シオンさまといっしょ(全員再特訓 その2)

 

シオン「次は誰じゃ?」

アイオリア「はい、お手合わせ願います。」

外野からアイオリアが挙手して、一人でシオンの前に出た。

シオン「ほう、なかなかの勇気じゃのう。」

不敵に笑うシオンが手招きして挑発すると、アイオリアはマントを剥ぎ取り、走り出した。

アイオリア「ライトニングーーー!!!」

シオン「とろい!」

アイオリアが拳を繰り出すよりも早く、シオンはアイオリアの腕をつかむと、そのままヒョイと天高く投げ飛ばした。

デスマスク「あーーあ、アイオリアのやつ、星になっちまったな。」

ムウ「弱すぎですね・・・・・。」

シオン「さて、次!」

一同は顔を見渡し互いに首を横に振った。

 

ミロ「教皇!!二人一緒でもいいんですよね?。」

シオン「かまわぬぞ。余をここから一歩でも動かしたら休暇をくれてやろう。」

ミロ「え?!動かすだけでいいんですか!!!カミュ!お前の頭脳と俺の爪で休暇を勝ち取ろうぜ!」

カミュ「・・・なるほど。」

ミロとカミュは座り込んで作戦会議をはじめる。しばらくすると、二人は遠くはなれて、それぞれシオンに構えを取った。

ミロ「温泉は俺達でいただきだ!!!!」

シオン「おお!!!サガの尻が見えとるぞ!」

ミロ・カミュ「何?!サガの尻?!」

カミュとミロはシオンの言葉につられて余所見をした瞬間、二人はシオンの光速拳で闘技場の壁まで一気に叩きつけられた。

 

シオン「わはははは!ひっかかりおったな、馬鹿め!まったく、お前達は弱すぎじゃ。3人でアテナエクスクラメーションでもなんでも使って、余をここから一歩でも動かしてみよ。」

デスマスク「・・・・、よし!俺達年中組みの出番だ。」

シュラとアフロディーテとデスマスクは円陣を組んでアテナエクスクラメーションの打合せをはじめた。

デスマスク「おい、アテナエクスクラメーションってどうやるんだ。」

シュラ「俺やったことあるぞ。三人で一斉に小宇宙を合わせて拳を打つんだ。」

シュラは地面にアテナエクスクラメーションの原理を図説した。

デスマスク「なるほど、じゃぁ、誰が正面になるかだな。」

アフロディーテ「私にきまってるじゃなーい。正面じゃなかったら薔薇届かないもん。」

シュラ「何を言っている、経験者の俺が正面に決まっているだろう。」

デスマスク「俺も正面がいい。こうなったらじゃんけんだな。」

三人は5分ほどじゃんけんをくりかえし、蟹鋏で勝ったデスマスクがガッツポーズを決めると、アテナエクスクラメーションの体制を整えた。

シュラ「教皇!そこから一歩でも動いたら温泉3人分よろしくお願いしますよ!」

アフロディーテ「スパ!スパ!スパがいい〜〜〜〜!」

デスマスク「おめぇら!集中しろ!!温泉旅行は俺達のものだ!ぐははははははは!!!」

シオンは三人の小宇宙が高まり渦を巻き始めても、相変わらず斜に構えて不敵に笑っていた。

デスマスク「ぐははははは!!アテナァァ!エクスク・・・」

アフロディーテ「ねぇ、デッちゃん。薔薇は上に投げるの?横に投げるの?アフロわかんなーい。」

シュラとデスマスクがアフロディーテに気を取られ、アテナエクスクラメーションの小宇宙が乱れると、頭上から落ちてきたスターダストレボリューションの流星群に、三人は仲良く吹き飛ばされた。

シオン「話にならん!。次!」

残ったシャカ、アルデバラン、カノン、ムウはシオンから一斉に目をそらせた。

シオン「乙女、おぬしはどうじゃ?」

シャカ「・・・・無益だ。」

シオン「牛、おぬしは?」

アルデバランはブルブルと首を横に振った。

シオン「サガの弟よ、おぬしはどうじゃ?」

カノン「俺、聖衣もってませんから。」

シオン「シードラゴンのスケールがあろう。」

カノン「あれは、穴があいてます。」

シオン「そうか、ならばサガの聖衣をまとえ。余が許す。」

カノン「ちょっとまってくれ、ジーサン!」

シオンがアイオロスに無理矢理介抱されているサガに指を向けると、双子座の聖衣はサガの体から離脱し、カノンの体に装着された。

カノン「・・・・・・う、重い・・・・。こんな重かったっけ・・・。」

シオン「聖衣が重いなどと、たわけたことを言うでない。」

カノン「冥界の時は気力で着てたからな・・・はぁ・・・重い。」

シオン「牛、乙女、サガの弟。三人でアテナエクスクラメーションを使ってみよ。」

三人は渋々打合せをはじめ、アルデバランを正面に体制を整えた。

しかしシャカの強大な小宇宙にカノンがまったく追いつかず、三人の呼吸はまったくあわない。

シャカ「ゆくぞ!アテナーーー!エクスクラメーション!」

痺れを切らしたシャカの号令と供に放たれた三人の拳は四方八方に飛び散り、シオンを微塵もかすりもせずに不発弾となった。

シオン「・・・・なんだ、それは?」

カノン「はー、もうだめ、俺限界。1年分の小宇宙つかっちゃった。」

シオン「まったくどいつもこいつも。他にはおらんか?」

外野に一人残されたムウは修復道具を持ったまま、シオンに微笑んだ。

 

カノン「あ、教皇!アイオロスがいます!アイオロス!。あいつは全然闘ってません。」

アイオロス「何を言ってるカノン!私はサガの看病で手一杯だ!。」

カノン「ふざけんじゃねぇぞ、ゴラァ!。兄貴!いつまでも寝てないで起きろ!」

カノンに髪をつかまれ、サガは目を覚まして仰天した。

サガ「カノン?!何で聖衣を着ている?!」

カノン「教皇が無理矢理着せたんだよ。」

アイオロス「おお、サガ!!やっと目を覚ましたか!私の愛の力だな!」

シオン「アイオロス、来るのじゃ。」

サガ「・・・アイオロス、私の敵をとってくれ。」

カノンはアイオロスからサガを奪い取ると、アイオロスの背中に蹴りを入れて、教皇に突き出した。

シオン「余をここから一歩動かして、愛しのサガに温泉旅行をプレゼントしたらどうじゃ。株が上がるぞ。」

アイオロス「サガの頼みなら仕方ない・・・・教皇、本気で行きますよ!」

シオン「かかってまいれ。」

アイオロス「アトミック!!!」

拳を構えた瞬間、アイオロスはシオンの超能力で吹き飛ばされた。しかし、直ぐにムクリと起き上がり再び構える。

アイオロス「教皇、最後まで言わせてください!アトミック!!!」

だが、シオンは容赦なく超能力でアイオロスを吹き飛ばした。

アイオロス「よし!こうなったら、私の究極奥義一発芸だ!。」

アイオロスは地をけり天高く跳ね上がる。聖衣の翼が大きく広がり、体が宙に浮いた。そして、背中から弓を取り出す。

アルデバラン「おお、あれはかっこいいなぁ。」

アイオロス「サガァァァァ、見てるぅぅ?かっこいい??」

地上に手を振るアイオロスをシオンは光速拳一発で叩き落した。

アイオロス「教皇、こういうのは、私が矢を放つまでは何もしないで待っているのがお約束ですよ!攻撃しないで下さい!」

再び天に舞い、アイオロスは黄金の矢を取り出し、地上で薄ら笑いを浮かべるシオンに狙いを定めた。

アイオロス「サガと温泉旅行だ!!!!!ぅりゃーー!!!」

煩悩の小宇宙によって放たれた矢は、超高速でシオンめがけて飛んでゆく。しかし、シオンはその矢を片手でつかむと、さらに高速でアイオロスに投げ返した。矢がブチあたって真っ二つに割れた射手座のヘッドギアが地面に落ちると、アイオロスは顔を青くして、降参した。

ムウは落ちたヘッドギアを拾い、二つを組み合わせて小宇宙を燃やす。元に戻ったヘッドギアを自分で被ると、ムウは隣のアルデバランを見て微笑んだ。

ムウ「似合いますか?」

アルデバラン「ムウは可愛いからな、何でも似合うぞ。」

ムウ「有難うございます。」

アイオロス「おーい、ムウ。返してくれ。」

ムウ「アイオロス、今度矢が当たりそうになったら、聖衣は脱いでくださいね。壊れちゃいますから。」

アイオロス「無茶言うな。」

 

星になったアイオリアを抜かして、一同は再びシオンの前に整列した。

シオン「本日の敢闘賞。サガ。」

カノンに肩を借りて立っていたサガが顔を上げた。

シオン「敢闘賞じゃ。温泉旅行に行ってくるがよい。だだし休暇は半月じゃ。」

超能力で封筒を取り出すと、シオンはサガに投げ渡す。サガは封筒の中身をみると、目を輝かし、シオンに深々と頭を下げた。

アイオロス「やったな!サガ!!さぁ一緒に温泉にいこう!!」

サガ「残念だが、一人分だ。では、教皇!いってまいります。」

封筒を握り締めサガは走りだし、念動力で服をまとい、旅行カバンを手元に呼び寄せるのと、全員に小さく手を振って、次元の彼方に消えていった。

シオン「おぬしたち、本当に弱いのう。」

ムウ「ですから、聖衣は必要ないと申しましたのに・・・。」

シオン「まったくじゃ。」

返す言葉もなく、ムウ以外の全員がシオンから目をそむけた。

デスマスク「教皇!。聖衣が必要ないのでしたら、ムウに聖衣を着せて闘わせたらどうですか!。」

ミロ「そうだそうだ、ムウだけ何もしねーなんてズルイぞ!。」

シオン「案ずるでない。ムウよ、そなたはベッドの上で再特訓じゃ。」

がっくりと肩を落とすムウの腕をつかむと、シオンはムウと一緒に闘技場から姿を消した。


End