MISSION IMPOSSIBLE(処女宮に巣食う一輝の謎を追え!)

 

『最近、処女宮からバルゴのフェニックスを呼ぶ声が聞こえる。しかし、その姿を見た者は誰もおらん。もしや、バルゴはフェニックスを拉致監禁してるやもしれん。調査してまいれ。拉致監禁しておった場合は、その状況を克明に報告するように。
なお、この指令によって、そなたの命が危険にさらされようとも、余は一切責任を持たん。』

 あのボケ老人、最初から責任なんて取るつもりもねーくせに。俺は、フェニックスが嫌いなんだよ!!拉致監禁してるなら、一生表にだすな!!←余はピチピチの18歳だ。くどい。

 俺は、その足で処女宮に向かった。
処女宮は線香と香辛料の臭いが混じって、なんとも言えない香りに満ちていた。シャカはいつもの場所で座禅を組んで静かに目を閉じている。俺は、このきれいな顔をした男が目を開いたところを見たことがなかった。

 シャカは俺が近づいても何の反応をしめさなかった。俺は、シャカに顔を近づけ、その顔をジィーっと見つめた。
黒い兄貴は、アフロディーテが一番綺麗だと言っていたらしいが、俺にはシャカやムウのほうが、よっぽど綺麗な顔をしていると思う。←好みは人それぞれだが、余もムウやヴァルゴの方が好みである。

こいつ、生きてるのか??

俺は更にシャカに顔を近づけた。すると微かに、シャカの寝息が聞こえた。

やっぱり、こいつ寝てやがる!

『おーーーい、シャカ!シャカ!おシャカさまぁ〜!』

 俺はシャカの耳元で名前を呼んだ。しかし、反応はない。やっぱり、死んでるのかな??

『おい、シャカ。目を覚ませ!』

俺は、シャカの両瞼に手をあてがい、無理やりに目を開かせた。

 

 俺は、気がつくと処女宮ではないどこか別の場所にいた。なんとなく分かる、ここは異次元だ。
 しかし、俺に一体何が起こったのだ。取り合えず、元の世界に戻ろうと思い、俺は自分に逆ゴールデントライアングルをかけた。

あれ??ゴールデントライアングルが効かない・・・・・・。どこ、ここ??

 俺は周囲を見渡した。俺は空を見上げると、嫌なものと目があった。それは巨大な仏像だった。よく見ると、俺はその巨大な仏像の手の平の上に乗っていた。

 やばい、これって噂の六道輪廻ってやつか?一体、ここから出るにはどうしたら・・・・・。←修行が足りぬ

俺は、取り合えず兄貴の小宇宙に直接語りかけてみた。

『おーーーい、兄貴。ちょっと今、六道にいるんだけどさぁ。助けてくれない?』

『お前、なぜそんなところにいるんだ。また、シャカにいたずらでもしたのか、この馬鹿め。』

『ちっげーよ、兄貴。仕事だよ、し・ご・と!』

『仕事ならば、最後まで責任をもって自分の力でもどってくることだな。』

兄貴はそう言うと、一方的に小宇宙を断った。おぼえてろよ、クソ兄貴。

 

俺は、仕方なく、ただで何でも言うことを効いてくれそうなカミュの小宇宙に直接語りかけた。

『おーい、魚屋さん!魚屋さん!クールで素敵な魚屋さん。』(注:魚屋さん→Mission 666参照

『・・・・・・・・・・・・。』

『てめぇ、無視してんじゃねぇ。兄貴にばらすぞ、魚屋さん!』

『・・・・・・・。一体なんの用だ!』

『おぅ、魚屋さん。ちょっと今、六道にいるんだけどさ、助けてくれない?』

『・・・・・。すまないが、私にはそれは出来ない。』

『ごらぁ、嘘ついてるんじゃね、魚屋!俺が一生ここから出てこなければ、いいと思っているだろう!魚屋!!』

『ほ・・・・・本当だ!前に私が、そこに落ちたときはサガに助けてもらったのだ。カノン、サガに助けてもらうといい。』

『んなもん、とっくの昔に断られたよ!!魚屋、なんとかしろ!』

『私は凍らすのは得意だが、そういったことは専門外なのだ・・・。専門といえば、あぁ、ムウがいるじゃないか。ムウに頼んでみたらどうだ。』

 カミュはそういうと、一方的に小宇宙を断った。おぼえてろよ、あの魚屋!

 

 ちっ・・・・・ムウか。奴じゃ高くつきそうだな。そうだ、貴鬼!あいつなら、安いだろう。
俺は、貴鬼の小宇宙に直接語りかけた。

『おーい、貴鬼!貴鬼!』

『あっ、頭の悪い方のジェミニのオジサンだ!』

『かっこいい方のジェミニのお兄さんだろ、ごらぁ!』

『一体、何の用?オイラ、昼寝で急がしいんだけどなぁ。』

『ちょっと、六道に落ちちまってさぁ。ここから出してくれない?』

『えぇ〜、面倒くさいよぉ。』

『そこをなんとか頼むぜ。帰ったら、アイスおごるから!』

『うーーーん、どうしようかな。』

『アイス、一週間分でどうだ?』

『えーーーーーー。』

『分かった、アイスとチョコレート一週間分でどうだ。』

『OK!交渉成立ね。今、そこから出してあげるから、ちょっと待ってね。』

『おう、頼んだぞ!』

『うーーーーーーーーーん』

『ドキドキドキ』

『うーーーーーーーーーーーーん・・・・・・・。』

『ドキドキドキ・・・・。』

『うーーーーーーーーーーん。』

Pooooooooooo!

『おい、今の、プゥーーーって何だ!プゥーーーーーって!』

『ごめん、力み過ぎて、オイラ、オナラが出ちゃった。オイラじゃ、やっぱり無理みたい。ムウさま呼んで来るね。』

『おい、こら待て。屁たれ小僧。勝手にムウを呼ぶな!!』

貴鬼は一方的に小宇宙を断った。覚えてろよ、あの屁たれ小僧!

 

俺は結局、白羊宮の掃除を1ヶ月するという約束で、ムウに六道から出してもらった。←心をこめて掃除をするように

俺は、ムウに礼を言い再び処女宮へと戻った。

 

 そこにシャカの姿はなかった。俺は、シャカを探して、裏庭の沙羅双樹の庭に足を踏み入れた。

『一輝を踏むな!』

 俺は、いきなりシャカに声をかけられ、おどろいた。
 一輝だと?フェニックスが一体どこにいるというのだ。俺は、足もとを見たがフェニックスなんて何処にもいやしねぇ。
 俺はシャカの言葉に構わず、シャカの方へと歩き出した。

『一輝を踏むなといっておろうが!!』

はぁ〜〜〜〜??

『フェニックスなんて、どこにもいねーじゃん。』

『フェニックスではない。一輝だ!一輝はお前の足元にいる!』

はぁ〜〜〜〜〜〜〜????

俺は、再び足元をみた。そこには、俺に踏まれた雑草が横たわっていた。

『・・・・・もしかして、このクタクタのヨレヨレの雑草が一輝??』

俺はシャカに聞いた。

『そうだ!!先ほど、お前が踏んだのも一輝だ!』

俺は、ぴんと来た。

『もしかして、あれも一輝??』

俺は、赤い花を指差した。

『そうだ、あれも一輝だ!』

『じゃ、これも?』

俺は、白い花を指差した。

『当然だ!』

俺は、次にピンクの花を指差して聞いた。

『違う、それはアンドロメダだ!』

『アンドロメダ?一輝との違いは?』

『そんなことも分からんのか。』

 分かるか、ボケェ〜〜〜。こいつに何を言っても無駄だった。

 すると、一匹の真っ白い猿が俺に襲いかかってきた。

『ウッキィーーーー。シャーーーー。』

 なんだ、この猿。いっちょ前にこの俺様に牙を向いていやがる。エテ公のくせに生意気だ。
 俺は、猿を捕まえようとしたが、これがなかなか素早くて捕まえることが出来なかった。←猿以下だな

『やめないか、一輝。お客さんだぞ。すまない、カノン。この一輝は私にしか懐いていないのだ。一輝、来るのだ!』

 シャカに呼ばれた猿の一輝は、シャカの元に走っていき、跳びついた。
 その瞬間、俺は凄いものを目にした。
 猿の一輝はシャカの顔面に跳びつき、牙を剥いて引っ掻いた。シャカの美しい顔には、10本の爪あとが縦にビーッと伸びており、そこからダラダラと出血していた。

『ふーーーん、凄い懐き方だな。』

『ふっ・・・・・。』

 シャカは鼻で笑うと、僅かに小宇宙を高めた。すると、シャカの顔の傷はみるみる消えていった。

 ついでに、その辺にいる小動物の名前を聞いてみたが、案の定、全て一輝だった。

 ウサギの一輝、孔雀の一輝、狐の一輝、ねずみの一輝・・・・・・・・・。

 俺は、処女宮の一輝の正体を見た!!

 任務終了!!と思って、俺は処女宮へ入り、教皇の間へと報告に行こうと出口へと向かった。

『一輝を踏むな!何度言ったら分かる!』

『はぁ??何にもねーじゃねーか、ごらぁ!』

 俺は足元を見た。確かに、俺の足元やその周りには何もなかった。

『貴様、一輝を殺したな?』

 はっ??まさか!!
 俺は足の裏をみた。俺の足の裏には、つぶれた蟻がベッチャリとくっついていた。

『まさか、これ!?』

 俺は、自分の足の裏を指差しシャカに尋ねた。

『そうだ。お前が殺したのは、軍隊蟻の一輝H´だ!』

 そういうと、シャカは死んだ一輝の為に念仏を唱え始めた。

 

報告:処女宮の生き物は全て一輝。

提出物:一輝H´の死体。


↑勝手におすでない

聖闘士のフェニックスの捜索をしたようには一切見受けられぬが、これで調査終了というのは片腹痛い。土中から天井裏までくまなく捜査し、再提出せよ。
六道輪廻から自力で生還できぬというのは、双子座のスペアーとして大変問題があるので、修行に励むように。それ以前に、猿にも拳があたらぬとは・・・「生きててごめんなさいと」謝れ!!
なお、貴鬼の素行については、余の方からムウに厳重注意しておくので、みだりに買収しないように。

教皇 シオン


End