波ちゃぷカノンのサバイバルゲーム

 

カノン「だぜーーーーーっ、だしやがれぇぇぇぇ!!」

カノンはまたまた実兄の手によって、スニオン岬の岩牢に閉じ込められていた。おおかた、また悪でも囁いたのだろう。

しかし本人は、反省するどころか恨み言と悪への誘惑をサガの小宇宙に直接囁きかける毎日を、岩牢の中で過ごしている。

投獄され、そろそろ6日めが過ぎた。

デスマスク「おーい、愚弟!!」

カノンは岩牢前に現われたデスマスクに声をかけられ、鉄格子にしがみついた。

デスマスク「最近姿を見ないと思ったら、またここに閉じ込められたってーのは、本当だったのか。ぐははははっ」

カノン「ぅっせーーーーーー!!何しに来やがった!!」

デスマスク「いや、ちょっと見物によぉ!」

カノン「なんだと!?見世物じゃねぇーんだぞ、とっとと失せろ!!」

デスマスク「閉じ込められてる割には、随分と威勢がいいじゃねぇか。」

カノン「たりめーだ。俺はカノンさまだ。こんな所に閉じ込められたくらいで、弱気になどなるものか。」

デスマスク「さすが、スニオン岬の牢名主だな、ぐははははっ。」

カノン「笑い事じゃねぇ!」

デスマスク「ぐははははっ、ほぉら、また波がきたぞ、愚弟!!」

カノンは迫り来る大波に、歯を食いしばり鉄格子を握り締めた。

ザップーーーーーンっ!!

カノン「ぷはっ〜〜〜!!ふっ、俺はこの程度の波じゃ、びくともしないぜ!!」

デスマスク「おぉぉぉぉ、すげぇ。さすがプロだな。」

歓声を上げて絶賛するデスマスクに、カノンは岩牢からでたら真っ先にあの世に送ることを誓った。

デスマスク「ああ、楽しかった。それじゃぁな。」

ひとしきり笑った後、デスマスクは片手をあげて立ち去ろうとした。

カノン「ちょっと待て。デスマスク。」

デスマスク「ああん?なんだよ、お兄ちゃんに謝る気になったのか?俺に伝えて欲しいのかよ?」

カノン「そうじゃねぇよ。お前、拝観料を置いていけ!」

岩牢から、手の平を空に向けて差し出すカノンに、デスマスクは眉を潜めた。

デスマスク「はぁん??」

カノン「てめぇ今、俺を見て楽しんだって言っただろう。楽しんだなら、拝観料を置いていけって言ってんだ。」

デスマスク「馬鹿か、おめぇ。」

カノン「いいから、水か食い物をよこせ!!今日から、只見は禁止だ!!」

デスマスク「ははん?、んなくだらねぇもんに、物なんて出せるかバーカ!何か欲しけりゃ、波のりくらいしてみろってんだ。」

カノン「てめぇ、この蟹野郎!!覚えてろよ!!お前の耳元で、悪を囁いてやるからなぁ〜!!!」

すでに悪の男に悪を囁いても意味がないのだが、カノンは去っていくデスマスクの背中に叫びつづけた。

 

次の日。

カノン「だぜー・・・・・・・・・・・出しやがれぇぇ!!」

今日もカノンは叫んでいた。

アフロディーテ「愚弟ちゃん♪」

カノンは岩牢の前に現われたアフロディーテに声をかけられ、鉄格子にしがみ付いた。

アフロディーテ「岩牢に閉じ込められたって、本当だったんだ。」

カノン「てめぇ、何しに来やがった。」

アフロディーテ「昨日デッちゃんから、君が岩牢にまた閉じ込められたって聞いてね・・・。で、コンビニの帰りに遊びにきたのさ。」

と、アフロディーテは白いナイロン袋をぷらぷらさせて笑った。

カノン「コンビニ・・・・・・・・・?」

アフロディーテ「そう、コンビニ。」

カノン「ってーことは、何か食い物も買ったのか?」

アフロディーテ「食べ物はないけど、水は買ったかな。」

カノン「水だと!?よこせ、その水よこせ!!」

水ときいて、カノンは必死に手を伸ばした。

アフロディーテ「ちょっと、なんで君に水をあげなくちゃいけないんだ?」

カノン「ぅっせー、んな細かい事気にするな。今すぐ、俺にその買ってきた水をくれ!!」

カノンは鉄格子の間から肩を突き出し、限界まで手を伸ばして水をねだるが、アフロディーテはペロリと舌を出して笑った。

アフロディーテ「いやなこった。なんで、君になんてやらなきゃいけないんだ。」

カノン「頼む、くれ!!もう7日間も飲まず食わずなんだ。正義の聖闘士なんだろうが、お前は!だから、くれ!」

アフロディーテ「どうしようかなぁ〜〜〜〜。」

カノン「くれぇぇぇぇ。」

カノンはさらに手を伸ばし、ブンブンと振った。

アフロディーテ「そうだねぇぇぇ、そんなに欲しいなら、パンチラの一つでも見せてみなよ。」

カノン「なんだと!?」

アフロディーテ「パンチラだよ、パ・ン・チ・ラ♪その小汚いスニオン服のズボンを脱いで、チラリとパンツを見せてみろって言ってるんだ!」

カノン「てめぇ、そんなことを俺にさせようっていうのか!?」

アフロディーテ「はぁん?ただで人に物を貰おうなんて、思ってたのかい?随分と虫がよすぎる話しだな。」

カノン「くそっ!!」

アフロディーテ「パンチラできないなら、水はやれないよ。ということで、この話しは無かった事に。」

ニンマリと笑ったアフロディーテは、ガサガサとコンビニ袋からペットボトルの水を取り出すと蓋を開け、カノンに見せつけるように飲むしぐさをする。

カノンはそれをみて、ゴクリと喉を鳴らした。

カノン「わーーーったよ。パンチラだけだからな。パンチラしたら、その水をよこせよ。」

アフロディーテ「OK!」

水が飲めるならパンチラなど安いものだ。アフロディーテとは、海を隔てて結構な距離もあり、万が一何かあっても鉄格子が邪魔して、襲われる心配はない。それに、究極駄目なら、岩牢の奥に逃げれば済む事だ。

カノンは鉄格子の前で、編み上げのサンダルを脱ぐ。そしてスニオン服のズボンの腰紐を解き、パンツが一緒に脱げないようにゆっくりとズボンを引きおろした。

スラリと伸びた、鍛え上げられたカノンの両脚が徐々に顕になるが、長い上衣の裾がカノンの大事な部分を覆い隠し、まるでミニスカートを履いているようであった。

アフロディーテ「ひゅ〜〜〜〜♪なかなかいい脚してるじゃん!」

カノン「いいから、はやく水をよこせ!」

アフロディーテ「おっと、まだまだだ。ちゃんとパンチラしてくれないと、水はやれないよ。」

カノン「くそっ!!」

怒りと恥辱に顔を歪めながらカノンは、ほらよっと言って、上衣の裾をチラリとめくる。そこからはトランクスがちらりと見えた。

アフロディーテ「なーーーんだ、下にちゃんと履いているんだ。つまらない。」

カノン「ったりめぇだろう。俺と兄貴を一緒にするんじゃねぇ。」

鉄格子にしがみ付きながら、カノンは叫んだ。

カノン「パンチラしたんだから、水をくれ!!」

アフロディーテ「はいはい・・・・・。」

アフロディーテはつまらなそうに返事をすると、持っていた水をカノンめがけて放り投げた。

こうしてカノンは7日ぶりに喉を潤す事が出来たのであった。


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