12月家族会勉強会

     症状に合わせた薬を選ぶには

               講師 慶應義塾大学医学部精神神経科 水野雅文先生


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はじめに

 今回は、いいお薬、自分の症状に合った薬を飲むにはどうすればいいか、ということでお話しするようにとのリクエストです。どういう症状にどういう薬が合うかについては、個別具体的で、非常に細かい話になりますので、ひとつづつ私の症状は何と何で、だから薬は何と何という理解の仕方は難しいと思います。何よりも薬というのは、たとえ量が同じであっても効き方は人によって全く異なります。ですからなかなかこの症状にはこの薬というほど単純なものではありません。しかも、その状態によって、ひとりの患者さんでも同じ量を飲んでいても症状が変わってきますので、症状と薬の関係は簡単には説明できないものです。

 では症状とは何かということですが、例えば内科等では検査で計って、ある数値が高ければこの検査結果が出たから、それに対してこの薬ということができるかも知れません。しかし精神科の場合は、ご本人が訴えた内容、周囲の人の話をもとに症状を把握しますから、ご本人がうまく症状を感じて診察の場面で伝えられているか、という問題もあります。例えば分かりやすい例としては、不眠ですかね、眠れないというのは眠らせる薬はある程度決まっています。これは症状とお薬は一致させられます。しかし、「眠れない」にもいろいろあります。

主治医に伝える

医師からの問診で何を聞いているのだろうということもあるかもしれません。なるべく色んな症状の形を聞き出すために問診という質問が行われます。しかし、患者さんが必ず上手に返答ができるとは限りません。患者さん自身も自分の症状について自覚していない場合もあります。医師の方から「こんなことはなかったか」と聞かれると「あー、ありました」なんて答える方も多くいます。

 医学は日進月歩で変化しています。そしてベテランが診察しても、まだ経験が浅い医師が診ても治療費は変わりません。その辺は皆さんの方でお選びください。皆さんが持ちうる情報の中でよく考えて判断していただきたいと思います。

 混みあう外来ですと、前の日に翌日の診察する患者さんのカルテを見て予習することもあります。一人ひとりの患者さんのことを思い浮かべて、診察の際の大まかな時間配分等を行います。ここで効率よく診察を受けるために、十分にご自分が伝えたいことを話せるように準備され、メモなどを書いておくことをお勧めします。こうした工夫を重ねて診察の満足度を上げていただきたいと思います。さらに診察の質的向上を図る意味からも重要なことであろうと思います。

副作用を恐れない

 それから、お薬には必ず副作用ということがあります。抗がん剤とか放射線治療を受けたりします。ガンのように生命と直接関わる病気ならこうした危険がある薬や治療が積極的に行われます。しかし精神科の病気は生命予後は悪くない。そうするとお薬についてもそのようなリスクを取ることはいかがかな、ということになります。しかし命がけでも治療を受けたいという人もいると思うのです。やはり多くの選択肢があって、その中で一つづつ試しながら治療が行われることが望ましいことであろうと思います。そのような状況が広まってこないと、結局ユーザーに不利益が回ってきます。

革新的治療への働きかけ

 これまで薬害事件とかいろいろあって、問題になったとき結果としていろんな責任を問う声は出やすいことですが、一つひとつ問題を検証してみればどんなところに問題があったのか、どんなことを注意しながら使っていかなければならないか、個別には検討できる余地があるわけですから、それを是非進めるべきではないかと思います。日本の医療費は先進国の中でも安いとされています。しかも効率のいいレベルの高い医療が行われています。ですからもっともっと医療サービスにお金をかけて自分たちの満足のいく医療が提供されることが大事であると、どっかから声が起こってもいいのではないかと思っていますが、最近は挙がらなくなってしまいましたね。遠慮深くなったのか。提供されるものだけを見ていて、不満があるとヒステリックな反応だけで終わっています。最近はインターネットの発達などで外国の場合のことなども知識として手軽に入手できます。それがサービスとして見合ったものとして最終的に届くような形となるよう働きかけるような活動も大切であろうと思います。

会場よりの質問:そう状態のときはリーマスを飲むのが常識ですが、そのときにリーマスを飲んでうつの時にトレドミンを飲むやり方と、そうでもうつでもリーマスを飲むというやり方はどちらがいいでしょうか?

先生:そうもうつもあるわけですね。それでしたらリーマスでしょうね。最初の一手は、うつのときもリーマスを飲んで、それにトレドミンとを両方飲んでもいいと思います。

質問:わかりました。それから歌舞伎町でプロザック売ってましたけど、買って飲んで大丈夫でしょうか。

先生:止めた方がいいでしょう。

会場:(爆笑)

会場:個人輸入の店ですね。私はアメリカに行った時買おうと薬局へ行ったら処方箋を求められて買えませんでした。

先生:アメリカはその辺きちっとしてます。

(紙面の都合でここで終わります)


映画鑑賞会のご案内

アメリカ秀作ドキュメンタリー映画上映会 「People say I'm crazy」

 日 時 2月3目(金)午後1時30分

 場 所 区立総合福祉センター(さくらぼ-と)3階小田急線梅ケ丘駅下車5分

 参加費 300円  申込 不要 主催 NPO法人さくら会 

             世田谷区粕谷4ー20ー18   Tel/FAX 3308ー1679

 自らを14年にわたって映像に記録したジョン・カディガン(サンフランシスコ市往往)は、学生生活の半ばを過ぎて統合失調症(精神分裂病)を発症し、大学をやめ、薬物療法やさまざまな精神科医を巡歴するうちに、自らの苦悩に満ちた闘病生活をフィルムに完全記録することを決意した。この映画こそ、分裂病者が自ら撮影し監督した、史上初めてのドキュメンタリー。彼は観るものを彼の内なる“ビューティフル・マインド”の世界の旅へと誘う−それは混沌・妄想・創造性に満ちた字宙、その中で彼は「本当の真実」を知るために闘い続ける。10余年間、彼は自己崩壊、そして勝利、家族(共同制作者ケィティー・カディガンは彼の姉)と友人たちを映像に記録する−そしで狂気”と呼ばれる既成の「文化的枠組み」を粉々に打ち砕く、

「“ビューティフル・マインド”を凌ぐドキュメンタリーの傑作」エドワード・ガスマン『サンフランシスコ クロニクル』)「人間の精神の尊厳を信ずるすべての人々への啓示」ピーター・クーグ『ボストンフエニックス』)


日本臨床心理学会第3回関東委員会(どなたでも参加できます。参加費:¥1,000)

【日時】2006年2月11日(土) 午後2:45受付 3:00開始 5:00終了予定   
【場所】耕房「輝」(Tel:03-3842-7399  JR山手線鶯谷駅南口下車徒歩5分)
   
【テーマ】「ACT(Assertive Community Treatment)を考える」
【発題者】梁田英麿(国立精神・神経センター国府台病院ACT-Jプロジェクト臨床
チーム)             
【指定討論者】目加田敏浩(済生会宇都宮病院臨床心理室)  
【司会】杉野しのぶ(国立精神・神経センター国府台病院精神科デイケア)


書籍案内 「脳内汚染」 岡田尊司(1960年生 精神科医、医学博士)
                文芸春秋 ¥1680

 本書は、日本が直面している社会現象、すなわち、キレやすい子供、不登校、学級崩壊、引きこもり、家庭内暴力、突発的殺人、動物虐待、大人の幼児化、ロリコンなど反社会的変態性欲者の増大、オタク、二ートなどあらゆるネガティヴな現象を作りだした犯人が誰であるかをかなりの精度で突き止めたと信じるからだ。では、医療少年院勤務の精神科医という苛酷な現実の最前線に立つ著者が、犯人と名指ししたのは誰なのか?結論から先に言おう、コンピューター・ゲームとインターネット(とりわけネット・ゲーム)である。

(毎日新聞・今週の本棚 鹿島 茂評より 部分)


平成17年4月からの新宿家族会ホームページ「勉強会」の表示形式について

 新宿家族会では4月から「勉強会」ホームページの表示について、概略掲載とすることになりました。そして、「フレンズ」(新宿家族会会報紙)ではいままで同様、あるいはより内容を充実させて発行することにしました。これまで同様に勉強会抄録をお読みくださる方は、賛助会員になっていただけますと「フレンズ」紙面版が送られますので、そちらでお読みできます。
どうぞ、この機会に是非賛助会員になっていただけますよう、お願い申し上げます。

賛助会員になる方法        



新宿家族会へのお誘い 

 新宿家族会では毎月第3土曜日、12時半から新宿区立障害者福祉センターに集まって、お互いの情報交換や、外部からの情報交換を行い、2時からは勉強会で講師の先生をお招きして家族が精神障害の医学的知識や社会福祉制度を学び、患者さんの将来に向けて学習しています。
入会方法 


編集後記

 正月、新年の幕開けである。年賀状では「おめでとう」と書くが、本心はそれほどでもないと言えばひねくれ者扱いされてしまうのか。

 十二月の講演では水野先生から「革新的治療への働きかけ」として、家族と医師らが共に国や関係機関に良き医療を求めて働きかける必要があると言われた。
 敢えて新年に向けて言わせてもらえば、時の流れとしての新年だけではなく、我々精神障害に関係した者たちの新年は、そうしたこれまでの医療・福祉行政に患者・家族が要求を出し、それを声にして訴えることができる素地創りの新年でありたい。

 水野先生が言われた「革新的治療」。日本国内の製薬会社で新薬が開発され、外国で採用されているという現実を知らされた。インターネットから良き情報、悪しき情報が濁流のごとく押し流されてくる。そんな濁流の中で我々は頼りになる流木を見つけ、良きもの、悪しきものを取捨選択して何とか生きている。
 世の中の変化はとどまることを知らない。精神医療の世界も然りである。そうした良き変化をいち早く見つけ、自らの問題に応用させる。それは弱きものに与えられた唯一の武器ではないだろうか。
 また、一年が始まる。これまでの因習に染まらず、絶えず革新的発想でやっていきたい。年の初めに少々気負ってみた。新年深謝。                          

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新宿家族会 E-mail: frenz@big.or.jp