5月 勉強会より
 心の病いとクラブハウス
           
      講師  クラブハウスはばたき 片岡海香さん
                                 野瀬明彦さん

                                         (文中 敬称略) 

片岡 クラブハウスはばたきのスタッフの片岡です。私自身クラブハウスという言葉を知ったのははばたき設立数ヶ月前でした。それまで私は精神科病院のスタッフでした。その中でいくつかの疑問がありまして、それはスタッフと患者さんとが上下関係になっていること、あるいは長期入院の場合、患者さんはスタッフ依存になり勝ちであることなどで、壁にぶち当たってしまいました。そんなときクラブハウスの話と出会いました。それでクラブハウスを勉強してメンバーの自主性の尊重、自分で選んで仕事をしていくことに引かれてクラブハウス設立に協力していくことにしました。
最初のクラブハウスというのは、ニューヨークで精神病院を退院した患者さん4人が教会の階段で集まって過ごしていました。そこに同じ病気の人たちがだんだん集まり、みんなで入退院を防ごうと支えあっていました。さらにスタッフが加わり、就労支援のプログラムが出来ていったということです。これがファウンテンハウスの最初でした。

その後、クラブハウスの世界規約が定められて、各国にクラブハウスが広まっていったということです。現在24カ国、400カ所のクラブハウスがあります。アジアでも広がりつつあって、日本では小平のはばたき、板橋区のサンマリーナ、渋谷区のストライドクラブ-2の3ヶ所です。韓国には5ヶ所あり日本は抜かれました。香港には100人規模のクラブハウスができました。来年はシンガポールに100人規模のクラブハウスができるそうです。
クラブハウスの特徴はまず第1にメンバーとスタッフとの関係性があります。関係が対等でいっしょになって運営していくということ。クラブハウスには職員室、職員会議は一切ありません。すべての部屋にメンバーもスタッフも出入りができて、ハウスミーティングが週1回開かれ、メンバー、スタッフが一緒の場のミーティングで行動が決められ行きます。

はばたきは東京都地域福祉財団から年間500万円弱の予算を頂いて運営しています。地元行政からの補助金はまだ頂けていません。現在も東京都とか小平市に補助金の交渉に行ったりするのはメンバーとスタッフが行きます。日々の活動記録はメンバー、スタッフが一緒に記入します。会計もコンピュータを使い、メンバー、スタッフが共同でこなしていきます。そうすることでメンバーも運営の一員という自信につないでいます。自分のやったことがクラブハウス運営にとって役だっているという実感、それによってクラブハウスが発展していることの喜びが自信につながっていると思います。はばたきは運営の仕事をいっしょに行うということで、外部からの仕事は請け負いません。従って運営の仕事には賃金は支払われません。運営の仕事に賃金が支払われないのは、それが目的ではなくて、あくまで自信を取り戻すことであって、賃金を目的にすることではないからです。働いて賃金を得るのはあくまで地域社会のなかで得ることにしています。

2番目にメンバーの自主性を尊重するということで、入会はすべてメンバーの意思によっています。入会に当たってはオリエンテーションを受けていただきます。例えば本人はあまり乗り気ではないのに回りのものが積極的な場合は、本人の意思を重視するということです。
クラブハウスには何時に来て、何時までいなければならない、というメンバーを縛るような規則はありません。参加したいときに参加します。しかし、自分が参加することでクラブハウスの発展に役だっているということで皆さんはよく参加するようになります。拘束しないことで参加率が減るということにはなりません。
すべての活動にメンバーは参加でき、制限はありません。

3番目にメンバー同士の相互支援活動を基盤としています。これは受け付けユニット(ハウス内作業)で長期欠席者をリストアップしまして、その方たちに電話をかけたり手紙を書いたり、了解を取った上でお見舞いに行くとかしています。中には具合の悪い方もいますので、お宅にいって相談に受けるというような活動も行います。

4番目は過渡的雇用があります。これはクラブハウスの大きな特徴で、就労体験のプログラムです。クラブハウスが交渉して開拓した事業所で週約20時間、午前か午後どちらかで9ヶ月間くらい働きます。入院暦や就労暦は問題とされませんので自分が思ったときに体験することができます。具合が悪くて欠勤するときは他のメンバーが代わりにいきますので、業者に迷惑をかけることはありません。最低賃金以上ということで一日700円弱が事業主から支払われます。過渡的雇用で難しいのは事業主の開拓です。はばたきはスタッフ2名、メンバー60名ですが、スタッフが充分でないと開拓は難しいです。最近、1社の協力が得られるようになりました。過渡的雇用は何度でも利用できます。半分くらいの方が失敗すると考えています。6ヶ月完投できる方は50%くらいです。が、とにかく1週間でも外で働けることが有益と捉えられています。また、将来一般企業で働ける可能性がこの過渡的雇用によって見えるということが、大きな励みになっていると思います。

野瀬 私は32歳の時に仕事のトラブル、家族間のトラブル、女性とのトラブルが原因と思いますが発病しました。8ヶ月入院して、以後6回の入退院を繰り返しまして、その間に職場もいくつか変えざるを得ませんでした。
はばたきは小平市に以前、ブンブンクラブという自助グループがありました。1984年に小平市ではじめてできたあさやけ作業所がありまして、そこの保健所の職員さんやケースワーカーさんなどが始めた自助グループです。そこで毎週金曜日に夕食会が開かれました。当時は精神病ということは人には言えない状況でしたから、私たち病気の人はそこに来て、薬のこと、病気のこと、仕事のことなどを話し合いました。それが今度は日曜日に散歩に行こうとか、花火をしようとか、1泊旅行までするようになりました。

ブンブンクラブが発足して10年目、新しい活動の場はないかということと、秋元波留夫精神科医の推薦もあって、アメリカ・ワシントンのグリーンドア、ニューヨークのファウンテンハウスの見学旅行を食事会のメンバー、関係者たちで行ってきまして、刺激を受けてきました。行った人の皆さんの感想は「自分の意思でもって、生き生きと活動している」でした。日本ではどれがとは言えませんが、上からの指示で「あなたはこれをしなさい」という活動です。クラブハウスの場合、自分の意思で活動の場を広げていくということです。そこで、小平にもこのような施設を作りたい、ということになりました。クラブハウス開設条件の一つはメンバー、スタッフが3週間の研修を行うことでした。ここでクラブハウスの運営の仕方、どういう活動かを学びます。はばたきでは所長である片岡さんが学んできました。

当初は月曜、水曜日の週2回の活動でした。それから徐々に活動の時間を広げ、月曜から金曜日まで通しで活動するようになりました。それに伴ってメンバーも増え、現在60名近くになりました。その後、ブンブンクラブではコーラスグループがあり、発表の場でもあったわけですが、98年、クラブハウス支援コンサートが開かれました。これは地域の人たちにクラブハウスとはどういうものか、というコンサートでした。これを契機にはばたき参加申し込み者が増えました。

99年には韓国のティファ・ファンテンハウスに招待されて、メンバー、スタッフが行ってきました。ティファ・ファンテンハウスは3階建ての大きなビルで、60名くらいは入れるホールがあったり、ビリヤード、卓球台などが置いてありました。
また、99年10月にはクラブハウス世界会議にはばたきのメンバー、スタッフ、ボランティアが参加しました。のちほど詳しく紹介します。
今年2月には第2回支援コンサートを開催し、メンバー12名が体験談を発表しました。前回は代読でしたが今回はメンバー自らが自らの体験談を発表しました。

現時点で、はばたきから一般企業に本採用で正社員になった方が4名います。あとパートの方が8名ほどいます。あとは作業所にいったりしております。はばたきの日中の活動はデイプログラムと呼んでいますが、この参加者が30名くらいです。
今年4月から開所時間を午前9時から午後5時となりました。規約でもこの条件が謳われており、これでクリアできました。月曜日は英会話、火曜日オリエンテーションミーティングという外部からの見学者のための時間を設けています。このほかにクラブハウスの勉強会、ハウスミーティングという討論の場、などがあります。昨日のハウスミーティングでは「喫煙」がテーマでした。精神障害者には病院などで暇な時間を持て余すため喫煙者が多いです。ハウスの中での喫煙について取り決めができました。

では、ここでスライドを見ながら説明します。
これはハウスの外景です。はばたきには受付ユニット、喫茶ユニット、事務ユニットの内部業務の3部門があります。受付ユニットは参加者の受付業務です。はばたきは来所1日50円の利用料がかかります。これを受付業務といいメンバーが行います。1日の合計、何時から何時までの利用とかですね。4月から園芸ユニット(ハウス内の草花の手入れ)、スナックユニット(昼食サービス)も設けられました。そのほか統計作業なども行います。
これがオリエンテーション風景です。高橋さんというジャーナリストがテレビ朝日の番組で取り上げてくれて、その番組を見ながら見学者に説明しているところです。
こちらは事務ユニットです。はばたきではパソコンを3台利用しています。これでニュースレターや会計業務も行っています。
こちらが喫茶ユニットです。コーヒー、紅茶などを30円で提供しています。これは食パンの耳をカラ揚げにしているところです。(笑い)約4〜5年間で3万位の売上残高が累積されています。
こちらは第1、第3の日曜日にレクを行っていまして、そのうち第1日曜日は自主レクでメンバーだけで行き先を企画して、いくらかかるか等を計算して出かけます。もう一方はスタッフが入って語り合いとかビデオ鑑賞会を行っています。あるいはコーラス練習会も行われ、これが発展して支援コンサートになったわけです。以上でスライドによる説明を終わります。
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片岡 クラブハウスを説明するのは大変に難しいと思います。私がはじめてアメリカのファウンテンハウスに行ったとき、第1に感じたことは活気に満ちていたことでした。日本では見られなかった雰囲気だったのでまずビックリしました。全員が何らかの仕事をしているんですね。その人たちは恐らく日本だったら閉鎖病棟に入ることになるだろうと思われるような、つまり幻聴、幻覚を持ちながらも働いているんですね。そして私はこの雰囲気を日本でも作りたいと思って"はばたき"開設のスタッフになりました。
そして、はばたきができてメンバーさんと付き合って行く中で、メンバーさんは「力」をもっているな思いました。料理が得意とする人は調理場に入り、お茶を入れるのが好きな方が喫茶に回ったり、パソコンが得意な人は事務を行ったりしています。中には英語が得意なメンバーが2人いて、海外から送られてくるニューズレターを翻訳してくれています。このようにそれぞれが得意な仕事を見つけたり、推薦されたりして行っています。以上で、こちらからの説明は終わりますが、皆さんから質問があればお受けしたいと思います。

質問1:支援コンサートで95万の利益が出たという話しがありましたが、これらクラブハウスから生まれる利益の使い道はどういうものでしょうか。
片岡 財団からの助成金がそれまで525万円だったのですが、今年度から8%削られて450万円になってしまって、その落ち込みの補填が主な使い道です。その内容はスタッフの人件費、家賃で消えてしまいます。はばたきの年間決算は700万円前後ですが、それらでカスカスです。

質問2:はばたきの建物で使える広さはどれくらいですか?
野瀬 はばたきは一般の民家を使用しています。そのうち我々が使える広さは2LDKと考えてください。

質問3:はばたきのメンバー、スタッフが最も集まるピークタイムで何名くらいですか。
野瀬 3時のお茶の時間がピークになります。そのときで15,6名です。あとは折りたたみ椅子を使っています。それが限界ですね。ですから、新規入所者は待機状態で約10名位います。いま、はばたきはAランクの作業所に昇格させれば都、市等からの助成金を受けることができて、予算が1800万円位に増えますのでスタッフを3名にし、もっと広いところに移ることを考えています。

質問4 クラブハウスは制度的な助成金はないのですか。
片岡 板橋のサンマリーナの場合は板橋区の補助を単独で受けています。区長さんが力を入れてくれているんですね。小平も市に要請したのですが、この状況下では難しいですね。ですから、現在は都の外郭団体からの助成金だけです。渋谷区の場合は作業所の扱いでクラブハウスの助成金が受けられるようになりました。

質問5 はばたきの前身がブンブンハウスということですが、それができた当時、周辺住民の苦情とかはありませんでしたか。
野瀬 それはなかったと思います。こちらも以前タバコを玄関前で吸っていたのを自粛したり、ごみの出し方もキチットして周辺住民に苦情を言われないように努めて来ました。おかげで今までトラブルは一度もありません。

質問6 私の息子は入退院を繰り返していましたが、こういう施設が近くにあれば再入院するようこともなくなると思いますが、何せ車椅子なので、そういう体では入所はむりでしょうか。
野瀬 そうですねー。もともと民家なのでバリアフリーにはなっていませんので、現状無理かと思います。これで助成金などが出て、移転できる状態になれば、そんなことも考えられると思いますが...。

質問7 そういう方のために外部活動のとき参加してもらうようなことはいかがですか。
野瀬 レクの場合のことだと思いますが、レクですと前回は高尾山に登るようなことをしました。そんなときは車椅子ですと無理かな、と思いますね。
質問 本人は気持ちはしっかりしていますのでねーー。
片岡 そうですね、レクも毎回山登りというわけではないので、車椅子でも参加できるような内容のレクがあれば、そういう時だけでも参加していただければいいと思いますね。

質問8 はばたきと板橋のサンマリーナとは活動内容が大体同じなのでしょうか。
野瀬 お手元に世界クラブハウス規約があると思いますが、そのように、クラブハウス会議に所属しているハウスは全部同じと見ていいです。日本だけでなく世界中と同じです。

質問9 はばたきと地元の家族会との関係、連携はどのようになっていますか。
野瀬 小平市には地域精神保健福祉業務連がありまして、月1回の会議と年1回のつどいという発表会があります。小平市はこれに保健所、社協、市役所職員、作業所、クリニック、そして家族会が参加します。家族会は「けやき会」ですが、これに家族が参加しているメンバーもはばたきにいます。それ以外特に家族会とはばたきが団体として関連性はないです。

質問10 はばたきとしては家族会に望むことはどんなことですか?
片岡 例えば、支援コンサートをはじめとする行事等に現在ボランティアさんが手伝ってくれて助かっていますが、それと同様に家族会からも支援してくれればと思います。

質問11 はばたきのメンバーさんの平均年齢はいくつくらいですか?
片岡 42、3歳ですね。

質問12 そのメンバーさんの家族会は組織されているのですか?
片岡 現状はありません。ゆくゆくは作りたいと思いますが。ただ、メンバーさんのうち、ご両親がいない方も結構います。

質問13 後半の部(世界会議について)にお話がでると思いますが、国の公的な助成金の問題では世界的にはどうなのか、日本はどのような位置にあるのでしょう。
片岡 実はたまたま昨日、厚生省に要望書を提出してきたところですが、部長(厚生省)は「それでクラブハウスは日本にどれくらいあるのだ?」といわれ「3ヶ所」と答えましたら、「3ヶ所?!、とてもそんな状態で法制化されることはありえない」といわれました。世界会議では法制化されていないのはロシアと日本だけでした。アメリカなどは法制化され、さらに民間の寄付金もダントツですね。

質問14 8人のボランティアさんの活動はどんなことを行っていますか?
片岡 1人は英会話の先生という以外、他の方は特にこれといった決まった活動を行っているわけではありません。日中、メンバーさんと一緒になって作業したりしています。1人が1週間に1日参加という感じです。私たちがボランティアさんに求めるものも特にこれといった職種ではなくて、メンバーさんとそれとなく接してくれていることが大切ではないかと思います。

質問15 はばたきには1年とか2年の期間限定ということがありますか。また、自立のための具体的な活動がありますか。
片岡 クラブハウスは期限を設けてはならないという条文がありますので、期限はありません。ここで過渡的就労についてもうちょっt詳しく説明しますと、クラブハウスが一般の事業所を開拓しまして、そこでメンバーが就労のリハビリを行うことです。1人のメンバーが半日、週4日ないし5日です。それを半年から9ヵ月くらい続けます。もしメンバーが具合が悪くなったら、ピンチヒッターとして他のメンバーないしスタッフが行って、事業所には迷惑をかけないようにします。また、事業所は最低賃金以上の賃金を本人に支払います。
野瀬 私ははばたきに10年いますが、これは決していいことじゃないんです。理想的には長くても3年位で社会に出て行くことがクラブハウスの本来の利用形式です。退所後は夕食会とかコンサートのようなイベントには参加する、というのが理想ですね。

質問16 スタッフが2名で、人手不足ならボランティアを多く採用する方法はできないのですか。
片岡 今の年間予算の中ではスペース的に限界があり、ボランティアさんが来ても、座る場所さえないという状況ですから。

質問17 私はこれからこの病気の問題解決にボランティアの力を借りるということは大切なことだと思います。ですから、何もハウスの中だけの活動ではなく、外部でボランティアとメンバーとが活動してもいいのではないか、例えば引き篭りの方を訪ねたり、一緒に外出するとか。あるいはクラブハウスの規約に何かその辺での制約はあるのですか。
片岡 ありません。ただ、基本的に助けあうのはメンバー同士でも行う、ということがありますからそういう部分でしたら間に合っていると言ってもいいんじゃないかなと思います。
野瀬 ですから、メンバー同士なら顔見知りとか、性格もわかっているわけです。それがボランティアさんが初対面で訪ねたりしたら、どうなんでしょうね。
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第2部
片岡 世界クラブハウス会議は1989年に第1回の会議が開かれて、以後2年に1回開かれています。クラブハウス間の情報交換、連携を図る目的で行われています。前回は2年前にスエーデンで行われましたが、はばたきは発足して2年目ということで参加するまでに至りませんでした。それから2年たって、参加希望者が出て来てミーティングの中で2名が選ばれました。会期は"99年10月16日から21日までの6日間で、カナダのトロントのウェスティンハーバーキャスルホテルで行われました。世界の19ヵ国、193カ所のクラブハウス、約1100名の参加がありました。ははばたきから4名、スタッフ1名が参加しました。

会場の中はメンバーもスタッフも入り交じってとても友好的な雰囲気でした。会議は全大会が7つと多くの分科会があって、約700人ぐらいの発表がありました。私たちも発表しましたが、当時はばたきがスタッフ1名だったので、会場から「1名でもガンバレ」といった声もいただきました。
このほかホテルの近くにあって、主催のプログレスプレイスというクラブハウスを見学しました。世界に400カ所あるクラブハウスうのうち、10ヵ所が国際研修センターに認定されていますが、そのうちの1つがここです。相当に広い敷地と建てもので、はばたきはこの廊下の一角に過ぎないという感じです。
私たちが分科会で発表したことはメンバーの長沢さんが「メンバーのリーダーシップ」、野瀬さんと私が「メンバーとスタッフの信頼関係」という題でした。サンマリーナの方からも「過渡的雇用の取組み」ということが発表がありました。
野瀬 私の分科会での発表内容は、患者が入院するとすべてあなた任せになってしまう、自分であれをしよう、これをしようといっても、結局指示を仰ぐというか、人にいわれないとできないような状態が続きます。つまり依存関係ですね。それがはばたきでは、毎日自主的に活動してだんだん自信というものが身についてくる、あるいは取り戻してくると思います。そこからスタッフとメンバーは信頼関係が生まれてくる思います。そのようなことを発表しました。
さきほどのプログレスプレイスですが、地下1階地上2階の建てもので相当の広さですが、さらに驚いたのは、主催クラブだから全員世界会議に出てしまって、誰もいないのじゃないかと思ったら、全く平常の活動が行われているんです。いかにメンバーもスタッフも多いかということです。登録メンバーは550名だったと思います。1日の通所者は100名くらいだそうです。その中で過渡的雇用を行っている方が30名位だったと思います。
失敗もありました。私は世界会議のためにスーツとかネクタイを用意して行ったのですが、外国の人はポロシャツのようなラフな格好なんで、私もそれに合わせていました。世界会議の最後にバンケット(お別れ会)が催されましたが、このときこそラフな格好でいいものと思ってポロシャツで出席したら、外国の人はバッチリ黒とかのスーツを着てキメテいるんです。韓国の人はチョゴリといったように他の国の人も民族衣装でキメテいるんですね。あー、しまったと思いました。皆さんもこういう場では気をつけたほうがいいですね。(笑い)
また、同じテーブルに座ったカナダのオンタリオ州のクラブハウスの方の話しでは、そこはスタッフ1名、メンバー80名だそうで、ちょうどはばたきとほぼ同じような規模だったので、意気投合になって話が弾みました。
それから、この会議に参加して感じたことは日本の精神障害者は元気がないと思いました。結局このクラブハウスはファウンテンハウスが50年前にできて、それからいろんなものを勝ち取ってきているわけです。ですから、むこうの障害者の方は意気揚々として溌剌としています。カメラの前には堂々とでますし、こういうことからも日本はまだまだ遅れているなーと思いました。
最後に、次回の世界会議は来年でアメリカだそうです。私はまた参加したいと思いますが、皆さんも是非参加されますことをお勧めして終わります。

質問1 ファウンテンハウスが多くのものを勝ち取ってきたと言われましたが具体的にはどういうことでしょうか。
野瀬 過渡的雇用に代表されると思います。あのアメリカンエキスプレスも契約事業所ですし、ニューヨーク市庁舎もそうです。メール係の仕事が多いということです。
片岡 ファンテンハウスの1日の利用者は約1000名です。スタッフは100名位ですね。これもメンバーとスタッフが一緒になって50年間の中で闘ってきた成果だと思います。

質問2 もし、新宿区内でクラブハウスを立ち上げようとすれば、何か資格とか免許というものが必要ですか。
片岡 任意団体ですから、制度的な条件はありません。やる気のある人がいて、当面の資金があって、3週間の研修を受けたスタッフがいれば明日からでも開けます。
(途中ですが紙面の都合でここで終わります)
クラブハウスはばたき連絡先
電話/Fax 042−343−0676


編集後記
 かねてよりクラブハウスというものを小耳に挟んで、なんとなく関心があった。そして三月の例会のあと、一会員からの提案でクラブハウスをしっかり知りたいということになり、片岡さん、野瀬さんにお願いすることができた。
 メンバーとスタッフが全く同じポジションに立ったクラブハウスの運営。これこそ真のノーマライゼーションと言えるだろう。これまでの施設ではスタッフなりワーカーが指示する、あるいは示唆することが一般的だった。これが当事者をしていかに自信を失わせることになるか。同じポジションであれば、そこに〈上下関係〉はない。
 ではいかに組織はまとめられるのか。それは〈信頼関係〉だということだろう。もしかしたら当事者たちから奪われたもの、それが〈信頼関係〉ではないか。その一つの象徴があの鉄格子をくぐる際に受けた隔離と屈辱の結果のような気がする。
 諸外国の〈偏見〉の事情についてお二人に伺ってみた。会話が難しいので定かではないがとしがらも「クラブハウスが全世界に渡って拡がってきたのは〈偏見〉と〈隔離〉と〈依存〉が世界共通の問題であったから」というお答えだった。
 クラブハウスとは〈信頼関係回復の場〉といえないか。               

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