掲載: 2009.01.09


2008年12月、師走も半ばを過ぎた碓氷峠の様子・その4です。
なお、文中コメントは当サイト管理人の個人的なものです。碓氷峠鉄道文化むら等関係部所には関係ありませんし、当サイト関係者一致の公式見解でもありません。全ての文責は管理人一人にのみあります。

撮影日:2008.12.20
(特記画像除く)

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アプトくんDL。
アプトくん蒸機の方は現在オーバホールのため某社工場へ行っていて、園内にいません。しばらくの間、DLが孤軍奮闘で頑張っています。


同上。



5インチミニSL。
レールは再敷設されましたが、機関車の方は少々くたびれぎみのようです。
また廃油缶とかが乗車位置横に置かれているのも少し気になります。


とは言え、家族やグループ客にとっては理屈抜きで楽しめるアトラクション。園内で一番笑顔が多いのは事実でしょう。

ただ、動態保存EF63だとか貴重な保存車両・展示物の魅力が一般観光客には十分伝わっていないという危惧もあります。
5インチミニSLに乗った楽しい思い出とともに、EF63形や碓氷峠のことも記憶に残って欲しいものです。


敷設しなおされた5インチミニSLの線路。
レイアウトや景色にもう少し変化があると、より人気を集めると思います。
開園以来ずっと9600形一種類しか機関車がないのも寂しく感じます。開園記念日イベントで他の機関車が走ったことも過去にあります。5インチ模型ファンに呼びかけて大きな運転会をやるのも一つの方法でしょう。(下記事例参照)

全国の5インチミニSL紹介
富山県小矢部市の「やまと鉄道クラブ」は、市内の運送会社敷地内に常設軌道(総延長約600m、鉄橋やトンネル、ターンテーブルも常設)を保有。毎年夏に行われる「ライブスチームin小矢部」をはじめ、年何回か公開運転会を実施しています。同市の観光施設「クロスランドおやべ」に作られた常設軌道(総延長約600mで日本海側最大規模)の運営にも協力。これら公開運転会には会員や全国から参加した愛好家が所有する機関車が数十台集結し、人口3万人少々の小さな市で数千人の客が列を作る盛況ぶりで、いまや小矢部市最大の観光行事の一つとなっているそうです。


2003年7月20日に行われた、運送会社敷地内常設軌道での運転イベントの様子。

※この項の画像8枚は、富山県小矢部市在住のTさんが同日に撮影したもの。Tさんの許可を得て掲載(顔がわかるものを一部修正)。コメントはTさんからの情報を元に作成。


同上。
この時は会員や全国愛好家が持ち寄った50台近い機関車が集結していました。蒸気機関車だけでなく、電気機関車、ディーゼル機関車、電車等、国内外のモデル各種。遊園地向けに簡略化された既製品ではなく、どれも実物を忠実に再現した本格的なものです。


同上。


同上。


牽引力が小さい小形機関車の場合は、このように短編成で雁行運転されます。


鉄橋やトンネルなど変化に富んでいます。


同上。
「クロスランドおやべ」に作られた常設軌道も、変化に富むよう同様の工夫がしてあります。


機関車の基地。ターンテーブルや整備台が常設されています。
(ただし、安全のため一般客は立入禁止です)

以上、ご参考までに。

碓氷峠文化むらの様子に戻ります。


手こぎトロッコ。
親子でしょうか、笑いながら楽しんでいる姿が印象的でした。


うさぎ小屋。
さすがにこの季節、うさぎと戯れるのも少々きつい(うさぎにも気の毒ですし)。

動物園ではないのですから予算はかけにくいのかも知れませんが、もう少し綺麗な小屋にしたほうがイメージは良いと思います。


HO鉄道模型の運転体験コーナー。
この日は体験希望者がおらず休みのようでした。
通路から脇にそれているので気がつかない入園者が多いかも知れません。
本格的で大規模な貸レイアウトや運転可能なレイアウトがある飲食店が、都市部では最近増えてきていますが、そういうレベルのものを目指すかどうか難しいところでしょう。

鉄道資料館の様子。
限られた予算内で展示方法をより良いものにしていくとすれば、資料館は展示館と並び比較的取り組みやすいのではないかと思います。


鉄道資料館2F。


展示内容ならびに展示方法は開園以来変化ありません。
一般観光客も碓氷峠の歴史と特色を楽しく学べるような工夫があると、より集客につながると思います。


寄贈模型が増え、狭いスペースがさらに狭く感じます。


同じく。
寄贈された方の気持ちも大事にしなければなりませんが、同形式・同種の模型が少ない説明で狭い室内に並んで置かれている状況は改善の余地があるかも知れません。


開園当初よりあるED42模型。
作者は、故・中屋栄氏。中屋氏は横川機関区OBで、碓氷線の歴史研究でも多大な業績を残された人です。資料館の展示品にも、中屋氏が発掘した貴重な資料が多数含まれています。
この模型はED42を内部構造も含めて可能な限り忠実に再現したもので、木材を多用しており手作りです。鉄道模型の世界では有名な作品。


中央に鉄道模型ファンから寄贈された第3橋梁ジオラマが置かれています。
私の記憶に間違いがなければ、廃線後に作者が同橋梁へ行き実測したという製作記事を鉄道模型雑誌に寄稿した時の作品のはずです。この記事を知っている模型ファンが現地実測可だと誤解しなければ良いのですが。


鉄道模型の世界で評価が高い作品。

ですが少し違和感が・・・。EF63の後ろが変。以前はちゃんとしたNゲージの189系が連結されていたのですが、何故か子供用のダイキャスト車両(売店で子供向けに売ってるオモチャ)に変わっていました。最高水準の模型には相応しくないと言わざるを得ません。Nゲージの189系模型なら安いはずですが・・・。


HOレイアウト。
閑散期ですが、数人の客がいました。

レイアウトのあちこちに食品玩具らしき人形フィギィアとか、自衛隊関連の模型が置かれているのが気になりました。
自衛隊がどうのという話ではありませんが、有事あるいは怪獣映画の情景や「萌え」系の「遊び」がここに必要なのかどうかということです。観客がどう判断するか、レイアウト作成をプロとして請け負ったカツミの仕事を損なわないか、これらについても組織として検討した上でのことなのか心配です。


プラレールの展示?が増えていました。
動いてはおらず、「静態展示」のようです。メーカとタイアップしているものと思われますが、だとすれば中途半端な印象は否めません。
一応、EF63+あさまも並べてあります。
(プラレールのEF63、実車からサンプリングした音が出るギミックが仕込まれています。私は、それにつられて発売当初にトイザラスで買いました)


Nゲージレイアウト。
こちらも、食品玩具や自動車の「置物」が増えています。
Nゲージサイズの食品玩具や自動車模型の出来はとても優れているので、模型そのものとしては問題ありません。しかし、ただ並べておくだけでは如何なものでしょうか。
もう一つ気になったのは、自動車模型を発売している某メーカの商標が掲示してあることです。そのメーカの許諾を得ているものとは思いますが。


HOレイアウトの一角に展示された国鉄OB寄贈の模型群。
旧国鉄の機関士(蒸機ならびに電機。横川機関区には在籍歴無し)だった故・濱村弘氏が製作したHO模型です。濱村氏の後輩だった手塚仁氏(JR貨物関東支社、前高崎機関区長)の作品も一部混じっているそうです。


1Fの休憩室。
鉄道資料館の中では一番大きく様子が変わった場所です。
以前は「体験ゾーン」となっていて映像や音で碓氷線を紹介する展示内容になっていました(クイズマシーンもあり)。少しずつ改装されてきたのですが、一部音声装置は奥の方に残して完全に休憩室になっていました。


EF63形の車輌機器系統表示動作盤。
休憩室の片隅に展示されています。新人機関士訓練用の装置だと思いますが、説明がありません。以前は展示されておらず収蔵品として保管されていたはずで、貴重なもののはずですが。展示場所と方法がこれでよいのかどうかは異論があるでしょう。

精密機械なので触らないようにという注意書きはありますが、この日も子供が触っていました。(親御さんと子供を巡ってトラブルになるのが嫌で注意できませんでした・・・)
展示内容と方法の工夫も有効だと思いますが、その前に展示品の整理を行いメリハリをつけるようにすれば狭いスペースをさらに有効に利用でき、見学客の評価もより高まるのではないでしょうか。例えば寄贈模型のうち資料性が低いもの、2Fの写真展スペースを1F休憩室へ移動。車輌機器系統表示動作盤は2Fで空いたスペースへ移動するか収蔵庫へ戻すなど(鉄道展示館のEF63の近くで悪戯防止対策を前提に展示する方法もあります)。今の形に落ち着いた理由があると思うので難しいとは思いますが。
また、鉄道模型は大人の趣味としての認知度が高まっています。大人の初心者向に解説本が出たりNHKが鉄道模型作成講座を放映する時代になり、鉄道模型が"趣味の王様"とされる欧米の状況に近づいてきていると思います。鉄道模型が子供向けあるいは"オタク"向けと捉えられていた状況は大きく変わりつつあるようです。そういう流れを意識し、大人がより楽しめるようなHO・Nレイアウトにしていくのも一つのあり方かと思います。3F会議室の有効利用方として、碓氷関連の模型作成教室というのも面白いかもしれません。地元の小学生が社会科学習でアプト式旧線遺構を150分の1模型で図面から作成したという記事を読んだこともあります。この種のものであれば狭義の鉄道模型ファンだけでなく、多くの人の興味を引く可能性があると思います。


EF63運転体験の資格者一覧。
機関士見習(9回体験後に資格取得)以上の方の名前が掲示されています。
以前は資料館入口脇にあったもの。

私も2000年に運転体験をやったのですが、仕事の都合で現地に通う時間がなくなってしまい、資格取得に至らないままです。まだ先になりますが老後の楽しみにとっておくしかないかなと。その時は座学からやりなおします。
せっかくのEF63動態保存が、運転体験者だけの楽しみになってしまうようでは勿体ないと思います。一般観光客の楽しみにもなるためには、動態保存線の演出面の工夫が有効でしょう。また、鉄道資料館や展示館でも動態保存EF63に客の関心を自然に集めるような工夫があるとさらに効果があると思います。

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