Other Site of 羊的懸賞生活(No.11 ワンワン物語 その1)

 

早朝の筋トレを終えたアイオロスはアイオリアと別れ、白羊宮で朝食をご馳走になろうと考えた。が、白羊宮の柱の影で大粒の涙を食べて泣きじゃくる貴鬼を発見した。

アイオロス「ん、どうしたんだ貴鬼。またムウか教皇にいびられたのか?」

貴鬼「うわーーーーん。アイオリアがぁぁぁぁ。」

アイオロス「??アイオリア。」

貴鬼「アイオリアが鍋にされちゃうんだぁ。えぐっ、えぐっ・・・・。」

アイオロス「はぁ?アイオリアが鍋?」

貴鬼「ムウさまがアイオリアを食べるって。今夜の夕飯にアイオリアを食べるって・・・・。うわーーーーん。」

アイオロス「はぁぁぁぁぁっ?夕飯にアイオリアを!?」

貴鬼「シオンさまが、シオンさまがアイオリアは駄目だって言うから、ムウさまが食べるってぇぇぇっ!」

アイオロス「????????????????????????」

シオン「アイオロスよ、丁度いいところに来たのぅ。そなたにの頼みがあるのじゃ。中に入れ。」

アイオロスは促され、白羊宮のリビングに入る。

アイオロス「おはようございます、教皇。いかがされましたか?貴鬼が変ですよ、アイオリアがどうとかって・・・・。」

シオン「うむ、分かっておる。だからお前に折り入って頼みがあるのじゃ。」

アイオロス「なんですか?サガなら駄目ですよ。」

シオン「そうではない。アイオリアの件でのぅ。」

アイオロス「アイオリアの??」

シオン「そうじゃ。アイオリアの里親を探して欲しいのじゃ。」

アイオロス「はぁ?アイオリアの里親?ちょっと待ってください教皇。うちのアイオリアはもう里親云々ていう年じゃないですよ。それに私もいますし・・・・・・・・・・・って、教皇!!!!!!いつアイオリアの名前を覚えたんですか?」

シオン「そうではない。犬のアイオリアじゃ。」

アイオロス「はぁっ?いぬのあいおりあ?」

シオン「ムウや、アイオリアを連れて参れ。」

ムウ「はい。」

キャン!!

ムウはまだ小さいゴールデンレトリバーの子供を抱っこし、アイオロスに見せる。

シオン「これがアイオリアじゃ。愚かにもムウが懸賞とやらであてたのだ。まったく命をおもちゃにするなど、いたって愚かなことじゃ。しかしのぅ、あててしまったものはしかたないのじゃ。」

くぅーーーーん。

アイオロス「だったら白羊宮で飼えばいいじゃないですか。」

シオン「それは無理なのじゃ。ムウを舐めてよいのは余だけなのじゃ。」

アイオロス「は?」

シオン「兎に角駄目なものは駄目なのじゃ。しかしのぅ、余が駄目だとゆうたら、ムウがのぅ、犬鍋にして食うなどとぬかしおったのじゃ。」

アイオロス「い、いぬなべぇ?」

シオン「うむ。ムウはかわゆいのぅ。」

アイオロス「・・・・・・。」

シオン「それでのぅ、それを聞いた貴鬼がわがままにも泣きおってのぅ。余もさすがに子犬を食そうなどとは思わぬのじゃ。だから、お前にアイオリアの里親を探して欲しいのじゃ。わかったな、よろしく頼むぞ。」

キャン!!

アイオロスは、嬉しそうに尻尾をぶんぶんとふるアイオリア(犬)を受け取ると、ベロベロと顔を舐められた。

シオン「ほうほう、どうやらお前を気に入ったようじゃのぅ。」

ムウ「アイオリアは、どこかのアイオリアと違って人懐こいですからね。アイオロス、アイオリアを頼みましたよ。」

アイオロス「頼んだって言われてなぁ・・・・・。なぁ、アイオリア。」

キャン!

貴鬼「射手座のおじさーーーん、アイオリアの里親絶対に見つけてね・・・・・でないと、アイオリアが・・・。」

アイオロス「分かった。オジさんにまかせておけ!、だから泣くな。」

アイオロスが困っていると、貴鬼にズボンを引っ張られ思わず返事をしてしまう。

アイオロス「(・・・・・と言っても、困ったなぁ・・・・。)・・・・・・・・・・・・・・!!」

アルデバラン「!?」

アイオロスは白羊宮のリビングで食事をしていたアルデバランと目が合った。

アイオロス「おい、アルデバラン!お前がアイオリアの面倒を見てくれないか?」

アルデバラン「え?私がですか?無理ですよ。」

アイオロス「冷たいことをいうなよ。」

アルデバラン「冷たいもなにもですね。私はいつも白羊宮に・・・・・・。」

シオン「だったら金牛宮に帰れば良いではないか。」

アルデバラン「う゛っ・・・・・・。し、しかし、教皇さま・・・・。ブラジル出張が多い私は、金牛宮を留守にすることが多いのです。ですから、ペットは・・・。」

シオン「ふむっ、それもそうじゃのぅ。では、一生ブラジル出張で、そこで犬をこうてみるか、牛よ。」

アルデバラン「そ、それは・・・。私には金牛宮を守護するという役目もござますし。」

シオン「お前一人いなくとも問題無い。」

アイオロス「おい、アイオリア。ジーサンと婿殿の喧嘩が始まったから、行くぞ。お前を一番可愛がってくれるところに行こうなっ。」

シオン「なっ!誰が婿じゃ、アイオロスッ!!」

アイオロスはアイオリアの首根っこを掴むと、もう片方の手にドッグフードを持って白羊宮を後にした。

 

双児宮

アイオロス「サッガァァァァァァ!サガッ!サガっ!おはようぅ〜〜〜〜♪」

サガ「おはよう、アイオロス。ん?どうしたんだ、その犬?」

キューーーン。

アイオロス「ああ、教皇が里親を見つけてくれって、サガどう??」

サガ「私に?」

キャン!

首根っこを掴んだままアイオリアをサガの前に突き出すと、子犬特有の澄んだ大きい瞳が上目遣いでサガを見る。途端、サガは自愛に満ちた微笑を浮かべた。

サガ「可愛いな。」

アイオロス「そうだろう?それに、アニマルセラピーって効果もあると思うんだ。お前の病気を和らげるのに、役立つと思うんだ。それにサガに預けるのが一番安心だ。」

サガ「そうか、ありがとうアイオロス。しかし、うちにはカノンが・・。」

アイオロス「そうそう、カノンの情操教育にもいいと思うんだ。流石のカノンもこんな可愛い子犬を苛めたりはしないだろう。」

サガ「ありがとう。」

キャン!キャン!

アイオロス「そうか、じゃあ、アイオリアの面倒を見てもらえるか?私も毎日こいつの世話をしに来るからさ。」

サガ「アイオリア?」

アイオロス「ムウが懸賞であてて、アイオリアって名前をつけたんだ。でも、教皇が白羊宮では飼ってはいけないって。」

サガ「ぷっ・・・・、どうしてまた、アイオリアなんて名前を?」

アイオロス「色が似ているからだと。」

サガ「クックッ・・・そうか。ムウも相変わらず人が悪いな・・・。おいで、アイオリア!」

キャン!!

両手を開いてサガが呼ぶと、アイオリアはかけだし胸の中に飛び込んだ。もちろんアイオリアは犬であるから、嬉しさのあまり尻尾を振りながらサガの顔をベロベロと舐める。

サガ「こらっ、やめないか、アイオリア。く・・・・くすぐったい。やめろってば・・・・。」

アイオロス「・・・・・。」

サガ「こらっ、アイオリアッ。」

アイオロス「やっぱりサガのところは駄目だ!!」

アイオロスはいきなりサガからアイオリアを引き離した。

サガ「ん?どうしたんだアイオロス?アイオリアのほうは、私でも問題ないようだ。嬉しいことにこんなに懐いてくれている。」

アイオロス「いいや、駄目だ。」

サガ「どうしてだ?」

アイオロス「・・・・・その、あの・・・・カノンには悪いのだが、やっぱりカノンに虐待されてしまうかもしれないからさ・・・・。」

サガ「そうか・・・・。そうだよな。」

アイオロス「すまん、サガ。」

サガ「いや、いいんだ。もともと私は自分とカノンの事で手一杯だし。アイオリア、いい飼い主を見つけてもらうんだぞ。」

キャン!

サガに頭を優しく撫でられ、アイオリアは尻尾を振って返事をした。

アイオロスはアイオリアの首根っこを掴むと、双児宮を後にした。

アイオロス「・・・、サガを舐めていいのは兄ちゃんだけぞ、アイオリア。まったく・・・・。」

キャン!

 

巨蟹宮

アイオロスは首根っこを掴んだアイオリアをプラプラさせながら、デスマスクに里親になってもらうべく巨蟹宮を訪れた。

キューン、キューーン!

アイオロス「どうしたアイオリア?まさか、お前もサガが恋しいのか?それともやっぱりムウがいいのか??」

キューン、キューーーーン。

デスマスク「あれ?アイオロス、どうしたんだ?」

スピスピ。

アイオロス「どうしたアイオリア。鼻がつまってるのか??」

アイオロスはアイオリアと顔をつきつけてみたが、アイオリアはプルプルとしながら鼻を鳴らしている。

デスマスク「どうしたんだ、その犬。」

アイオロス「おう、アイオリアだ。」

デスマスク「はぁ?アイオリア??お前の弟、いつから犬になったんだ?」

アイオロス「そうじゃない。ムウが懸賞で犬を当てて、それにアイオリアなんて名前をつけたんだ。」

デスマスク「ぐははははっ。流石ムウだな。性格悪だぜぇ!!」

アイオロス「それでな、教皇に犬を飼っちゃいけないって言われて、私が里親を探しているんだ。」

デスマスク「そんなものサガに面倒みさせればいいじゃねぇか。神のような男はそういうことを見過ごさねぇだろう。」

アイオロス「サガはな、いろいろと大変だから駄目なんだ。これ以上面倒が増えたら黒くなっちまうだろう。」

デスマスク「ああ、そうか。」

アイオロス「でな、デスマスク。お前、アイオリアどうよ?」

デスマスク「はぁ?」

アイオロス「お前、アイオリアの面倒みてくれないか?」

デスマスク「別にかまわねぇけどさ・・・・。アイオリアがその状態じゃ無理じゃねぇか?」

アイオロス「ん?うわーーー、アイオリア、お前ちびったのかぁ?」

デスマスク「ほら、こいつ、こんなに尻尾を丸めちまってるぜ。」

キューン、キューーーーーーーーーーン。

デスマスクが近づいた途端、アイオリアは泣き声を上げた。

アイオロス「なんだ、アイオリア。デスマスクが怖いのか??お前震えてるぞ。」

スピスピ。

デスマスク「あちゃ、鼻までならしてるぜ。よっぽど俺が怖いんだな。それに動物は敏感だからな、巨蟹宮の雰囲気が怖いんだろう。これじゃ、俺のところで面倒はみれねぇぞ。あきらめな。」

アイオロスは震えるアイオリアの首根っこを掴んだまま、巨蟹宮を後にした。

アイオロス「アイオリア。お前、私の弟の名前を貰っておいて幽霊が怖いなんて情けないぞ。」

キューーーン。

 

獅子宮。

アイオロス「おーーーい、アイオリア。」

アイオリア「なんだい兄さん。」

アイオロス「お前、犬を飼え。」

アイオリア「はぁ?何を言ってるんだ?」

アイオロス「だから、犬。ムウが懸賞であてて、白羊宮で飼えないからって私が里親を探すことになったんだ。」

アイオリア「だからって、なんで俺なの?」

アイオロス「アイオリアよしみだ、いいじゃないか。」

アイオリア「アッ・・・・アイオリア?どういうこと?」

アイオロス「この犬の名前がアイオリアっていうんだ。ムウが名付けたんだ。色が似ているからだってさ。」

アイオリア「・・・・・・。で、なんで俺が飼わなくちゃいけないの?そういうのは、サガに頼めばいいだろう。」

アイオロス「サガは自分と弟のことで手一杯だから無理なんだ。」

アイオリア「だったらシャカの庭で放し飼いすればいいじゃないか。」

アイオロス「お前は本当に冷たい奴だな。アイオリアがあんな野生の動物が沢山いるところで生きていけるわけないだろう。」

キャン!

アイオリア「だったらミロは・・・・・無理だよな。」

アイオロス「ゴチャゴチャ言ってないで、アイオリアよしみで面倒をみてやれよ。」

アイオリア「そんな無茶言わないでくれよ。自分と同じ名前の犬なんて・・・・・・あっ、ちょっと待ってて。」

アイオリアは獅子宮の私室へと向かうと、赤い布を持ってきて犬のアイオリアの首に巻いた。

アイオリア「どう、これでアイオロス!」

ボコッッ!!

アイオリア「ってーな、何すんだよっ!!」

アイオロス「犬に兄ちゃんの名前つけるなんて100万年早いんだよっ!」

アイオリア「だからって殴ることないじゃないか。まったく・・・・。そもそも兄さんが飼えばいいじゃないか。」

アイオロス「兄ちゃんはな、サガの面倒を見るので手一杯なんだ。それに社会復帰の為にサガのところで勉強も教わらないといけないしな。」

アイオリア「なんだよ、それ!!」

アイオロス「兎に角!!いいか、アイオリアをちゃんと面倒みるんだぞ。」

キャン、キャン!!

アイオロス「ほら、アイオリアだってこんなに尻尾を振ってお前のことを気に入ってるんだ。」

アイオロスは無理矢理アイオリアをアイオリアに手渡した。

アイオロス「いいかぁ、アイオリアァ〜。アイオリアをよろしく頼んだぞぉ!!」

キャン!!

アイオリア「なっ!!なんで、お前が返事をするんだよっ!!!!!!!」

アイオロス「アイオリアは物分りがいいなぁ。」

キャン!!!

アイオロス「じゃあな、頼んだぞ。」

アイオリア「ちょっと、兄さぁ〜〜〜〜〜〜〜〜ん。」

キャン、キャン!!

こうしてアイオリアはアイオリアに飼われることになったのであった。

 


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