11月勉強会より
  
心の病を持つ患者さんへの対応
      講師:東京都立中部総合精神保健福祉センター
                        看護婦 安保敏枝 


 精神科医療の最近の状況からお話したい思います。まず大きな動きとしては家族が身内の病気について知りたいと主張できるようになったことが特徴的です。いままで癌などはご本人に知らせないということが一般的でした。現在はご本人にも伝えるという方向です。都立病院なども12月ころから要望があればカルテを公開するようです。自分、あるいは家族の病気について、はっきり説明を聞いて、ご本人、家族が一緒になって積極的に治療に参加していくという方向です。

 また、精神保健政策の変化と精神障害者の自立、社会参加の重視という動きが顕著になってきました。つまり、障害者も一般と変わらずに生活をしいくノーマライゼーションが普及してきているということです。入院期間が長いと医療費もかかるんで、地域で生活できる方は、ご本人にとってもその方がいいし、社会にとってありがたい、ということです。

 そして、家族が精神障害者のリハビリテーションに貢献できることが明らかになったということもあります。最も密接に関わるご家族の対応がいいと、再発を防ぐという研究結果があります。

 次に精神科における心理教育的家族セミナーの目的について述べますと・・・
これは家族会等の目的ですが、家族は会に参加して、知識情報を得て当事者(スキゾフレニア・分裂病)についての理解を深めています。
 また、家族が以前よりうまく問題に対処できるような援助方法を知ることができるようになったことがあげられます。そして、家族会では悩みを共有して家族同士で支え合う関係作りの場としても機能しています。自分だけで悩むと辛いから、みんなで相談しあいながらやっていけば楽になるということです。

 次に当事者から家族に対する要望を聞いてみると、当事者の気持ちをわかった上で接することが望ましいということです。もっと気持ちをわかって欲しい。口やかましく指示しないで欲しい。私を傷つける言動をしないで欲しい。など、理解と自主性を求める声が多くあります。

 当事者の生活障害、つまり当事者の生活し辛さについて、臺弘医師がまとめた障害者の方の弱点としての報告によりますと・・・。

1)日常生活のまずさ

2)対人関係の人付き合いとか挨拶、他人に対する配慮、気配りに問題があってしばしば尊大と卑下が絡んだ孤立がある。これは当事者が人付き合いが下手というのは一番苦手の部分だと思います。あとは挨拶ができなかったりとか、他人に対してうまく気がつかえないということがあります。自分に対する評価がものすごく良くて、完璧だとする人と、実際は80%達成しているのに、自分では40%くらいだとしている人がいます。

3)仕事場では生真面目さと要領の悪さが共存し、のみ込みが悪く、習得が遅く、手順への無関心、能率・技術の低さが協力を必要とする仕事に困難をもたらす。
 ちょっと機転が利かないというか、一つのことだけをやってもらうならいいのですが、応用を利かせるような仕事には下手な部分がありますので、その辺は工夫が必要です。

4)生活経過の上では安定性に欠け持続性に乏しい。再発を起こしやすいとか、安定性には欠けますけれど、お薬をきちんと飲んで頂いて、回りの人との関係がよければいい状況になれます。

5)全てにわたって現実離れした空想に更けることが多く、生きがいの喪失、動機づけの乏しさが大きな問題となる。
これらのことは普通の人と同じレベルで見てしまい勝ちですが、できない部分をよくよく考えると、この生活のしづらさということが実際にあることがわかります。

 続いて再発防止と家族の感情について説明しますと、スキゾフレニアとか躁鬱病の人では周囲の人とかの家族の感情表出が少ないと再発防止に役立つという報告があります。感情表出というのは敵意とか批判とか過度の感情的巻込まれをいいます。感情表出が高いことを高EEと表わしています。

  2番目に家族の対応と接触時間による9ヵ月後の再発率についての報告がありますのでみてみますと、感情的な家族ほど再発率は高くて51%、平静な家族では13%です。さらに1週間あたり35時間以上感情的な家族と接触している人は、お薬を規則的に飲んでいても再発率は53%です。

 家族の対応が感情的でないほうが再発は防げるとか、家族と当時者の接触時間が週35時間未満・・1日当たり5時間未満ということで、接触時間は少ない方が再発は少ないようです。

 また、当事者の方がきちんとお薬をきちんと飲んでいるということが重要です。
 家族が否定的、拒否的な接し方になる原因は、どんな病気でもそうですが、病気の人を看護するというのは疲れますし負担がかかります。そこで、家族はちょっとしたことでも許せなくなったりすることがあります。それが高EEとなって現われることになると思われます。

 一般の病気を考えますと、例えば風邪を引いて治ったら仕事に出てもらいたいとか、薬を飲んでいれば完治します。ですから精神の場合も家族はそれと同じような対応をし勝ちです。しかし、それでは返って病気を悪化させてしまう結果となります。

 また、当事者が身の回りのことができない場合、それを家族がカバーしていると疲れから否定的、拒否的な接し方になるケースがあります。退院しても当事者の病気をよく理解して、当面はゆっくり家で過ごしてもらおうという思いをもっていただきたいと思います。退院からいきなり早く起きなさい、働きに行きなさいというと病状悪化につながります。

 核家族と言われるような家庭の場合ですが、あるいは親戚が少ないとか、身内からの支援がないような家族の場合、家族が疲れ果ててしまうことがあります。それを家族資源の貧困といわれています。このような場合、助けてくれる人を探すことが必要でしょう。生活の負担が多ければ多いほど、家族は高EEに陥り、お子さんを憎むような心境にもなります。

 しかし、改善策があります。その方法はまず、親が障害を理解して当事者ができている部分を見るようにすることです。そして、当事者を認めることです。また、当事者の行動や態度を必要以上に批判しないことです。焦らず、叱らず、諦めずの3点です。当事者はいうなれば大病の後の状態にいるわけですから、エネルギーを消耗し、いまは休息が必要だということを判ってあげることです。

 また、「巻き込まれ」ということがよく言われます。これは極端な過保護とか、当事者が興奮して怒っている場合など、こちらも一緒になって怒って、言い争いになるようなケースです。そこには親が一人で頑張って、治してやろうとか、自分がやらなければならない、といった自己犠牲のような、過度の責任感から来る疲れがあります。つまり肉親ならではの熱心さが裏目に出てしまうことです。ですから、思い当たる人は、こういう場合、肩の力をちょっと抜いてみてはいかがでしょう。

 それから、本人と議論は避けたほうがいいですね。妄想を否定したり、非現実的なことを正そうとして対立すると、親子の溝はますます深まり、信頼関係が失われるばかりです。当事者にはできないことがあるんだということを認めて、こういう場合、他に関心を向けるようにされることがいいです。さらに、できる範囲の中で本人が目標を見つけられるようにとか、そのことについて一緒に話し合って、喜び合えるような場をつくれればいいと思います。

 一般的に、ご両親同士は協力し合うことはできますが、兄弟、あるいはそれ以外にも相談できる人を持つようにすることも大切なことです。隣近所の方でもよろしいのですが、変な噂になったりすることもあって、少し距離をおいた方が楽ということもあります。その他、友人、保健婦、看護婦、精神科医、ヘルパーを利用することも考えられます。

 また、ご本人が前向きに治療に取り組むことが必要です。この前向きということが見られれば、多少日常生活の面で劣っていることがあっても、ご家族はある程度安心して見守っていけると思います。それにはご本人が薬の自己管理ができるということも含まれます。

 ご本人と家族の接触時間では1日5時間以内としています。それは朝、ご飯を食べたら作業所とか、図書館でもいい、日中どこか離れて過ごせる場所を探して外出することで可能だと思います。しかし、ご本人が出られない場合はお母さんの方が買い物とか、お散歩とかで外出してお互いが顔をつき合わせていない時間を作った方がいいと思います。

 次に当事者の心理的特徴と対人関係についてお話しします。当事者の気持ちの根本的な部分には「不安感」というものがあります。そして、短所といえるものに「考えをまとめて話す」ことや「言葉による表現」に障害がある場合があります。周囲の話題を全て自分に関連づけたり、被害的に受け取りやすいこともあります。複雑な情報の理解が困難ということもあります。また、自尊心が傷つき易いとか。人付き合いが苦手、注意力、集中力の持続が困難、ストレスに弱いということがあります。

 一方、長所としてはまじめで嘘がつけない、礼儀正しく几帳面、義理堅く律儀、責任感が強い、素直でおとなしく従順、気持ちがやさしい、などの特徴があります。これらは全ての当事者に当てはまることではありません。状況は皆さん違いますし、傾向として言えることです。

 こうした点を踏まえた上で家族の対応としては、ご本人の「不安」に対しては 「安心」を与えることが最も重要なことだと思います。そのためには当事者の気持ちを汲み上げることです。当事者は何に苦しんで、何に不安を持っているのか、ということです。「ほんとうはこの子は何を望んでいるのか」「どうしてこういうことを言うのか」を本人の立場に立って話を聞きます。ここで「なぜなの」「どうしてなの」とせき立てるのではなくて、やさしく聞き取る工夫ですね。言い方を工夫するだけでもいいです。

 それから、家族だけしか使わない非常識な言葉、家族同士でしか言えない言葉、例えば「お前なんか死んじゃえ」といった言葉も、たとえ冗談であっても言わない方がいいですね。相手の人格を尊重して自尊心を傷つけないことが大切です。  

 逆にご本人から話しかけられ、対応できない時は「自分は手が塞がっているから」とか、「私はこうなの」と自分を主語にして話せば相手を傷つけずに理解をしてもらうことができます。そして、当事者の考えを尊重します。

 高EEにおいて、最も基本的なことは、自分の不安や感情を子供に向けないことです。自分が疲れた時などはどうしても感情やイライラを相手にぶつけ勝ちになるのが普通です。ですから、そのような時こそ自戒の念をもって、できるだけ自分の感情を抑え、少なくも当事者である我が子にだけはその感情を抑えてください。子供たちはそれ以上に傷つき、不安になるものです。

 できれば、ただ居るだけで楽しい関係を作り上げることを工夫して下さい。例えば一緒に公園などに行って、のんびり過ごすのもいいでしょう。料理などを一緒に作るとか、買い物を一緒にいくとか、そんな場をつくるのもいいでしょう。但し、本人の動作が鈍いことなどであっても、いかなる場合でも、絶対にそのことを叱るようなことを言ったらマイナスになることは当然ですね。この料理を一緒にやることはご本人が自立する準備としても大切なことなので、そういう意味からも効果的な関係づくりだと思います。

 それから、親は当事者を抱えたことで自暴自棄になったり、本人の存在感を軽く見るようなことはなさらないようにして下さい。あるがままをまず受け止めることが必要です。お互いが生きていることの大切さを感じて、価値を認め合うことだと思います。

 お互いの関わり方は、過度の期待を避けることです。退院後など、多くの親は10時には起きて欲しいとか、2,3ヶ月もすると作業所に行って欲しいとか思います。しかし、ご本人が薬を一人で飲んでいるとしたら、もうそれでいい、あるいは朝御飯に起きて来てくれるというように出来ている部分を評価して、出来ていないことには目をつぶる努力が必要です。あまり、完成したものを追い求めないことです。自然の流れに従ったほうが万事うまくいくということもあります。

 そして、家庭内、あるいは親のストレスを高めないことです。そのためには親が愚痴を発散できる友人とか兄弟とかを持つ必要があります。ご本人の様子が落ち着いてきたら、できる範囲の中で約束事を徐々に作っていくことも必要です。例えば、朝の起床時間を毎朝何時と決めるとか、食べたあとの食器の片づけとか、洗濯物の取り込みとかを本人とよく話し合った上で、約束することも大切です。家庭の中で役割を持たせると、ご本人の自信につながると思います。もし、できなくても責めたりはしないで下さい。また、ご本人にとってはどうしても出来ない部分もあります。

 それから、これも大切なことですが、ご本人を子供扱いしないことです。たしかにこの病気の人は子供のような態度を見せる場合があります。しかし、20歳を過ぎたらどなたも立派な大人です。また、ご本人たちにはプライドもあるわけです。ですから、接する態度は大人と大人の関係でいいと思います。そういう態度をこちらがとることによって、ご本人たちは徐々に自立とか、大人としての感覚が身についてきます。

 ご本人との対話の仕方では、判りやすく具体的にお話をしてください。あるいはいっぺんに多くのことを言わないとか、話すタイミングを逸せずにということも大切です。ご本人は外見では判りませんが、薬を飲んでいますし、あるいは症状で頭の中が混乱状態にある場合もあります。そんな時にベラベラ話しても理解出来ないのが当然でしょう。そこでは親が要点だけをまとめて、判りやすく、話すタイミングを見て伝える努力をして下さい。

 この病気にとってお薬をきちっと飲むか否かが決め手です。ご家族はそのための支援をしなくてはなりません。ご本人が薬を飲みやすいような条件、環境づくりですね。飲む時間、飲む場所などいろいろな条件を考えてあげることが大事です。

 特に外出したときなど、人前で薬を飲むことができない人もいます。その場合も親子でその辺を話し合った方がいいと思います。どのようなことで飲めないか、どうしたら飲めるか、そんなことも話あって、もし、そこに飲めない大きな理由が見つかったら主治医と相談することが必要です。主治医は薬の種類を変えるとか、なんらかの手段を講じてくれるはずです。医師に相談しにくい場合は薬剤師でもいいでしょう。

 家族、特に母親は自宅に病気の人がいますと、その人を中心に生活が変わってしまい勝ちです。一日中、ご本人のことで忙殺されてしまい勝ちです。そうすると、やがては「この子のために私の生活が・・」とか「この子さえいなければ」という気持ちが沸いてきても不思議ではありません。ですから、ご家族はできるだけそれまでの友人関係とか趣味とかを持ち続けて、まあ、ご本人の状態にもよりますが、できる範囲の中でご本人に留守を頼んでご家族も息抜きの場を作るよう努力されるほうがいいと思います。

 ご本人への注意として、再発のサインを見逃さないことですね。例えば食欲減退、夜間の不眠、イライラの感情表現、逆に気が利き過ぎるなどの急激な良好状態、こうしたご本人の変化を見逃さないことです。こんな時は薬はきちっと飲んでいるかを確かめたり、夜遅く眠れずにいたら話しかけて助言するとか、それでも改善されない場合は主治医に相談するようにします。しかし、あまり心配しすぎていると、却ってご本人は逆行してしまうこともありますから、この辺は難しい問題です。
 あまりまとまらない話でしたが、ご本人への家族の対応としてのお話はこの辺で終わらせて頂きます。

 続いて中部精神保健福祉センターセンターの紹介をいたします。

 東京都立の精神保健福祉センターは都内に3つあります。その一つがこの中部精神保健福祉センターです。3つのセンターは連携して仕事が行われています。新宿区は中部センターの管轄ということになります。月2回(第1、第3水曜日)、見学日を設けてどなたでも来て頂いております。朝10時から12時までです。
 相談・利用については3302-7711の電話で受け付けています。時間は午前9時から夜8時まで受付けています。

 いま、介護保険との絡みで老人精神医料相談班があります。生活訓練科では作業訓練、デイケアというのがありまして、作業訓練では手工芸、工作、パソコン、木工、クリーニングがあります。クリーニングは本格的な大型プレス機械を使用して行っています。木工も指導者が下準備を行って下さって、出来上がったものは販売できるほどの製品を作っています。また、パソコンは人気があって賑わっています。

 もう一つ、デイケアの方を見てみますと、かつては特徴的だった思春期・青年期デイケアがあることですが、いまはどちらのデイケアでも始めて、珍しくなくなりました。当所は水曜日が休日ですが、そこを地域の作業所に行ったりして併用で利用している人もいます。

 また、リハビリテーション部もありまして、医療科と宿泊訓練課とに分かれています。医療科は病院と同じに外来、病室、薬局を備えています。宿泊訓練科はホステル(6畳1人住まい)、アフターケアの仕事を行っています。住所は世田谷区上北沢2-1-7で、京王線・八幡山で降りて1分です。どうぞ、ご利用して下さい。それから、ショートステイとして、原則1週間前後入院できます。この場合主治医の診断書があること、空き部屋(2部屋準備)があることが必要です。  

 ホステルの費用は一般入院とほぼ同じで、高額医療費補助を受けられます。生活保護を受けている方や障害者年金を受けている方はその範囲で収まるような金額になると思います。食費1日千円、お小遣いが月2.3万円、合計6万円前後で収まるようなことです。しかし、退院して民間の借家になると障害年金だけでは収まらないので、さらに生活保護10数万円を受けて、借家賃を5万2千円位にすればやっていけるのではないでしょうか。但し、ご両親の収入が規定以上の場合は生活保護はでません。その場合は世帯分離をして、ご本人の収入が0にすれば出ます。中には親がビルを2つ持っている親でも子供とは別だといって生活保護を受けている人もいます。

【質問】ここで1年半の入所期間が満了になった人はどういう形で退所されていますか。

『答え』ここに入所しますと、まず病室で心理教育プログラムを受けて、病気や薬のこと、料理の作り方などを理解して頂きます。ここで6ヶ月過ごします。そして、ご本人は自分の問題点、苦手の部分とのつきあい方を学んだあと、そして援護寮、つまりホステルですね、ここに移って自立生活の訓練を行います。

 ホステルではお金を無駄遣いしてしまう人は金銭管理ができるように、薬の管理ができないとか、薬が途中で飲めなくなって再発を繰り返しているような人はそれを治すとかして、そして満期がきたら担当者とご本人とでアパートを探します。都営住宅の申込み手続きを始め、生保の申請したり、そして、経済的な問題、生活問題をクリアして退所、自立生活となります。中には自宅に戻る方もいます。あるいは病気の回復が得られず、病院に戻る人もいます。しかし、7,8割の方は自立生活者として退所されて行きます。その状態は人によって様々ですが、まず、お金・お小遣いが2,3万で自己管理できること、薬の自己管理ができること、友人と争いがなくやっていけること、昼、起きていられて夜は睡眠できる、困ったら相談員に相談できる、といったことが自立生活の条件とでもいうべきところです。

【質問】関連して、この病気は治るといえますか。

『答え』統計では3分の1の方が1度きりの病気で、再発もなく過ごしている、もう3分の1の人は再発と回復を繰り返している、あと残りの3分の1の人が入院状態にいる、というところです。いずれにしても、ご本人がご自分の体を理解し、病気を認識して薬を治そうと意識して飲めるかどうか、その辺で大きく分かれるのではないでしょうか。

【質問】私の息子は都内のある作業所に通っていますが、作業所の内容に物足りなさを感じているように思えます。本人はそのようなことを漏らしながら、休む日も増えてきています。親としてはどう捉えたらいいか。また、本人にふさわしい施設を探して変えた方がいいのでしょうか。

『答え』作業所にはいくつかのレベルというものがあります。もっと高度な仕事で、収入も多くいただけるところがあります。しかし、そのことが息子さんの状態とうまく合うかどうかは判りませんので、主治医とご相談されるのがいいと思います。そして、問題なければ作業所でなく、短い時間のパートで仕事する手段もありますね。

【質問】ただ、退院直後より生活面が徐々に崩れてきているということがあって、いまは自立を考えると生活そのものを立て直してあげたいと思っています。

『答え』そういう場合には私のいる中部総合精神保健福祉センターのホステルなどを経験されるのもいいと思います。入所に当たっては、何回かの面接を受けて、部屋の空くのを待って頂いて入所ということになります。いずれにしても本人のやる気といいますか、その辺の意志がどうなのかが最大のポイントです。

【質問】入居に当たっての面接ではどんなことが条件なのでしょうか。また、期間はどんな風になっていますか。

『答え』まず、病状が安定していることですね。暴力がない、お薬がきちっと飲める、急性期を過ぎていること、ご本人が自立しなければという自覚があること、ここが「訓練の場」であるという自覚ですね。それから、この施設はご家族の支援が得られない人を優先するということがありますので、ご家族が援助出来る場合はもしかすると、後になる場合があります。期間は最初に病室に入って頂きます。これが6ヶ月、そしてホステルが1年。平均して1年半ですね。

【質問】私は保健所で中部センターの宿泊訓練校のパンフレットをもらってきました。その中で「申込は本人自身が行う」ようになっています。それから「居住地の保健所の推薦状が必要」となっています。これは必ずそうしなければならないですか。

『答え』それはご本人が電話で当所に申し込めば、担当の看護婦が面接の案内を行いますから、それに従って進めていただければ結構です。施設の推薦状は看護婦が保健所に連絡をして取りますから大丈夫です。

【質問】本人の申込みについて、本人は自信がない、といっていますので、私が同行して申し込みを行うことはどうでしょうか。

『答え』それで結構です。中部センターはご家族の協力が得られない方の場合に本人自身の申込となっているので、ご家族が同行して、申込のときご本人が一言「申込ます」と言って頂ければそれで申込となります。相談係に一度お電話下さい。  (以下紙面の都合で、省略。また、質問は紙面の都合で抜粋して掲載しています。)


編集後記

 明治通りの銀杏がすっかり黄色に変わり、早いものは葉を落としてしまっている。区内の社寺では酉の市や新年を迎える行事が始まった。あと二週間で今年も終わる、と同時に一千年代も終わる。ここ数年、息子の病気を知ってから、時間の流れをひしひしと感じるようになった。
  
 特にこの病気のカテゴリーでいう時間について、それを「命の量」、あるいは「命の長さ」として捉えるようになった。一秒一刻が命の量、命の長さなのだということを。一人の人間に与えられた命の量とはなんであろうか。病気を抱えた人の命の量、長さとはどういうことか。人間の命とは、単に呼吸し、排泄すれば命があると言えるのか。

 病気に侵された命、それは病気に侵された時間ともいえる。毎日、虚無(いや私見だが)としか思えない生活を続けている息子の時間、すなわち命は、どうすれば虚無でなくなるのか。その人にとって時間の捉え方は様々である。ただ、親として、病気が完治できないのなら、せめて息子に虚無でない時間を味わってもらいたいと願うばかりだ。                              


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