シオンさまといっしょ(シオンさまとかに)

 

 聖域は、ハーデスとの長き闘い後、女神の力によって復活した聖闘士達の活気でかつてない賑わいを見せていた。
お気に入りの18歳の体で復活したシオンは、13年間のブランクを埋めるために毎日、教皇の間に黄金聖闘士を2人づつ呼び、自分の仕事を手伝わせていた。

シオン「ほぉ、今日は蟹と山羊か?」

デスマスク「はっ、本日はキャンサーのデスマスクとカプリコーンのシュラがお供をさせて頂きます。」

シオン「ふむ。お主達、何故に聖衣を着ていない?」

シオンはデスマスクとシュラが私服なのを見て尋ねた。

シュラ「はっ、教皇の執務の補佐をするに辺り、とくにその服装にはこだわらないと伺っていたものですから・・・・。」

シオン「ウム。そうであったな。しかし、蟹よ。」

デスマスク「はい。」

シオン「お主は聖衣を着てまいれ。」

デスマスク「はっ?」

シオン「今すぐ聖衣を着てこいと、ゆうておるのだ。」

デスマスク「はっ、かしこまりました。」

デスマスクは自宮から聖衣を呼び寄せた。

シオン「山羊よ、この蟹の聖衣にはな、余が施した細工がしてあるのじゃ。何処であるかあててみよ。」

シュラ「はっ・・・・はぁ。」

シュラは普段見慣れたデスマスクの姿を繁々と見つめ考えた。

シュラ「も・・・・もしかして、これがこう動くのでございますか??」

シュラは自分の頭の両脇に両手を持っていき、その指を開いてデスマスクの聖衣のヘッドの形を作り、その指を動かしてみせた。

シオン「馬鹿者、いくら余でも、そのような面白い事をするはずがなかろう!」

シュラ「はっ、申し訳ございません。」

シオン「蟹よ、余に背中を向ける無礼を許すぞ。」

デスマスク「はっ??」

シオン「後ろを向けと言っておるのじゃ、鈍い奴よのう。」

デスマスク「はっ、かしこまりました。」

シオン「どうだ、山羊よ。これを見てもまだ気が付かぬか??」

シュラにはシオンが言おうとしていることがまったく分からなかった。しかも自分の名前を呼ばないシオンに苛立ちすら覚えていた。

シュラ「あの、お言葉ですが、教皇。私には『シュラ』という名前があるのですが・・・・。」

シオン「うむ、そうであったな。先代の山羊の名前とごっちゃになってしまってのう。すまなかったな、山羊よ。しかし、今はそんなことはどうでもよいのだ。」

シュラはシオンに自分の名前を呼んでもらうのを諦めた。

シオン「ふっふっふっ・・・・。山羊よ、お前には見えぬのか?あの蟹の背中にパックリと空いたところから見えるウナジが!」

シュラ「はっ、ウナジでございますか?」

シオン「そうだ。先代の蟹のウナジは、それはそれはもう美しくてのう。」

シュラ「はぁ・・・・・。」

シオン「聖衣の修復を頼まれた時に、ついついパックリと空けてしまったのだ。あれのウナジは本当に白くて・・・・・・さて、あれの出身地は何処だったかのう??ここまで出てるのだが思い出せん。山羊よ、お前知っているか?」

シュラ「いえ、私は存じ上げませんが。」

シオン「それもそうじゃった。もう200年も前の話しだからのう。おお、蟹よ。お主なら先代のことくらい知っておるだろう?」

デスマスクは振り向き答えた。

デスマスク「はっ、私も存じ上げませんのですが!」

シオン「これ、蟹。振り向くではない。そなたはずっと余に背中を向けておれ。」

デスマスク「はっ、申し訳ありませんでした。」

シオン「まぁ、よい。これはムウが知っておろう。あれには散々、この話しを聞かせたからの。」

シュラはデスマスクが哀れに思えた。

シオン「しかし、あれのウナジは白くて美しかったが・・・・・・、蟹よ、そなたのウナジもこんがりと日焼けして、なかなか美しいのお。そうは思わぬか、山羊よ?」

シュラは蟹座の黄金聖衣から覗く、デスマスクの小麦色に焼けたウナジをじっくりと見つめた。

シュラ「はいっ、そうですねぇ。確かに、デスマスクのウナジはなかなかの物であります。私、今まで全く気が付きませんで、不覚でございました。」

デスマスクはシュラがてっきりシオンに話しを合わせていると思っていた。後ろを向いている彼には、シュラの表情がニンマリといやらしい表情をしていることなど知るはずもなかった。

シオン「ほぉ〜、山羊よ。お主、なかなか話しが分かる奴じゃのお。」

シュラ「はっ、恥ずかしながら、私もこういうことは嫌いなほうではございませんので。」

シオン「ほぉ、そうか、そうか。では、この様なものは好きか、山羊よ?」

デスマスクは一日中、シオンとシュラに背中を向けたまま、2人の変態話を聞かされた。

 

 


End