カノン。せっかく一緒に暮らせるようになったのに、兄さんは腫瘍が悪化して死ぬかもしれない。お前を一人置いていくこの兄を許してくれ、カノン。』

兄貴はそういって、鼻水をたらしながら泣き出した。
相変わらずネガティブな思考だ。むしろ、白さが増してさらにネガティブになった気がしないでもない。

 

とにかく、こういう場合はもう一度兄貴をぶっ叩いて正気にもどしたほうがいい。

俺はキッチンからフライパンを持ってくると、先に死ぬことを許してくれとシクシク泣いている兄貴の隙をついて、たんこぶめがけてフライパンを振り下ろした。
ゴインという鈍い音がなると、兄貴の体は衝撃で前のめりになった。
小宇宙をこめて力いっぱい殴ったつもりだったが、兄貴はまだシクシクないていた。←手ぬるいですね。一撃できめなさい

俺はもう一発殴ってもまだ兄貴は泣いていた。しかもなんだか、さらにキラキラが増したような・・・。

俺がさらに殴ると、兄貴は椅子から立ち上がり俺のほうを向いた。目から中国の滝のような涙を流し、鼻水をズルズルさせながら、兄貴はそれでもキラキラしていた。むしろ、さっきよりもキラキラが増した気がする。

『カノン。お前が兄さんを憎む気持ちはよく分かる。さぁ、カノン。兄さんを思う存分殴りなさい。それでお前の気がすむというなら、兄さんはいくらでもお前に殴られよう。』

俺は、生まれて初めて恐怖を感じた。←初めてではなかろう
頭に巨大なタンコブをこさえた兄貴が、目から滝涙を流し、鼻水をたらしながらキラキラと微笑んでいるのだ。しかも両手を俺に向けて広げ、早く殴れと言っている。←馬鹿ですね

殴っていいというなら、そりゃ殴るしかないだろう。こんなときくらいしか思う存分兄貴を殴れないからな。←駄目ですね

俺は思いっきり正面からフライパンで兄貴の頭を連打した。

が、兄貴の頭を殴るたびに兄貴のキラキラはどんどんキラキラになっていった。

しまいには兄貴はムウのスターライトなんとかなみにキラキラ輝きはじめた。←スターライト・エクスティンクション。しっかり添削せよ。

これはまじでやばい。

俺はとにかく兄貴が気を失うまで殴り続けた。←いかんのぅ


next