★Feliz aniversario!!(アルデバランのお誕生日 その1)
<約束の日>
ムウの舌先が、恐る恐るといったふうにアルデバランの下半身へと移動してきた。舌先が肉茎の先端に触れると、それがピクリと反り返る。
すでにその裂け目からは透明な液が零れ始めていた。ムウは舌先でそれを感じ取り、先端を舐めまわす。
なんとも言えない快感がアルデバランの背筋を貫いた。「・・・・やはり、やめよう。」
「構いません・・・・。」
「しかし、このことがあの方に知れたら・・・。」
「今日だけは、それを言うのをやめませんか?」
「ムウ?」
「今日はあの方は聖域にはいらっしゃらないのです。だから、今日だけは忘れて・・・。」
ムウは毎回繰り返されるこのやり取りに、心底うんざりしながらも、アルデバランの心遣いに酔いしれた。ムウには決してそれが怯えや恐れではないことが分かっていた。アルデバランが心配しているのは、あの方、シオンにこの逢瀬がバレたら、ただでは済まされないであろうムウのことだった。もちろん、その罪はムウよりもアルデバランの方が重い。
しかし、自分自身のことよりもムウを心配してくれる、ムウが愛した男はそういう男だ。自分を心配そうに見下ろすアルデバランの視線に気がつくと、ムウは微笑を浮かべた。決してシオンには見せたことのないその表情は、アルデバランの憂いを溶かす。
ムウは大きく息を吸うと小さな口を精一杯広げ、アルデバランの先端の括れまで飲みこんだ。縁の部分に歯を当てながら、先端のあちらこちらを濡れた舌で這いまわす。
そうして、すぼめたピンクの唇が根へと向かってゆっくりと落ちていった。その間にも舌は蛇のように這い回る。その快感に、アルデバランは自分の意思に反して腰を突き出した。その反動で肉茎がムウの喉の奥を付き、「うぐっ」と苦しそうな声が漏れる。それでもムウは口を放さず、激しく舌を絡ませ、顔を動かし始めた。
なれた手つきで肉茎を扱い、微妙な強弱と緩急をつけた動きに、アルデバランの瞳に再び憂いが宿る。
恐らく普段からこういうことをしているのだろう。そう思うと、胸の奥から悲しみと怒りが込み上げてくる。アルデバランは、ムウに悟られないよう首を小さく横に振ると、その思いをグッと堪えた。
今日だけはシオンのことを思い出したくない。ムウもそれを望んでいる。「ムウ。もういい・・・・。」
「あぁ・・・っ。」
声をかけられ、ムウは吐息が混じった顔をアルデバランに上げる。ムウの呼吸は既に乱れ、汗に濡らた顔に藤色の頭髪がなめまかしい。
「今日は、私にやらせてくれないか?」
ムウが小さく頷いた。アルデバランは、ムウの太ももを開かせ、腰を浮かせ膝を立たせる。そして辛くないよう、その下に枕をあてがう。
窮屈に身を屈めると、アルデバランは太ももの付け根に顔を入れた。
頭髪と同じ藤色の茂みに顔を埋めると、ムウの肉茎に優しくキスをする。「あ・・・・っ。」
切ない息を詰まらせた声が漏れる。
そのまま唇を肉茎に這わせながら、更に下へと双丘の肉壷へと移動する。入り口へ到達すると、そっと舌を添え入り口を濡らす。
ゆっくりと優しく舌を動かしながら、肉壁に触れていった。「ん・・・っ・・・・はぁぁ・・・。」
聖闘士にしては華奢な身体が逃げるように上にずれていく。逃がすまいとアルデバランは舌を中へと押し入れた。
アルデバランは双丘の中に半分まで入っていた舌を付け根まで押しこむと、中を掻きまわす。ムウの息が乱れた。
肉壁に包まれた舌を、右に左にと回転させると、ムウからすすり泣くような喘ぎ声が聞こえ始める。ようやく肉壁の内側を舐めるのを辞め、アルデバランは己の肉茎を双丘の中心へと押し当てた。先端がぬるりとした感触に包まれる。肉壷は、先ほどの愛撫によって十二分に潤っていた。
先端がほんの少しだけ、双丘に侵入した。「あぅ・・・・・っ。」
双丘には相応しくない大きさの肉茎に、苦痛の呻き声がもれる。日頃、シオンに慣らされていてもきつい。腰の力を緩めたら、押し戻されそうなほどだ。
アルデバランはなるべく苦痛を与えぬよう、慎重に丁寧に侵入していった。「はっ・・・あぁ。」
慎重過ぎるそれにムウは自ら腰を突き出し、アルデバランを迎え入れた。先端が少しずつ飲みこまれていく。
アルデバランはゆっくりと前後に動いた。すこしの振動でもムウの藤色の髪は揺れ、細い顎が上がる。
リズミカルに一定のペースでゆっくりと腰を動かしつづけた。いきなり激しく動かせば裂けてしまうからだ。「はぁ・・・・ぁぁ。」
「ムウ。涙が・・・。」
「んっ・・・・痛いからではないのです。だから心配しないで、もっと・・・・。」
ムウに促され、アルデバランは腰の動きを早める。
「あぁぁ。」
「ムウ。イキたければ、先に・・・・。」
ペースを崩さず腰を動かしつづけた。肉茎が腫れたように鼓動しているのが分かる。激しく動かせばすぐに絶頂が来るだろう。
しかし、アルデバランは絶頂が抑え込みながら腰を動かした。「くぅ・・・・っ。ぁぁぁ・・・アルデバランッ!一緒に・・・・・っ!!」
名を呼びながら、ムウは自身でも腰を動かし始めた。たまらずアルデバランも腰の動きを早める。
肉壁と肉茎が擦れ合い、徐々に理性を奪っていく。「うっ・・・あぁ・・・いっ・・・いぃ・・・・・。」
「ム・・・・ウッ!」
ムウの目から大粒の涙が零れ、かすれた悲鳴を上げて硬直した。ムウの白い脚が、アルデバランの腰を締めつける。
「・・・・・・・・・・・・・・!!」
ムウの上体がベッドから一瞬あがり、声にならない嬌声と共に沈む。アルデバランの腰から脚が解かれていった。
「来年もこうしていられるといいですね。」
「来年・・・・。来年はあるかな?」
激しく上下する厚い胸板に顔を預け、汗に濡れた胸毛を弄りながらムウがいう。藤色の頭を優しく撫でていたアルデバランの顔に一瞬不安がよぎる。
「怖いことを言わないでください、アルデバラン。」
ムウがすこしムッとした、この男にしては先ずらしく人間臭い表情をする。
「すまん、ムウ。」
「分かっています、アルデバラン。でも、せめて来年のアルデバランの誕生日には、また。」
「ああ。来年の5月8日には、必ず。」
「その次の5月8日は?」
「もちろんだ、ムウ。」
「では、その次も?そのまた次も一緒にいてくれますか?」
「ムウ、どうした??」
胸から顔を上げ澄んだ瞳でアルデバランを見つめる。その目にはうっすらと涙が浮んでいた。
「ずっと、ずっと私と一緒にいてください。たとえシオンさまに・・・・。」
ムウが込上げる思いに言葉を詰まらせる。
「ムウ。ずっと一緒だ。教皇さまに殺されようとも・・・、何があっても・・・・。」
ムウの瞳から一筋の涙が零れた。
「ありがとうございます、アルデバラン・・・。」
ムウはアルデバランの胸に顔を埋めて咽び泣いた。アルデバランはムウの柔らかい髪にキスをし、その震える肩をずっと抱きしめていた・・・・。