先生といっしょ(弟子馬鹿とはなんだ? その1)

 

一週間ぶりにシベリアから帰ってきたカミュに会うべく宝瓶宮を訪れたミロは、リビングにいたカミュに抱きついた。

ミロ「お帰り、カミュ〜。お前がいなかった間、尻も股間も寂しかったぁぁぁっ。」

ミロはごろごろとカミュに頬擦りすると、キスをねだったが、その唇をカミュの手がふさいだ。

カミュ「キスは後にしてくれ、ミロ。」

ミロ「え?なんでだよ。ヤろうよ、カミュ。」

カミュ「お前に、土産があるんだ。」

ミロ「えっ?土産・・・・・・・・・って、また変な服じゃないだろうな。」

カミュ「今度は違う。今日の土産はこれだ!・・・・・・・・・・って、おい、ミロ。どこにいく!!」

指をさされたほうを見たミロは、露骨に顔をゆがめて宝瓶宮から逃げ出した。

逃げたミロを追ってカミュが宝瓶宮からでると、肥料が入った麻袋を抱えた雑兵を従えたアフロディーテが階段を上ってくるところだった。

アフロディーテ「おや、ミロが血相を変えて天蠍宮に戻っていったけど、どうかしたの?。」

カミュ「さぁ。」

カミュは肩を竦めて首をかしげた。

アフロディーテ「ああ、そう。それじゃ、私は急ぐから。」

カミュ「ちょっと待ってください、アフロディーテ。」

アフロディーテ「なに?」

カミュ「シベリアに帰った時の土産があるんですが・・・。」

アフロディーテ「また?」

カミュ「はい。」

アフロディーテ「それでミロが逃げたのか・・・。なるほどね。まぁ、いいでしょう。その代わり、いつのものように私に付き合いなさいよ。」

カミュ「分かっています。」

 

双魚宮

カミュは土産を持って双魚宮までくると、バラ園の一角にあるテラスに向かった。すでにアフロディーテがアフターヌンティを用意している。

カミュ「では、約束どおり聞いてください。」

アフロディーテ「はいはい。その前に、右手出しなさい。」

カミュ「はい。」

差し出されたカミュの右手にクリームを付け、アフロディーテはマッサージをしはじめた。カミュはレースのテーブルクロスが敷かれたテーブルの上に置いた土産をがさごそと左手で器用にひろげる。

アフロディーテ「氷河10歳の話なら前に聞いたからね。」

カミュ「いえ、今日は、先週シベリアに行ったときの話しです。」

アフロディーテ「ふーん。一週間だったけ?」

カミュ「はい。」

アフロディーテ「一週間で、そのアルバムの量?」

カミュ「ちがいます。これは先月シベリアに帰ったときの写真です。今回の休暇の写真は、いま現像にだしているところです。」

アフロディーテはカミュの右手のつめに鑢をかけながら、テーブルの上に置かれた10冊以上のアルバムをちらりと見て、ため息をついた。
カミュの土産とは、他ならぬ可愛い弟子達の写真のことであった。

カミュ「そういえば、ミロには先月の話はしましたが、貴方にはしていなかった・・・・。ついでです、写真を見ながら、私の話を聞いてください。」

アフロディーテ「はいはい。」

カミュは左手で器用にアルバムをめくっていった。

カミュ「先月帰ったときは、ちょうど氷河が日本から帰ったばかりだったのです。それで、氷河はまだ働いてもいないのに、私に土産を買ってきてくれたのです。」

アフロディーテ「ふーん、大した弟子じゃないか。」

アフロディーテはカミュの右小指の爪を丁寧に鑢ながら、適当に返す。

カミュ「それはもう、私の弟子ですから。」

アフロディーテ「で、氷河に何を貰ったの?」

カミュ「はい。氷河は私のために、いろいろな衣装を販売している店のカタログをくれました。」

アフロディーテ「あ、そう。」

カミュ「それからですね、星矢たちとU○Jというところにいったらしく、そこの土産もくれました。しかも、氷河はそのときの写真まで私にくれたんです。これが、U○Jの入り口で撮った写真です。氷河が可愛いのです!」

目をらんらんと輝かせカミュがアルバムの上を指差した。そこには、沙織を真ん中に星矢や瞬、紫龍たちと一緒に氷河が写っていた。

アフロディーテはカミュの爪から一度視線をはずし、その写真をちらりと見た。

アフロディーテ「あら、瞬ちゃんじゃない。相変わらず、女々しそうね。」

カミュ「アフロディーテ!貴方はどこをみているんです。貴方が見なければならないのは、アンドロメダではなく氷河です!見てください、この氷河の満面の笑顔を!氷河は星矢にヘッドロックをかけるのを、心底楽しんでいるんです。ああ、なんて可愛いのだ氷河・・・・・。」

アフロディーテ「はいはい。ほら、次は左手出しなさい。」

星矢にヘッドロックをかけていたずらに微笑む氷河の写真にウットリしているカミュの左手を掴み、アフロディーテは右手にしたのと同じ作業に取り掛かる。

カミュ「それからですね、これみて下さい。アイザックが先月、私に鱗衣姿を見せてくれたのです。」

鑢がけが終わった左手の甘皮をむかれながら、カミュはアルバムのページをめくる。アフロディーテはカミュの指の手入れに夢中で適当にうなずいた。

カミュ「それからですね、これ見てください。水晶聖闘士と氷河とアイザックの4人でバレエを見に行ったんです。氷河が、『いつか俺も先生と一緒にこうやって踊りたい!』って言ったんですよ。そしたら、アイザックが『俺も踊りたいです!』と・・・・。」

アフロディーテは適当に頷きながら、マニキュアセットを取り出した。まずはカミュの爪に丁寧に下地を塗る。
カミュはなれているのか、両手を差し出したまま口だけを動かした。アルバムのページは超能力でめくっていく。

カミュ「それからですね、この後4人で夕飯を食べたんですが、氷河もアイザックも『先生が作った食事のほうが美味い。』なんていうんです。本当に素直で可愛いと思いませんか?」

アフロディーテ「ああ、そうね。」

アフロディーテは赤いマニキュアを塗った上に、トップコートを塗リ終わると、今度はカミュの隣に移動し、ヘアターバンをカミュに渡す。カミュはそれを無言で受け取り、前髪をあげた。

アフロディーテはあぶらとり紙や化粧水、ローション、眉バサミ、眉抜きを取り出し、今度はカミュの顔をいじくりはじめた。

それでも構わす、カミュの弟子話は続いた。

30分後

カミュ「・・・・・・・・・・それで、その時氷河が。」

アフロディーテ「はい。完成!今日はもう帰っていいわよ。」

すっかりきれいになったカミュの顔を見て、アフロディーテは満足げに頷いた。

カミュ「へ?私の話はまだ終わってはいません。」

アフロディーテ「でも、こっちはもう終わったから、帰りなさい。」

カミュ「しかし、私のほうはまだ終わってはいない。」

アフロディーテ「あんたの話なんて興味ないのよ。ちょっとだけでも聞いてやったんだから、感謝しなさい。わかったらとっとと帰りな!」

テーブルの上のアルバムを押し付けられ、カミュは双魚宮を追い出された。

カミュ「まったく、氷河とアイザックの話はこれからだというのに・・・・。」

カミュはブツブツと文句をいいながら、やはりミロに話を聞いてもらおうと宝瓶宮を通り抜けた。

 

磨羯宮

シュラ「ん?おい、カミュ。そんなにめかし込んで、どこに行くんだ?」

カミュ「ああ、シュラか。ちょっと天蠍宮に・・・。」

シュラ「なるほど、今日はミロの相手か?」

カミュ「いや、別に貴方でも私は構わないんだが・・・。」

シュラ「ほう、それは本当か?」

カミュ「ええ、それはもう。」

シュラ「そうか、そうか。ついにお前も俺の良さが分かるようになったか。」

シュラはいやらしく笑うと、カミュを私室に招きいれた。

シュラ「さぁ、こっちだ。」

カミュ「どこに行くというのだ?」

シュラ「何をとぼけている。こっちが俺の寝室だ。」

カミュ「いや、リビングかダイニングのほうが落ち着くのだが。」

シュラ「ほう、そういう趣味があるのか。まぁ。俺はどこでも構わんが・・・。」

カミュをリビングのソファに座らせると、シュラはその隣にぴったりと腰をかけ、カミュの肩を抱いた。そして一気に押し倒そうとしたとき、カミュがアルバムを差し出した。

カミュ「はい。では、これをみてください。」

シュラ「は?」

カミュ「これです、これ。」

シュラ「なんだこれは?」

カミュ「アルバムです。」

既にヤる気まんまんだったシュラであったが、とりあえずアルバムを受け取り渋々ページをめくった。

カミュ「これが、氷河です。可愛いでしょう。」

カミュはそういって、U○Jの入り口での集合写真にいる氷河を指差した。

カミュ「氷河は私の孫弟子なんです。ほかに、アイザックという孫弟子がいて、海将軍なんです。」

シュラ「はぁ、そうなのか。」

カミュ「そういえば、貴方に氷河や私の弟子のことを話すのは初めてでしたね。」

シュラ「ああ、そうだな。って、別に、俺はお前の弟子の話などどうでもいいんだが。」

カミュ「何を言っているんですか、シュラ。貴方も黄金聖闘士なら、将来弟子を取ることもあるでしょう。でしたら、私の話は必ずや貴方のためになると思うのです!」

シュラ「いや、それよりも、まずはヤろうぜ。その後、お前の話を聞いてやる。」

カミュ「は?何を言っている。私の話を聞くほうが先です。」

シュラ「おいおい、勘弁してくれよ。」

カミュ「では、貴方の好きそうな話しにしましょう。」

シュラ「だからな、話じゃなくて・・・・。」

カミュ「そうですか、貴方ならこういう話は好きだと思うんですが・・・。」

シュラ「俺が好きな話・・・ていうと、あれか?」

カミュ「あれです。」

シュラとカミュはお互いの目を合わせてにやりと笑った。

シュラ「いいだろう。聞いてやる。」

カミュ「氷河もアイザックも師は水晶聖闘士という男なのですが、夜の師はすべて私なのです。もちろん、氷河もアイザックも子供ですから、聖闘士の特訓と同じように夜の特訓をするわけにはいきません。最初はまず、どうやると気持ちよくなるかを教えるのです。今では、氷河もアイザックもそれはもう、先生先生と可愛い声で鳴くんですよ、シュラ。」

シュラ「ほう。それはいいな。で、その写真はないのか。」

カミュ「見たいですか?」

シュラ「それはもう。」

カミュ「いいでしょう。」

カミュは目を閉じると、超能力を使って数冊のアルバムを手元に取り出し、シュラに渡す。

シュラ「ほう、これはなかなか。」

カミュ「これは、氷河が始めて咥えたときの写真です。目に涙をためながら、一生懸命奉仕している姿は最高でしょう。」

シュラ「ほう、で、これがアイザックか。」

カミュ「そうです。これは、氷河に写真を撮らせました。アイザックは氷河よりも年上ですから、この頃にはアイザックは私を受け入れていました。氷河にどうやればいいのか教えるために、氷河に見せてやったのです。」

アルバムは、ベッドに座ったカミュの上に背面乗位でカミュにまたがったアイザックが、尻にカミュのモノを咥えて涙を流しながら喘いでいる写真が何枚も続いていた。

2時間後。

シュラ「まだ、お前の話は続くのか?」

カミュ「何を言ってるのです、まだまだ序の口です。これから、どうやって氷河が私を受け入れるか聞いてください。」

シュラ「おいおい、アイザックの話もまだ終わって無いんだろう?」

カミュ「はい。まだまだです。」

シュラ「お前の話で、俺もう結構限界なんだが・・・・。」

カミュ「あ、あなたは私の可愛い弟子に欲情したのか?!」

ソファから立ち上がりカミュは顔を青くして怒鳴った。

シュラ「あのな、欲情も何も、こんな話を聞かされて欲情しないほうがおかしいだろうが。」

カミュ「駄目です!私の弟子は駄目です!」

シュラ「だから、お前が俺と寝ろといってるんだ。」

カミュ「は?何を言っている。冗談じゃない!」

シュラ「なんだと?散々、人にくだらない話を聞かせておいて、それはないだろうが!話を聞いてやったんだ、ヤらせろ!」

カミュ「話はまだまだあるんです。人の話もろくに聞かないで、その態度はなんですか!帰ります!!!」

シュラ「ふざけるな、ごらぁ!!!」

カミュは憤慨しながら磨羯宮を出て行った。


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