Happy Birthday Mu!(その1)

 

近頃の白羊宮は平和であった。福音祭の後処理に忙しいシオンが教皇庁の自室で寝泊りしていたからである。
普段は6時に起きるムウもまだ夢の中であった。

 

7:00

ムウは、何者かが私室にいる気配を感じて目を覚ます。ドンドンと騒がしい足音は寝室へと近づいてくる。そして、寝室のドアの前で音は止まり、ドアが開いた。

デスマスク「目が覚めたか、ムウ!!」

ドアの前に立っていたのは、ピンク地に白い水玉模様のワンピースに白いエプロンと三角巾を着た、女装のデスマスクであった。そのあまりにおぞましさにムウは露骨に嫌な顔する。

ムウ「一体何を考えいるんですか?」

デスマスク「おう、今日はお前の誕生日だろう。だから、皆でお前の誕生日を祝おうって話になってな。俺は、家事をしてお前を休ませる担当になっちまたんんだ。しかたねーだろう。」

ムウ「だからといって、また慎吾ママになることもないでしょう。」

デスマスク「いいじゃねーか、別に。ほら、飯だ。食え!」

デスマスクはムウに、朝食が乗せられたトレイを渡すと、貴鬼を連れて部屋を出て行った。

ムウ「待ちなさい。」

ムウも慌てて部屋をでて後を追う。

貴鬼「ムウさま。今日はムウさまの誕生日だよ。せっかくなんだから一日ゆっくりしてよ。」

貴鬼はムウを上目遣いで見ると、ムウを部屋に押し戻した。

ムウ「これではまるで病人だ・・・・。」

ムウはそう呟きながら朝食を食べ、布団に戻った。取りあえず、弟子と仲間達の心遣いを黙って受け入れることにしたのだ。

 

8:00

東京都内某所デパート地下。(現地時間だいたい夕方4時。)

アイオロス「サガァ、まだ買うのか?」

両腕に紙袋を下げ、手には大量の箱を山積みにしたアイオロスが情けない声で言う。

カノン「荷物持ちが文句を言ってるんじゃねーぞ。」

サガ「すみません。このケーキを全種類ください。」

サガはショウケースのケーキを指差しながら、店員に注文する。サガはカードの明細書にサインをすると、ケーキが入った大きな箱を店員がカノンに手渡した。

カノン「おい、荷物持ち!!これ、持て!!」

アイオロス「私はサガの荷物しか持たん!」

カノン「兄貴、これ。」

カノンはケーキをサガに手渡す。

サガ「ん。アイオロス、はい。」

サガは優しくアイオロスに微笑みながらそれを手渡す。

アイオロス「ああ。サガのものならなんでも持ってやるからな。」

アイオロスはニッコリと笑うと、サガから荷物を受け取った。

 

9:00

デスマスク「おい。ムウ!!風呂がわいたぞ、風呂!」

ムウ「・・・・・。」

ムウは布団から出ると、風呂へと入る。

金牛宮

その頃、金牛宮ではシュラとアルデバランがビデオを見ていた。見ているのは、アニメ・巨人の星であった。

シュラ「これが一徹返しってやつか、アルデバラン?」

アルデバラン「ああ。教皇さまは、白羊宮のダイニングテーブルをあーやってひっくり返すんだ。」

シュラ「とんでもないジーサンだな。」

アルデバラン「まぁ、そういうことだ。」

シュラ「しかし、日本の父親って皆こんな技を使うのか?」

アルデバラン「そうじゃないか?」

シュラ「日本の子供って可哀想だな。あーあ、ギブスまでつけられちゃって・・・。聖闘士並だな。」

アルデバラン「そんなことよりも、この技に耐えられるテーブルを作ってくれ。」

シュラ「ああ、分かった。」

 

10:00

デスマスク「おう、風呂からあがったら早く寝ろ!」

ムウ「はっ?また?」

デスマスク「おうよ!今日は一日ゆっくりしてろ!!」

ムウは再びしぶしぶとベッドに横たわる。

処女宮

その頃、処女宮ではミロとシャカが貴鬼の遊び相手をしていた。
ミロと貴鬼は、蓮華の台座の上で斜に構えているシャカの前に座り、瞑想している。

ミロ「やったぁーーーー。シャカの負けぇ!!」

貴鬼「乙女のおじさん、弱いね。これで負けるの何回目??」

シャカ「・・・・・・・。もう一度だ!」

ミロ「まだやるのか、シャカァ?」

貴鬼「以外に負けず嫌いなんだね。それじゃ、いくよぉ。」

ミロと貴鬼は再び目を閉じるて、瞑想を始めた。

貴鬼「(さん、はい!マジカルバナナ♪バナナといったら滑るゥ〜♪)」

ミロ「(滑ると言ったら、股間♪)」

シャカ「(こ・・・・こかん?)」

貴鬼「乙女のおじさんの負けぇ〜。」

シャカ「ミロ、なぜ股間が滑るのだ?」

ミロ「え?俺の股間はカミュの尻で滑るよ。」

シャカ「・・・・・・・・。」

貴鬼「はい。次は乙女のおじさんからで、股間だよ。」

 

11:00

日本

その頃、日本はだいたい7時になっていた。

カノンとアイオロスの両手、両腕には既に抱えきれないほどの荷物がもたれていた。これでも、2回テレポートで荷物を聖域に送っている。

カノン「兄貴、自分で持てよ、ごらぁ!」

サガ「だったら、お前が金を払うのか?」

カノン「それはちょっと・・・・。」

サガ「それなら黙って荷物を持っていろ。ところで、もう他に買うものはないのか?」

カノン「大丈夫じゃねーの?」

サガ「そうか、そろそろ星矢達と合流するか。」

聖域を朝早くに出た3人は、この都内某所へ星矢と瞬に案内してもらったのだ。その星矢と瞬は、3人の買い物が終わるまで玩具のデパートで遊んでいた。

星矢「うわぁーー。すげー荷物っすね。」

瞬「あっ。これ、僕達からムウへのプレゼントなんです。」

星矢「それと、これは貴鬼に渡してやってください。」

瞬は巨大な熊のぬいぐるみを、星矢は小さい箱をサガに差し出した。サガはニッコリと微笑む。

サガ「そうか。ムウもお前達の気持ちにきっと喜ぶだろう。ところで、星矢。長めのヒモはないか?」

星矢「ヒモっすか?ちょっと待っててください。」

星矢はそういうと、店員にヒモを貰う。

サガ「すまないな、星矢。」

サガは瞬から巨大な熊のぬいぐるみを受け取ると、両手がきかないカノンの背中と熊の背中をくっつけ、そのヒモでくくりつけた。その見事な早業に、カノン以外が苦笑する。

サガ「さて、私はこれを持とう。」

サガは貴鬼へのプレゼントを持って言った。

カノン「兄貴。てめぇ、何をしやがる。この熊はずせ!!」

サガ「カノン。暴れるんじゃない。持っているケーキが崩れる。」

アイオロス「そうだぞ。せっかく買ったイチゴも痛むぞ。」

星矢「カノンさ〜〜〜ん。似合いますよ。ぷっぷっぷっ!!」

カノン「くっそーーー、覚えてろよ!!」

 

12:00

デスマスク「おう、ムウ。昼飯ができたぞ。そろそろ寝てるのも飽きただろう?テラスに飯を用意しておいたからよ!!」

ムウ「はぁ、やっと起きれるのか・・・。」

ムウはベッドから起きあがると、テラスにでて食事をした。デスマスクが作ってくれた昼食は蟹とトマトのクリームパスタであった。

金牛宮

シュラ「アルデバラン。今度のはどうだ?」

アルデバラン「グレートホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」

シュラの作った大理石の14人がけの大テーブルが、アルデバランの一撃でこなごなになった。シュラは首を傾げる。

シュラ「まだまだ駄目か。デザインに懲りすぎたか・・・・。」

白羊宮

デスマスクは、日本から帰ってきたカノンをみて大爆笑した。

デスマスク「おい、愚弟!なんだそりゃ!ぐははははっ!!」

カノン「うるせーーー。」

サガ「デスマスク。他の荷物は届いているか?」

デスマスク「おう。まかせろ。カミュにつくってもらった即席天然冷蔵庫で冷やしてあるぜ。」

アイオロスとカノンは、買ってきた荷物を白羊宮のリビングに置いた。カノンは、即効で熊のぬいぐるみを背中からはずす。

カノン「日本のブロンズ共からムウにプレゼントだってよ。この熊、適当なとこに置いておいてくれ。」

処女宮

貴鬼、ミロ、シャカはまだマジカルバナナをしていた。

サガ「貴鬼。これを星矢達から預かってきた。」

貴鬼「あっ、頭のいいほうの双子のおじさん。お帰りぃ〜。」

サガ「ただいま。」

ミロ「なんだよ、俺達にはないのか?」

サガ「貴鬼への誕生日プレゼントだ。」

貴鬼はサガから荷物を受け取り、包装を向いて目を輝かせた。

貴鬼「あっ!デススティンガーだ!!」

星矢達からのプレゼントは、組み立て式の獣型ロボットの玩具であった。デススティンガーとは、蠍の形をしたロボットである。

ミロ「おーーーー、いいな、いいな。蠍じゃん!!」

貴鬼「わーーーい、早速組み立てよう!!」


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