12月 勉強会より
  
衝動的・暴力的行動の原因と対応

      講師   桜ヶ丘記念病院医長   岩下 覚先生 

 今日は「衝動的、暴力的行動の原因と対応」というテーマでお話します。その前に、スキゾフレニア(分裂病)のおさらいということで、そこから始めたいと思います。

 この病気は何度も申し上げますが、100人に1人の割合で発病するという、発病率が高い病気です。それから日本の精神科の病院でのベッド数は30万床以上あります。その内
65%位がスキゾフレニアです。外来でも私の病院でいえば50%がスキゾフレニアです。つまり、精神病の中でスキゾフレニアは非常に多い病気と言えます。
 また、2、30年前、スキゾフレニアは母親の養育態度が原因で発病するのではないか、という説がありました。しかし、その後の研究でそれは否定されました。家族の態度によって引き起こされる根拠は全くないというのが現在の常識となっています。さらに遺伝で発病する、いわゆる遺伝病ということでもないとされています。ただ、遺伝が全く関係ないか、というとそういうことでもないのです。私たちは皆親から受け継いだ遺伝という性質をもって生まれています。例えば顔が似ていたり、性格が似ていたり、あるいは特定の病気にかかりやすい、というような性質です。ですから、その家族の中で癌にかかりやすい、糖尿病にかかりやすいということがありますが、スキゾフレニアもその一つで、特別ではない、という意味で遺伝との関わりをもっています。

では、その影響はどれ位かといえば、一般人口でいえば100人に1人ですから1%です。兄弟にスキゾフレニアの人がいれば8%、両親のどちらかがスキゾフレニアだと12%、両親2人ともだと40%となり、確率は高くなります。しかし、100%ではないことから、スキゾフレニアは遺伝病ではない、ということになります。

 経過としては慢性再発性の病気といえます。現在は薬物療法が治療の中心になっており、薬品も非常に色々な種類が出てきて、効果もあり、ほとんどの人の症状が良くなっています。ただ、良くなったからといって治療をやめると、再発する確率が高くなります。そこで慢性再発性の病気であるといえます。ですから、治療をきとんと施すことによってかなりの部分、再発は予防できます。

 そこでいつも言われる、この病気は治らないのか、ということがありますが、慢性再発性の病気はそういう性質をもっているのです。スキゾフレニアや他の精神科の病気が特別なものではなく、身体の病気でも、あるいは高血圧、糖尿病など生活習慣病といわれる病気でも同じような性質をもっています。治る、治らないもそれと同じに考えてくれればいいと思います。

 それから、その症状が治まってから1年間が非常に再発予防のために重要な時期であることを申し上げます。
 実験で有効な薬をきちんと飲んでいるグループと偽(無効)の薬を飲んでいるグループ、つまり薬を飲んでいないのと同じという患者さんとを比較すると、薬を飲んでいる人の退院後1年間での再発率は39.1%、2年後には15%という統計があります。ところが、偽の薬を飲んでいた人は退院後1年間で67.3%、2年後は65.0%です。
 言い換えると、薬を飲んでいても約40%の方が再発し、飲まない人は約70%の人が再発する事です。そして、注目するのは次の1年間ですね。薬を飲んでいて、再発しなかった人のうち、再発するのは15%で、飲んでいない人で2年目の人の再発率は65%です。

 このことから1年間薬をきちんと飲んで再発しないで乗り切ると、2年目以降の再発の率が極端に減るということが判ります。ですから、スキゾフレニアは慢性再発性の病気ですが、薬をきちんと飲むことによって、極端に再発を減らすことができるできるということです。
 でも、これで3年、4年と再発しないからといって薬を飲まなくていい、治療を受けなくてもいい、とは言えないです。それは糖尿病や高血圧と全く同じです。

 スキゾフレニアという病気はきちんと治療することも大事ですが、よく誤解される「もう治らない」とか、「一度かかると廃人になってしまう」とか、「一旦入院すると出られない」というようなことはないということを理解して欲しいと思います。

 一方、スキゾフレニアという病気が10年、30年という長い経過を辿った時に患者さんはどのような状態になるのか。これも統計をみると、1910年代、薬が無くて電気ショック、インシュリン治療(血糖値降下)が行われていた時代では、つまり、薬がなくて3分の1の人が自立(寛解)、半自立できています。

 私が薬を飲みなさい、飲みなさい、と繰り返していますが、実際はこのようなことから、薬を飲まなくても自立できていく方もけっこういるということが判ります。現代でも、薬を飲まず、外来にいつの間にか来なくなってしまう人がいますが、そういう人の多くはもう、普通に生活しているのではないでしょうか。そういう方は我々の前から消えていってしまうので実態はよく判らないのですがね。
 そして薬が使われるようになった現代となると3分の2以上の人が自立、半自立となっています。

 次にスキゾフレニアを症状として分類すると、陽性症状があります。これは誰が見ても判りやすい症状で、幻聴、被害妄想、幻覚、強い興奮、激しい興奮(暴力につながるような)とあり、もう一つが陰性症状です。これはちょっと見たところでは病気の症状なのか、その人のもともとの性格なのかわかりにくいものがあります。引きこもり、無気力、持続性がない、疲れやすい、こういったものです。

 陽性症状はだれが見ても判りますが、引きこもりとか、例えば、病院で治療して退院し、家に帰ってきましたけれども、1日中ゴロゴロして何もしようとしない場合があります。それが病気のせいなのか、本人の元々の性格なのか、ちょっと見ると怠けているみたいに見えたりします。そのような時に「怠けないで、どっかへ行きなさい」と回りの人がおしりをひっぱたいたりすると、それは患者さんにとってストレスになり、場合によっては再発につながります。
 つまり、陽性症状も陰性症状も病気の症状です。そして両方とも症状として判りやすいもの、判りにくいものがあり、嫌がらせやわざとゴロゴロしているとか、怠けているとか、そういうことではないのです。病気の症状であることを理解し、見守ってあげて欲しいですね。

 では、本日のテーマである「衝動的、暴力的行動の原因と対応」に入っていきましょう。
 まず、家族が患者さんと接していて、様々なところで困ることが起こると思います。そんなときにどのように考えたらいいか。一つのやり方として、すべての家族に当てはまるわけではありませんが、主に生活の問題ですね。暴力など最たるものですが、一緒に生活して行くときに、予め生活を始めるときにルールを1つ作るというのが考えられます。タイミング的に入院から、退院になって、お家でまた生活を始めるときであるとかに決めるのもいいでしょう。

 例えば、ある患者さんで、10代の終わりに発病して、入退院を繰り返しており、1番最後の入院の時に私が受け持ちました。その患者さんは何が問題だったかというと、症状的なものはいろいろありますが、母親にかなりひどい乱暴をしていました。母以外にはほとんど乱暴をしないのです。四六時中乱暴するというのではなく、見ていると病気の具合が全体的に悪くなって、たとえば夜の睡眠時間が短くなってきたりだとか、ちょっとしたことでイライラするようになっただとか、いわゆる再発まではいかない、その前兆の時期になると母につっかかるようになって、乱暴するようになりました。

 そして、母への乱暴が出る度に入院となり、それを繰り返していました。ところが、その人は病棟の中では全く暴力というものは無いんです。
 第3者には何もしないのですが、ご両親に暴力をふるう、こういう患者さんはスキゾフレニアに限らずけっこういました。病院に入ると問題なく、波があって興奮が高まるとときどき他の患者さんとケンカをしたりしましたが、そういうときは薬を増量したりするなどで落ち着いてきたら退院を考えるようにしました。

 この際、何が問題かといいますと、とにかく母親に乱暴しないということです。幻覚、妄想があってもいいのです。社会生活するのに支障無く生活できればどんな変な妄想があってもいいのです。症状をすべて取ることことが治療だと、ある意味ではそうかも知れませんが、あまりそういう風に考えると患者さんはなかなか退院できず、社会に戻るきっかけを失ってしまいます。

 私の患者さんで1日中悪口をいわれながら役所に勤めて、先日無事定年退職を迎えられた患者さんがいましたけど、その人などは「どうですか?」と聞けば、「まだ、あります」と言います。
 その人はいつも悪口を言われていますが、役所というのは割と許容範囲が広く、営業の仕事では難しかったかもしれないが、事務職で、何十年もそうした妄想、幻聴を聞きながら定年退職を迎える方もいるということを知っていてもらいたいですね。つまり、幻聴や変な妄想があっても社会生活を送る上ではいいんです。

 さきほどの20歳の患者さんの場合も外から見てスキゾフレニアと判るわけではないので、逆に言えばどんなに幻覚、妄想が良くなっても、家族に乱暴するというようなことがあった場合には一緒に生活できないわけですから、外泊で試しながら、退院へ結びつけます。
 外泊の時、彼と約束したのは絶対にお母さんに乱暴しないということ、もしも乱暴がでたら、その段階で外泊を止めて病院へ戻ってくるよう決めました。それができない限り退院はないとそういう話をしました。

 彼は何度か入退院を繰り返すことになってしまいましたが、とにかく彼と乱暴をしないと約束させました。そう決めることによって、彼に乱暴がまずいことであることを理解させました。ですから、そのこと(暴力)は1回でもでるということは一緒に生活できないということで、もう1回入院してもらって、退院の時は暴力が出た場合はお母さんと離れなければダメだということをルールにして退院してもらいます。

 このようなルールがないとどうなった時にどうしてよいか家族も本人も判らないままになってしまいます。乱暴がいけないことは当たり前のことです。皆判っていますが、具体的にどうするかについては判っていません。そこで、このルールである程度のことが判っていることによって、本人も暴力に対して気を付けるということがより明確な形になってきます。

 家族も退院して息子を受け入れるのは不安があります。いつまた乱暴されるか判らないからです。しかし、今度乱暴したら入院に結びつけるんだ、ということがある程度判っていれば、過度の緊張感や不安をいくらか減らすことができるでしょう。そのためにもルールを作っておくことは非常に大事です。暴力に限らず、金銭の浪費、男女関係にふしだら、どんなことでも、その患者さんが問題になっている1点を取り上げてルールを作ることが重要です。
 ルールは複雑ではだめです。単純なものです。「今度乱暴したら入院」「今度お金を無駄遣いしたら入院」というようにです。それから「限界」をはっきり決めておく。細かい理由など付けなくてもいいです。そして要求は1回に1つです。「乱暴」なら乱暴についてだけです。
 また、できそうもないことは提案しないこと。やってみてルールが不具合がれば変えていくこと。
 時々起こる事件の度に、精神鑑定などでセンセーショナルに報道され、一般的にスキゾフレニア患者は暴力的で危険だという印象を与えて問題となっていますが、一般的にはそれほど多くはありません。こうした事件に至る前に個々にルールを決めておくことで、暴力事件も減らせます。

 スキゾフレニアの患者さんは病気の具合が悪くなってくると、そういう行動が出やすくなります。だから、その患者さんが病気の悪くなるパターンはいつも大体似ています。ですから、ある患者さんは睡眠がとれなくなると具合が悪くなるとか、あるいは食事をあまりしなくなると悪くなるというか、そういう前兆が同じパターンで出てきます。そういうものをよく覚えておいて、そうした兆候が見えたら早めに主治医に連絡して、薬を調節するとか事前に手を打っておくことがやはり大事です。

 暴力行為が幻覚とか、妄想に直接結びついて、より病的な内容の場合はなかなか説得しても難しいです。病気の勢いがそれだけ強くなっているのです。そういうときは互いに距離をとって、例えば逃げることも大事です。暴力を振るわれそうになったら、逃げて、病院に連絡したり、あるいは警察に通報するということとかが必要になってきます。そういう場合は多くはすみやかな入院治療が必要です。そのような病気の症状がでて、再発によって暴力的、暴力に限らず、そのような行動が見られたら、それは話とかルールとかは通用しませんので、まず身の安全を確保した上で病院や警察に連絡するということになります。
 お話は以上で、あとはご質問にお答えしましょう。

質問1.息子の件ですが、かねてより暴力行為が見られ困っている。落ち着いているとき母親が先ほど先生が言われた「ルール」のような「今度は暴力は止めて」と約束したこともあったが、半年後、TVを壊す、タンスをけ飛ばす、扇風機を殴るといった暴力を振るようになりました。
 深夜でもあり、110番でパトカーがサイレンで来てくれても近所迷惑だし、本人が落ち着いてから警察を呼んだことを根に持ってもらっても困る、と色々悩んだ。本人の兄が来て説得して落ち着くことができた。その後も何回か暴れたが、母親が出すぬいぐるみで落ち着くことも判った。
 ある時は私(父親)が土下座したしたこともあった。すると息子は「悪かった」と握手を求めてきた。その後は母親にも同じように土下座を要求することもあった。
 主治医に相談すると「暴力を振るうときは警察を頼むしかない」とのこと。そこで、仮に110番した時、警察はどのように処置してくれるものでしょうか?

参加者A 私の場合、やはり息子だが、部屋にこもって内カギを掛けて暴れ、天井、壁をメチャメチャに壊していた。大声で叫び、相当の暴れ方で、本人もそのままでは危険だし、親がカギを壊して中に入っても今度は親の身の危険を感じた。その日に退院したばかりだったので、退院した病院に連絡したら「一度退院された方は、その日であっても再度入院の手続きが必要なので明日お越し下さい」ということだった。息子の暴れている声が電話から聞こえているにも関わらず。
 そこで110番した。警察は「本人、もしくはご家族の方で身の危険が感じられますか」というので「感じる」と答えると「では、向かいます」といって深夜12時頃、警察官数人がどかどかっと入ってきた。万能鍵で息子の部屋を開け、血だらけになっている息子をシートとベルトでグルグル巻きにして、パトカーに載せ、まず新宿警察署に行った。ここで息子は床に寝かされ、私は手続きをして30分後、2時頃都立松沢病院へ向かった。その頃、息子はぐったりして、声も出ない状態だった。松沢へつくと宿直担当医から安定剤の注射をされ、保護室へ連れていかれ、私は入院に伴う手続きを済ませ、タクシーで自宅に戻った。朝4時頃だった。
 翌朝9時、私が再び松沢にいくと息子は保護室で朦朧としていた。私は昨日退院した病院に自ら電話で入院予約を入れた。松沢病院からは追い出されるようにして、息子と二人、タクシーで再び予約の病院へと向かった。

質問者1 警察は本人も家族も身の危険の状態でないと来てくれないのだろうか。

参加者A  そう思う

岩下先生 お二人の身につまされる話は、我々医師も勉強になります。問題は緊急時、病院は何もできない。入院させた方がいいから連れてらっしゃいと言ったって、連れていけない。病院も、中部精神保健福祉センターも、保健所もできない。そういう時実際に動いてくれるのは警察しかいないんです。

 ここで、もう一つ問題になるのが入院形態の違い。精神科の場合、医学的にみて入院治療が必要にも関わらず本人の同意が得られないということで入院に結びつかない例がたくさんあります。病気だけど本人が認識がない。例えば、ある患者さんが街で暴れている。それを警察が見つけて、保安の立場から入院させなければならない場合があります。そこで大きく分けて次の3つの入院形態があります。

1.任意入院 自分の意志で入るので「入れられた」という感情がない。自分の意志に基づいて精神科の病院に入院する場合、同意書にサインします。法律ではなるべく任意入院でやりなさいと書いてあります。今は任意入院が増えています。本人に入院の意志や、病気の自覚がなければ成り立たない。

2.医療保護入院 保護者の同意による入院。配偶者、家庭裁判所が認める家族、未成年の親などが認める入院。

3.措置入院 誰の同意ではなく、東京都の場合、都知事の命令による強制入院で、行政措置の入院ということになります。

 いずれにしても、あなたはこういう形での入院です。こういう権利がありますということを全部書面で告知することになっています。誰の同意で入院という問題が出てくるので、あとあと父が入れたとか、そういう話になってきます。
 医療保護入院というのは受け入れ先の病院が決まっていて家族が何とか連れていって、そこで成立します。さらにどうやって移送するか、といった問題が出てきます。

 また、移送について、今回の精神保健福祉法の改正で、33条の4として医療保護入院の移送について規定ができたのですが、それは残念ながらまだ動いていません。今までは移送についての規定が法律に全然盛り込まれていなかったのが、今度の改正で条文において都が請け負う(保健所が窓口)ことになりました。

 今までは家族が人手を集めて連れていくか、警備保障会社にお金を払ってやってもらうという方法しかなかったわけです。法律で行政が行うと名言されたわけです。が、制度としては動いていません。これが動くと家族によっては随分変わってくると思います。

 措置入院は一般人、警察官、検察官が、例えば私がアパートに住んでいて、隣の人がおかしい、一人ごとを言ったり、夜中に暴れたりして、そういう場合に、あの人おかしいから調査して下さい。必要なら入院させて下さい、ということを我々が言うことができるものです。それを通報と言います。実際は一般人の通報は件数としては少ないものです。一番主な通報は警察官通報です。警察官が職務上保護したい、自傷他害の恐れのある場合、お巡りさんが精神障害であると判断します。お巡りさんは都知事への通報ということを行います。

 東京都の精神科救急病院は4つのブロックに分かれていて、新宿区の場合は松沢病院ですか、そこに患者さんを連れていってくれます。そこで精神鑑定をし、自傷他害の恐れがあると判断した時に、都知事の命令による措置入院ということになります。

 夜中にどんどんやったりする迷惑行為は法律上で言えば立派に措置入院の要件を満たしています。実際動くのはお巡りさんですから、お巡りさんの考え方、方針などで多少の違いが出てくることがあります。ですから、これより軽い迷惑行為で措置入院になってしまった場合もあります。

 警察官を呼ぶ場合、来て何をしてもらうかですね。来てから治めて帰ってもらうのでいいのか、何とかルートを使って入院ということで考えるのかですね。それも来てくれる警察官によってバラツキがあります。ですから基本的には家族の考えです。
 理屈を言えば、先ほどの質問のような条件は措置入院に該当すると思われます。ただ、実際にそうなるかと言うと、はっきり「なります」とは言えません。ただ、警察官通報は増えています。

参加者1 私の場合も都知事に申請を出したと思う。警察官から措置入院にはしないと言われた。措置になると犯罪者扱い?戸籍に載るのではないか。あるいは禁治産者になるとか。それで警察官は敢えて医療保護入院にすると言ったのではないか。

岩下先生 誤解のないように。そのように考えるのも無理ないことだが、措置入院だから禁治産者になるとか戸籍に載るということは一切ありません。
 いずれにしても警察は今、ちょっとしたことでもすぐコンピュータに入力してやってしまいますから、それは警察のデータには残ると思いますが、それは措置入院になるとならないとに関わらず、措置入院は警察は面倒だということもあります。
 医療保護入院だと家族がいるから、あとは家族に任せて、ということになります。保護してくれか、通報してくれるか、都で措置入院にしてくれるかと3段階くらいの違いがあります。

参加者1 それから措置入院だと都が費用をもつということではないですか。医療保護だと保護者が入院費を負担する必要があると聞いた。

先生 そう、措置入院だと公費となります。行政措置ということで。その違いはありますが、お巡りさんが保護して入院に結びつけるという役割を担ってくれるということはあります。そういう意味でお巡りさんというのは動いてくれるときは動いてくれます。

質問2 措置入院の場合、患者としての扱いが任意入院と違いがあるということはないか。

先生 実質的にはあります。

質問者2 うちの子は3ヶ月の入院で退院した後も良くなるとは思わなかった。結局、全然良くならなくて退院させられ、4年経った今でも良くなっていない。
 親が希望しても入院させてもらえなかった。3ヶ月でこれ以上入院しても意味ないと言われ、退院となってしまった。同じ時期に入院した方でまだ入院している人がいる。その人は措置入院だった。どういう経過で入院したかは聞いていないが、その親は退院させたいが無理だという。うちとは全く逆の話。任意入院がいいといいますが、措置入院が本人にとって不都合な面があるのか。

先生 措置入院というのは行政措置ですから、任意入院なら本人が退院したいと言ったら退院できます。自分の意志で入ったのだから。医療保護入院は本人もだけど、親が退院させたいといえば退院になるわけです。そころが措置入院の場合、行政措置ですから、知事の命令なわけですから都知事が「うん」と言わない限り退院できないのです。

 現実には石原さんが見に来るわけないから措置入院の患者さんが入ってくると治療の仕方は任意入院や保護入院と全く同じです。治療を施していって、自傷他害の恐れが無くなったと判断したら、それを都に届けを出す。2週間くらいで措置解除して任意、保護入院に切り替えて入院を続ける人もいます。
 手続き上の違いがあるのと措置入院というのは精神の状態とともに自傷他害の恐れがあるということで来られるわけですよね。つまり危険な状態だからこそ、そういう病院の側からするとレクリエーションなどで外出するなど、そういうことに参加しにくくなってくるというのは起きてきます、

質問者2 外泊、外出もできない、そんな様子が3年位経っていて、お母さんからすると何でもないのにという。

先生 私の経験からすると措置入院の人が特別に入院期間が長くなるということは全くありません。措置入院には覚醒剤の患者さんが多いのです。警察に保護されて、入院するとスっと治まったりします。入院形態で入院期間が違うということはありません。統計的には措置入院の方が短いですね。
 措置入院というのは拘束性が強いです。それは危険だから入院ということが前提ですからね。名古屋の精神科病院で措置入院の患者さんが外出して防衛庁長官を殺害したという事件がありました。そのとき、その病院は措置入院の患者さんを解放病棟に置くのか、という批判が寄せられました。

 措置入院というだけで病院では防衛的になります。もし万一事件や事故があったら病院としては管理責任が問われることになりますから。法律でも、措置入院というのはなるべく早く解除しなさいと決められています。その3年間も措置入院の方は余程症状が重たいのか。

 私が見る限り措置入院で入ってくる患者さんと医療保護入院で入ってくる患者さんも病状としてはそれほど変わないですね。病院に来る経過が違うだけです。
 それから家族がいない方が措置入院で入るケースが多いです。医療保護入院にするには家族がいないと成立しませんからね。
  (途中ですが紙面の都合で終わります。あなたも家族会に参加しませんか。)

ご感想・ご意見をお寄せ下さい。

 新宿家族会では、精神分裂病の病名を変えたいと願っています。この一連の抄録集で「分裂病」の部分を「スキゾフレニア」の英語名に置き換えて表現しています。このことに何名かの賛成意見がメールや手紙で寄せらています。あなたはどう思われますか。
 もし、この「スキゾフレニア」が我々家族や当事者の常用語となれば、国や医師会も変えざるを得なくなるでしょう。皆さんもご家庭や家族会で「スキゾフレニア」を常用語にしましょう。


編集後記

 事務所の窓際にユッカエレファンティベス(幸福の木)という観葉植物の鉢植えが置いてある。暮れに冬の寒さに備え室内へ移動させた。
 小生がこの事務所へ入居の際不動産屋が贈ってくれたものである。当初緑の葉がフサフサとして、部屋の中央で目を楽しませてくれていた。1年も経たないうちに一枚、二枚と葉が落ちて、3年目には根元がフカフカになって枯れた・・・と思って、ベランダに放置した。それから何日かたって、見ると黄緑色の細く短い葉が伸びていた。
 生きてる! 早速、水をやり、また室内へ持ち込んだ。しかし、それも1週間ほどで明らかに弱ってきた。
 再びベランダへ置く。すると若葉はまた緑色を濃くしてきた。・・・・結局、この植物はほうっておくことによって、自らの生命力を発揮して生きていくのではないか。
 翻って、我が子たちの場合もそういうことなのか。親が良かれとジャブジャブ水をやり、暖房がいいだろうとエアコンの近くに置く。そうした植物・いや息子たちへの親の介入が、彼らをして萎えさせてしまったのか。
 今、植物の世話も、息子の介助もますます昏迷状態だ。         嵜


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新宿家族会 E-mail: frenz@big.or.jp