未知との遭遇

 

アイオロスはある日、日本から戻った星矢に土産をもらった。

直径1.5〜2cmの球体に6cmほどの白い細い棒がついた物体だ。

球体にはカラフルな包装が施されており、そこに『chu○a ch○ps』と書かれている。
それが一箱もあるのだ。
中に何本入っているのか数を得るよりも、アイオロスにはまずそれが一体なんであるのかが分からなかった。

アイオロスは白い棒を人差し指と親指でつまみ上げ、首をかしげてしげしげと眺めてみる。が、やはりなんだか分からない。

こういう場合は、何でも知っているサガ(アイオロス認定)に聞くに限る。という口実で、双児宮にあがりこむ作戦をアイオロスは思いついた。

題して、『ジェミニサガの知恵袋とついでに一緒に○○袋も!』作戦である。

紫色の包装がしてある一本をズボンのポケットにしまい、アイオロスは軽い足取りで人馬宮を出た。そしてそのまま下に下りたアイオロスは、天蠍宮の通路を半ば通り過ぎたところで足を止めた。

「でさ……、ペガサスから土産……チュッ○チャッ○ス……」

広大な天蠍宮のどこかから、主の小さな声が風にのって流れてきた。アイオロスはポケットに手を入れ、小さなそれを取り出した。
それは途切れ途切れであったが、確かにチュッ○チャッ○スと聞こえた。

『チュッ○チャッ○ス』

なるほど、確かにそう書いてある。どうやら星矢はミロにもアイオロスと同じ土産を渡したらしい。

「……すぎちゃってさ……中が切れた……血が出て痛いのなんのって」

「……やりすぎだ」

と、こんどはもっと聞きなれた弟の声がした。

「……みてみろよ…………」

「そんな汚いものみせるなよっ!!」

アイオロスはチュッ○チャッ○スの正体が分かるかと、立ち止まって話を聞いていると、突然アイオリアの声がはっきりと宮に響いた。

「……すっげぇよくない?………………始めたら止まらなくて……癖になりそうだ…………最近のってすごいな…………機械仕掛けの…………」

「機械? 俺は星矢から機械なんてもらってないぞ! 星矢の奴め!!!」

再びアイオリアの大きい声が宮に響いた。
が、アイオロスはその声を背中に聞きながら、急いで来た階段を引き返したのだった。

人馬宮に戻ったアイオロスは機械を探した。

一体どういう機械なのか、アイオロスには分からない。しかし、星矢のお土産には機械がついていたはずである。
ふと見れば、箱の横に手のひらサイズ、といってもアイオロスの手にはかなり小さい棒状の物がある。袋から取り出してみると、その先端は何かを挿入するようになっており、側面には小さなスイッチがついていた。
そのスイッチを入れると、ウィーーーンと機械音がなり先端の小さなものが回りだした。

スイッチを止め、アイオロスは静かに瞳を閉じ、筋肉で筋張った脳みそをフル回転させた。

やりすぎて、中が切れる見せたら汚い場所。
癖になるほどはじめたらとまらないもの。

自分はどうやらとんでもない勘違いをしていたらしい。
勘違いをしたまま双児宮に行っていたら、良くてアナザーディメンション、悪くてギャラクシアン・エクスプロージョンの刑にあっていただろう。
あやうくサガの機嫌を損ねてしまうところであった。

なぜならアイオロスはチュッ○チャッ○スを食べ物だとおもっていたのだ。

包装には、それぞれグレープ、イチゴミルクなどと書いてあるし、ほのかに甘い香もする。
だからてっきり食べ物かとおもっていたのだが。

まさかチュッ○チャッ○スがエッチな道具だったとは!!
それをサガに食べさせようとしていたとは!!!!

脳みそ14歳という自覚がありその探究心も精神年齢相応で、多感で性知識は成人並みにある。しかし、さすがに最近の性具は詳しくない。もちろんそういう知識はほとんどシオンからの伝授であるから仕方がない。

「そういえば、避妊具にはチョコレート味など、いろいろな味が付いているというのをシュラに教えてもらったこともあるしな……」

アイオロスは自分の考えを確かめる為、その機械の先端にグレープのチュッ○チャッ○スを差し込んでみた。
そして思わず感嘆の声をあげた。
チュッ○チャッ○スは見事に機械にはまったのだ。

「な、なんていやらしんだ……」

再びアイオロスはスイッチを入れて、一人で顔を真っ赤に染めた。

チュッ○チャッ○スはクルクルとまわりだし、それはまるでよくシオンの部屋にある男性器をかたどった電動で動く性具に似ていた。
というよりも、まさにそのものであった。

「こんなもの、やりすぎれば中が切れるに決まっているだろう、ミロの奴め」

苦笑しながらも、さらにミロの言葉を思い返して、アイオロスはまじまじとチュッ○チャッ○スを見た。

「癖になりそうなほどすごいのか……」

クルクルまわるチュッ○チャッ○スを眺めながら、アイオロスは小さく呟いたのだった。

 

その日の深夜。

人馬宮の寝室で、アイオロスは枕に頭を預けると大きく深呼吸をした。情事の直後で息は上がり、身体の火照りが妙に心地よい。
同じく隣で横たわるサガの胸には、自らのものとそしてたったいまアイオロスが放った精が呼吸に合わせて揺れている。

「なぁ……サガ」

「…………なんだ?」

「この前、星矢が来ただろう?」

情事の後に突拍子もないことを聞くアイオロスに、サガは閉じていた瞳をゆっくりと開くと首をアイオロスのほうに傾けた。星矢のことなど、情事の後にする話題ではないような気がして、サガにとってはアイオロスの意図することが分からない。

「いや、星矢から土産をもらったんだけど。お前ももらった?」

「ああ。まったく気を遣わなくてもいいものを」

「でさ、使ってみたか?」

「ああ、もちろんだ」

アイオロスはガバッと飛び起きた。まさかサガが使ったとは思わず、サガに覆いかぶさるようにして身を乗り出した。

「で、どうだった?」

「どうって……ああいうのもいいなと思ったぞ。私の好きなものを覚えてもらって嬉しかったしな」

好き!?アイオロスは瞳を見開いてサガを見下ろした。
普段からサガは性に関して積極的に口にするほではない。それを好きといわせるとは、恐るべし道具である。

「そうなんだ。ミロも病み付きになるっていってたけど、私はどうしていいか分からなくて……」

と、今度はその言葉にサガがガバッと身体を起こした。

「なんだ。お前ももらったのか? まだ使ってないなら、私に使わせてくれないか?」

「え? まじで?」

「どうした? お前が使いたいというなら、構わんが……」

「いや、ちょっと待ってて。今、準備してくるから」

「そうか、すまんな、アイオロス」

サガがこの上なく嬉しそうな笑顔を見せるので、アイオロスは思わず頬を染めて照れながらも、いそいそとチュッ○チャッ○スを取りに向かった。

アイオロスが出て行った後、サガはゴロンとうつ伏せになり枕に頬を預けた。情事の気だるさに意識がまどろんで行くのが分かり、アイオロスの準備も時間がかかるだろうとそのまま意識を思うままに手放した。

だが、突然尻に違和感を覚え、サガはまどろみから意識を戻さざるを得なかった。

ぐいっと首を捻り振り向くと、そこにはアイオロスが困った表情を浮かべながら自分の右尻を片手で押し開いているのである。しかももう片方は秘所のほうに伸びている。うつぶせているサガには一体アイオロスが何をしようとしているのか見えない。だが、明らかに尻のしかも秘所に異物感を感じる。

「ア、アイオロス! 一体何をしているんだ!!」

突然腰を左右に振って暴れだしたサガに驚き、アイオロスは思わずその身体を押さえた。

「暴れるなよ。上手く入らないだろう!」

「き、貴様!! 一体わたしに何を入れようとしているのだ!!」

「何って、お前がやって欲しいって言ったんじゃないか!!」

「あっ……つぅ……やめろ、痛いっ!!!!」

秘所を硬い乾いた何かが押し開いたのを感じ、サガは小さく身震いをし眉間に皺を寄せ悶えた。

「痛いっ。アイオロス、痛い!! やめろっ!」

「痛いって……でも、サガ……」

さすがにサガが痛がるので、アイオロスも手を止めざるを得なかった。
普段の行為の後なら、サガの秘所もすでにアイオロスの精で濡れておりすんなりとチュッ○チャッ○スを受け入れられただろう。だがしかし、この日はなぜかアイオロスは中出ししなかったために、サガの秘所はすでに乾ききっていたのである。

サガが限界まで状態を捻り起き上がり、そして叫ぶ。

「アーーーーーーーーーイオロスッ!おまえ…………うぐっ!」

が、突然何かに口をふさがれた。それはアイオロスの舌でも、イチモツでもない。
サガの口の中に、フワッと甘い香と味が広がった。

「んぐっ、……んっぅ…」

「少しは濡らせば入ると思うんだが……」

チュパッ♪

アイオロスはサガの唇からそれを引き抜くと同時に、サガの唇が小さな音を立てチュッ○チャッ○スを唾液の糸でつないだ。
半透明に紫色に輝くチュッ○チャッ○スにアイオロスは満足げに頷き、再びサガの身体を押さえつけた。

「よし、これで入るだろう。ちょっと待ってろよ」

ぐいっ。

サガの尻を押し開き、アイオロスはチュッ○チャッ○スを秘所にあてがいそしてゆっくりと挿入した。

「あっ! やめ……っ」

サガの抵抗もむなしく直径2cmほどの球体は、あっという間に秘所に飲み込まれてしまう。

「どう、サガ?」

「ど……も、こうも……この馬鹿ッ!!」

「おかしいな。やっぱりこういうのって動かしたほうがいいのかな?」

アイオロスのほうはいたって真剣で、白い柄をゆっくりと前後に動かした。途端にサガの身体がビクリと弛緩した。

「あぁ……ん」

「やっぱり動かしたほうがいいみたいだな」

サガの口から嬌声が漏れると、アイオロスは再び前後にチュッ○チャッ○スを動かした。しかし柄は5cmほどの長さしかなく、サガの秘所の入り口ばかりを攻め立てる。
だが、それでもサガの身体は敏感に反応し、普段のアイオロスのそれをは違う刺激に次第に溺れていった。

「んぅ…………ロスッ…………ダ……メ」

サガは両手でシーツを握りしめ、アイオロスに抗議の声をあげた。

「あっ、あっ、あっ」

しかし我慢しても、アイオロスがチュッ○チャッ○スを上下に、そして左右に回すたびに、押し殺した声が口から漏れてしまう。

「だって、お前もこれを使ったんだろう?」

「ち、……ちがうっ」

「ほら、もっと腰をあげろよ、サガ」

「やっ!?……やめろっ!」

アイオロスはチュッ○チャッ○スを巧みに操りながら、サガの腰をもちあげた。アイオロスはニヤリと笑った。

「やっぱり、気持ちいいんじゃないか」

カァァァとサガは顔を真っ赤にさせ、枕に顔を埋めた。ベッドに膝を付き尻を天に突き出すように腰を上げた顕になった下肢は、明らかに欲情の徴を見せ、サガの腹を打ち付けるかのようにそそり勃っているのである。

「もう一個いれてみようか?、サガ」

アイオロスはサガに挿入したチュッ○チャッ○スを左手で操りつつも、右手で新しいチュッ○チャッ○スを手に取り、口で包装を取る。そして今度は自分の口にそれを含んで濡らした。ふわりとイチゴミルクの甘い香と味が口いっぱい広がる。

―――ふーん、最近の性具は味まで付いているのか。ということは、口にも尻にも入れていいってことなのかな。なんていやらしいんだ!!

一人感慨深げにイチゴミルクの味を楽しみながら、アイオロスはそれを自分の口から引き抜いた。イチゴミルク色のチュッ○チャッ○スがアイオロスの唾液でいい感じにぬらついている。

アイオロスは左手のグレープを上にむかってぐいっと持ち上げた。サガは秘孔を押し広げられ、身体を大きく弛緩させたると同時にシーツを握り締め、声にならない悲鳴をあげる。

「―――っ!」

「ちょっと我慢しろよ、サガ」

「や、やめろ、アイオロス!!も……うっ、んっ……あうっ」

押し広げられた秘孔にイチゴミルクをあてがい、アイオロスはゆっくりと挿入していく。チュッ○チャッ○スの半分が呑み込まれたところで、グレープのほうをグリグリと動かし、サガの理性を奪いながらいっきにイチゴミルクを押し込んだ。

「あっ、これ忘れてた」

アイオロスはチュッ○チャッ○スを操る自分の手を見て、思い出したように呟いた。
同時に、カチリと小さな音がサガの耳に届く。

「あっ、あっ…………アァ――――ッ」

サガの悲鳴が寝室に響いた。
機械音とともに秘所の中で回転し始めたチュッ○チャッ○スにサガは背を仰け反らせ、白い咽喉元をあらわにした嬌声をあげた。

サガは自分の中で一体何が起こっているのか分っていなかった。
一方はアイオロスの手によって予想の付かない動きを、もう一方は機械的に回転するそれが、自分の中で互いにぶつかり合い内壁を擦り未知なる快感をもたらしているのだ。

未だ嘗て経験したことのない刺激に、サガはすぐに理性を手放し、自身から熱い精を解き放った。

 

 

「サガ、次は私の番だ。愛している…………」

ちゅぱっと音を立てて秘所のチュッ○チャッ○スを引き抜くと、ぐったりと枕に顔を預けたサガの耳元に小さく囁きながらアイオロスはそっと唇を落とした。

サガの痴態をずっと見ていたアイオロスは、すでに十分過ぎるほど高まり、自身はいつにない硬度をもってそそり立っていた。

だが――。

「わたしに触るなっ!」

バシッと顔をはたかれ、アイオロスはキョトンとなった。

「一体どうしたんだ、サガッ!」

アイオロスはサガを覗き込んだ。だが、見開かれた瞳の鋭さに、さすがのアイオロスもたじろいだ。

「知らん。だれがあんな事をしてくれと、頼んだっ!! お前の顔など見たくないっ!」

ぷいっと顔を反対側にサガが顔を向けると同時に、ふっとその姿が僅かな残り香と小宇宙を残して超能力で消えてしまったのであった。

 

サガが星矢にもらった土産は、チュッ○チャッ○スではなかった。

星矢はサガにだけ入浴剤&ヒノキの香のシャンプー&リンスセットをあげたのだ。それは星矢がサガに12人の誰よりも懐いているためであり、その思いと感謝の気持ちを込めてのお風呂セットである。
その他大勢にはチュッ○チャッ○スの土産だったのを、アイオロスがどうして知ることができよう。
それはサガも同じで、てっきり人馬宮でもヒノキの香が楽しめるかとアイオロスに頼んでみたら、いきなり謎のものを尻に入れられ、しかもそれで絶頂に達してしまったのであった。

こうしてチュッ○チャッ○スは天蠍宮行きとなり、アイオロスはサガの機嫌を直すのにその後1ヶ月もかかるのであった。

 


END