子羊といっしょ(クマちゃんといっしょ♪ その1)

 

「・・・サガ。」

アイオロスは寝台の上で、己に身を預け全てを晒しているサガの名を呼ぶ。固く瞑っていた瞳が開かれると、情熱的なアイオロスの視線が捕らえる。相反するかのようにサガの瞳は濡れていた。
アイオロスはサガの両腿を抱えあげたまま、ゆっくりと腰を前後に動かし、脈動する器官でサガの奥へと侵入していく。

「・・ん・・・っ・・・。」

アイオロスの暖かい小宇宙に包まれながら、サガは僅かな動きにも敏感に反応した。まっすぐに己を捕らえた視線を外すことが出来ない。
アイオロスの小宇宙、アイオロスの視線、アイオロスの腕が、サガから辛い日々を忘れさせてくれる。

「・・・・っあぁ。」

サガの濡れた唇から掠れた呻き声が漏れると、アイオロスは腹筋に力を込めて律動を繰り返した。アイオロスが前後へと動く度に、サガの体は寝台で浮き沈みを繰り返す。
それが根元まで達すると、サガは顎を上げて悲鳴に近い喘ぎ声を漏らした。

サガの視線が己から外れ、アイオロスは名を呼び突きあげる。

絶頂を迎え始めたアイオロスは、しっかりとサガの下半身を抱えながら、律動を早めていった。

呼ばれ、サガは濡れた瞳を薄っすらと開いてアイオロスに視線を戻す。途端、ギョッと見開いてアイオロスの頭上を見つめた。
そのサガの尋常ならざる瞳を見て、アイオロスは中に収めたまま動きを止める。

「どうしたんだ、サ・・・・。」

そう問おうとしたとき、頭に柔らかい衝撃が走り、アイオロスの頭は前後した。そして、その衝撃はアイオロスの頭を経由し、汗に濡れ上下するサガの身体へと落下した。
それを目で追ったサガは、この場に相応しくない何ともファンシーなモノを凝視した。

「アイオロス・・・・・ッ・・・・く・・・・クマが・・・・。」

一つになった形のままアイオロスとサガは、突然落ちてきたクマのぬいぐるみに視線を注ぐ。必至で冷静になろうとしたサガであったが、動きを止めても本人の意思とは無関係に脈動するアイオロスの熱が、それを困難にさせていた。

だがアイオロスは、なんだクマのぬいぐるみか・・・と安堵の溜息を漏らすと、再び腰を動かし始めた。

「・・・ん・・・っ!」

突然動かされた衝撃に、サガはクマを抱き締め身体を仰け反らせた。

「っ・・・・アイオロス・・・クマが・・。」

「アイオリアのだろう。」

「・・・うさぎだ。」

「なに、サガ?言っている事が良くわからない。」

寝台の軋む音にかき消されそうな声で、サガが声を振り絞る。

「・・・・アッ・・・・・リアのはウサギだ。」

「ったく、今はそんなことを考えるな。」

「んんっ・・・あぁ。」

アイオロスは下腹部に力を込めた。クマを抱き締める腕に力が入り、サガは呻き声をもらす。
再び寝台がきしみ、サガの身体が浮き沈みを繰り返す。
クマを抱いたまま、サガはその激しさに、抗うことの出来ない快感に理性を失いつつあった。

アイオロスの動きに合わせ、二人に挟まれたクマの柔らかい感触がアイオロスの胸と腹を掠めた。クマを解放したサガの腕は、今度は自分を束縛している。

柔らかくて気持ちい・・・・。

胸に感じる余裕がアイオロスにはあったが、絶頂への兆候が訪れると、すぐにそのことは頭から離れた。

「っぅ・・・・・・・ッ、んーーーーっ。」

サガの中にアイオロスの熱が迸る。
サガの指の爪が背中に食い込んだ直後に、全身の力が抜けていった。アイオロスはゆっくりと引き抜くと、サガの上半身の上に崩れ落ちる。胸に抱かれたクマが柔らかいクッションとなった。

 

枕に頭を預けたまま、ゆっくりと首だけを横に向く。すぐ傍に瞳を閉じたサガの顔があった。先ほどの行為の名残か上気した額には汗が光る。

寝てしまったのか・・・。
アイオロスはそっと手を重ねた。それが、僅かにピクリと反応し、アイオロスは強く手を握った。
上体をひねり全身をサガに向けると、涙に濡れた頬に唇を重ねる。サガの瞼が僅かに震える。
アイオロスは、自由な手をサガの下方へと伸ばしていった。

「・・・・んっ!」

下半身に走った手の感触に、サガは鼻腔を広げ大きく息を吸った。
丁寧に優しく扱う手の動きに酔いしれた。

「ん・・・ぁっ!」

今まで感じたことのない快感にサガは目を見開き、横を向く。そこに快感をもたらす主はいなかった。握られた手もいつのまにか自由になっている。
再び柔らかい快感がサガを襲う。
咄嗟に視線を移し、正対したそれに目を見張った。

ファンシーな姿のクマが抱きしめているのは、間違いなく隆起した自分の器官だった。
あまりの恥辱に顔を染め、クマを操っている主をキッときつく見据える。

「アイオロス!何を!?」

「気持ちいいだろう?」

「あうっ・・・・。」

自身を抱いているクマの両手が上に擦りあげた。意思とは裏腹に、腰が浮く。

「やめっ・・・・・・っ・・・・!」

制しようと手を向けるが、アイオロスが、クマが与える快感がそれを容易にさせない。
クマは尚もサガを弄んだ。左右へときりもみ状にもみしだきながら、上下へと抱く。ボアの柔らかい手が下へずれるたび、柔らかい顎が先端へとあたり、刺繍糸に覆われた硬い鼻が溝を擦る。

「・・・っ・・・・んん。」

サガの息が荒くなると、アイオロスはクマを持つ手の動きをさらに激しく、早めた。全身が火照る。かけぬける快感に、シーツをきつく握り締め腰を浮かせた。

「っは・・・・ぁぁぁあっ。」

込上げる絶頂をこらえきれずに放出すると、まるで生きているかのようにクマは驚き、パッと手を開いて飛びのいた。
生暖かい白濁した液は、クマとアイオロスの顔面を汚した。頬から唇の端へと伝う精液を、ペロリと舐めるとるとサガを見てクスクスと笑った。

「気持ちよかっただろう?」

クマから視線を外し、プイッと顔を横に向けて答えただけだった。

 

相変わらずそういう感情を口にしないサガを見て、アイオロスは笑いながらクマちゃんを自分に構えた。

「クマちゃん。もう1回やるか!?」

アイオロスに問われ、クマちゃんは頷いた。

「サガ。クマちゃんが、もう1回やりたいって。」

「バ、バカ。もう、やめないかっ・・・・!!」

ふざけ始めたアイオロスに声を荒げるが、再び走る快感に身体が言おうなしに反応してしまう。

クマちゃんはサガの腰に乗り、ゆっくりと撫であげた。徐々に顕になる情を、クマちゃんは上下左右に身体を揺らして導いた。
意思を持ったかのように飛び跳ねる器官を逃がすまいと、クマちゃんは小さなボアの手で必至に抱きつき、締め上げる。

「はっぅ・・・・・。」

ピンと張り詰めたクマちゃんのボアの耳にサガの愉悦の声が届く。

サガの腰が上下へと浮き沈みする。上体へと飛び跳ねようとする器官を無理に垂直に抱え、クマちゃんもサガの腰の上で浮き沈みする。
全身が火照り息が荒くなる。クマちゃんも全身で擦り、ボアの毛が摩擦によって火照る。
クマちゃんは片手で器官を上下左右へと擦りながら、もう片方の手で器用に先端をなぞっていく。サガはその快感に意思とは裏腹に酔いしれた。クマちゃんは自分の器用さに酔いしる。

「は・・・・ふ・・・・・ッ・・・・。」

瞳から大粒の涙をこぼしたサガの顎があがり、息が荒くなる。
擦り下げる度に顎と鼻先が先端に押し上げられ、クマちゃんの顔も上がる。
そして激しくもみしだく。

嬌声とともにサガの身体が<ビクンと飛び跳ねると、クマちゃんもビクリと驚き、器官から飛び跳ねた。と、同時に放出された生暖かい液を全身に浴びる。

 

・・・・ぬいぐるみでイってしまった。

枕に頭を預けサガは自己嫌悪に落ちいていた。結局合計3回もクマちゃんに抜かれてしまったのだ。クマちゃんの柔らかいボアの感触と、アイオロスの巧みなクマちゃんサバキが気持ちよくなかったと言えば嘘になる。気持ちよかったからこそ、体は素直に反応してしまったのだ。

・・・・・そんなに気持ちいいのか?

アイオロスはサガの傍らに座り、ぐっしょりと濡れたクマちゃんを様々な角度で眺めていた。あまりにもサガの体が素直に反応するので、つい思わず悪ノリをし3回もクマちゃんで遊んでしまった。
既にクマちゃんはサガの精液により、ボアの毛が毛羽立ち原型を留めていなかった。

「あっ!」

発せられた短い声をサガは無視することにした。どうせまたくだらない事でも思いついたのだろうと思い、重い瞼をゆっくりと閉じる。

「もしかして、この熊。ムウのかも・・・・。」

ムウという言葉に反応し、慌てて身を起こした。
向けれらたクマの足の裏には、「MU」とピンクの刺繍が施されている。
サガの顔は見る見る血の気を失い、震えた。
ムウのクマをこんなにしてしまったのは自分である。それが教皇に知れたら、どのような仕置きをされるか・・・・。
未だに慣れず苦痛でしかないシオンとの行為に、仕置きが加わるのだ。
そう思うと、震えが止まらなかった。

「ど、どうしよう・・・・・。」

恐れや恐怖といった感情をめったな事では人前に出す事がないサガであったが、アイオロスの前では素直に感情を表に出していた。アイオロスだけが、自分がどんなにシオンとのそれを嫌っているを知っていたからである。

「大丈夫だよ、サガ。洗えばきっと元に戻るって。さっ、風呂に入ろう。」

 


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